遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日中首脳会談 誤ったメッセージを国際社会に与えた

2018-10-27 23:58:58 | 中国 全般
 日本の首相として約7年ぶりに公式訪中した安倍首相。
 李克強首相の来日を経ての訪中・首脳会談と、急速に中国が対日接近を進めている理由は、遊爺の様な素人でも透けて見えます。
 財政投資主導で牽引してきた経済発展の陰りが見え、「一帯一路」政策で、海外への投資で需要を創出し、同時に覇権拡大も図る政策への警戒感が強まるなか、米国との貿易戦争でも敗色が濃く財政に負担が拡大。
 日米の分断を謀りつつ、日本との接近で、「一帯一路」への支援と、金融支援を得たいのが目的なのですね。

 その中国の掌返しでの日本接近を利用し、尖閣への不法侵入や、北朝鮮の核とミサイル開発を阻止、南シナ海での仲裁裁判所の裁定への遵法を説くなどするのなら訪中の意義はありますが、首脳会談で示された内容は、ODAの終了(形を日中共同での第三国支援に変えただけ?)くらいで、これらの懸案は残したままの対中協力。
 米国の中国の覇権拡大への歯止め政策としての貿易戦争や、欧州諸国や「一帯一路」沿線国で対中警戒が強まる流れに逆行する対中協力。
 産経・主張は、日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えたとバッサリ!
 
 透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか 中露の焦りは日本の主張を通すチャンス、明確に言うことが大切 | JBpress(日本ビジネスプレス)

 
日中首脳会談 「覇権」阻む意思が見えぬ 誤ったメッセージを与えた (10/27 産経 主張)
 
 米国と中国が覇権を争う「新冷戦」の局面を迎え、国際社会は大きな地殻変動を起こしている。これに日本はどう向き合うか。安倍晋三首相の中国公式訪問で問われたのは、この一点に尽きる

 だが、習近平国家主席や李克強首相との
会談の成果とする関係改善は、日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた
 日米同盟を基軸とし、民主主義や市場経済などの価値観を欧米と共有する
日本が、軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢はあり得ない。ここがうやむやなまま、友好ばかりが演出されたことを懸念する。

≪「一帯一路」支えるのか≫
 
安倍政権はいま一度、中国の覇権を阻むという原点を思い起こすべきだ中国に強権政治を根本的に改めるよう厳しく迫る。それが関係改善の大前提である。

 安倍首相は、習主席との間で「競争から協調へ」など新たな原則を確認した。いかにも前のめりである。
 中国は不公正貿易や知的財産侵害を改めない。南シナ海の覇権を狙う海洋進出やウイグル人弾圧を含む人権侵害も相変わらずだ。
 これでどうして新たな段階に入れるのか。
米国はもちろん、アジアや欧州でも中国への視線は厳しさを増している。日本の対中外交はこの潮流に逆行しよう。

 日本は、天安門事件で国際的に孤立した中国にいち早く手を差し伸べ、天皇陛下の訪中や経済協力の再開に踏み切った。だが、日中が強い絆で結ばれるという期待は裏切られた。その教訓を生かせず二の舞いを演じるのか。

 日中は、経済や安全保障を含む幅広い分野で協力を強化する。象徴的なのが、両国以外の第三国でのインフラ開発協力だろう。
 両政府の呼びかけに応じ、日中の企業は事業を共同展開するため50件を超える覚書を締結した。
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に置いた協力である。
 
一帯一路は経済、軍事面で自らの勢力圏を広げるための国家戦略だ。相手国を借金で縛る手法は「新植民地主義」と評される
 安倍首相は開放性や透明性などが協力の前提と指摘したが、
日本の技術や資金が中国の膨張主義を支える構図に変わりはない。何よりも中国が、一帯一路への各国の批判をかわす根拠として日本の協力を利用することを危惧する。

 金融危機時に双方が通貨を融通し合う通貨交換協定の再開でも合意した。米中貿易戦争で中国経済の不安が高まる中、市場の安全網を敷く狙いだろう。だが、
中国が優先すべきは国家の恣意(しい)的な市場介入を改めることだ。そこが不十分なまま、大々的に金融協力を行うのには違和感を覚える

≪中国の脅威は減じない≫
 
安倍首相は対中ODA(政府開発援助)について「歴史的使命を終えた」と述べて終了する方針を示した。これ自体は当然としても、新たな経済協力へと一足飛びに進む理由にはなるまい

 
日本は欧米とともに対中包囲網を強めようとしてきたはずだ。これとの整合性はあるのか。
 安全保障分野の「関係改善」にも疑念がある。
日本にとって最大の脅威が中国なのは明らかだ。

 両首相は「日中は互いに脅威とならない」と確認した。海空連絡メカニズムでホットラインの設置協議も決まった。
 尖閣諸島をめぐり、安倍首相が李首相に「東シナ海の安定なくして真の関係改善はない」と伝えたのは当然だ。だが、これだけで脅威を構成する中国の「意図」と「能力」が減ずるだろうか。
 
中国は尖閣を奪う意志を取り下げていない周辺領海への中国公船の侵入などを首脳会談の主題にすべきだった。中国の軍拡や日本に向けられた弾道・巡航ミサイルの問題は論じたのか。南シナ海の人工島の軍事拠点化の問題もある。刃(やいば)を突きつけられた中での友好などあり得ない。

 安倍首相はウイグル問題を念頭に「国際社会が人権状況を注視している」と伝えたが、協力が強調された中で懸念は伝わったのか。
北朝鮮の非核化や拉致問題を含め真剣な協力相手たり得るのか

 これらを棚上げにして日中の首脳が笑顔で握手しても、真の友好は築けまい。
中国は国際情勢次第で対日姿勢を変えてきた。ムードに流された関係改善は、砂上の楼閣に等しい

 日米同盟を基軸とし、民主主義や市場経済などの価値観を欧米と共有する日本が、軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択肢はあり得ない。ここがうやむやなまま、友好ばかりが演出されたことを懸念すると、産経主張。
 中国が、急に対日接近政策に転じたからといって、山積する課題はそのままに、窮地に陥った中国を支援する首脳会談の内容。米国や欧州諸国、「一帯一路」沿線諸国の直近の動きとは逆行しています。
 「一帯一路」については、「AIIB」に欧州勢を始め各国が雪崩を打って参加する中、とどまった日米。その理由は、衣の下の鎧が見えていたから。
 それが、少し前から、アフリカで条件が合えば「一帯一路」に沿った日中共同出資に応じると言い始めた安倍政権。勿論、投資を求める案件は多く、必要資金も大きいので、単独ではなく共同したほうがよい案件は少なくないのでしょう。
 しかし、今回は大きく対中支援ともいえる協調。それも、しつこく繰り返しますが、領海、領空侵犯を受けている現状は棚上げのまま。
 鄧小平が棚上げした時とは、現状は全く異なっていて、不法侵入が日常化しているのにです。
 翁長、デニーと続いた沖縄県知事が、その中国の侵略を無視していますが、安倍首相までもが無視し始めた?
 
 いまや、「一帯一路」は経済、軍事面で自らの勢力圏を広げるための国家戦略だ。相手国を借金で縛る手法は「新植民地主義」と評される時代になっている時代です。

 中国は国際情勢次第で対日姿勢を変えてきた。ムードに流された関係改善は、砂上の楼閣に等しいと指摘する産経・主張。
 日本への急接近の理由は見え見えで、何時またもとの反日に戻るか判らないのに、大幅な対中協力。
 なにがなんでも協力するなとは言いません。尖閣への侵略、東シナ海EEZ境界線のガス田共同開発協議再開、南シナ海での仲裁裁判所裁定の遵守、対北朝鮮への国連制裁への協力などの課題解決に向けた見返りがあってこその協力が、外交の基本でしょう。
 世界の流れに逆行する今回の日中首脳会談の内容。安倍首相がなにか焦るひつようがあったのか、外務省・チャイナグループが中国に丸め込まれているのか。
 産経・主張が言う「誤ったメッセージを国際社会に与えた」残念な日中首脳会談でした。



 # 冒頭の画像は、習近平との会談に臨む安倍首相



 
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