習近平が権力の集中を加速させているのだそうです。
政策決定・議事調整機関として説明されていた「中央国家安全委員会」を、「最高政策決定機関」と位置づけると共に、新設が発表された党の「中央改革全面深化指導グループ」、「中央インターネット安全・情報化指導グループ」、「国防・軍隊改革深化指導グループ」の4つの組織のトップに就き、自らへの権限集中を進め権力基盤を着々と固めているのだそうです。
習氏 基盤固め着々 新設党・軍4組織のトップ就任 (5/15 読売朝刊)
【北京=竹内誠一郎】中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、安全保障政策の司令塔である党の「中央国家安全委員会」主席など党、軍に新設された4組織のトップに就き、自らへの権限集中を加速させて権力基盤を着々と固めている。新彊ウイグル自治区などで相次ぐ「テロ」事件や南シナ海の領有権を巡る周辺国との緊張などが習氏にとって有利に働いているとの見方もある。
■強大な組織
党関係者によると、習氏が同自治区の視察から北京に戻った直後の5月初旬、国家安全委の会議が3日連続で開かれた。4月末にウルムチの駅で起きた爆発事件などに触れ、「敵対勢力」を今後容赦なく摘発する方針が打ち出されたという。
これを受け、5月9日には、当局が「暴力テロ」を起こしていると主張する少数民族ウイグル族の分離・独立派の宣伝資料を散布したなどとして、200人以上の一斉検挙が伝えられた。1989年の天安門事件に関する研究会に参加した人権派弁護士や改革派知識人らも相次いで拘束された。党関係者が「国内外の一切の重大事項に関し承認を行う権限を持つ」と言う新組織の本格稼働を示すものだ。
複数の党関係者によると、国家安全委には、公表されている習氏と副主席に就任した李克強首相、張徳江・全人代常務委員長(国会議長)のほか、范長竜、許其亮の党中央軍事委員会副主席ら同委員会委員、外交責任者の楊潔篪(よう・けつち)国務委員ら政権幹部、外交、公安、財務、交通部門の閣僚級が入ったという。
国家安全委は、今月発表された国家安全政策に関する報告で「最高政策決定機関」と位置づけられた。これまで「政策決定・議事調整機関」として説明されていたが、日ごとに権限が強まっているかのようだ。北京の学者は「暴力事件の頻発や周辺国との緊張が習氏の権力集中へ有利に働いている」との分析を示した。
習氏は昨春以来、党、軍、国家のトップとして3権を握っているが、新たな4組織を自ら率いることで、より細部まで権力を掌握する狙いがあるとみられる。ただ、極めて異例の措置だ。文化大革命の教訓から過度な権力の集中を避けるため権限を分散させてきた集団指導体制を揺るがし、政策のバランスを失うことにつながるとの懸念もある。
権威なき政権発足 背景に
■政権安定図る
習氏は毛沢東から自身までの歴代国家指導者5人の訓示を軍の各党支部に掲示するよう通知するなど、自らの権威を高めることにも力を入れている。1日発行の党理論誌「求是」では、習氏と同じ高級幹部子女グループ「太子党」に属する張又侠・軍総装備部長が「習主席」の名前に30回近く触れ、習氏の施政理念を持ち上げる論文を発表。やはり太子党メンバーの劉亜洲・国防大学政治委員らとともに習氏の権威付けを推進しているとみられている。
習氏が権力集中を急ぐ背景には、最高実力者の小平に指名された江沢民、胡錦濤の前2代の総書記と異なり、絶対的権威を欠いたままの政権発足だったことがある。江、胡氏が自派閥を通じて今も党内に影響力を残す中、制度上の権限を自らに集めて政権の安定を図っているとみられる。
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党、軍に新設された4組織
昨年11月に「中央国家安全委員会」とともに新設が発表された党の「中央改革全面深化指導グループ」は、市場経済化推進に向けた体制改革を行う。続いて2月にネット世論を統制する党の「中央インターネット安全・情報化指導グループ」、3月に軍の「国防・軍隊改革深化指導グループ」の新設を発表した。
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【北京=竹内誠一郎】中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、安全保障政策の司令塔である党の「中央国家安全委員会」主席など党、軍に新設された4組織のトップに就き、自らへの権限集中を加速させて権力基盤を着々と固めている。新彊ウイグル自治区などで相次ぐ「テロ」事件や南シナ海の領有権を巡る周辺国との緊張などが習氏にとって有利に働いているとの見方もある。
■強大な組織
党関係者によると、習氏が同自治区の視察から北京に戻った直後の5月初旬、国家安全委の会議が3日連続で開かれた。4月末にウルムチの駅で起きた爆発事件などに触れ、「敵対勢力」を今後容赦なく摘発する方針が打ち出されたという。
これを受け、5月9日には、当局が「暴力テロ」を起こしていると主張する少数民族ウイグル族の分離・独立派の宣伝資料を散布したなどとして、200人以上の一斉検挙が伝えられた。1989年の天安門事件に関する研究会に参加した人権派弁護士や改革派知識人らも相次いで拘束された。党関係者が「国内外の一切の重大事項に関し承認を行う権限を持つ」と言う新組織の本格稼働を示すものだ。
複数の党関係者によると、国家安全委には、公表されている習氏と副主席に就任した李克強首相、張徳江・全人代常務委員長(国会議長)のほか、范長竜、許其亮の党中央軍事委員会副主席ら同委員会委員、外交責任者の楊潔篪(よう・けつち)国務委員ら政権幹部、外交、公安、財務、交通部門の閣僚級が入ったという。
国家安全委は、今月発表された国家安全政策に関する報告で「最高政策決定機関」と位置づけられた。これまで「政策決定・議事調整機関」として説明されていたが、日ごとに権限が強まっているかのようだ。北京の学者は「暴力事件の頻発や周辺国との緊張が習氏の権力集中へ有利に働いている」との分析を示した。
習氏は昨春以来、党、軍、国家のトップとして3権を握っているが、新たな4組織を自ら率いることで、より細部まで権力を掌握する狙いがあるとみられる。ただ、極めて異例の措置だ。文化大革命の教訓から過度な権力の集中を避けるため権限を分散させてきた集団指導体制を揺るがし、政策のバランスを失うことにつながるとの懸念もある。
権威なき政権発足 背景に
■政権安定図る
習氏は毛沢東から自身までの歴代国家指導者5人の訓示を軍の各党支部に掲示するよう通知するなど、自らの権威を高めることにも力を入れている。1日発行の党理論誌「求是」では、習氏と同じ高級幹部子女グループ「太子党」に属する張又侠・軍総装備部長が「習主席」の名前に30回近く触れ、習氏の施政理念を持ち上げる論文を発表。やはり太子党メンバーの劉亜洲・国防大学政治委員らとともに習氏の権威付けを推進しているとみられている。
習氏が権力集中を急ぐ背景には、最高実力者の小平に指名された江沢民、胡錦濤の前2代の総書記と異なり、絶対的権威を欠いたままの政権発足だったことがある。江、胡氏が自派閥を通じて今も党内に影響力を残す中、制度上の権限を自らに集めて政権の安定を図っているとみられる。
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党、軍に新設された4組織
昨年11月に「中央国家安全委員会」とともに新設が発表された党の「中央改革全面深化指導グループ」は、市場経済化推進に向けた体制改革を行う。続いて2月にネット世論を統制する党の「中央インターネット安全・情報化指導グループ」、3月に軍の「国防・軍隊改革深化指導グループ」の新設を発表した。
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主席就任と同時に、軍のトップの地位にも就き、党と国家を併せての3つの権力の他に、新たに4つの組織を誕生させ自ら率いているのです。
何故権力の集中にこだわり急ぐのか。
理由は、習近平が主席に就任した経緯だというのですね。江沢民、胡錦濤が小平の指名という権威の裏付けがあったのに対し、習近平は、絶対的権威を欠いたままの政権発足だったことと、太子党という所属組織はあるものの、江沢民や胡錦濤に比べれば脆弱な基盤であることから、基盤固めに注力しているということなのだそうです。
胡錦濤・共青団優勢の政局を、大逆転で江沢民・上海族と共闘し党中央政治局常務委員の椅子取り争いで勝利した習近平ですが、いまだに強い基盤を持つ江沢民や胡錦濤との政局争いは水面下で続いているとされていることは、諸兄がご承知の通りです。
そして、権威については、毛沢東時代への回帰を妄想することで、毛沢東の威を借りようとしているのですね。
しかし、過剰な権力集中は、文化大革命の教訓としての、集団指導体制を揺るがすものとして懸念があると記事で指摘されています。
その上、ご承知の通り、膨大と言われる軍事を更に上回る治安維持費に象徴される、強圧的思想管理や弾圧は強まるばかりで、徐々に民衆が耐えられる厳戒に近づいています。
記事では、相次ぐ「テロ」事件や南シナ海の領有権を巡る周辺国との緊張などが習近平の強硬姿勢に追い風となっていると指摘していますが、力で抑えこもうとしていずれは破綻することは歴史が証明していますね。
習近平の敵は、外部ではなく、自国の国民だと書きました。半信半疑で書き始めた話ですが、時間がたつほどに現実味が増して来るようです。
注視と警戒が必要ですね。
習氏が認識する国家安全上の危機は外敵からの脅威ではなく、「内なる脅威」 - 遊爺雑記帳
習近平が恐れるべき敵は、米国ではなく自国民 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、習近平(太子党)と李克強(共青団派)
ハクモクレンの実
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