遊爺雑記帳

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バイデン政権は、台湾を護れるのか

2023-01-28 01:30:50 | 台湾海峡危機

 台湾の独立を強く主張する頼清徳副総統は先週、蔡英文総統から民進党の党首の座を引き継いだ。
 2024年の台湾の総統選に、もし頼氏が当選すれば、中国はすぐにでも侵攻に踏み切る可能性がある。
 米国はそうした危機に対する備えがないと、wsjのセス・クロプシーの寄稿。
 バイデン大統領は2022年に2度、中国が台湾を攻撃すれば米国は防衛のために介入すると明言し、数十年にわたる米国の前例を破った。
 しかし、今年度、国防費は増加したが、それは議会の圧力によるものだ。当初提案されたバイデン国防予算ではかなりの削減が予定されていた。このことから中国は、米国が米中間の競争を、少なくとも短期的には軍事的なものではなく、経済的・政治的なものと考えていると結論づけるだろうと、セス・クロプシー氏。

 

【寄稿】米国は本当に台湾を守るのか - WSJ 2023 年 1月 27日 セス・クロプシー

 台湾の与党に新リーダーが誕生した。この変化はインド太平洋の平和にとって凶兆だ。台湾の独立を強く主張する頼清徳副総統は先週、蔡英文総統から民進党の党首の座を引き継いだ。蔡氏は最近の地方選挙で敗北し、党首を退いた。中国が2024年の台湾の総統選に介入し、頼氏の当選を阻止しようとするのはほぼ間違いないだろう。もし頼氏が当選すれば、中国はすぐにでも侵攻に踏み切る可能性がある

 米国はそうした危機に対する備えがないジョー・バイデン大統領は2022年に2度、中国が台湾を攻撃すれば米国は防衛のために介入すると明言し、数十年にわたる米国の前例を破った。政府は通常、米国の安全保障に関する姿勢をやや曖昧にしておくことを好んできた。その一方で、米国の大統領がこれまで、台湾防衛を明確に拒否したこともない

 米国が台湾防衛を公に約束することに消極的なのは、実際に機能している台湾の主権を規定する複雑な外交的取り決めが根底にあるからだ。1972年の上海コミュニケ現在でも米中関係の基礎となる文書であり、米中両国の指導者が互いに理解を深めつつも、台湾の地位について米中の意見が対立することを許すものだった。

 中国の解釈では、米国は中国の台湾に対する主張を受け入れたとされているが、コミュニケの文言は法的に見ると、台湾と中国は「一つの中国」であると中国が主張していることを、米国は単に「認識」していると述べているに過ぎない。つまり、台湾の事実上の独立を維持しながら、中国が台湾を支配しているという規定上のフィクションを是認しているのである。

 バイデン氏の発言は、米国が公式に台湾防衛を約束することは、上海コミュニケの中国側の解釈を根本から覆すことになるため、波紋を広げたのだ。いま問われているのは米国の信頼性だ。理論的には、米国が信頼されていれば、抑止力は強くなるはずだ。中国が台湾を攻撃した場合、台湾とだけではなく米国とも戦わなければならないのであれば、中国が台湾を攻撃する可能性は著しく低くなる。

 しかしバイデン政権の他の政策が、大統領の発言による抑止効果を複雑にしている。米国は、軍備を増強して戦いに備えるための時間ではなく、米国にとっての台湾の重要性を低下させるために時間を使っているように見える

 台湾の経済の中心は半導体製造業だ。昨年7月、ジーナ・レモンド商務長官は、台湾製チップに依存する米国の現状について、「受け入れられない上、安全でもない」と指摘した。連邦議会は国内半導体産業への投資を増やすため、半導体法を成立させた。仮に米国が近いうちにすべての半導体を自国生産するようになれば、中国は米国が近いうちに台湾防衛の意欲を失うと結論づけるかもしれない

 バイデン政権の軍事投資に対するアプローチも、中国に複雑なシグナルを送っている今年度、国防費は増加したが、それは議会の圧力によるものだ。当初提案されたバイデン国防予算ではかなりの削減が予定されていた。このことから中国は、米国が米中間の競争を、少なくとも短期的には軍事的なものではなく、経済的・政治的なものと考えていると結論づけるだろう。つまり、米軍の規模を積極的に制限し、グリーンエネルギーに関する実現性に乏しい計画や無駄遣いに満ちあふれた広範囲におよぶ産業計画に資金を投入することの合理的な説明として、それしか考えられないということだ。

 そうした不手際があったにもかかわらず、バイデン氏の外交政策チームが同盟国との関係維持という地道な作業に着手したことは評価に値する。しかし、中国が台湾への圧力を強め、米国に挑戦する自信を深めた最大の理由は、軍事バランスの変化だ。2010年代初頭まで、台湾を攻撃して米国の軍事的反応を誘発することは中国にとって自殺行為であり、米国がたとえ関与を避けたとしても、危険な挑発だった。現在でも米国はまだ優位ではあるものの、それはわずかな差に過ぎない。中国が先制攻撃を仕掛けることなど、以前は考えられなかったことだ。

 バイデン氏による台湾への明確なコミットメントの表明は、向こう数年間は対決を避け、米軍の技術的な能力を伸ばすための貴重な時間を得ることができるかもしれないだがこの解釈でも、米国の軍事能力、つまり防衛産業基盤とその現在の増産能力に対する実際の投資の欠如は説明できない。第2次世界大戦前、米国は国防産業基盤を刷新するのに6年かかった。バイデン政権がルーズベルト・ビンソン型の国防拡張政策を行おうとしている兆候はない。バイデン政権が行っている投資は、造船能力を拡大するものでも、ミサイルの備蓄を高水準に維持するものでもない

 バイデン政権が単に惑わされているだけという危険性もある。台湾の防衛に関する軍事的な基礎要因を見誤っているため、短期的には中国を抑止できないという可能性がある。しかし、より危険なのは、米中間の競争は主に経済的・技術的なものであるという見方だ。これでは、台湾に戦う意欲を与えられない。台湾の半導体を必要としなくなった米国は、2024年や2026年ではないかもしれないが、次の民主党政権下で旧友を見捨てることになりかねない

 優れた軍事力を持たずに経済的な対抗関係を築いたりするといった絵空事を、米国の政策が促進しないようにすることが、連邦議会の責任だ

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筆者のセス・クロプシー氏は米シンクタンク、ヨークタウン・インスティテュートの設立者で代表を務めている。海軍副次官を務めた経験があり、著書に「Mayday」や「Seablindness.」がある。

 

 

 バイデン氏の発言は、米国が公式に台湾防衛を約束することは、上海コミュニケの中国側の解釈を根本から覆すことになるため、波紋を広げたのだ。いま問われているのは米国の信頼性だ。理論的には、米国が信頼されていれば、抑止力は強くなるはずだ。中国が台湾を攻撃した場合、台湾とだけではなく米国とも戦わなければならないのであれば、中国が台湾を攻撃する可能性は著しく低くなる。

 

 しかし、バイデン政権の他の政策が、大統領の発言による抑止効果を複雑にしている。米国は、軍備を増強して戦いに備えるための時間ではなく、米国にとっての台湾の重要性を低下させるために時間を使っているように見えると、セス・クロプシー氏。

 バイデン政権の軍事投資に対するアプローチも、中国に複雑なシグナルを送っている。今年度、国防費は増加したが、それは議会の圧力によるものだ。当初提案されたバイデン国防予算ではかなりの削減が予定されていた。このことから中国は、米国が米中間の競争を、少なくとも短期的には軍事的なものではなく、経済的・政治的なものと考えていると結論づけるだろうとも。

 そうした不手際があったにもかかわらず、バイデン氏の外交政策チームが同盟国との関係維持という地道な作業に着手したことは評価に値すると、セス・クロプシー氏。

 

 中国が、米国に挑戦する自信を深めた最大の理由は、軍事バランスの変化だと。

 現在でも米国はまだ優位ではあるものの、それはわずかな差に過ぎない。中国が先制攻撃を仕掛けることなど、以前は考えられなかったことだ。

 バイデン氏による台湾への明確なコミットメントの表明は、向こう数年間は対決を避け、米軍の技術的な能力を伸ばすための貴重な時間を得ることができるかもしれない。だが、防衛産業基盤とその現在の増産能力に対する実際の投資の欠如は説明できない。

 バイデン政権が行っている投資は、造船能力を拡大するものでも、ミサイルの備蓄を高水準に維持するものでもないと、セス・クロプシー氏。

 

 バイデン政権が、台湾の防衛に関する軍事的な基礎要因を見誤っているため、短期的には中国を抑止できないという可能性がある。しかし、より危険なのは、米中間の競争は主に経済的・技術的なものであるという見方だ。

 これでは、台湾に戦う意欲を与えられない。

 台湾の半導体を必要としなくなった米国は、2024年や2026年ではないかもしれないが、次の民主党政権下で旧友を見捨てることになりかねないと、

セス・クロプシー氏。

 優れた軍事力を持たずに経済的な対抗関係を築いたりするといった絵空事を、米国の政策が促進しないようにすることが、連邦議会の責任だとも。

 

 防衛費のGDP比 2%確保を、バイデン氏にも、NATO会議でも公約した岸田氏。

 その財源には、消費者物価高騰であえぐ国民への所得税増加などを充てると、安倍氏が検討を提言した建設国債論をかたくなに拒んでいる財務省の操り人形の岸田氏。

 大切なのは、政権の支持率ではなく、国民と国土の安全を護ることです。

 

 

 # 冒頭の画像は、台湾の民進党党首の座を引き継いだ頼清徳氏

 

 

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