のんびりぽつぽつ

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「震える岩-霊験お初捕物控-」

2006年02月08日 21時30分52秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 講談社文庫。

副題に、「霊験お初捕物控」とあるように、主人公のお初はふつうの人間にはない不思議な力を持っています。
岡っ引きの兄六蔵と、一膳飯屋「姉妹屋」を営む兄嫁およしとの3人暮らし。
そして時々南町奉行の根岸肥前守の「不思議」を読み解く手伝いをしている若く溌剌として、ちょっと気の強い娘。
その彼女が、奉行の引き合わせで優男の古沢右京之介と引き合わされ、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始めます。
それが百年前に起きた「赤穂浪士討ち入り」にまで関わっていくことになるのですが・・・

いやあ、、怖かった。
ほんっとに、、、怖かった・・・・・
本気で、背筋が寒くなりました。読んでいる途中で何度鳥肌がたって、何度後ろを振り向いたことか・・・
こうしていまPCに向かって文章考えている時でも、何となくまだ薄ら寒い・・・・
数本立ての事件の絡まり方がわかるまでが、この物語は時間がかかっていて、
それがまた、怖さを引き立てているんです・・・・・

もちろん、ストーリーも非常におもしろかった。
先日読んだ「ぼんくら」とはまったく違う、一人の町娘の視点で描かれる江戸の街の活気。風景。暮らし。
そして、プラスワンをもっている彼女の周りを囲む人々の心地よさは、どこか「龍は眠る」の少年の両親に通じるものがあり。
案外、この時代のほうが、不思議は絶えず隣にあり、死への畏怖の念もずっと大きかったことでしょうから、こういう「力」は、受け容れられやすいものでもあったのかな、とも思います。
お初のこの力に対する考え方も、周りの人々の理解と救いの上にある訳で。。。
そしてまた、右京之介さまとのやり取りの軽妙で楽しいことも気持ちがよく、彼の行く末、ふたりの今後もとても興味をそそられ・・

でも、とにかく怖いんですよ。怖い描写も抜群ですね。宮部さん・・・

なんだか感想が初めから終わりまで「こわかった~~~」に、なってしまったかな・・
あっちの謎、こっちの事情などなど、諸々が最後には見事にすっきりまとまって、答えが出ている。居心地のいい江戸の町の物語でもあります。
おもしろいです。宮部先生の時代小説。

これで立派に私も作家宮部みゆきの「おっかけ」ですか~(笑)