遊爺雑記帳

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中国経済が抱える「日本化」以上の問題

2023-09-20 01:23:56 | 中国 全般
 好況から低成長、人口減少、デフレへと移行した日本は、1990年代以降、経済停滞の代名詞になった。

 現在の中国が似たような様相を呈していると指摘するエコノミストは多い。しかし、中国の問題は多くの面で日本よりも扱いにくいのが現実だと、WSJのステラ・イファン・シー。
 
 
中国経済が抱える「日本化」以上の問題 - WSJ ステラ・イファン・シー 2023年 9月 19日

 【香港】好況から低成長、人口減少、デフレへと移行した日本は、1990年代以降、経済停滞の代名詞になった

 
現在の中国が似たような様相を呈していると指摘するエコノミストは多いしかし、中国の問題は多くの面で日本よりも扱いにくいのが現実だ。一部の指標では、中国の公的債務残高は当時の日本よりも多く人口構成はより厳しい。中国が直面している地政学的緊張は、かつて日本が直面した対米貿易摩擦を超越している。

 
もう一つの逆風は、近年、民間部門を厳しく取り締まっている中国政府が、イデオロギー的に当時の日本政府よりも経済成長の支援に消極的に見えることだ。

 だからといって、日本が今ようやく脱却の兆しを見せているような長年の経済停滞に中国が陥るとは限らない。
中国には日本になかった強みもいくつかある今後数年間の経済成長率は、1990年代の日本をはるかに上回る公算が大きい

 それでも
エコノミストは、両者の類似点は中国の共産党指導者への警鐘だと指摘する。もっと強力な措置を取らなければ、日本と同様の長期的な景気低迷に陥る可能性がある、ということだ。中国政府はここ数週間、緩やかな金利引き下げなどの断片的な施策は講じたものの、成長回復に向けた大型刺激策の導入は控えている

 
シティグループのアジア担当チーフエコノミスト、ジョアンナ・チュア氏は「これまでの政策対応により、中国は『日本化』に向かう可能性がある」と語る。中国の全般的な成長見通しは、以前の日本よりも急速に悪化している可能性があると同氏はみている

 
現在の中国と30年前の日本には、重債務、高齢化、デフレの兆候など、多くの共通点がある。

 
戦後の長い景気拡大期に日本は輸出大国となり、その勢いを止めるのは不可能だと米国の政治家や企業経営者が懸念するほどだった。だが1990年代初頭に不動産と株式市場のバブルが崩壊し、経済は急速に衰えた

 
政策当局者が金利を事実上ゼロまで引き下げたものの消費者や企業は新規の支出・投資に向けた借り入れではなく、債務返済によるバランスシートの修復に集中したため、成長は回復しなかった

 
野村総合研究所のエコノミスト、リチャード・クー氏この現象を「バランスシート不況」という造語で表現したのは有名だ。

 
中国でもまた、桁外れの経済成長が長年続いた後、不動産バブルがはじけた政府は借り入れ・消費促進に努めているが、消費者は住宅ローンを繰り上げ返済している

 
民間企業も金利低下にもかかわらず投資に消極的で、中国では金融緩和が効力を失いつつあるのではないかというエコノミストの不安をかき立てている。

 一部の指標によれば、中国の資産バブルはかつての日本ほど大きくない。モルガン・スタンレーの推計では、国内総生産(GDP)に対する不動産価格の比率は2014年時点で170%、20年には260%でピークに達した。政府統計によれば、住宅価格はこのピークからわずかに下落したにとどまっている。株式市場の価値は2021年にGDP比80%という直近のピークを迎えたが、現在は67%となっている。

 モルガン・スタンレーによると、日本ではGDPに占める地価の割合が1990年には560%に達したが、94年には394%まで下落。1982年にはGDPの34%だった東京証券取引所の時価総額は、89年には142%まで上昇した。

 
現在の中国のほうが有利だと考えられるもう一つの要因が都市化率の低さだ。日本では1988年時点の都市化率が77%だったが、中国では2022年で65%となっている。人々が都市に移住して非農業部門の仕事に就くことで、生産性と成長率を高められる可能性がある

 また、中国は資本市場の管理が厳格で、輸出に打撃を与える急速な通貨高のリスクは低い。日本はここ数十年の間に何度か急激な円高への対応に迫られ、それが経済的苦境を助長することもあった。

 
「中国がバランスシート不況に陥るという懸念は行き過ぎだと考えている」。バンク・オブ・アメリカのエコノミストは最近、このような見解を示している

 
とはいえ、中国の抱えるその他の問題は、日本よりも対処が難しいだろう



 
まず、中国のほうが高齢化が深刻で、人口は2022年に減少に転じた日本で人口が減り始めたのは2008年以降で、バブル崩壊からは20年近くたっていた

 さらに
悪いことに、中国は先進国の地位を獲得する前に長期的な成長率低下の時期に突入する豊かになる前に年を取ってしまうということだ。 世界銀行のデータによれば、2022年の中国の一人当たり所得は1万2850ドルで、1991年の日本の2万9080ドルをはるかに下回っている

 
そして債務の問題がある。地方政府によるバランスシート外の借り入れも含めると、中国の公的債務総額は2022年にGDPの95%に達したとみられる一方、日本の1991年時点の対GDP比率は62%だった(JPモルガン調べ)。中国当局が財政刺激策を追求する能力は限られる。

 
外圧も中国のほうが厳しいようだ。日本は貿易相手国から多くの非難を浴びたが、安全保障面で米国と同盟関係にあり、一部のアナリストが現在の米中関係を形容するのに用いる「新冷戦」のリスクは存在しなかった米国と同盟国は中国の先端技術へのアクセスを阻止し、同国のサプライチェーンへの依存を軽減しようと努めている。これが今年、対中直接投資の急減を引き起こし、長期的には成長を大幅に減速させる可能性もある。

 多くのアナリストは、
中国政府が長期停滞のリスクを過小評価し、その回避に向けた取り組みを怠っていると懸念している。主要金利の緩やかな引き下げ、マンション購入額に占める頭金の比率引き下げ、民間部門への声高な支援表明は、これまでのところ信頼感の回復にほとんどつながっていない。バンク・オブ・アメリカのシャオキン・パイ氏をはじめとするエコノミストは、中国を再び成長軌道に乗せるためには、財政・金融・不動産の各政策でより協調的な緩和が必要だと主張する。

 ただ、
習近平国家主席は家計や消費者に対する政府支援は「福祉主義」だとして、拡充には思想的に反対の立場だ。


 中国の公的債務残高は当時の日本よりも多く、人口構成はより厳しい。中国が直面している地政学的緊張は、かつて日本が直面した対米貿易摩擦を超越していると、WSJのステラ・イファン・シー。

 もう一つの逆風は、近年、民間部門を厳しく取り締まっている中国政府が、イデオロギー的に当時の日本政府よりも経済成長の支援に消極的に見えることだとも。

 エコノミストは、両者の類似点は中国の共産党指導者への警鐘だと指摘する。もっと強力な措置を取らなければ、日本と同様の長期的な景気低迷に陥る可能性があると。

 中国政府はここ数週間、緩やかな金利引き下げなどの断片的な施策は講じたものの、成長回復に向けた大型刺激策の導入は控えている。
 シティグループのアジア担当チーフエコノミスト、ジョアンナ・チュア氏は「これまでの政策対応により、中国は『日本化』に向かう可能性がある」と語る。中国の全般的な成長見通しは、以前の日本よりも急速に悪化している可能性があると同氏はみているのだそうです。

 現在の中国と30年前の日本には、重債務、高齢化、デフレの兆候など、多くの共通点があると、WSJのステラ・イファン・シー。

 戦後の長い景気拡大期に日本は輸出大国となり、その勢いを止めるのは不可能だと米国の政治家や企業経営者が懸念するほどだった。だが1990年代初頭に不動産と株式市場のバブルが崩壊し、経済は急速に衰えた。
 
 政策当局者が金利を事実上ゼロまで引き下げたものの、消費者や企業は新規の支出・投資に向けた借り入れではなく、債務返済によるバランスシートの修復に集中したため、成長は回復しなかった。
 野村総合研究所のエコノミスト、リチャード・クー氏がこの現象を「バランスシート不況」という造語で表現したのは有名だと、WSJのステラ・イファン・シー。

 中国でもまた、桁外れの経済成長が長年続いた後、不動産バブルがはじけた。政府は借り入れ・消費促進に努めているが、消費者は住宅ローンを繰り上げ返済している。
 民間企業も金利低下にもかかわらず投資に消極的で、中国では金融緩和が効力を失いつつあるのではないかと。

 「中国がバランスシート不況に陥るという懸念は行き過ぎだと考えている」。バンク・オブ・アメリカのエコノミストは最近、このような見解を示している。
 とはいえ、中国の抱えるその他の問題は、日本よりも対処が難しいだろうと、WSJのステラ・イファン・シー。

 まず、中国のほうが高齢化が深刻で、人口は2022年に減少に転じた。日本で人口が減り始めたのは2008年以降で、バブル崩壊からは20年近くたっていた。
 さらに悪いことに、中国は先進国の地位を獲得する前に長期的な成長率低下の時期に突入する。豊かになる前に年を取ってしまう。

 そして債務の問題がある。地方政府によるバランスシート外の借り入れも含めると、中国の公的債務総額は2022年にGDPの95%に達したとみられる一方、日本の1991年時点の対GDP比率は62%だったのだそうです。

 外圧も中国のほうが厳しいようだと、WSJのステラ・イファン・シー。
 安全保障面で日本は米国と同盟関係にあり、現在の米中関係を形容するのに用いる「新冷戦」のリスクは存在しなかった。

 米国と同盟国は、中国の先端技術へのアクセスを阻止し、同国のサプライチェーンへの依存を軽減しようと努めている。これが今年、対中直接投資の急減を引き起こし、長期的には成長を大幅に減速させる可能性もあると、WSJのステラ・イファン・シー。

 多くのアナリストは、中国政府が長期停滞のリスクを過小評価し、その回避に向けた取り組みを怠っていると懸念している。
 主要金利の緩やかな引き下げ、マンション購入額に占める頭金の比率引き下げ、民間部門への声高な支援表明は、これまでのところ信頼感の回復にほとんどつながっていないと、WSJのステラ・イファン・シー。

 バンク・オブ・アメリカのシャオキン・パイ氏をはじめとするエコノミストは、中国を再び成長軌道に乗せるためには、財政・金融・不動産の各政策でより協調的な緩和が必要だと主張しているのだそうです。

 ただ、習近平国家主席は家計や消費者に対する政府支援は「福祉主義」だとして、拡充には思想的に反対の立場だと、WSJのステラ・イファン・シー。

 鄧小平の改革開放経済導入を継承し、目覚ましい経済発展を遂げた共青団派を完全排除した人事の今の習近平政権。
 習近平へのおべっか衆で固められた現政権では、経済成長政策立案・推進は困難な様子。

 ここでは言及を他の機会に譲りますが、習近平の軍事、外交の主要スタッフの失脚が続いていることは、諸兄がご承知のとおり。

 定年制を廃し、競合派閥を一掃し、独裁者の体制を構築した習近平ですが、早くも独裁者が久しくは君臨しない歴史の史実に陥り始めたような!


 # 冒頭の画像は、ワンマン体制を構築した習近平
  習氏のワンマン体制、景気対策の遅れに拍車 - WSJ



  この花の名前は、エキナセア・パリダ


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