遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

基礎からわかるTPP

2011-11-10 00:18:00 | 日本を護ろう
 TPP交渉参加に向け、世論は真っ二つ。民主党の経済連携プロジェクトチーム総会が紛糾し、結局参加慎重論が多かったと結論づけています。超党派議連「TPPを慎重に考える会」の会合では、自民党・大島氏も参加表明には反対し、自民党の総務会(8日)でも、交渉参加表明に反対する見解を決定しています。
 世論調査では、賛否で賛成がやや優勢の様ですが、解らないとか、政府の説明がないというのが最も多かったりします。
 そこで、「基礎からわかるTPP」です。マスメディアは、勉強不足の議員や、コメンテータに代わり世の中に解説して報道する義務があると考えますが、以下は、読売が載せた記事です。もちろん諸兄は既にご承知のことで、生噛りの遊爺もこのような見地と、長くその場しのぎで先延ばしされてきた農業改革を推進する起爆剤(黒船)とすべきと考えてきています。
 

基礎からわかるTPP (11/9 読売朝刊)

<前略>
Q米国の狙いは 世界最大の貿易圏構想

 TPP反対派が米国を警戒するのは、「TPPは実質的に日米FTAで、米国が狙うのは日本市場だ」という見方が根強いからだ。
 TPPに日本が参加した場合、参加10か国の国内総生産(GDP)のうち、日米両国が占める割合は約90%に達する。TPP交渉国向けの日本の輸出額(2010年)は米国向けが約6割を占め、米国以外の8か国は約4割だ。米国の存在感は確かに大きいが、その比重は年々低下している。
 国際通貨基金(IMF)の推計によると、2010~16年のGDPの伸び率は日米が20%台なのに対し、ベトナムは2倍超、マレーシアやペルーも1.5倍に達する。
日本のTPP参加にはアジアやオセアニア、南米の成長市場への足がかりを得る意味がある
。輸出倍増計画を掲げる米国も事情は同じ。対日輸出は米国の輸出額の5%に過ぎず、枝野経済産業相も「10年前と違い、米国にとって日本はそんなに魅力ある市場ではない」と言い切る。
 日米両国にとって
TPPの最大のメリットは、経済成長が続くアジア・太平洋地域で世界最大の貿易圏を作り
、より自由度の高い貿易・投資ルールを設けることにある。アジア太平洋経済協力会議(APEC)には、中国やロシアも含む加盟21か国・地域で、20年をめどに自由貿易圏(FTAAP)を作る構想があり、TPPはその前段階の枠組みとなり得る。

Q外交、安保面の意義 中国に対抗上不可欠

 日本にとってTPP交渉への参加は、アジア・太平洋地域において軍事、経済両面で存在感を増す
中国と向き合ううえでも重要
だ。
 長島昭久首相補佐官は1日の講演で、TPP参加の意義について、「
アジア・太平洋の秩序は日本と米国で作っていくという積極的な視点が必要だ。中国から見て『なかなか手ごわいな』と思わせるような戦略的な環境を整えていくということだ」と述べた。日米同盟関係をTPPを通じてさらに強化することが、中国に対抗するうえで不可欠
だとする見方を示したものだ。
 南シナ海の領有権問題などで海洋に関する覇権主義的な姿勢を強める中国には、TPP交渉に参加する東南アジア各国でも警戒感が広がっている。外務省の資料によると、こうした国がTPPに関して示す見解でも、「中国の影響力を過度に大きくさせず、米国の持続的関与を引き出す」(シンガポール)、「米国の関心を西太平洋にとどめることで外交・安全保障面でのメリットも期待する」(ブルネイ)など、米国の参加を重視する意向が目立つ。
 日本にとってTPPは、こうした国の理解を得たうえで米国との連携を強化し、地域の安全保障、経済を主導するための有力な「土俵」になり得るわけだ。
 米国もアジアとの連携を重視する方針を明確にしている。クリントン米国務長官は米誌「フォーリン・ポリシー」11月号に「米国の太平洋の世紀」と題した論文を寄稿し、「アジアの成長と活力の利用は米国の経済・戦略的利益にとって重要で、オバマ大統領の主な優先事項の一つだ。アジアが米国の将来にとって極めて重要であるのと同時に、米国の関与もアジアの将来にとって不可欠だ」とした。米国にとっても、
世界の5割の貿易量を占めるアジア・太平洋地域
は大きな魅力だ。
 中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国を加えた「ASEANプラス3」を、自らを核とする貿易圏として位置づけたい考えだ。外務省幹部は「
TPPには、地域に質の高い貿易・投資ルールを確立し、中国が勝手なことをできないようにする狙いがある
」と語る。日本がTPPに参加するかどうかは、アジアでの自由貿易圏構築を巡る米中の主導権争いにも大きな影響を与えることになる。

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日本と交渉参加国が考えるTPPの外交・安全保障面の意義

日本
 アジア太平洋地域の秩序を日米でつくり、台頭する中国とむきあう(長嶋首相補佐官)

米国
 国益がアジア太平洋地域の安全保障と不可欠の関係にあり、地域の指導力を維持・強化する

ニュージーランド
 外交の基本政策の一つとしてアジア太平洋地域との関係を強化する

シンガポール
 中国の影響力を過度に大きくさせず、米国の持続的関与を引き出す

ブルネイ
 米国の関心を西太平洋にとどめることによって、外交・安全保障面でのメリットも期待する

 ※日本以外は外務省の資料による
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 米国が、貿易倍増政策の一環で、日本をターゲットに攻めようと参加を強要しているとの反対意見。クリントン長官の寄稿論文については、既にふれていましたが、アジア太平洋地域を最重視していくと述べていて、同盟関係の見直しをして、アジア太平洋の「3つの巨人」が緊密に協力し、連携していくべきだとし、「3つの巨人」に日本は含んでいないのです。つまり、日本の現状や今後に重大な関心は持っていないのです。
 何と言っても、軍事力でも、経済力でも米国に肉薄する勢いの中国が、対抗するにも、輸出入を増やすにも最大の関心対象なのです。
 その場面では、日本は同盟国として、アジアでの共同戦線を求められてしかるべきなのですが、それをインドに求めているのです。もちろん日豪とは、長く同盟関係にあるので、新たに台頭する盟友を持ち上げたとする見方もありますが。
 
 少子高齢化で、需要も若い労働力も縮小する国内市場をかかえ、日本の将来をどうすべきかは、自由貿易で消費も人の交流も壁を低くするのがその解決策であることは、歴史が証明しています。ただし、財布まで壁を無くしてしまうとギリシャの様な国がいたらEUの今日となりますので、別々の国家の連帯であるかぎりは、どこかで一線を画す必要はあります。まさに、その一線をどう設定するかの交渉が行われていて、先送りしてきて遅れた今からの参加ではありますが、国益を背負って一線の設定交渉に加わろうというのです。
 そして、いま世界がその成長力に注目するアジア市場に、中国流のスタンダード(中国が主役の座を狙う、「ASEANプラス3」)を広めるのか、日本が主役の座を狙っていた「ASEANプラス6」が、度重なる民主党政権の失政で信頼を失いリーダーシップを失い失速した今日、TPPの延長線上のFTAAPを、日米豪で目指すのか、米豪や中国が推進するのを蚊帳の外で孤立して眺めるのか。

 野田氏の決断の行方が注目されます。
 民主党PTで、野田氏一任が取り付けられなかった結果でも、初志貫徹して今回のAPECでの交渉参加を表明できるか、融和を優先させてきたここまでの行動から脱皮するのか否か。日本の将来にかかわる決断となります。

 # 冒頭の画像は、民主党経済連携プロジェクトチーム総会。(手前は、山田正彦前農相と川内博史衆院議員)




  キクバヤマボクチの蕾 (撮影場所=六甲高山植物園)

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