遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米中首脳会談 実現に努力を重ねた習近平

2017-04-05 23:58:58 | 米国 全般
 大統領戦直後に、世界の首脳の先陣を切って会談を実現し、就任後はエアホースワンに同乗し、別荘を訪れゴルフをした安倍首相。これに対し、厳しい対中外交姿勢を表明続けるトランプ大統領になかなかコンタクトできなかった習近平。
 ようやく、6,7日の米中首脳会談実現に漕ぎつけた裏には、慎重な様子見というより、安倍首相の接近例と、メルケル首相の離反例を見ての警戒と、周到な準備とがあった様です。
 
米中、取引の美学の行方 (4/5 産経 【湯浅博の世界読解】)

 米中首脳会談を前に、中国の習近平政権はトランプ外交の行動パターンを分析し、首脳会談のノウハウを慎重に吟味したはずだ。目の前には、主要国の対米首脳外交で際立つ前例が2つある。「感謝を勝ち取った日本」と、その逆に「請求書を突きつけられたドイツ」であった。
 
明暗を分けた日本型とドイツ型の外交を見ながら、難問山積の中国は悪くても「つつがなく終わる」という真ん中を狙うだろう。

 安倍晋三首相は来日したマティス国防長官から在日米軍基地の思いやり予算を「世界の手本」と言わせ、トランプ大統領とはフロリダでゴルフに興じた。現地で北朝鮮のミサイル発射実験の報に遭遇し、首相がすかさず記者会見して、大統領から「日本を百パーセント支持する」との言葉を引き出している。
 対照的なのはドイツのメルケル首相で、会談も仕事優先のホワイトハウスを選択した。英紙によると、北大西洋条約機構(NATO)に対する貢献不足が不満なトランプ大統領は、メルケル首相に3千億ドルの“請求書”を手渡した。
 この席で、メルケル首相が2024年までに国内総生産(GDP)比2%の国防費を支出すると約束をした。それにもかかわらず、メルケル首相が帰国時に飛行機に乗り込んだ瞬間に、大統領から「ドイツはNATOに巨額の借金がある」とツイートで追い打ちをかけられた。

 
習国家主席もここは安倍首相をまねて日本型を狙うしかなかったのだろう。
 
いまの中国経済巨大バブルを抱え、資金の海外流出が止まらず、今秋の共産党大会を乗り切ることが最大の課題だ。習主席は見た目にも堂々と振る舞い、国内向けに弱みを見せることはできない
 
破天荒なトランプ大統領から、「米国の労働者をレイプする抑圧的な政権」などと非難されてはかなわない。仮にもトランプ政権による45%の輸入関税など対中経済制裁が実行されると、「経済のハードランディングは避けられない」と、エコノミストから宣告があった。

 安倍首相の訪米を「朝貢外交」と皮肉っていた当の中国が、日本の成功例にあやかり、トランプ氏の別荘を会談場所に所望した。だが、
米中間には貿易や為替問題をはじめ、北朝鮮の核開発阻止、南シナ海の中国による人工島の造成など対立点ばかりだ。
 しかも、
トランプ大統領は短期成果主義の「取引の美学」という変則外交を好む。さっそく米中首脳会談に先駆けて、思い切り交渉のハードルを引き上げていた。

 つい先頃、
米捜査当局は中国情報機関から資金提供を受け、外交機密を漏らしていた国務省職員を逮捕した。台湾に対しては、最新鋭兵器など武器売却の検討に入ったという。さらに、中国を最大の標的とする貿易赤字削減を目指す大統領令に署名した。なにより、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に中国が手をこまねけば「米国単独で行動する」とまで警告した。

 
習主席は南シナ海を「核心的利益」と譲らず、北に対する圧力ではどこまで譲歩するか。訪米にあたっては、いつも通りインフラ投資や米国債の購入などの“手土産”で米政権の気を引くことだろう。これでトランプ政権が「取引」の成立とするなら、とてもとても「美学」とはいえない。(東京特派員)

 対オバマ外交では、G2の強要を続け、対中慎重姿勢で、パンダハガーを内包していた対話路線のオバマ政権を、最後は「航行の自由作戦」実行に踏み切らせ、外交失政の評価をうけた習近平。
 明暗を分けた日本型とドイツ型の外交を見ながら、難問山積の中国は悪くても「つつがなく終わる」という真ん中を狙うだろう。との見方。秋の党大会を控え、求心力を高め、長期政権を狙う習近平は、外交の失政を重ねることは致命傷になりかねず、安全運転に徹することでしょうね。
 その慎重姿勢には、更にクシュナー氏接近という、札束絡みでの接近という、中国外交の常套手段もおこなった様です。
  
中国 クシュナー氏接近 トランプ氏娘婿 米中首脳会談に道筋 (4/5 読売朝刊)

 【ワシントン=大木聖馬】中国がトランプ米大統領の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問に水面下で接近し、6、7日の米中首脳会談への道筋を付けていたことがわかった。複数の米中関係筋が明かした。米政権内でクシュナー氏の存在感が増しつつある証左とも言えそうだ。
 関係筋によると、
中国は昨年11月の大統領選でトランプ氏が勝利すると、官民挙げてトランプ氏や周辺との関係作りを急いだ。なかでも一番のターゲットは、トランプ氏の長女イバンカさんの夫、クシュナー氏だったという。
 別の関係筋によると、中国側は
まず、「クシュナー氏の親族の企業と中国企業の商取引」に目を付けた。クシュナー氏の親族が保有するニューヨークのオフィスビルを巡る投資計画だ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、中国共産党とのつながりが指摘される中国保険大手「安邦保険集団」が、同ビルに40億が規模の投資を計画していた。
 
投資計面自体は3月末に流れたしかし、同社トップの呉小暉氏は昨年11月、投資交渉の関連でクシュナー氏と会い、トランプ氏への取り次ぎを求めたという。呉氏を通じ、中国の習近平国家主席がトランプ氏との早期会談を望んでいるとの意向を伝えたとみられる。同筋は「ビジネスを利用して接近するのは、中国の常とう手段だ」と話す。
 一方、
米紙ワシントン・ポストは3日、クシュナー氏と中国をつないだのは、キッシンジャー元国務長官だったとの見方を伝えた。キッシンジャー氏は昨年11、12月にクシュナー氏と会い、中国側とのパイプ作りを促したという。その後、中国の崔天凱駐米大使はクシュナー氏と電話でやりとりできる関係となり、トランプ氏が大統領就任後に初めて習氏と行った2月の電話会談も、クシュナー氏と崔氏が調整したとされる。
 
今回のフロリダ州での首脳会談も、両氏が調整した模様だ。ニューヨーク・タイムズによると、崔氏はクシュナー氏に対し、首脳会談でまとめる共同声明の素案を送り、クシュナー氏は崔氏の提案をティラーソン国務長官に回したという。
 クシュナー氏は、2月の安倍首相とトランプ氏による日米首脳会談でも、首相に対する異例の厚遇を含む日程調整で、中心的な役割を果たしたとされる。

 ニューヨーク・タイムズ説と、ワシントン・ポスト説とがありますが、切羽詰っていてあらゆる手段を駆使する習近平。両方ともおこなわれたとも考えられますね。
 キッシンジャー氏とトランプ氏との関係では、祭氏との「一つの中国」電話とキッシンジャー氏の訪中時期を巡り、疎遠説もありますが、トランプ氏が尊敬している数少ない人物のひとりとの説もあります。
 
キッシンジャー訪中とトランプ蔡英文の電話会談:日経ビジネスオンライン
 「丁寧な嫌がらせ」の先の先を読め 福島 香織 2016年12月7日

<前略>
 キッシンジャーは、あの不遜なトランプが「尊敬している」と公言する数少ない人物である。トランプの台湾総統との直接電話会談というメガトン級の対中嫌がらせと、キッシンジャー訪中が同時に行われた背後には何があるのだろうか。米中関係の行方にどのような影響があるのだろうか。
<中略>

 新京報などは、キッシンジャー訪中は、トランプが次期国防長官に狂犬のあだ名もある、元海兵大将のマティスを指名したことなどが影響しているのではないかという推測を含ませている。マティスだけでなくトランプ政権には少なからぬ対中強硬派が含まれており、中国の当初の期待に反して軍事的にも貿易・通貨政策的にも対中強硬姿勢を固めているのではないかという憶測も洩れ伝わっている。こうした噂に対する中国側の不安を抑えるために、米国きっての親中派知中派で習近平との関係も悪くないキッシンジャーが送り込まれたという見方もある。また、キッシンジャーとしては、トランプ政権が思いのほか南シナ海政策で強硬的になる可能性を事前に中国側に説明しにきたという見方もある。

 一方、香港の独立系メディア、香港01は、今回のキッシンジャー訪中は、トランプが特使として送り込んだのではなく、中国が請うてキッシンジャーに来てもらったという見方を報じている。つまり、中国は、トランプ政権がかなりの対中強硬政権をつくるのではないかと気づき、これを阻止すべく、古くからの友人のキッシンジャーを頼ったという見方だ。

 だとすると、キッシンジャーが訪中直前にトランプと面会したのは、トランプの中国へのメッセージを預かるためではなく、対中強硬姿勢のトランプを中国の意向を受けて説得するためであった、という推測が成り立つ。だが、その直後に蔡英文との直接電話協議を行ったことを考えると、トランプは尊敬するキッシンジャーの面会は受け入れたものの、けっして説得されたわけではない、ということになる。
<中略>

「丁寧な嫌がらせ」から始める
 トランプはキッシンジャーのアドバイスを聞き入れて、中国とのパイプになりうる人物を政権チームに入れている。こういう人事をしてくるところをみれば、トランプが対中外交に関してあながち無知であるとも軽くみているともいえず蔡英文をプレジンデント呼びするといった中国に対する思い切った挑発は、むしろ中国人的性格をわかったうえでの揺さぶりにも見える。

 だいたい習近平のような、いかにも北京的な性格の中国人政治家は、弱腰の人間に対しては、舐めた横柄な態度に出て、むしろ攻撃的な人間に対してはより慎重に丁寧な扱いになりがちだ。オバマ政権が中国に舐められたのは最初から親中モードですり寄ってきたからであり、習近平が最初のオバマとの会談であえて不遜な態度をとったのは、第一印象で舐められては対等な関係にならない、という中国的な発想からだろうと思われる。だとすると、トランプの丁寧な嫌がらせから始める対中外交は、意外に中国人の好みにあうかもしれない。米中関係の成り行きを見ながら、日本も先手の外交を打ってほしいところだ。

 暴走する対北戦略対話が注目されますが、新たな米中関係のスタートに向け、どのような会談になるのか。要注目ですね。



 # 冒頭の画像は、キッシンジャーと習近平 (2015年11月の訪中時)




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