アップルセージ
近くのランチ食堂、よく利用するのだが、最近、注文するのに口頭ではなく、テーブルに設置した端末でするようになった。なんとも味気ない。
私は店員からお茶を運んでもらう時に、口頭で注文するようにしている。すると面倒くさそうに端末を取り上げ、トントンと画面に入力してくれる。
大衆的な店では、どこでもこんなふうに変化している。こうすることによって、誤注文は減るのだろう、会計に間違いがなくなるのだろう、人手不足も改善できるのだろう。しかし客の立場からすると、あまり心地いいものではない。これからは酒場でもアルコール類など、自分自身で給水口から直接つぐようになるかもしれない。
こうした改変によってどれだけ営業成績が上がるものやら。私の予想では機材の導入費・維持費を考慮するとマイナス営業ではないのか、と思ってしまう。
私たちの生活場面の記号化は、昔のことをしきりに想い起こさせる。私の青春時代はまだテレビが普及しきれていなかった。電話もなかった。そんな時代のことを思い、昔は良かった、などと言うつもりは毛頭ない。
日常のあらゆる場面にコンピュータが入り込み、生活スタイルがすっかり変わってしまった。買い物などカード決済の人が多く、現金を持ち歩かなくなった。スマホという超小型のパソコンを一人一人が持ち歩くようになった。何か調べ物をするにも、その場でスマホが解決してくれる。対人関係こそ社会の基本だったものが、ラインやメールなどの端末に置き換わってきている。
この変化はやがて私たちの生活マナーをも大きく変えるだろう。大袈裟に言えば社会のあり方そのものが変わってくるに違いない。政治から思想、科学など、根こそぎ変革が必要になると思う。しかし、、、しかし、この分野に変化の予兆はかけらも見られない。【彬】