自民党総裁選挙戦が始まりました。
河野陣営は、一回目の投票で過半数を獲得する賭けの戦術を採用。党員党友票獲得の為、石破氏と組むこととし、神奈川組の小泉氏も連携し、小石河連合を組みました。
党員党友票は得るが、石破氏との連携で国会議員票が減るデメリットは覚悟の上。
安倍人気で当選したものの、今回の衆院選や来年の参院選で、党の旗印として票を得る総裁が欲しい国会議員票が勝負の分れ目となるのですね。
「次期総裁」河野氏トップ 衆院選比例投票先、自民49.9%―時事世論調査:時事ドットコム
アベノミクスを産んだスタッフの一員で、菅政権でも参与として政策支援に関わっていた、高橋洋一氏が総裁選の展望を述べておられます。
高橋氏のスタンスは、今回の自民党総裁選は自民党内の選挙であり、事実上総理大臣を選ぶと言っても、自民党の政策を大きく変更するものでないというものだ。この意味で、誰が総裁になっても大きな差はないと。
あるテレビ討論で、4人の候補者は他3人を要職で起用するかとの質問にたいして、4人ともにすると回答している。高橋氏の予測通りだと。
結果として誰が新総裁になっても、各候補者の意見の差異は新政権の政策としてはあまり出なくなると。
NHKの世論調査では、自民党総裁選の議論への期待として、(1)新型コロナ対策44%、(2)経済財政政策33%、(3)エネルギー政策4%、(4)外交安全保障8%となっているのだそうですが、ここでは、(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障に注目。
(1)新型コロナ対策は、急速に新規感染者が減少しているので、今の対策を維持しつつ、徐々に緩和するという方向しか現実的には考えにくい。
(2)経済財政政策では、総裁選後に衆院選挙が控えており、コロナ対策という現実の政策課題に向き合えば、各候補の独自政策よりこれまでの政策継承で、大きな政策変更は起こり得ないと高橋氏。
(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障は、計12%しか関心をもたれていないが、政治家の価値観がでてくる分野だと。
(3)エネルギー政策では、河野氏が脱原発路線を軌道修正したかのように伝えらているが、よく聞けば、これまでの河野氏の発言と大きく変更はないと高橋氏。
河野氏も長く閣僚を務めてきたので、「即」脱原発論者ではない。
しかし、河野氏は核燃料サイクルの見直しという「変化球」を投げてきた。
核燃料サイクルは、先進国の中では、日本とフランスが熱心だったが、フランスも、サイクルの要となる高速増殖炉の凍結をしている。こうしてみると、原発稼働国でも見直しは当然となっている。
実際、アメリカ、スウェーデンなどではかなり前に核燃料サイクルは行っていないし、ドイツなどでも見直しの結果、事実上離脱している。以上の例からわかるように、核燃料サイクルの見直しと脱原発は無関係だと高橋氏。
岸田氏は、8日の記者会見で核燃料サイクルについて維持しなければならないと明言した。高市氏は、核燃料サイクルについてこれまで言及していないが、小型炉や核融合炉など新型炉の開発推進を訴えている。
経産省は、これまで核燃料サイクルを猛烈に推進してきたので、政策変更に反対だ。
世界の情勢についてもあまり説明していないし、あてのない、その開発費用は十数兆円にもなる。そこに、河野氏が「変化球」を投げ込んできたわけだと。
(4)外交安全保障では、高市氏が、敵基地攻撃能力についてクリアな主張をし、迅速な敵基地の無力化を掲げている。
河野氏は、敵基地攻撃能力の保有は昭和の概念で抑止力は日米同盟で高めていくとし、かえって不安定要因になるとした。なお、ミサイルへの対応以前にサイバー戦などでの抑止をどうするか検討が必要ともしている。
岸田氏は、敵基地攻撃能力を用意しておくことも考えられるとして理解を示している。
敵基地攻撃能力について、その権能と実際のオペを区別して考えてみたいと高橋氏。
その権能について、自衛権の範囲であるという政府見解は戦後一貫していると。
実際のオペでは、
「自衛隊が敵基地に対し、軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい。わが国に対してミサイル攻撃が行われた場合には、日米安保体制の枠組みに基づく日米共同対処ということが考慮されるべき」とされている。
2019年5月16日衆議院本会議での安倍晋三首相答弁では、敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後とも、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません」とされている。
河野氏の対応について、実際のオペに関する部分について述べているならば、従来の政府答弁の範囲であると高橋氏。
高市氏と岸田氏が実際のオペについて、自衛隊独自で手段を持つべきと言うのは、現実問題として難しくてもその方向で努力せよというのであれば一つの見解だと。
今回の自民党総裁選は、事実上ゲーム理論での3人ゲームだ。3人ゲームでは、3人のうち1人が突出して過半数をとらない限り、2位と3位の2人が結託してどちらかが勝つというのがセオリーだと高橋氏。
今のところ、誰も過半数を制していないので、ゲーム理論どおりになる可能性があると。
1位と2位との決選投票で国会議員のウエイトが高まるのも、2位と3位の結託インセンティブになる。はたしてどうなるか。
1回目の投票では、各派閥で岸田氏と高市氏を絞り切れていないところが多いのですが、決戦投票ではどちらかに絞り込んでくるとの世評。
岸田氏の外交実績では、内弁慶で国益に反し、中韓に翻弄され放題。今回の討論会でも言葉遊びで内容は空虚。
岸田氏が総理なれば、日本は沈没すると遊爺は考えます。
決戦投票で、2位と 3位を絞り込むとき、岸田氏にならないことを願いますが、どうなるのでしょう。
衆議院選で、旗印として有権者からの支援が得られる総裁が欲しいとされる少なくない議員さんは、決戦投票では派閥の指示に従うのか、自分の当選に有利な総裁を選ぶのか。
自民党をぶっ壊すと言った小泉氏が勝った総裁選の再来があるのか。要注目ですね。
# 冒頭の画像は、自民党総裁選の4氏
この花の名前は、ダリア
↓よろしかったら、お願いします。
河野陣営は、一回目の投票で過半数を獲得する賭けの戦術を採用。党員党友票獲得の為、石破氏と組むこととし、神奈川組の小泉氏も連携し、小石河連合を組みました。
党員党友票は得るが、石破氏との連携で国会議員票が減るデメリットは覚悟の上。
安倍人気で当選したものの、今回の衆院選や来年の参院選で、党の旗印として票を得る総裁が欲しい国会議員票が勝負の分れ目となるのですね。
「次期総裁」河野氏トップ 衆院選比例投票先、自民49.9%―時事世論調査:時事ドットコム
アベノミクスを産んだスタッフの一員で、菅政権でも参与として政策支援に関わっていた、高橋洋一氏が総裁選の展望を述べておられます。
自民党総裁選、まさかの「2位か3位のどちらか」が勝つかもしれないと言えるワケ(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 2021.09.20
■誰が総裁になっても大差はない
自民党総裁選は、先週17日告示で、届け出順に、河野太郎規制改革担当大臣(58)、岸田文雄前政務調査会長(64)、高市早苗前総務大臣(60)、野田聖子幹事長代行(61)が立候補した。
自民党総裁選は、公職選挙法が適用されないこともあり、各種の政治力が試され興味深い。
連日、テレビでは4氏の討論が繰り広げられている。話題は多岐にわたっているので、筆者が興味をもったものだけを取り上げている。
筆者のスタンスは、今回の自民党総裁選は自民党内の選挙であり、事実上総理大臣を選ぶと言っても、自民党の政策を大きく変更するものでないというものだ。この意味で、誰が総裁になっても大きな差はない。
少なくとも政権交代するほどの差はなく、これまでの自民党内の政策のブレにすぎないし、筆者も特定の候補者を推しているわけではない。もともと筆者は自民党員でなく選ぶ資格もない。
前回のコラムで書いたように、これから政策論議をしていくと、各人の政策も自ずと収れんしていくだろう。しかも、あるテレビ討論で、4人の候補者は他3人を要職で起用するかとの質問にたいして、4人ともにすると回答している。これは、かねてより筆者が予想していたとおりだ(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1439121541581529090)。
となると、各人の意見は違うように見えても、結果として誰が新総裁になっても、各候補者の意見の差異は新政権の政策としてはあまり出なくなる。
なお、河野氏は年金改革を言っているが、筆者は「消費税を社会保障目的税とするのは日本以外にない。日本は税理論と社会保障論から問題ありまくりなんだが」( https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1438673747083350017)とツイートした。内容とともに、その手順も疑問だらけなので、おそらく問題外だろう。
NHKの世論調査では、自民党総裁選の議論への期待として、(1)新型コロナ対策44%、(2)経済財政政策33%、(3)エネルギー政策4%、(4)外交安全保障8%となっている(http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)。
■原発政策はどうなるのか
その上で、今回はあえて(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障をとりあげよう。
例えば(1)新型コロナ対策は、急速に新規感染者が減少しているので、今の対策を維持しつつ、徐々に緩和するという方向しか現実的には考えにくい。
また、(2)経済財政政策では、総裁選後に衆院選挙が控えており、コロナ対策という現実の政策課題に向き合えば、筆者のこれまでの公務員経験から、各候補の独自政策よりこれまでの政策継承で、大きな政策変更は起こり得ない。
筆者は、誰が自民党総裁になっても、多くの人にとっては政策はあまり代わり映えしないという意味がわかるだろう。(1)新型コロナ対策と(2)経済財政政策は77%の人が関心をもつが、現実問題次第のところもあり、「やらない」というわけにはいかない。逆に言えば、大きな変更があまり期待できないのだ。
ただし、(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障は、計12%しか関心をもたれていないが、政治家の価値観がでてくる分野だ。現実政策はすぐには変更ないが、その方向性には多少影響が出てくる分野だ。
比較的意見が明快で有力な河野、岸田、高市各氏の意見を比較する。
まず、(3)エネルギー政策では、河野氏が脱原発路線を軌道修正したかのように伝えらているが、よく聞けば、まず石炭石油を減らし、再生可能エネルギーを可能な限り導入し、それでも足りなければ原発再稼働も仕方ないというもので、これまでの河野氏の発言と大きく変更はない。
河野氏も長く閣僚を務めてきたので、「即」脱原発論者ではない。となれば、当面において政府方針と違うはずない。政府はこれまでも国際情勢に合わせて、再生可能エネルギーを推移しつつ、原発再稼働も必要あれば行うというスタンスなので、河野氏もそれと大きく変わることはないだろう。
■「核燃料サイクルの見直し」について
しかし、河野氏は核燃料サイクルの見直しという「変化球」を投げてきた。核燃料サイクルとは、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発の燃料に利用する政策である。
核燃料サイクルの見直しについて、一部の保守系からやはり「脱原発」だという声が出ているが、核燃料サイクルは、脱原発とは無関係だ。
核燃料サイクルは、かつて原発導入国でウランの枯渇を危惧して構想されていた。しかし、ロシア、中国、インドなどの一部の国では以前計画が進められているが、多くの先進国では既に行われていないか、見直しが進められている。
先進国の中では、日本とフランスが熱心だったが、フランスも、サイクルの要となる高速増殖炉の凍結をしている。こうしてみると、原発稼働国でも見直しは当然となっている。
実際、アメリカ、スウェーデンなどではかなり前に核燃料サイクルは行っていないし、ドイツなどでも見直しの結果、事実上離脱している。以上の例からわかるように、核燃料サイクルの見直しと脱原発は無関係だ。
多くの先進国で見直してきている核燃料サイクルについて、河野氏は、再処理にトラブルがある上で必要のないプルトニウムを取り出すことは意味ないとしているが、岸田氏や高市氏はどう対応するのか。
岸田氏は、8日の記者会見で核燃料サイクルについて維持しなければならないと明言した。高市氏は、核燃料サイクルについてこれまで言及していないが、小型炉や核融合炉など新型炉の開発推進を訴えている。
経産省は、これまで核燃料サイクルを猛烈に推進してきたので、政策変更に反対だ。世界の情勢についてもあまり説明していないし、あてのない、その開発費用は十数兆円にもなる。そこに、河野氏が「変化球」を投げ込んできたわけだ。
■三者で意見が割れる部分
繰り返すが、核燃料サイクルは脱原発とはロジカルには関係のないことだ。世界の流れは見直しだが、これまでの多くの発言を取り消さなければならず、関係者の反発は大きいだろう。ここでは政治の出番であり、大いに政策議論を望みたい。
次に、(4)外交安全保障では、高市氏が、敵基地攻撃能力についてクリアな主張をし、迅速な敵基地の無力化を掲げている。テレビ番組で、使えるツールは電磁波や衛星ということになるとしている。
これに対し、河野氏は、敵基地攻撃能力の保有は昭和の概念で抑止力は日米同盟で高めていくとし、かえって不安定要因になるとした。なお、ミサイルへの対応以前にサイバー戦などでの抑止をどうするか検討が必要ともしている。
岸田氏は、敵基地攻撃能力を用意しておくことも考えられるとして理解を示している。
一見すると、19日のテレビ討論では三者に意見の差があるように感じられた。
筆者としては、敵基地攻撃能力について、その権能と実際のオペを区別して考えてみたい。
その権能について、自衛権の範囲であるという政府見解は戦後一貫している。例えば、1956年2月29日衆議院内閣委員会での鳩山総理答弁(船田中防衛庁長官代読)では、
「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。
そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います」
とされている。
■高市氏と岸田氏の見解
ただし、実際のオペでは、
「自衛隊が敵基地に対し、軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい。わが国に対してミサイル攻撃が行われた場合には、日米安保体制の枠組みに基づく日米共同対処ということが考慮されるべき」(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2004/2004/html/1623c2.html)
とされている。
実際、2019年5月16日衆議院本会議での安倍晋三首相答弁では、
「政府としては、新たな大綱及び中期防のもとでも、いわゆる敵基地攻撃を目的とした装備体系を整備することは考えていません。いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後とも、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません」
とされている。
これらを踏まえれば、河野氏の対応について、仮に権能について述べているのであれば従来の政府見解とも異なり論外だが、実際のオペに関する部分について述べているならば、従来の政府答弁の範囲である。
高市氏と岸田氏が実際のオペについて、自衛隊独自で手段を持つべきと言うのは、現実問題として難しくてもその方向で努力せよというのであれば一つの見解だ。
■2位、3位のどちらかが勝つ…?
最後に、今回の自民党総裁選は、事実上ゲーム理論での3人ゲームだ。3人ゲームでは、3人のうち1人が突出して過半数をとらない限り、2位と3位の2人が結託してどちらかが勝つというのがセオリーだ。
今のところ、誰も過半数を制していないので、ゲーム理論どおりになる可能性がある。今回の自民党総裁選の選出方法も、国会議員と党員との一回目の投票で過半数がとれないと、1位と2位との決選投票で国会議員のウエイトが高まるのも、2位と3位の結託インセンティブになる。はたしてどうなるか。
3氏が白熱した議論を展開するので、自民党祭りのようだ。結果として、内閣支持率は変わりないが、自民党支持率が高まり、青木率も上昇しつつある。
■誰が総裁になっても大差はない
自民党総裁選は、先週17日告示で、届け出順に、河野太郎規制改革担当大臣(58)、岸田文雄前政務調査会長(64)、高市早苗前総務大臣(60)、野田聖子幹事長代行(61)が立候補した。
自民党総裁選は、公職選挙法が適用されないこともあり、各種の政治力が試され興味深い。
連日、テレビでは4氏の討論が繰り広げられている。話題は多岐にわたっているので、筆者が興味をもったものだけを取り上げている。
筆者のスタンスは、今回の自民党総裁選は自民党内の選挙であり、事実上総理大臣を選ぶと言っても、自民党の政策を大きく変更するものでないというものだ。この意味で、誰が総裁になっても大きな差はない。
少なくとも政権交代するほどの差はなく、これまでの自民党内の政策のブレにすぎないし、筆者も特定の候補者を推しているわけではない。もともと筆者は自民党員でなく選ぶ資格もない。
前回のコラムで書いたように、これから政策論議をしていくと、各人の政策も自ずと収れんしていくだろう。しかも、あるテレビ討論で、4人の候補者は他3人を要職で起用するかとの質問にたいして、4人ともにすると回答している。これは、かねてより筆者が予想していたとおりだ(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1439121541581529090)。
となると、各人の意見は違うように見えても、結果として誰が新総裁になっても、各候補者の意見の差異は新政権の政策としてはあまり出なくなる。
なお、河野氏は年金改革を言っているが、筆者は「消費税を社会保障目的税とするのは日本以外にない。日本は税理論と社会保障論から問題ありまくりなんだが」( https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1438673747083350017)とツイートした。内容とともに、その手順も疑問だらけなので、おそらく問題外だろう。
NHKの世論調査では、自民党総裁選の議論への期待として、(1)新型コロナ対策44%、(2)経済財政政策33%、(3)エネルギー政策4%、(4)外交安全保障8%となっている(http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)。
■原発政策はどうなるのか
その上で、今回はあえて(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障をとりあげよう。
例えば(1)新型コロナ対策は、急速に新規感染者が減少しているので、今の対策を維持しつつ、徐々に緩和するという方向しか現実的には考えにくい。
また、(2)経済財政政策では、総裁選後に衆院選挙が控えており、コロナ対策という現実の政策課題に向き合えば、筆者のこれまでの公務員経験から、各候補の独自政策よりこれまでの政策継承で、大きな政策変更は起こり得ない。
筆者は、誰が自民党総裁になっても、多くの人にとっては政策はあまり代わり映えしないという意味がわかるだろう。(1)新型コロナ対策と(2)経済財政政策は77%の人が関心をもつが、現実問題次第のところもあり、「やらない」というわけにはいかない。逆に言えば、大きな変更があまり期待できないのだ。
ただし、(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障は、計12%しか関心をもたれていないが、政治家の価値観がでてくる分野だ。現実政策はすぐには変更ないが、その方向性には多少影響が出てくる分野だ。
比較的意見が明快で有力な河野、岸田、高市各氏の意見を比較する。
まず、(3)エネルギー政策では、河野氏が脱原発路線を軌道修正したかのように伝えらているが、よく聞けば、まず石炭石油を減らし、再生可能エネルギーを可能な限り導入し、それでも足りなければ原発再稼働も仕方ないというもので、これまでの河野氏の発言と大きく変更はない。
河野氏も長く閣僚を務めてきたので、「即」脱原発論者ではない。となれば、当面において政府方針と違うはずない。政府はこれまでも国際情勢に合わせて、再生可能エネルギーを推移しつつ、原発再稼働も必要あれば行うというスタンスなので、河野氏もそれと大きく変わることはないだろう。
■「核燃料サイクルの見直し」について
しかし、河野氏は核燃料サイクルの見直しという「変化球」を投げてきた。核燃料サイクルとは、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発の燃料に利用する政策である。
核燃料サイクルの見直しについて、一部の保守系からやはり「脱原発」だという声が出ているが、核燃料サイクルは、脱原発とは無関係だ。
核燃料サイクルは、かつて原発導入国でウランの枯渇を危惧して構想されていた。しかし、ロシア、中国、インドなどの一部の国では以前計画が進められているが、多くの先進国では既に行われていないか、見直しが進められている。
先進国の中では、日本とフランスが熱心だったが、フランスも、サイクルの要となる高速増殖炉の凍結をしている。こうしてみると、原発稼働国でも見直しは当然となっている。
実際、アメリカ、スウェーデンなどではかなり前に核燃料サイクルは行っていないし、ドイツなどでも見直しの結果、事実上離脱している。以上の例からわかるように、核燃料サイクルの見直しと脱原発は無関係だ。
多くの先進国で見直してきている核燃料サイクルについて、河野氏は、再処理にトラブルがある上で必要のないプルトニウムを取り出すことは意味ないとしているが、岸田氏や高市氏はどう対応するのか。
岸田氏は、8日の記者会見で核燃料サイクルについて維持しなければならないと明言した。高市氏は、核燃料サイクルについてこれまで言及していないが、小型炉や核融合炉など新型炉の開発推進を訴えている。
経産省は、これまで核燃料サイクルを猛烈に推進してきたので、政策変更に反対だ。世界の情勢についてもあまり説明していないし、あてのない、その開発費用は十数兆円にもなる。そこに、河野氏が「変化球」を投げ込んできたわけだ。
■三者で意見が割れる部分
繰り返すが、核燃料サイクルは脱原発とはロジカルには関係のないことだ。世界の流れは見直しだが、これまでの多くの発言を取り消さなければならず、関係者の反発は大きいだろう。ここでは政治の出番であり、大いに政策議論を望みたい。
次に、(4)外交安全保障では、高市氏が、敵基地攻撃能力についてクリアな主張をし、迅速な敵基地の無力化を掲げている。テレビ番組で、使えるツールは電磁波や衛星ということになるとしている。
これに対し、河野氏は、敵基地攻撃能力の保有は昭和の概念で抑止力は日米同盟で高めていくとし、かえって不安定要因になるとした。なお、ミサイルへの対応以前にサイバー戦などでの抑止をどうするか検討が必要ともしている。
岸田氏は、敵基地攻撃能力を用意しておくことも考えられるとして理解を示している。
一見すると、19日のテレビ討論では三者に意見の差があるように感じられた。
筆者としては、敵基地攻撃能力について、その権能と実際のオペを区別して考えてみたい。
その権能について、自衛権の範囲であるという政府見解は戦後一貫している。例えば、1956年2月29日衆議院内閣委員会での鳩山総理答弁(船田中防衛庁長官代読)では、
「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。
そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います」
とされている。
■高市氏と岸田氏の見解
ただし、実際のオペでは、
「自衛隊が敵基地に対し、軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい。わが国に対してミサイル攻撃が行われた場合には、日米安保体制の枠組みに基づく日米共同対処ということが考慮されるべき」(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2004/2004/html/1623c2.html)
とされている。
実際、2019年5月16日衆議院本会議での安倍晋三首相答弁では、
「政府としては、新たな大綱及び中期防のもとでも、いわゆる敵基地攻撃を目的とした装備体系を整備することは考えていません。いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後とも、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません」
とされている。
これらを踏まえれば、河野氏の対応について、仮に権能について述べているのであれば従来の政府見解とも異なり論外だが、実際のオペに関する部分について述べているならば、従来の政府答弁の範囲である。
高市氏と岸田氏が実際のオペについて、自衛隊独自で手段を持つべきと言うのは、現実問題として難しくてもその方向で努力せよというのであれば一つの見解だ。
■2位、3位のどちらかが勝つ…?
最後に、今回の自民党総裁選は、事実上ゲーム理論での3人ゲームだ。3人ゲームでは、3人のうち1人が突出して過半数をとらない限り、2位と3位の2人が結託してどちらかが勝つというのがセオリーだ。
今のところ、誰も過半数を制していないので、ゲーム理論どおりになる可能性がある。今回の自民党総裁選の選出方法も、国会議員と党員との一回目の投票で過半数がとれないと、1位と2位との決選投票で国会議員のウエイトが高まるのも、2位と3位の結託インセンティブになる。はたしてどうなるか。
3氏が白熱した議論を展開するので、自民党祭りのようだ。結果として、内閣支持率は変わりないが、自民党支持率が高まり、青木率も上昇しつつある。
高橋氏のスタンスは、今回の自民党総裁選は自民党内の選挙であり、事実上総理大臣を選ぶと言っても、自民党の政策を大きく変更するものでないというものだ。この意味で、誰が総裁になっても大きな差はないと。
あるテレビ討論で、4人の候補者は他3人を要職で起用するかとの質問にたいして、4人ともにすると回答している。高橋氏の予測通りだと。
結果として誰が新総裁になっても、各候補者の意見の差異は新政権の政策としてはあまり出なくなると。
NHKの世論調査では、自民党総裁選の議論への期待として、(1)新型コロナ対策44%、(2)経済財政政策33%、(3)エネルギー政策4%、(4)外交安全保障8%となっているのだそうですが、ここでは、(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障に注目。
(1)新型コロナ対策は、急速に新規感染者が減少しているので、今の対策を維持しつつ、徐々に緩和するという方向しか現実的には考えにくい。
(2)経済財政政策では、総裁選後に衆院選挙が控えており、コロナ対策という現実の政策課題に向き合えば、各候補の独自政策よりこれまでの政策継承で、大きな政策変更は起こり得ないと高橋氏。
(3)エネルギー政策と(4)外交安全保障は、計12%しか関心をもたれていないが、政治家の価値観がでてくる分野だと。
(3)エネルギー政策では、河野氏が脱原発路線を軌道修正したかのように伝えらているが、よく聞けば、これまでの河野氏の発言と大きく変更はないと高橋氏。
河野氏も長く閣僚を務めてきたので、「即」脱原発論者ではない。
しかし、河野氏は核燃料サイクルの見直しという「変化球」を投げてきた。
核燃料サイクルは、先進国の中では、日本とフランスが熱心だったが、フランスも、サイクルの要となる高速増殖炉の凍結をしている。こうしてみると、原発稼働国でも見直しは当然となっている。
実際、アメリカ、スウェーデンなどではかなり前に核燃料サイクルは行っていないし、ドイツなどでも見直しの結果、事実上離脱している。以上の例からわかるように、核燃料サイクルの見直しと脱原発は無関係だと高橋氏。
岸田氏は、8日の記者会見で核燃料サイクルについて維持しなければならないと明言した。高市氏は、核燃料サイクルについてこれまで言及していないが、小型炉や核融合炉など新型炉の開発推進を訴えている。
経産省は、これまで核燃料サイクルを猛烈に推進してきたので、政策変更に反対だ。
世界の情勢についてもあまり説明していないし、あてのない、その開発費用は十数兆円にもなる。そこに、河野氏が「変化球」を投げ込んできたわけだと。
(4)外交安全保障では、高市氏が、敵基地攻撃能力についてクリアな主張をし、迅速な敵基地の無力化を掲げている。
河野氏は、敵基地攻撃能力の保有は昭和の概念で抑止力は日米同盟で高めていくとし、かえって不安定要因になるとした。なお、ミサイルへの対応以前にサイバー戦などでの抑止をどうするか検討が必要ともしている。
岸田氏は、敵基地攻撃能力を用意しておくことも考えられるとして理解を示している。
敵基地攻撃能力について、その権能と実際のオペを区別して考えてみたいと高橋氏。
その権能について、自衛権の範囲であるという政府見解は戦後一貫していると。
実際のオペでは、
「自衛隊が敵基地に対し、軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい。わが国に対してミサイル攻撃が行われた場合には、日米安保体制の枠組みに基づく日米共同対処ということが考慮されるべき」とされている。
2019年5月16日衆議院本会議での安倍晋三首相答弁では、敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後とも、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません」とされている。
河野氏の対応について、実際のオペに関する部分について述べているならば、従来の政府答弁の範囲であると高橋氏。
高市氏と岸田氏が実際のオペについて、自衛隊独自で手段を持つべきと言うのは、現実問題として難しくてもその方向で努力せよというのであれば一つの見解だと。
今回の自民党総裁選は、事実上ゲーム理論での3人ゲームだ。3人ゲームでは、3人のうち1人が突出して過半数をとらない限り、2位と3位の2人が結託してどちらかが勝つというのがセオリーだと高橋氏。
今のところ、誰も過半数を制していないので、ゲーム理論どおりになる可能性があると。
1位と2位との決選投票で国会議員のウエイトが高まるのも、2位と3位の結託インセンティブになる。はたしてどうなるか。
1回目の投票では、各派閥で岸田氏と高市氏を絞り切れていないところが多いのですが、決戦投票ではどちらかに絞り込んでくるとの世評。
岸田氏の外交実績では、内弁慶で国益に反し、中韓に翻弄され放題。今回の討論会でも言葉遊びで内容は空虚。
岸田氏が総理なれば、日本は沈没すると遊爺は考えます。
決戦投票で、2位と 3位を絞り込むとき、岸田氏にならないことを願いますが、どうなるのでしょう。
衆議院選で、旗印として有権者からの支援が得られる総裁が欲しいとされる少なくない議員さんは、決戦投票では派閥の指示に従うのか、自分の当選に有利な総裁を選ぶのか。
自民党をぶっ壊すと言った小泉氏が勝った総裁選の再来があるのか。要注目ですね。
# 冒頭の画像は、自民党総裁選の4氏
この花の名前は、ダリア
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