ASEAN全ての国々を歴訪し、今回は各国の首脳が東京に参集しての会議となり、安倍首相がASEAN各国との連携を深めようと努力されていることが形として示されました。
国内の各紙はそろって賞賛しています。手放しで今後の展開に期待しているかの様な様子もみえるものもあります。
日・ASEAN 海と空で対中連携が強まった : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ASEANと戦略的に関係深めよ :日本経済新聞
【主張】日本とASEAN 「空の自由」で対中結束を - MSN産経ニュース
日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議が東京で開かれ、共同声明で中国の対外拡張を牽制(けんせい)した。習近平政権としてはおもしろくなかったろう。
日中双方にとってASEANは重要な近隣諸国である。安倍晋三政権同様、習政権も東南アジアの国々を相手に活発な首脳外交を展開してきた。
ただ、日中には顕著な違いがある。安倍政権が加盟10カ国全てとの関係強化に努めているのに、習政権は「フィリピン外し」をしているのだ。
中国は、習主席か李克強首相が訪問したり、訪問を受けたりして他の9カ国とは首脳会談を行った。フィリピンだけが「対話のドアを開いている」のに拒まれている。日中と同じ状況だ。
フィリピンは南シナ海の領有権問題で中国と鋭く対立している。米紙ニューヨーク・タイムズが先ごろ、フィリピン側からその最前線をルポしていた。
海軍兵士8人が環礁の座礁船から、中国の巡視船を監視している。「国を守るため」に、さびついた甲板に立つ。魚を捕り自炊しながらの「駐屯」である。
フィリピンは南シナ海の大半を領海とする中国の主張は不当と仲裁裁判所で争っている。中国はそれが許せないというのだ。
もっとも、中国が対立する相手はフィリピンだけではない。ベトナムとも南シナ海で一触即発のにらみ合いを続けているのだが、アプローチは違った。
今年10月、インドネシアでアジア太平洋経済協力会議(APEC)、ブルネイでASEAN関連の首脳会議があり、中国、フィリピン首脳も列席したが、中比会談は実現しなかった。ASEAN関連会議に出席した李首相はその足でベトナムに向かい、海洋共同開発の検討などで合意した。ベトナムに近寄り、フィリピンの孤立化を際立たせたのだ。
中国はアメとムチを使い分けASEAN諸国を揺さぶっている。中国が困るのは、ASEANが対中で一丸となることだ。その上で、日本や米国と組めば、対中メッセージも強烈になる。
裏返して言えば、問われるのはASEANの「団結力」である。10カ国はけっして一枚岩でなく、中国の外交攻勢を前に、結束は危うさもはらんでいる。
ベトナムは千年以上に及ぶ中国支配を受け、中国の怖さは身に染みて知っている。だが、その隣国のカンボジアにとって怖いのは中国よりベトナムだ。カンボジアは中国と国境で接しておらず、領海問題もない。1979年、ベトナムがカンボジアに侵攻すると中国がベトナムを攻めた。
南シナ海の領有権争いが中国とASEANの対立とみえるのは、中国の力が突出しているからであり、実際には、ベトナムとフィリピンも対立関係にある。
インドネシアのユドヨノ大統領は東京での講演で、「ASEANはインドネシア外交の礎だ。単独や2国間では成し得ないことが達成できる」と語っている。日本とASEANは今年交流40周年を迎えた。培った信頼関係で対中結束を後押ししていくべきだ。(論説委員)
記事にある様に、中国はASEANが一致団結して中国と対峙することを恐れて、ASEAN各国の分断戦略に腐心しています。
これまで、ベトナムが主導して南シナ海の「行動規範」の法的規制力強化を、ASEANと中国とで多国間交渉を進めようとし、中国は二国間交渉を主張してきたことは諸兄がご承知の通りです。
東シナ海での、日米韓の分断も同じ戦略ですね。二国間で、札束と武力を背景に交渉し、ねじ伏せようというものですね。
その毒牙に犯されている国は、ASEANではカンボジア、ラオス、タイ他でミヤンマーはこれまでの過度な中国依存から脱しようとしているところですね。東シナ海方面では韓国。
中国が、分断作戦でスケープゴートにあげているのが、フィリピンと日本。
共同声明に賛同した各国ですが、姿勢の温度差はいなめません。各国とも、反中親日と言うことではなく、中国にしろ日本にしろ一国が強い力で君臨するのを拒んでいるのであって、中国と日本が牽制しあうことで、バランスがたもたれ、言葉は悪くなりますが、両方を天秤にかけ自国の国益を高めることを望んでいるのですね。
WSJが、外から見れるので、よく見通しています。
ASEAN各国首脳、日中間でジレンマ - Japan Real Time - WSJ
安倍首相の外交努力に対して、「中国の新たなADIZ設定を非難する力強い共同声明に変わることはなかった」と断じ、「各国首脳が中国と日本との関係でどの辺に位置しているか、おおよそのところは2国間協議での中国のADIZに関する安倍首相の発言に対する反応で分かる。」と、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ミヤンマーの反応を書いています。
安倍首相が全ASEANの国を今年訪問したと言っても、日本の首相が訪問するのが久々という国が多い。日本・ASEAN首脳会議は、日・ASEAN友好協力40周年までの間、今年10月のブルネイの会議で16回、それに今回の特別会議といった頻度です。
中韓の対日姿勢には比べものにならない日本への期待はあるとしても、その期待に応える実績の積み重ねが不足しています。
お金の競争では、将来は別として今の中国にはかないませんから、日本流での信頼獲得を積み重ねていくことが肝心でしょう。
今後も、日本・ASEAN首脳会議を頻度をあげて開催するとともに、首相をはじめとして政府首脳や、国会議員、財界の積極的な歴訪が望まれます。
# 冒頭の画像は、日本・ASEAN特別首脳会議の安倍首相と各国首脳
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ウォールストリートジャーナルは設備投資
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