カンナ
ロシアの土地は国有ではなく、民営化されているはずだ、との意見がある。かつてのコルホーズ、ソホーズは解体され、農民に与えられたはずだ、と。確かにこうした集団農場は国家の指導から解放され、協同組合方式やら二、三の形態で受け継がれ、耕作方法など自由に運営されている。
しかし、これらの土地は多くの農民をシベリアなどに放逐した後の農地であって、元の農民が戻ったわけではない。しかもこうした農地は、ロシア全土に占める割合はほんの僅かである。
農林省の農林水産政策研究所の長友謙治氏の報告(主要国農業戦略横断・総合]プロ研資料 第7号)によると、ロシアの土地所有を表にする次のようになる。
類型区分 |
総面積(万ha) |
うち国公有 |
私有 |
私有割合 |
|
すべての土地 |
171,251.9 |
157,909.9 |
13,342.0 |
7.8 |
|
農業目的地 |
38,373.8 |
25,537.6 |
12,836.3 |
33.5 |
|
都市・集落地 |
2,032.7 |
1,556.7 |
476. |
23.4 |
|
産業・国防等目的地 |
1,733.7 |
1,706.1 |
27.6 |
1.6 |
|
特別保護地 |
4,703.3 |
4,701.9 |
1. |
0 |
|
森林フォンド地 |
112,632.0 |
112,632,0 |
0. |
0 |
|
水利フォンド地 |
2,805.5 |
2,805.4 |
0.1 |
0 |
|
保留地 |
8,970.8 |
8,970.3 |
0.6 |
0 |
|
広大な占有地のうち、私有地は全体でわずか7.8%、農地でさえ全農地の33.5%に過ぎない。
依然として国土は国家に所属しているのである。
日本ではどうか。
国交相によると、2013年度の日本全国における所有主体別の土地面積割合は、国有地が19.9%、都道府県有地が2.8%、市町村有地が5.5%で、個人民有地が34.0%、法人民有地が5.8%、民有地(免税点未満)が3.8%、その他が28.2%だった。
都市部においては、民有地は全体の40%を超えているのである。
国家の条件は、領地、国民、主権を三要素としている。その領地を国民ではなく、国家が所有しているとすれば、その結果は自ずとわかるであろう。国民が領地を私有することにより、国家の主権は国民のものとして保障される。土地を持たない国民の国家がどういうことなるのか、中国、ロシアの現実が示している。【彬】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます