「ホッ」
緊張感から解放された時の心の様子を一言で表すとこうなる。
息子が参加していた合宿に途中から参加するために車を飛ばしていた。
中央自動車道を降り、しばらくしてバケツの水をひっくり返したような大雨に見舞われたのだ。
ワイパーが役に立たないくらいの勢いで降り続ける雨。
当然立ち往生だ。
車の屋根に雨がぶつかり、打楽器のような音を立てている。
永遠に続くような心細さの中で、心臓だけはリズミカルに動いている。
そして気がつくと雨はやんでいた。
周囲の車もいない。
空を見ると、写真のような分厚い雲の中に青空が少し顔を覗かせている。
さっきまでの雨はなんだったのだろう。
「ホッ」
地獄で仏にあったようだった。