カワラナデシコ
私は都内に住む75歳以上の老人だが、ようやくワクチン接種が始まった。いや始まったのはまだ予約である。この予約の手続きをするのに手間取って、我が家では、昨日、一昨日とまる二日間翻弄された。なぜか。
この間の経緯を簡単に説明しよう。
4月末日に区役所から各人宛に郵便が届いた。コロナワクチンの接種がいよいよ始まるので、予約をする必要があるという内容である。
その封書には、接種券と問診票2通、予約開始日が記したパンフレットが同封されていた。
接種券には細かい字で請求先番号、券番号、氏名がプリントされている。予約については開始日、開始時間、予約方法(webの方法、電話番号)の説明がある。なんだか大仰なお知らせだなあ、と思いつつ、接種券がついているのだから、何をもう一度予約が必要なのかなどと、不思議だった。
さて予約当日、早い方がいいだろうと、開始時間からすぐにパソコンに向かった。ところがなかなか繋がらない。予約希望者が殺到しているらしい、さもありなむと思いながら、何回か試しているうちにようやく繋がった。さて、ここからが問題である。
画面上でまずIDとパスワードを求めている。さて困った。パソコン上では当然IDやパスワードを求めてくるのが普通であるが、その場合は、メールアドレスを記入してからのことである。ところがいきなりID、パスワードである。予約のためのID、パスワード? そんなもの受け取ったこともないし、なんだろうと思いながら、試しに接種券にある整理番号を入力してみる。そしてパスワードには私のパソコンのパスワードを入力した。ところがそれらは入力ミスだといって返ってくる。なんなんだろう、と思いながら2度3度繰り返すうちにパスワードを忘れましたか、という問いである。よくある手順だ。そこで変更するとして返信すると、なぜだか訳のわからない場所に返信したという。でも、私のアドレスにはいっこうに届かない。思えば当然だ、私のアドレスから予約画面にアプローチしているわけではないから届くはずはない。そこで再度予約画面からアプローチしたが、あとは全く受け付けてもくれない。
そして12時30分、webサイトでの予約は予定の件数に達しましたので、締め切りますとのメッセージ。予定件数などというものがあるのか。
致し方なく、電話予約に切り替えたが、この電話が全く繋がらない。朝からずっと掛けぱなしで、二日目の夕方にようやく繋がった。
そしてようやく落着。しかし接種場所は一番近場の会場ではなかった。
この間の、手順のややこしさ、手間のかかりよう、一体なんなんだろうと思う。
私の住むところの75歳以上高齢者は、3万5千人ほど。その受付にこんなにも手間取っていては、今後若年層に拡大する時、どういう混乱が起きるものやら。区の行政対応、要検討だ。手慣れているイベント会社や電通とかのアドバイスをもらうべきである。不満が募る。
なお付記すると、web申し込みのIDは券番号、パスワードは生年月日だという。web画面になぜ、券番号、生年月日と表記しないのか。また事前に接種券、問診票まで届けているのだから、予約する必要はなかろう。接種券を持って何日何時にどの場所に来い、という通知だけで用は済んでいるはずだ。住民サービスが逆に住民束縛になっていやしないか。【彬】