遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

3中総会(全会)終了 その評価は

2013-11-14 23:56:12 | 中国 全般
 中国の習近平新政権の今後の基本政策が決定・発表される「3中総会(3中全会と表現するメディアもありますが、日経、読売、産経では 1 : 2 で3中総会となっていますので、以後、3中総会で表現させていただきます)」が終了しました。具体策は、1週間後に明らかになって来るとの事ですが、他に、テレビ、ラジオの各種番組の評価で記憶に残ったものも念頭に3紙の報道から現時点での評価をまとめてみました。
 読売は、「中国版NSC」に注目した記事が注目されます。(今日の朝刊では関連記事はなくネットの記事です)
 
治安対策に「中国版NSC」新設…3中総会閉幕 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 産経は、経済改革と「国家安全委員会」に触れ、「国家安全委員会」は想定外と驚きを見せていますね。
 

中国3中総会 力での安定は得られない (11/14 産経・主張)

 
中国共産党の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)は「改革深化」を唱える一方で、治安維持強化を打ち出した。
 治安の司令塔とみられるのが今回、創設が決まった「国家安全委員会」だ。北京・天安門前の車突入、山西省の連続爆発などの事件を踏まえ、背景にあるさまざまな不満を、党・政府一体の力で押さえ込もうという狙いのようだ。
 だが、習近平・李克強指導部は貧富の格差拡大、腐敗の蔓延(まんえん)、農地の収奪、少数民族の弾圧といった、不満の根底にある問題を解決しない限り、真の治安の安定は得られないと知るべきだろう。

 3中総会で発表されるコミュニケは歴代政権の針路を示す重要文書で、
市場経済化の加速を掲げる李首相の改革策がどの程度盛り込まれるか注目された
。事前に公表された首相管轄下のシンクタンクの案には、民間投資家の事業参入や集団所有制の土地売買の容認など具体策が盛り込まれていた。
 
しかし、コミュニケは、「市場を資源配分の決め手とする改革の深化」などと抽象的な表現に終始し、「公有制を主体とし、国有経済の活力、影響力を不断に増強することで非公有制経済の発展を導く」と国有企業重視の立場を強調したものとなっている。

 「改革」という言葉を60回近くちりばめながら、具体策にも欠ける。
これでは「見せかけの改革」と評されても仕方あるまい。

 
それ以上の想定外は、「社会の統治水準を高めて矛盾を解消し、国家の安全を完全なものにするため」に創設するとされた国家安全委員会
である。軍、警察、外交など各機関の情報・安保部署を統括した組織とされるが、治安維持に軸足を置くとの見方が強い。
 実際、党・政府幹部の腐敗や農地収奪などに対する集団抗議や暴動は、「2006年に9万件超」(中国社会科学院)、11年には18万件に達したとの情報もある。
 こうした事態に対応するため、今年の公共安全(治安維持)予算は、約7700億元(約12兆3千億円)と、国防費(公表)の約7400億元(約11兆8千億円)を3年連続で上回ったほどだ。
 一連の
内なる矛盾を外に転嫁する際の装置として、国家安全委員会が使われる懸念も十分ある。その場合、矛先は真っ先に日本に向かいかねない。習政権の動静はますます要警戒である。

 国家安全委員会は、確かに要注意の沸いて出てきたものに違いはないですね。
 外交部秦剛報道官は、「日本版NSC」を意識したものかとの質問に、「(国家安全委員会設立により)中国の安全を脅かし、損なうものは全て不安を感じる」「あなたは日本もそれと同列に見なしたいのか」と切り返していますね。
 
中国国家安全委は敵対勢力への威嚇になる=外務省報道官 | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters

 遊爺は、「国家安全委員会」の設立に至る中国国内の社会問題を左右する経済の方針に注目しています。それを決めて世に示すのが「3中総会」の主旨でもあるからです。
 注目したのは、小平から胡錦濤へと引き継がれてきた改革開放経済路線を唱える李克強と、既得権権益を手放したくない旧守派に担がれて今の座を得た習近平の旧体制≒国有企業保護の路線対立がどのように決まるかです。
 結果は、改革の言葉をちりばめながらも、国有企業重視の内容となっていると、産経は唱えています。
 改革・解放での経済の活性化ではなく、汚職や特権階級の既得権益の温床の国有企業保護が政策の軸になるのです。
 だから、特権階級と共産党独裁政治を護るために、今以上の弾圧の強化が必要になるのですね。

 日経も、「国家安全委員会」と経済路線の両方を取り上げています。
 
習近平指導部は改革を具体化できるのか  :日本経済新聞

 「明らかにされたコミュニケを見る限りでは総花的で具体策に乏しい印象も否めない。」と斬って、「国有企業改革が具体策を欠いているのは気がかりだ。既得権益勢力の抵抗と左派の反発が原因とみられるが、指導部の力量と意欲に疑問符がつきかねない。」と、国有企業保護優先の姿勢を非難しています。
 エコノミスト諸氏の評価を挙げたのは以下。
 
中国3中全会、今後に期待をつなげるか 市場の見方 :NQNスペシャル :マーケット :日本経済新聞

 ここでも多くのエコノミストが、国有企業改革の遅れを危惧しています。

 習近平とすれば、いまだに続く胡錦濤・共青団との政局闘争に耐えて政権基盤を安定させるためには、支持基盤である、既得権を持つ特権階級を護るしかないのです。
 これでは、限界に達しつつあると見られる諸社会問題は、益々つよまることでしょう。「国家安全委員会」を強化しても、底流が変わらないのなら、歯止めにはなりえないでしょう。
 しかし、産経が指摘するように、強まる不満をかわすための反日政策や、尖閣攻勢は強まることになりますね。
 日本の備え(防衛抑止力だけでなく、世界世論の争奪戦争も)の強化が必要です。



 # 冒頭の画像は、中国外務省の秦剛報道官




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1 コメント

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独裁のダイナミズムは活かされるのか (RYU)
2013-11-15 13:48:46
遊爺さま、こんにちは。

中国版NSCという事で、中枢への外交の一元化を進めるのと同時に、国内の不穏に対する統制を強める思惑もあるのでしょう。中国版オウム法輪功であったり、少数民族、日日の瞬間的に沸き起こるデモへの警戒などの体制作りもあると思います。秦報道官は中国版茶坊主だとは思いませんが、金盾に対する毎日沸いて来る有象無象の情報統制に対する重要な仕事を担う第一級の人物でしょう。

李首相と習主席との対立構図は、太子党と共青団との争いにあるほど、出自が政権内部では重要性を持たないと思います。実務を重視する、という意味では、中国ほど合理的な国はないのでしょうが、守旧派が国有企業利権を守る一方で、共産主義回帰を唱え、改革派は企業統制を進めるもので、労働権が守られない、というのは、国家として致命的な瑕疵であると思います。習主席が、富裕層を守るというのは、労働政策を預る経営者などであれば分かりますが、バブルの一因ともなっている金融ゲームに浸る新自由層をどう扱うか、が見極めだと思います。党内の対立を解消しながら、果断な政策を実行できるのか、は、NSCとの繋がりをたどると、治安維持の強化に向かうというのはその通りかと思います。
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