日本経済が、景気回復基調にあるが、力強さに欠け不安定で、競争に打ち勝ち、1歩、前に踏み出す道を考えたい。と言う日経新聞の年頭の社説をとりあげさせていただきました。
具体的には、国内需要の低迷を、海外の成長する市場の競争に打ち勝って取り込むことが上げられ、日本と同様に海外市場の取り込みの「一帯一路」を掲げる中国との競合を挙げました。
昨年は、中国の強引な受注により、競争に負けることが多かった日本ですが、どうやら、強引な中国の受注が、予想された様にトラブルが続出し始めている様なのです。
インドネシアの高速鉄道の受注では、先行する日本側の驕りと油断があったことが重なり、インドネシアの要求に沿って、政府負担をなくす合弁企業案と、納期対応を提案した中国に逆転受注を許してしまいました。
上記記事で指摘されている様な、日本との事前調査をした会社の情報を流用することで、中国の提案は短期間に作成・提出されたのですが、日本の企業が実施する計画ですから、中国企業の技術での検討が不十分で、昨年中にも予定されていた着工は「16年半ば」に延期になるなど、トラブルが続出しているのだそうです。
「安物買の銭失い」と言いますが、資金は合弁企業とした中国側が負い、インドネシア政府の負担はないとはいえ、選挙に合わせた納期が遅れれば、インドネシア政府や中国への信頼は失墜することになります。
他でのトラブルも記事で紹介されています。
ただこれらは、日本側が競争に打ち勝つ知恵を絞って対抗策を講じたことによるものではなく、中国側のオウンゴールによるものです。
アフリカでの資源開発事業の受注でも、中国は、開発工事での雇用や完成・稼働後の利益を中国側が独り占めし、地元にとってメリットが薄いことが指摘されているのは衆知のことですね。
とはいえ、中国の投資を受け入れる開発は止まりません。
記事が指摘する、中国の容易な資金投入があり、資金力の乏しい受け入れ国の負担が軽減されることが理由ですね。
余った在庫、余った生産能力、雇用しきれない労働人口により安価なコストで受注する中国と、価格競争で勝つには限度があり、日本が苦戦する所以です。
記事が指摘するように、インフラ整備に自国だけでは資金が賄えない国が多いのも、中国の狙いが判っていながら受け入れられる理由となっています。
安倍政権も、従来の驕った姿勢の是正で融資条件の緩和を検討するなど、対策を講じようとしていることは諸兄がご承知のとおりです。
アフリカで、地元の利益を考慮しウイン、ウインの関係を構築する日本方式への理解が少しづつ広まっているとの声を聞きます。
地元の利益を優先しニーズに対応する姿勢を説得し、知恵を絞った競争をするしかありませんが、ずさんな中国の支援の実態が露呈してきている事実は、追い風になることではあり、中国のオウンゴールとは言え、地元の利益の説得材料にはなりますね。
日本企業の民の力と、政府の後押しと、官民一体(民が官に甘えたり、官が民に障害を背負わせたりするのではなく)での、ニーズに対応する競争に勝つ体制構築が進められることを期待します。
# 冒頭の画像は、中国河北省の高速鉄道の車両製造工場
この花の名前は、水蓮
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
具体的には、国内需要の低迷を、海外の成長する市場の競争に打ち勝って取り込むことが上げられ、日本と同様に海外市場の取り込みの「一帯一路」を掲げる中国との競合を挙げました。
昨年は、中国の強引な受注により、競争に負けることが多かった日本ですが、どうやら、強引な中国の受注が、予想された様にトラブルが続出し始めている様なのです。
インドネシア高速鉄道 着工遅れ 中国受注インフラ多難 (1/1 読売朝刊)
【ジャカルタ=池田慶太】中国企業が受注した東南アジアの大型インフラ(社会基盤)案件で、工事の延期やトラブルが後を絶たない。インドネシアの高速鉄道計画は着工が遅れ、「2019年開業」が早くも危ぶまれる状況だ。事業費が当初予定から大幅にふくらむケースが多く、現地政府が振り回されるケースも少なくない。
インドネシアのジャカルタとバンドンを結ぶ約140キロの高速鉄道計画では、日本と中国が激しい受注競争を繰り広げた。結局、中国が昨年9月、インドネシア政府の負担をゼロにするという「常識では考えられない」(日本政府高官)案を示し、採用された。中国の計画は「18年完工、19年開業」を目指している。19年にインドネシア大統領選が予定され、現政権の成果にできることも採用の決め手となった。
中国とインドネシアの国営企業は昨年10月、工事や沿線開発を手がける企業連合を発足させた。総事業費55億が(約6700億円)のうち、企業連合が25%を出資し、残りは中国の国家開発銀行が政府保証なしで融資する。発足式典で、インドネシア代表は「インドネシアは発展を望んでいる。融資してくれた中国に感謝したい」と中国を絶賛した。
ところが、昨年12月に入り、路線の認可や環境影響評価など着工に必要な手続きが終わらないことが判明し、昨年中にも予定されていた着工は「16年半ば」に延期となった。その後も建設ルートが別の鉄道計画にまたがるなど、計画のずさんさが明るみに出た。
日本は昨年3月、1年以上かけた事業調査結果をインドネシア政府に提出したが、中国はその翌月、日本の調査に加わった地元コンサルティング会社を雇い、わずか3か月で提案書を仕上げた。データの盗用疑惑も指摘され、日本政府関係者は「技術的な検討が不十分だったのでは」と見る。
計画では、沿線の開発収入を巨額融資の返済に充てる予定だ。10年の返済猶予があるものの、開業が遅れるほど事業費は膨らむ。そこで企業連合はまず4駅を作り、将来的に増やす構想を描く。8駅を提案する中国側が沿線開発で利益を得られるよう働きかけたとみられるが、インドネシア運輸当局は「駅が増えれば速度が落ちて高速鉄道とは呼べず、認可できない」と困惑している。
東南アジアトラブル多発
中国が受注したインフラ案件のトラブルは最近、東南アジアで相次いでいる。
インドネシアは、石炭火力発電所を約30か所建設する計画を06年に始めたが、大半を受注した中国企業の工事が遅れ、完工が09年末から16年末に延期された。完成した発電所でも、ボイラーなどが中国基準で、部品を交換できないなどの問題が起きているという。
フィリピンでは、首都マニラと北部クラークを結ぶ約100キロの鉄道計画が04年に中国の援助で始まったが、比最高裁は10年に入札を経ていない契約を無効と判断し、全面凍結された。比政府は融資返済で中国側と争っている。38キロの区間は、日本が政府開発援助(ODA)を供与し、建設を進める見通しだ。
ラオスの首都ビエンチャンとタイを結ぶ鉄道計画は14年に中国とタイが合意したが、着工が遅れている。
一方、東南アジアでは経済発展に向けたインフラ整備に必要な資金を自国だけで賄えず、「チャイナ・マネー」に頼らざるを得ないという事情もある。
【ジャカルタ=池田慶太】中国企業が受注した東南アジアの大型インフラ(社会基盤)案件で、工事の延期やトラブルが後を絶たない。インドネシアの高速鉄道計画は着工が遅れ、「2019年開業」が早くも危ぶまれる状況だ。事業費が当初予定から大幅にふくらむケースが多く、現地政府が振り回されるケースも少なくない。
インドネシアのジャカルタとバンドンを結ぶ約140キロの高速鉄道計画では、日本と中国が激しい受注競争を繰り広げた。結局、中国が昨年9月、インドネシア政府の負担をゼロにするという「常識では考えられない」(日本政府高官)案を示し、採用された。中国の計画は「18年完工、19年開業」を目指している。19年にインドネシア大統領選が予定され、現政権の成果にできることも採用の決め手となった。
中国とインドネシアの国営企業は昨年10月、工事や沿線開発を手がける企業連合を発足させた。総事業費55億が(約6700億円)のうち、企業連合が25%を出資し、残りは中国の国家開発銀行が政府保証なしで融資する。発足式典で、インドネシア代表は「インドネシアは発展を望んでいる。融資してくれた中国に感謝したい」と中国を絶賛した。
ところが、昨年12月に入り、路線の認可や環境影響評価など着工に必要な手続きが終わらないことが判明し、昨年中にも予定されていた着工は「16年半ば」に延期となった。その後も建設ルートが別の鉄道計画にまたがるなど、計画のずさんさが明るみに出た。
日本は昨年3月、1年以上かけた事業調査結果をインドネシア政府に提出したが、中国はその翌月、日本の調査に加わった地元コンサルティング会社を雇い、わずか3か月で提案書を仕上げた。データの盗用疑惑も指摘され、日本政府関係者は「技術的な検討が不十分だったのでは」と見る。
計画では、沿線の開発収入を巨額融資の返済に充てる予定だ。10年の返済猶予があるものの、開業が遅れるほど事業費は膨らむ。そこで企業連合はまず4駅を作り、将来的に増やす構想を描く。8駅を提案する中国側が沿線開発で利益を得られるよう働きかけたとみられるが、インドネシア運輸当局は「駅が増えれば速度が落ちて高速鉄道とは呼べず、認可できない」と困惑している。
東南アジアトラブル多発
中国が受注したインフラ案件のトラブルは最近、東南アジアで相次いでいる。
インドネシアは、石炭火力発電所を約30か所建設する計画を06年に始めたが、大半を受注した中国企業の工事が遅れ、完工が09年末から16年末に延期された。完成した発電所でも、ボイラーなどが中国基準で、部品を交換できないなどの問題が起きているという。
フィリピンでは、首都マニラと北部クラークを結ぶ約100キロの鉄道計画が04年に中国の援助で始まったが、比最高裁は10年に入札を経ていない契約を無効と判断し、全面凍結された。比政府は融資返済で中国側と争っている。38キロの区間は、日本が政府開発援助(ODA)を供与し、建設を進める見通しだ。
ラオスの首都ビエンチャンとタイを結ぶ鉄道計画は14年に中国とタイが合意したが、着工が遅れている。
一方、東南アジアでは経済発展に向けたインフラ整備に必要な資金を自国だけで賄えず、「チャイナ・マネー」に頼らざるを得ないという事情もある。
インドネシアの高速鉄道の受注では、先行する日本側の驕りと油断があったことが重なり、インドネシアの要求に沿って、政府負担をなくす合弁企業案と、納期対応を提案した中国に逆転受注を許してしまいました。
上記記事で指摘されている様な、日本との事前調査をした会社の情報を流用することで、中国の提案は短期間に作成・提出されたのですが、日本の企業が実施する計画ですから、中国企業の技術での検討が不十分で、昨年中にも予定されていた着工は「16年半ば」に延期になるなど、トラブルが続出しているのだそうです。
「安物買の銭失い」と言いますが、資金は合弁企業とした中国側が負い、インドネシア政府の負担はないとはいえ、選挙に合わせた納期が遅れれば、インドネシア政府や中国への信頼は失墜することになります。
他でのトラブルも記事で紹介されています。
ただこれらは、日本側が競争に打ち勝つ知恵を絞って対抗策を講じたことによるものではなく、中国側のオウンゴールによるものです。
アフリカでの資源開発事業の受注でも、中国は、開発工事での雇用や完成・稼働後の利益を中国側が独り占めし、地元にとってメリットが薄いことが指摘されているのは衆知のことですね。
とはいえ、中国の投資を受け入れる開発は止まりません。
記事が指摘する、中国の容易な資金投入があり、資金力の乏しい受け入れ国の負担が軽減されることが理由ですね。
余った在庫、余った生産能力、雇用しきれない労働人口により安価なコストで受注する中国と、価格競争で勝つには限度があり、日本が苦戦する所以です。
記事が指摘するように、インフラ整備に自国だけでは資金が賄えない国が多いのも、中国の狙いが判っていながら受け入れられる理由となっています。
安倍政権も、従来の驕った姿勢の是正で融資条件の緩和を検討するなど、対策を講じようとしていることは諸兄がご承知のとおりです。
アフリカで、地元の利益を考慮しウイン、ウインの関係を構築する日本方式への理解が少しづつ広まっているとの声を聞きます。
地元の利益を優先しニーズに対応する姿勢を説得し、知恵を絞った競争をするしかありませんが、ずさんな中国の支援の実態が露呈してきている事実は、追い風になることではあり、中国のオウンゴールとは言え、地元の利益の説得材料にはなりますね。
日本企業の民の力と、政府の後押しと、官民一体(民が官に甘えたり、官が民に障害を背負わせたりするのではなく)での、ニーズに対応する競争に勝つ体制構築が進められることを期待します。
# 冒頭の画像は、中国河北省の高速鉄道の車両製造工場
この花の名前は、水蓮
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。