遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ロシア経済は、1998年のロシア危機当時より深刻

2015-08-14 23:37:59 | ロシア全般
 ウクライナ侵略で経済制裁を受け、原油価格下落で追い打ちを懸けられているロシア経済は、1998年のロシア危機当時より深刻だと、フィナンシャルタイムスが報じています。
 苦しい台所を見透かされ、中国のいいなりでの天然ガス販売契約も強いられ我慢のロシアですが、そちらも低迷している様子。
 となれば、エリツィン大統領が折れた様に、日本の支援を求めて北方四島の返還に傾く機会到来なのですが、何故か千島列島開発投資や軍事強化を進めようとしています。トルトネフ副首相の択捉島訪問実施や、メドベージェフ首相の訪問計画公表の追い打ちも進めています。
 プーチン大統領の来日の話もある中、苦しい台所を去勢で覆っているつもりなのでしょうか。

 
択捉島訪問のロシア副首相、北方領土開発に意欲 - 産経ニュース
 
ロシア、千島列島の開発加速 10年で予算1400億円 :日本経済新聞

 【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン政権が日本の北方領土を含む千島列島(クリール諸島)の開発や軍事化を急ぐ姿勢を鮮明にしている。7月下旬の政府会議では同諸島の来年から10年間の開発計画を決めたほか、現地の軍事力を高める方針を相次ぎ打ち出した。欧米と共にロシアへの制裁を続ける日本へのいらだちを強めているようだ。
<中略>


 プーチン大統領は6月下旬、安倍晋三首相との電話協議で年内の訪日方針を確認し、領土問題の対話継続で一致したばかり。これを妨げかねない
メドベージェフ氏らの動きには「領土問題で大統領府と政府で硬軟の役割分担をして日本側を揺さぶり、最大限の経済協力を引き出す思惑がある」(日ロ外交筋)。

 
ロシア経済の低迷が深まる中で、頼みとした中国や日本との経済協力が進んでいないことへの焦り
もあるようだ。経済発展省は4~6月の実質成長率が前年比でマイナス4.4%に落ち込むとの見通しを示した。6月の実質の平均賃金と可処分所得もそれぞれ前年より7.2%、3.5%低く、8カ月連続のマイナスとなった。
 同省によると国内総生産(GDP)の1割を担う国営天然ガス企業
ガスプロムの今年の生産量は過去最低となる見込み。通貨ルーブルも7月28日、主要輸出品の原油安で1ドル=60ルーブルと4カ月ぶりの安値
に落ち込んだ。プーチン政権はアジアに活路を見いだそうと中国へのガスパイプライン構想を進めるが、建設は遅れており、大規模輸出は19年以降にずれこむとみられている。

 日本もロシアと対立する米国に配慮し、対ロ経済協力では慎重だ。
プーチン政権は日本側に対ロ制裁の解除や投資の拡大に踏み切るよう圧力を強める方針で、ロシアの重要閣僚の側近は7月27日、日本経済新聞に「このままでは領土問題でも日本と話し合う環境にならない」と強調した。

 ロシア国営ガスプロム、中国との大型契約に暗雲 鳴り物入りの大型プロジェクト、相場低迷で赤字の可能性も | JBpress(日本ビジネスプレス)

 
ロシア経済の縮小で原油安への警戒感が再燃 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.8.12(水) Financial Times

 ロシアの第2四半期の経済成長率(速報値)が前年同期比でマイナス4.6%に低下した。6年ぶりの大幅な落ち込みで、金融危機以来の景気後退入りが決まった


 ロシア連邦国家統計局はこの速報値の詳細を開示していない。
 だが、アナリストらによれば、小売売上高や鉱工業生産、世帯所得といったセクターごとの統計数値が実質ベースでさらに大幅な落ち込みを示唆しており、この速報値は下方修正される公算が大きいという。
 マイナス4.6%という速報値は、市場予想よりも若干悪い数字だった。エコノミストらは、再び生じた原油安、そしてそれを受けて進行してきた通貨ルーブルの下落のために、
早期の景気回復はますます考えにくくなっている
と警告している。
 第1四半期の経済成長率はマイナス2.2%という比較的マイルドな値だった。ロシア政府は6月まで、昨年の終わりごろに下落したルーブルはその後安定し、危機は最悪期を脱したと国民に断言していた。

■プーチン体制下で初の実質所得減少
 しかしロシアでは2014年12月に、ウラジーミル・プーチン大統領が権力を握るこの15年間で初めて実質所得が減少しており、簡単には乗り越えられない障害になっている。
 先月公表されたデータによれば、6月の小売売上高は前年同月比で9.4%減少しており、第2四半期には個人消費の落ち込みに拍車がかかった。また第1四半期には横ばいだった鉱工業生産も、第2四半期はほぼ5%のマイナスになっている。
 「原油価格がここ数カ月でさらに下落しているため、回復を論じるのは時期尚早だ」。調査会社キャピタル・エコノミクスのアナリスト、リザ・エルモレンコ氏はそう指摘する。
 
ロシアの経済成長はすでに昨年のうちに鈍化していた。投資不足が長期化しているためだ。また原油安の打撃に加え、ウクライナ紛争でのロシアの役割を批判した西側諸国からの制裁
が追い打ちをかけた。この制裁により、多くのロシア企業や銀行が外国から資金を借りられなくなっている。
 この締め付けは広範なシステミック危機の引き金になると懸念されたが、そうした見方は、急落したルーブルが今年の春に1ドル=50ルーブル前後で安定してから後退した。
 だが、ルーブルはそれ以降も弱く、現在は1ドル=64ルーブルまで下げており、新たな懸念も浮上している。

■1998年のロシア危機当時より深刻か
 「これは
ロシアがこれまで経験したうちで最も深刻な、ダントツに深刻な危機だ。1998年や2008年のそれと比べてもそうである
うえに、我々はまだその最悪の段階に達していない」。マッキンゼーのディレクター、アイリーン・シュヴァクマン氏(モスクワ在勤)はそう見ている。「銀行セクターがいわゆる弱い環になるかもしれない」

 ロシア政府は昨年夏以降、輸入代替を促進している。
ルーブル安になれば、旧ソビエト連邦崩壊後に大部分輸入することになった品物の製造においてロシアの競争力が再度強まると期待したからだ。しかし、鉱工業生産の減少はあらゆる追い風が短命だったことを示している
、とアナリストらは語っている。

【注】1998年はロシアが財政危機に陥り、デフォルト(債務不履行)した年


  日経とフィナンシャルタイムスが揃ってロシア経済の危機を唱えているのは、買収によりニュースソースが共有されることと関係があるのでしょうか。それとは関係なく、世界の常識なのでしょうか。

 北方領土については、主力ガス田の枯渇が迫り、欧州でのエネルギー安全保障の動きによる需要減が進む中、極東や北極圏の新規開発と、アジアへの販路開拓が求められるロシアの苦しい台所事情の中、日本は焦らず、機が熟すのを待てと、遊爺は唱えてきました。
 プーチン大統領の寿命も勘案すると、その機会が到来してきた様です。
 ただし、民主党の菅・仙谷政権時代の大失政(尖閣沖の中国漁船衝突事件処理の混迷)で、日本は、国家の主権も脅せは譲るとの観念をロシアにも韓国・中国にも持たせてしまいました。
 苦しい台所事情で、いやいや手を握った中国も、弱みにつけ込むので、抑止力となる競合相手としての日本の必要性を痛感し始めたロシアは、日本接近が生き残る道となってきています。

 以前にも書きましたが、G7での対露制裁協力も、独、仏は経済交流があり米国ほど割り切れていません。日本が接近し、中露の接近に楔を打ち込むと米国を説得すれば、米も渋々黙認するでしょう。
 勿論、日本にとって、対中抑止力のイの一番は日米同盟ですが、ロシアとの接近が、日中露の三国間の歴史のなかで変遷を繰り返したことは、諸兄がご承知の通りで、有効な手段でもあります。

 プーチン大統領の訪日と、財政悪化の中、北方領土や千島列島開発とを同時に進めるロシア。日本への開発支援を請うにあたって、菅・仙谷時代に覚えた、強行姿勢で威圧する外交路線を採っているのは明らかですね。
 稀な機が到来しつつありますが、安倍政権と、財界関連企業の焦らず、冷静沈着な対処を望みます。



 # 冒頭の画像は、択捉島内を視察するロシアのトルトネフ副首相(手前右)




  この花の名前は、トサミズキ


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誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交
ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





 

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