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国連安全保障理事会で、今月の議長国中国主導の、戦後70年と国連創設70年に合わせた公開討論が、日本時間24日未明に始まりました。公開討論では約80か国が発言するのだそうです。
中国・王毅(ワンイー)外相は、「戦勝国」中心の戦後秩序の重要性を強調することで、敗戦国日本の反省の足りなさをやり玉に挙げる演説をするとともに、この討論会を序幕として、今後、戦後70年に関連した行事を進める考えを表明したのだそうです。
中国、韓国が今年を戦後70年として、歴史認識を掲げ日本を誹謗する年とすることは、早くから宣言していることでしたが、中国・王毅外相の今回の演説では、この国連の公開討論が序幕なのだそうです。
戦術は、敗戦国日本が敗戦の反省をせず、終戦時の秩序を乱そうとしていると誹謗し、同時に、中共を戦勝国の仲間だと主張し、日本誹謗に対する常任理事国の支持を得ようという路線であることも、予想通りに明らかにしてきました。
狙いは、中国がアジアで覇権を拡大するにあたり、大きな壁である日米同盟の突き崩しですね。
想定通りの中国の戦術に、日本は、どう対戦していくかが、安倍政権の外交手腕が問われるところです。
敗戦国日本を強調し、戦勝国の米国などと中国といった層別作戦は、意外と効果があるとにらんでの強調戦術です。
ところが、諸兄がご承知の通り、日本と正面で戦って、1945年8月に日本がポツダム宣言を受諾し、満州国も降伏し、日中戦争も終焉し、勝戦国の一員として極東軍事裁判などの戦後処理に当たり、カイロ会談やポツダム宣言での内容を受けて中国全土を統治することになったのは、国民政府の中華民国です。
1946年に国共戦争が本格化し、ソ連の支援を得た中国共産党が中華民国を台湾に追いやり、1949年10月に中華人民共和国の建国を宣言したのです。つまり、中共は、戦勝国ではなく、戦後になってソ連の援助を得て武力で政権を横取りした国なのですね。
中共が、戦勝国の仲間だと強調する作戦は、この経緯を知らない人々には通じることはあっても、知る人は、米国と共に戦った戦勝国は、台湾の中華民国だったことを、改めて認識し、戦後のドサクサで勢力を広げたソ連の傀儡として誕生したのが中共だと、改めて想い起すことになるでしょう。
日本政府がことさらにこの点を強調するのも品のない話で、賢明な米国人が、目覚めていただくことを願います。そのためには、日本政府ではなく、日本国民、そのオピニオンリーダーのメディアが、広く世界に、誰が武力で政権を横取りして、いまだに一党独裁政治をして、周辺国との争いを続け、国内でも他民族の弾圧をつづけている国が在ることを知らしめるべきです。
日本が、戦後は平和に貢献していて、一度も戦争をしていない、世界でも稀有な国であることを強調するといった、吉川国連大使の演説の論旨は支持します。
ただ、国連の中での演説が、何処まで米国をはじめとする世界の国々に伝わるかが問題です。
インパクトがある戦勝国と敗戦国、その敗戦国が秩序を乱そうとしているというストーリーは、面白くて諸国のメディアが食いつきやすい話です。
今回の演説会では、記事によると幸いにも、他の主要国は、70年前の回顧話ではなく、現在の問題と今後についての話題が多い様です。当然です。
現在の問題点は、ウクライナにしても、イラク・シリアにまたがる自称イスラム国にしろ、力で現状変更をしようとする、第一次大戦以前の状況の再来を想わせる世界情勢です。
アジアで、南シナ海や東シナ海、インド洋で、力で現状変更しようとしている国は何処か。国内で他民族を弾圧しているのは何処か、一党独裁政治で自由を束縛している国は何処か。
日本は、政府だけでなく、メディアも一体となって、現状を世界に向けて発進すべきです。
70年の回顧話は、中国の戦術に乗せられることになりますから、現状の問題点を広く知らしめ、未来志向の路線で展開するよう、政府は戦術を練っていただきたい。
そして、聞く人の立場も研究して、押しつけではなく、興味を持たれる展開のストーリーであることが重要です。
# 冒頭の画像は、国連安全保障理事会の討論会合で演説する中国の王毅外相。左は国連の潘基文事務総長
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この花の名前は、クコ
↓よろしかったら、お願いします。
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中国・王毅(ワンイー)外相は、「戦勝国」中心の戦後秩序の重要性を強調することで、敗戦国日本の反省の足りなさをやり玉に挙げる演説をするとともに、この討論会を序幕として、今後、戦後70年に関連した行事を進める考えを表明したのだそうです。
日本 平和の歩み強調 国連討論 中国は「戦勝国」前面 (2/24 読売夕刊)
【ニューヨーク=水野哲也】国連安全保障理事会で23日(日本時間24日)、戦後70年と国連創設70年に合わせた中国主宰の公開討論が開かれた。日本の吉川元偉国連大使は、「日本は戦後、第2次大戦の深い反省に立ち、平和国家としての道を歩んできた」などと話し、世界平和への貢献を強調した。中国の王毅(ワンイー)外相は「過去の侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」などと述べた。名指しはせず、暗に日本を批判したとみられる。
会合の議題は「国際平和と安全の維持」。今月の議長国を務める中国が開催を呼び掛け、閣僚級や国連大使ら約80か国の代表が出席し、それぞれが5分ほど発言した。
吉川国連大使は、「我々すべてに共通する脅威に結束して対処することがいっそう重要になっており、公開討論の開催を歓迎する」とした上で、「日本は国連加盟以来、世界の平和と繁栄に貢献する努力をしてきた。日本が歩んだ道のりは日本人の誇りであり、決して変わらない」などと主張した。また、議席拡大などを目指す安保理改革の議論を前進させることも呼び掛けた。
王氏は、「70年前の偉大な勝利で、中国は反ファシズム連合で重要な力となった。他国と共に、勝利のために重大な歴史的貢献をした」と述べ、中国が「反ファシスト戦争」の「戦勝国」であることを強調。「歴史の事実は明らかだが、いまだに真実を認めたがらず、審判を覆そうとする者がいる」などと、日本を示唆する発言をした。
王氏はまた、「今日の討論が反ファシスト戦争の勝利と国連創設70年を記念する序幕となることを願う」と述べ、今後、戦後70年に関連した行事を進める考えを表明した。
韓国の呉俊国連大使からは、「歴史の教訓を無視しようとする試み」との発言があったが、特定の国を名指しすることはなかった。
他の主要国からは、ウクライナ問題やシリア情勢、イスラム過激派組織「イスラム国」を念頭に置いたテロ対策など、最近の国際情勢に関する発言が相次いだ。
菅官房長官は24日午前の記者会見で、国連安全保障理事会の公開討論で中国の王毅(ワンイー)外相が歴史認識を巡り日本をけん制する発言を行ったことについて、「日本が戦後70年、先の大戦の深い反省の上に立ち、平和国家として貢献してきたことは国際社会から評価されている。法の支配を含む国連憲章の目的と原則を堅持している」と反論した。
その上で、「主張すべき点はしっかり主張する」と語り、引き続き国際社会への発信を強化していく考えを示した。
【ニューヨーク=水野哲也】国連安全保障理事会で23日(日本時間24日)、戦後70年と国連創設70年に合わせた中国主宰の公開討論が開かれた。日本の吉川元偉国連大使は、「日本は戦後、第2次大戦の深い反省に立ち、平和国家としての道を歩んできた」などと話し、世界平和への貢献を強調した。中国の王毅(ワンイー)外相は「過去の侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」などと述べた。名指しはせず、暗に日本を批判したとみられる。
会合の議題は「国際平和と安全の維持」。今月の議長国を務める中国が開催を呼び掛け、閣僚級や国連大使ら約80か国の代表が出席し、それぞれが5分ほど発言した。
吉川国連大使は、「我々すべてに共通する脅威に結束して対処することがいっそう重要になっており、公開討論の開催を歓迎する」とした上で、「日本は国連加盟以来、世界の平和と繁栄に貢献する努力をしてきた。日本が歩んだ道のりは日本人の誇りであり、決して変わらない」などと主張した。また、議席拡大などを目指す安保理改革の議論を前進させることも呼び掛けた。
王氏は、「70年前の偉大な勝利で、中国は反ファシズム連合で重要な力となった。他国と共に、勝利のために重大な歴史的貢献をした」と述べ、中国が「反ファシスト戦争」の「戦勝国」であることを強調。「歴史の事実は明らかだが、いまだに真実を認めたがらず、審判を覆そうとする者がいる」などと、日本を示唆する発言をした。
王氏はまた、「今日の討論が反ファシスト戦争の勝利と国連創設70年を記念する序幕となることを願う」と述べ、今後、戦後70年に関連した行事を進める考えを表明した。
韓国の呉俊国連大使からは、「歴史の教訓を無視しようとする試み」との発言があったが、特定の国を名指しすることはなかった。
他の主要国からは、ウクライナ問題やシリア情勢、イスラム過激派組織「イスラム国」を念頭に置いたテロ対策など、最近の国際情勢に関する発言が相次いだ。
菅官房長官は24日午前の記者会見で、国連安全保障理事会の公開討論で中国の王毅(ワンイー)外相が歴史認識を巡り日本をけん制する発言を行ったことについて、「日本が戦後70年、先の大戦の深い反省の上に立ち、平和国家として貢献してきたことは国際社会から評価されている。法の支配を含む国連憲章の目的と原則を堅持している」と反論した。
その上で、「主張すべき点はしっかり主張する」と語り、引き続き国際社会への発信を強化していく考えを示した。
中国、韓国が今年を戦後70年として、歴史認識を掲げ日本を誹謗する年とすることは、早くから宣言していることでしたが、中国・王毅外相の今回の演説では、この国連の公開討論が序幕なのだそうです。
戦術は、敗戦国日本が敗戦の反省をせず、終戦時の秩序を乱そうとしていると誹謗し、同時に、中共を戦勝国の仲間だと主張し、日本誹謗に対する常任理事国の支持を得ようという路線であることも、予想通りに明らかにしてきました。
狙いは、中国がアジアで覇権を拡大するにあたり、大きな壁である日米同盟の突き崩しですね。
想定通りの中国の戦術に、日本は、どう対戦していくかが、安倍政権の外交手腕が問われるところです。
敗戦国日本を強調し、戦勝国の米国などと中国といった層別作戦は、意外と効果があるとにらんでの強調戦術です。
ところが、諸兄がご承知の通り、日本と正面で戦って、1945年8月に日本がポツダム宣言を受諾し、満州国も降伏し、日中戦争も終焉し、勝戦国の一員として極東軍事裁判などの戦後処理に当たり、カイロ会談やポツダム宣言での内容を受けて中国全土を統治することになったのは、国民政府の中華民国です。
1946年に国共戦争が本格化し、ソ連の支援を得た中国共産党が中華民国を台湾に追いやり、1949年10月に中華人民共和国の建国を宣言したのです。つまり、中共は、戦勝国ではなく、戦後になってソ連の援助を得て武力で政権を横取りした国なのですね。
中共が、戦勝国の仲間だと強調する作戦は、この経緯を知らない人々には通じることはあっても、知る人は、米国と共に戦った戦勝国は、台湾の中華民国だったことを、改めて認識し、戦後のドサクサで勢力を広げたソ連の傀儡として誕生したのが中共だと、改めて想い起すことになるでしょう。
日本政府がことさらにこの点を強調するのも品のない話で、賢明な米国人が、目覚めていただくことを願います。そのためには、日本政府ではなく、日本国民、そのオピニオンリーダーのメディアが、広く世界に、誰が武力で政権を横取りして、いまだに一党独裁政治をして、周辺国との争いを続け、国内でも他民族の弾圧をつづけている国が在ることを知らしめるべきです。
日本が、戦後は平和に貢献していて、一度も戦争をしていない、世界でも稀有な国であることを強調するといった、吉川国連大使の演説の論旨は支持します。
ただ、国連の中での演説が、何処まで米国をはじめとする世界の国々に伝わるかが問題です。
インパクトがある戦勝国と敗戦国、その敗戦国が秩序を乱そうとしているというストーリーは、面白くて諸国のメディアが食いつきやすい話です。
今回の演説会では、記事によると幸いにも、他の主要国は、70年前の回顧話ではなく、現在の問題と今後についての話題が多い様です。当然です。
現在の問題点は、ウクライナにしても、イラク・シリアにまたがる自称イスラム国にしろ、力で現状変更をしようとする、第一次大戦以前の状況の再来を想わせる世界情勢です。
アジアで、南シナ海や東シナ海、インド洋で、力で現状変更しようとしている国は何処か。国内で他民族を弾圧しているのは何処か、一党独裁政治で自由を束縛している国は何処か。
日本は、政府だけでなく、メディアも一体となって、現状を世界に向けて発進すべきです。
70年の回顧話は、中国の戦術に乗せられることになりますから、現状の問題点を広く知らしめ、未来志向の路線で展開するよう、政府は戦術を練っていただきたい。
そして、聞く人の立場も研究して、押しつけではなく、興味を持たれる展開のストーリーであることが重要です。
# 冒頭の画像は、国連安全保障理事会の討論会合で演説する中国の王毅外相。左は国連の潘基文事務総長
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この花の名前は、クコ
↓よろしかったら、お願いします。
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