遊爺雑記帳

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チェコ上院議長団の台湾訪問は、EU諸国の対中警戒機運の顕れ

2020-09-01 01:27:27 | 米中新冷戦時代
 チェコで大統領に次ぐ地位の上院議長が、およそ90人の訪問団を率いて台湾を訪問したというニュースに接し、驚きと興味を抱いていました。
 米国こそ、対中新冷戦時代が進行する中、断交して以来、最高位の高官としてアザー厚生長官を派遣するなど、台湾への支援を高めていますが、「ひとつの中国」を強要する中国の圧力で、台湾との国交を閉ざす国が増えているなかでの訪問団。
 こちらも驚きですが、なんと、あのオールド偏向メディアのNHKが、その訪問団に神話的な情報発信をしていました。
 チェコと言えば、マラソンのザトペック、テニスのマルチナ・ナブラチロワ、東京オリンピック時の体操のベラ・チャスラフスカさんなどを先ず思い浮かべ、「プラハの春」や「ビロード革命」といった、共産主義と自由主義とで揺れ動いていた国といった程度しか知識も乏しくいので、勉強させていただきました。
 
異例の台湾訪問 チェコ上院議長ら約90人 中国反発 米国評価 | NHKニュース 2020年8月30日

チェコで大統領に次ぐ地位の上院議長が、およそ90人の訪問団を率いて30日台湾に到着し、滞在期間中、蔡英文総統と会談する予定です。
中国と国交を結ぶ国の要人が台湾を訪問するのは異例で、「1つの中国」の原則を主張する中国は強く反発する一方、アメリカは高く評価しています。

チェコのビストルチル上院議長は30日、議員や首都プラハの市長、それに企業関係者などおよそ90人の訪問団を率いて台湾北部の空港に到着しました。

台湾の呉ショウ燮外交部長に出迎えられたビストルチル議長は、記者団に対して「私が使っているマスクは新型コロナウイルスの感染拡大に対応する中で、台湾に提供してもらったものです。感謝しています」と述べ、空港を後にしました。

ビストルチル議長は、来月4日までの滞在期間中、台湾の議会にあたる立法院で演説し、蔡英文総統と会談する予定です。

チェコは中国と国交を結んでおり、憲法上、大統領に次ぐ地位の上院議長が台湾を訪問するのは初めてで、
チェコのゼマン大統領やバビシュ首相は外交方針に反するなどとして、訪問に反対しています。

今回の訪問について、中国は「1つの中国」の原則に反するとして強く反発していますが、アメリカは高く評価して支持する姿勢を示しています。

トランプ政権は、今月、1979年に台湾と外交関係を断って以来、最高位の高官としてアザー厚生長官を台湾に派遣したばかりで、米中の対立が深まる中、チェコのビストルチル議長の台湾訪問に国際社会の注目が集まっています。
(※金へんに「りっとう」)

チェコと中国の関係

チェコでは、旧チェコスロバキアで「ビロード革命」を率いて共産党政権を倒し、スロバキアが分離したあとも2003年までチェコの大統領を務めたハベル氏のもと、中国とは距離をとってきました
しかし、
2013年に就任したゼマン大統領は、中国との関係を重視する姿勢を鮮明にします。
中国政府が2015年に
「抗日戦争勝利70年」を記念するとして北京で行った軍事パレードに、欧米諸国のほとんどが首脳の出席を見送る中、ゼマン大統領はEU=ヨーロッパ連合の加盟国の国家元首として唯一、出席しました。
翌年には、中国の
習近平国家主席が、中国の国家主席として初めて、チェコを公式訪問してゼマン大統領と会談。ゼマン大統領は「チェコは中国にとってのEUの玄関口となる」として、関係を深めていく考えを示し、この年だけで中国から950億チェコ・コルナ、日本円で4400億円余りの投資が行われることになると成果を強調していました。
ただ、
その後、約束されたほどの投資が実現されなかったため、国民の間でも不満が広がり、ことし1月にはゼマン大統領自身も失望を表明していました。
また、おととしにはチェコの情報当局が中国通信機器大手の
「ファーウェイ」と「ZTE」の製品の使用は安全保障上の脅威があるとして警鐘を鳴らすなど中国に対する警戒感も高まっています。
一方で、上院議長の今回の台湾訪問について、ゼマン大統領やバビシュ首相はチェコの外交方針に反するなどとして反対を表明しています。

「プラハの春」と「ビロード革命」

チェコには、旧ソビエトの強い影響下にあった時代にも自由と民主化を求めてきた歴史があります。

東側陣営で社会主義国だった当時の
チェコスロバキアでは共産党による独裁体制が続いていましたが、1968年1月、改革派が支持するドプチェク氏が第1書記に就任すると、検閲の廃止や、旅行の規制緩和などが進められ、「プラハの春」と呼ばれました。

しかし、こうした動きを社会主義全体への脅威とみなした
旧ソビエトは1968年8月、旧東ドイツやポーランドなどほかの東ヨーロッパ諸国とともにチェコスロバキアに軍事侵攻します。民主化の動きは弾圧され、抵抗した多くの市民が犠牲になりました。

それからおよそ20年後の
1989年、東ヨーロッパ各国で民主化運動が高まりをみせ、11月9日には東西分断の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊しました。

チェコスロバキアでも
民主化を求める市民が大規模な抗議デモを起こし、この年、共産党政権が崩壊しました。大きな武力衝突がなかったことから柔らかいビロードの生地に例えて「ビロード革命」と呼ばれています。

プラハ市長 「中国の人権問題 沈黙できない」

チェコの
首都プラハ市のフジプ市長は、上院議長に同行して台湾を訪問するのを前に、今月、オンラインでNHKのインタビューに応じました。

この中で、フジプ市長は「テクノロジーを重視する台湾との交流はスマートシティーなどのプロジェクトを行っていく上で有益だ」として、
台湾との関係強化の意義を強調する一方、中国については「テクノロジーを人々の監視や抑圧のために使っている」として厳しく批判しました。

おととし就任した新興のリベラル政党チェコ海賊党のフジプ市長は、
2016年に結ばれたプラハ市と北京市との友好都市協定にある「1つの中国」に関する項目を削除するよう求めてきました。

中国側は反発を強め、去年予定されていたプラハ・フィルハーモニア管弦楽団の中国公演は中止に追い込まれました。これを振り返ってフジプ市長は「私たちのオーケストラはいじめられた。中国は信頼できるビジネスパートナーではない」と強い不満をにじませました。

関係が悪化する中、
プラハ市は去年10月には北京市との友好都市の関係を解消し、ことし1月に台湾の台北市と友好都市の協定を結びました

北京市との友好都市の関係を解消した理由について、フジプ市長は「友好都市の協定は政治とは無関係にあるべきだ。協定書にあった『1つの中国』に関する項目を削除するよう求めていたが、無視されるようになった。友好都市であればお互いを尊重すべきなのに、そうはならなかった」と主張しています。

中国に批判的な姿勢を続けることについて、
フジプ市長は「共産主義体制の崩壊後、チェコは人権とリベラルな価値を力強く支援してきた。中国の人権問題に対して沈黙することはできない」と強調しています。

チェコの専門家「ヨーロッパの政治家 再考のきっかけに」

中国情勢に詳しい、
プラハのカレル大学のオルガ・ロモバ教授は、NHKのインタビューに対し、今回の上院議長の台湾訪問について、「台湾との間に、合理的で、開かれた、非政治的な関係をもつことはチェコの権利で、国際政治における通常のふるまいの一部だ」と指摘しました。

また、アメリカと中国との間で深まっている対立について、「冷戦だ」との認識を示したうえで「
中国共産党の権威主義と、民主主義をめぐって、世界的な分断がある中での上院議長の台湾訪問は、チェコがどちら側に立つのかを明確に示すものだ」として、今回の訪問によって、チェコが民主主義を重視する姿勢を国内外に示すことになると分析しています。

さらに、ロモバ教授は「中国は常に圧力をかけてくる。その圧力に従えば、さらに圧力は続いていく」と指摘し「
上院議長の台湾訪問は、中国側の要求に従うことがヨーロッパのためになるのかどうかヨーロッパの政治家たちが再考するきっかけになるのではないか」と述べています。

中国に警戒強めるEU

EU=ヨーロッパ連合は中国が巨大経済圏構想「一帯一路」で加盟国との協力を進めるなどして、ヨーロッパでの影響力を高めようとしているとして警戒を一層強めています

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は、ヨーロッパに進出する中国企業が増え、高度な技術力を持つ域内企業の買収への懸念が高まっていることを受けて、ことし6月、政府から一定規模以上の補助金を受けた外国企業による域内企業の買収を規制することを、各国に提案しました。

また、
新型コロナウイルスをめぐって中国が感染源や治療方法に関して、EU域内に大量の偽の情報を流しているなどとする報告書を、ことし6月にまとめ非難しました。

さらに、
香港国家安全維持法について「自由を抑えつけるために用いられている」などと、厳しく非難しているほか、ウイグルやチベットについても、人権状況を改善するよう繰り返し求めるなど、中国に対して厳しい姿勢を貫いています。

しかし、
その一方で中国を「戦略的なパートナー」だともしています

EUにとって中国は世界2位の貿易相手で、とりわけ新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ
経済の立て直しに向けて、中国は依然、重要な巨大市場となっています。

また、気候変動対策やイランの核合意などアメリカが国際的な枠組みから離脱するなか、中国との協力は欠かせないとの立場で、中国との対立を深めるアメリカとは一線を画しています。

アメリカ 台湾訪問を高く評価

蔡英文総統が就任した2016年5月の時点で、台湾と外交関係を持つ国は22ありましたが、中国が外交攻勢を強めたことから、これまでに7か国が台湾と断交し、中国と国交を結んでいます。

こうした蔡政権の後ろ盾となっているのが、中国と対立を深めるアメリカのトランプ政権と議会です。
台湾と外交関係のある国々との協力事業を拡大して支援する方針を示しているほか、今月にはアザー厚生長官を台湾と断交して以来、最高位の高官として台湾に派遣しました。

今回のチェコの上院議長による台湾訪問についても、アメリカは高く評価しています。

台湾ではヨーロッパにおける中国への警戒感の高まりが背景にあるという見方もあり、今回のチェコのケースをきっかけに、ヨーロッパで台湾の存在感が高まることへの期待がでています。

また、台湾はソマリア北部で一方的に独立を宣言している、ソマリランドとの間で互いに事務所を設置することを決めています。

今後は、フランス南部のエクサンプロバンス市に事務所を設置するほか、アメリカのグアムの事務所を再開する予定です。

また、
台湾はこれまで、外交関係のない国との間では、議員交流を通して友好関係を築いてきましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、マスクなどの医療物資を提供するなど、実質的な協力を模索することで国際社会での存在感の強化につなげようとしています。

 「1つの中国」の原則を主張する中国と国交のある国のチェコで、大統領に次ぐ地位の上院議長が、議員や首都プラハの市長、それに企業関係者などおよそ90人の訪問団を率いて台湾訪問。
 チェコのゼマン大統領やバビシュ首相は外交方針に反するなどとして、訪問に反対しているのださうです。
 2013年に就任したゼマン大統領は、中国との関係を重視する姿勢。中国政府が2015年に「抗日戦争勝利70年」を記念するとして北京で行った軍事パレードに、欧米諸国のほとんどが首脳の出席を見送る中、ゼマン大統領はEUの加盟国の国家元首として唯一、出席していたのだそうです。

 翌年には、中国の習近平国家主席が、中国の国家主席として初めて、チェコを公式訪問してゼマン大統領と会談。中国から950億チェコ・コルナ、日本円で4400億円余りの投資が行われる約束がなされたのだそうですが、その後、約束されたほどの投資が実現されなかったため、国民の間でも不満が広がり、ことし1月にはゼマン大統領自身も失望を表明しているといった現状もある。

 首都プラハのフジプ市長は「テクノロジーを重視する台湾との交流はスマートシティーなどのプロジェクトを行っていく上で有益だ」として、台湾との関係強化の意義を強調する一方、中国については「テクノロジーを人々の監視や抑圧のために使っている」として厳しく批判しているのだそうです。
 プラハ市は去年10月には北京市との友好都市の関係を解消し、ことし1月に台湾の台北市と友好都市の協定を結んだのだですね。
 フジプ市長は「共産主義体制の崩壊後、チェコは人権とリベラルな価値を力強く支援してきた。中国の人権問題に対して沈黙することはできない」と強調しているのだそうです。

 プラハのカレル大学のオルガ・ロモバ教授は、「台湾との間に、合理的で、開かれた、非政治的な関係をもつことはチェコの権利で、国際政治における通常のふるまいの一部だ」と指摘。「中国共産党の権威主義と、民主主義をめぐって、世界的な分断がある中での上院議長の台湾訪問は、チェコがどちら側に立つのかを明確に示すものだ」とも。
 更に、「上院議長の台湾訪問は、中国側の要求に従うことがヨーロッパのためになるのかどうかヨーロッパの政治家たちが再考するきっかけになるのではないか」と述べておられるのだそうです。

 EUは中国が巨大経済圏構想「一帯一路」で加盟国との協力を進めるなどして、ヨーロッパでの影響力を高めようとしているとして警戒を一層強めています。
 「一帯一路」のヨーロッパでの「橋頭保」となっていたイタリアも、今回の新型コロナウイルスの感染で、中国離れの姿勢を強めていますね。

 その一方でEU諸国は、中国を「戦略的なパートナー」だともしています。
 EUにとって中国は世界2位の貿易相手で、とりわけ新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済の立て直しに向けて、中国は依然、重要な巨大市場となっているのですね。
 
 今回のチェコの上院議長による台湾訪問について、アメリカは高く評価。
 
 台湾ではヨーロッパにおける中国への警戒感の高まりが背景にあるという見方もあり、今回のチェコのケースをきっかけに、ヨーロッパで台湾の存在感が高まることへの期待がでているのだそうです。
 これまで、外交関係のない国との間では、議員交流を通して友好関係を築いてきましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、マスクなどの医療物資を提供するなど、実質的な協力を模索することで国際社会での存在感の強化につなげようとしているのだと。

 日本は、李登輝氏の弔問に、いち早く森氏を送りました。
 尖閣への侵略をエスカレートさせている中国。台湾海峡から、東シナ海への武力による中国の覇権拡大では、日本と台湾は運命共同体です。
 米国他の自由主義の価値を尊重する国々と連携し、台湾の現状維持の姿勢を支援していきたいですね。



 # 冒頭の画像は、台湾北部の桃園国際空港に到着したチェコのビストルチル上院議長




  この花の名前は、ボタンクサギ


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写真素材のピクスタ


Fotolia


暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?








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