遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

胡政権の言論統制に不満が急速に高まる

2006-02-19 00:43:25 | 中国 全般
 中国の有力紙「中国青年報」の付属週刊紙「冰点周刊」(水曜日発行)が停刊になり、波紋を呼んでいました。
 Sankei Web 国際 進む言論弾圧 中国内も疑問視 「冰点」停刊、編集長は徹底抗戦(01/30 09:35)
 Sankei Web 国際 中国、報道規制を強化 メディア幹部の処分相次ぐ(02/16 19:16)
 Sankei Web 国際 言論の自由奪ったと批判 中国、学者らが公開文書(02/17 21:18)
 Sankei Web 産経朝刊 胡政権に高まる不満 「冰点」停刊で学者ら公開文書(02/18 05:00)

 「現代化と歴史教科書」と題した中山大学(広州市)の袁偉時教授が執筆した中国の歴史教科書批判論文を掲載したことで、「冰点周刊」が停刊処分をうけ、編集長が更迭されたのです。
 
 問題の論文は「現代化と歴史教科書」と題し、中国近代史研究の第一人者として知られる中山大学(広州市)の袁偉時教授が執筆した。教授は、(毛沢東時代の)反右派闘争、大躍進運動、文化大革命の3大災難を経た後、人びとは1970年代末になって「狼(おおかみ)の乳で育った」ことを知ったが、中学の歴史教科書を読み「今も青少年が狼の乳を飲み続けている」のに驚いたと書き出す。

 教授によると、「狼の乳」とは「誤った思想や文化、観点」を指し、力群元宣伝部長が79年の学術シンポジウムで使ったという。「狼の乳」の実例として、教授は1860年の英仏軍による円明園(北京郊外の清朝離宮)焼き討ち事件と、1900年の義和団事件に関する教科書の記述を指摘した。

 円明園事件について、教科書は「(59年、清朝と天津条約調印のため英仏公使が上陸しようとした際)天津・大沽砲台の将兵が侵略軍の艦船4隻を撃沈し、上陸を強行した900余人を撃退、数百人を死傷させた。一帯の人民も銃砲弾の雨をくぐって戦士を支援、高度の愛国の熱情を表した」(一部略)と記述。

 袁教授は、この翌年、英仏軍が再侵略、北京を占拠し莫大(ばくだい)な賠償金に加え、円明園焼き討ちを招いたのは、愚昧(ぐまい)な清朝皇帝らの大罪であり「愛国英雄の壮挙ではない」と断じた。

 同様に教科書が、8カ国連合軍の侵略に抵抗した愛国行動としている義和団事件についても、北京を中心に殺人、放火、略奪の限りを尽くした義和団を「非人道的、非文明的集団」とし、その結果、6年分の財政収入に相当する賠償金や列強による領土分割を招いたと述べた。

 袁教授は、日本の歴史教科書を批判しながら、中国の教科書も「西洋人は侵略者であり、中国人には何をやっても理があり、たたえねばならない」との「愛国主義(教育)の要求」に沿い、盲目的民族感情をあおっていると批判した。

 2002年秋に発足した胡指導部は一時、メディア改革に取り組み報道規制を緩和する姿勢を打ち出していたのですが、2004年 9月の共産党中央委員会総会後、党の宣伝強化を命じる文書「16号文件」を全国に通達し、昨年も国内メディアの記者証を全面的に更新し体制への批判記事を書くフリーの記者を締め出したり、党と国家の機密厳守を求めた規定を定めるなど規制を次々と打ち出して、言論統制を強めてきているそうです。
 「冰点週刊」の停刊に対し、1980年代に当時の知日派として活躍されていた胡耀邦総書記に仕えた朱厚沢・元党宣伝部長ら改革派の元幹部らが「言論の自由のはく奪」と批判しているそうですが、発言が影響を与える余地は極めて小さいのが実情なのだそうです。
 「冰点週刊」に執筆したことがある北京大の学者らが17日、同紙に対する停刊処分は「言論や報道の自由をはく奪するもので、社会に悪影響を及ぼした」と非難する胡錦濤国家主席ら指導者あての公開文書を公表したそうです。
 当局は「冰点」が三月に復刊する条件として、処分の理由となった学者の論文を批判するよう求めており、今後、同紙がどのような形で復刊するかが焦点となっているそうですが、李大同・前編集長は17日、同じく更迭された前副編集長と連名で、「復刊しても『冰点』の魂は消えた」とする声明を公表しているそうです。
 胡主席を直接批判したものではなく、少数官員(宣伝部)の責任を問う形となっているそうですが、民主派知識人などの間で言論統制を強化している胡指導部への不満が急速に高まっている様子です。

 国務院発展研究センターの研究員で、経済学者としても名高い呉敬氏は11日に開かれたフォーラムで、「中国では2004-05年にかけて、改革にともなう問題が爆発し、国の行く末をめぐり大論争が起きている」などと講演したそうです。
 「中国は問題爆発」貧富格差・腐敗蔓延で強烈な不満 2006/02/16(木) 00:44:01 [中国情報局]

 市場経済にむけた環境整備のペースが遅いこと、法治体制が不備であること、公共サービスが削減される方向にあること、貧富の格差や腐敗が広がっていることなどを挙げて、「強い不満を抱いている人もいる」と警告を発し、「改革の成果と問題点をしっかりと点検し、今後の改革の方向性をできるだけ早く明確にしなければならない」と述べたのだそうです。

 急速な発展と同時に、一党独裁を維持するなかで、歪みと矛盾をかくだいさせつつあり、人々の意識もかわりつつあり、胡政権も対応に苦慮する事態が拡大してきそうです。
 そのぶん、反日など民心を集める策にますます注力することになるのでしょうか?

  


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中国はなぜ「反日」になったか  胡錦涛の反日行動計画


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1 コメント

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メリケンもようやく・・・・ (tsubamerailstar)
2006-02-19 22:22:32
こんばんは!このところこの手の「弾圧」が目立ちますよね。その裏の文脈も容易に読めるだけにいやはやという気がいたします。

その意味ネットという真実を即時に知る最大の武器に関して中共の片棒担ぎをしていた米国の企業は、「ブッシュ・ドクトリン」に反していないか?と以前から思っていたのですが、ようやくメリケン政府も何やら言い出したようですね。



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