家庭での節電に比べ企業の節電となると、昨夏、関東を中心に自動車業界等の業界ぐるみや、個別企業の勤務体制組み換えなどの対策がなされたように、準備期間が必要ですが、タイムリミットが近づいています。
昨年は、自動車業界の例にみられるように、東北の部品不足で工場の稼働もままならない状況でしたが、今年は復興需要での景気回復も見られ、昨年の緊急避難的な節電体制がどこまでとれるかは悲観的です。家庭でも昨年以上の節電は望めません。
中でも需給がひっ迫するのが関西電力圏内ですが、ようやく出てきた対策は、政府・枝野氏は昨夏の東電同様の、計画停電や電力使用制限令といった強制的な節電策準備。関西広域連合・橋下氏は、節電や自家発電奨励資金の為の「増税」検討です。
枝野経済産業相が、5月中旬に打ち出す今夏の節電対策で関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働を前提としない方針を表明したことで、関電管内は、計画停電や電力使用制限令といった強制的な節電策の実施が現実味を帯びてきた。国から同原発の再稼働に同意を求められている自治体なども難しい対応を迫られる。(池松洋、井岡秀行)
政府は当初、節電対策を取りまとめる前に大飯原発の再稼働を決めたい考えだった。しかし、立地自治体である福井県や、おおい町から同意を得られる時期が明確でないことから、枝野経産相は原発不稼働という「最悪シナリオ」で対策を進める方針に転換せざるを得なくなった。
福井県とおおい町が政府に求めていた京都府や滋賀県、大阪市など「電力消費地」からの理解取り付けが難航していることも、再稼働の行方に影を落としている。
大飯原発の再稼働がなければ最大16.3%(495万キロ・ワット)に上るという今夏の関電管内の電力不足は、裏を返せば、大飯の再稼働があれば不足分の約半分にあたる236万キロ・ワットを賄えるという意味でもある。さらに夜間の余剰電力で貯水する揚水発電の活用も増やせるため、強制的な節電策の行方に大きくかかわる。実際、再稼働批判の急先鋒だった大阪市の橋下徹市長は26日、再稼働を容認する可能性を示唆した。強制的な節電対策が正式に表明されれば、再稼働容認論が広がる可能性もある。
一方、大飯以外の原発の行方はなお不透明だ。枝野経産相は、需給やコスト面の必要性が立証されなければ再稼働を認めない原発が出る可能性を認めた。関電管内ほど電力不足が深刻でない地域では、再稼働がこれまで以上に見通せなくなる事態も予想される。
「企業負担大きい」原発再稼働求める 関西経済同友会
関西経済同友会の大竹伸一代表幹事(NTT西日本社長)は26日の定例記者会見で、関西電力管内で今夏も大幅な電力不足が見込まれていることに関して「昨年夏に手をつけやすい節電対策はやった。一段の節電を求められると、金がかかる対策か(輪番操業などで)人の配置を換えるしかなく、企業の負担は大きい」との考えを示し、原子力発電所の再稼働を求めた。
大竹代表幹事は、電力不足が続くと、蓄電池の設置など費用のかかる対策が必要になるため、「それができない企業は海外に出ていかざるを得なくなる」と、産業空洞化が進むことへの懸念を示した。
大林剛郎代表幹事(大林組会長)も、照明を切ったり、空調や扇風機を止めたりする対策は、「作業員の安全性が損なわれ、熱中症の危険も高まる」との考えを示した。
夏の電力供給増強「限界」 需給検証委
今夏の電力需給を検証する政府の有識者会議「需給検証委員会」(委員長・石田勝之内閣府副大臣)は26日、電力会社から提出を受けた供給力見通しをこれ以上積み増すことは難しいという見方でおおむね一致した。
昼間の電力需要ピーク時は、夜間の余剰電力でくみ上げた水で発電する揚水発電に期待がかかるが、原子力発電所が軒並み停止したことで夜間の余剰電力がそれほど生まれず、従来ほど貯水量を確保することができないと判断した。企業の自家発電設備も、既に電力会社の見通しに最大限盛り込まれているとした。
橋下氏の発言は以下。
<前略>
橋下徹大阪市長は、電力供給力確保のために節電や自家発電を促す原資として法定目的外税を各府県で導入することを提案。記者団に「再稼働を止めればどういう負担が生じるか認識してもらった上で(府県民に是非を)判断してもらわなければいけない」と述べた。
<中略>
橋下市長は、節電に協力した大口契約者などへの料金割引や、自家発電を促すインセンティブの原資として、新税導入を提案。関西の納税人口に照らし、仮に100億円が必要なら税額は1人あたり千円程度になるとした。
政府・枝野氏の「最悪シナリオ」で対策を進める方針は当然の話で、「最悪シナリオ」から緩和する努力と並行で進められねばならないものを、金魚のウンコの様に一列に繋げて対策を検討するから遅れが生じるのです。
緊急時への対応能力が無い民主党政治のすべてに共通することです。
去年の原発が稼働していた夏も節電への抵抗が強かった、関西の自治体や企業。全原発が停止した今夏は、東電の様な「緊急時停電特別契約」の大口企業があるのかどうか不明ですが、昨夏の関東並みかそれ以上の節電体制の準備が必要です。
昨夏の節電実績は、東京電力管内の家庭が 6%、大口が29%。関西電力管内の家庭が14%、大口が 9%でした。
関電管内今夏節電 家庭=14% 大口=9% 東西で逆転現象 - 遊爺雑記帳
関東は電力使用制限令が出されたり、震災直後には計画停電が実施されるなど、緊急対応のムードも高まっていて、関西では自首的な取り組みとされた差はありますが、関西の大口需要≒企業の節電にはハードルが予測されるのです。
家庭は節電が進んでいる様に報道された関東より、関西が節電が進んで14%と、東京電力の目標値並の節電が達成されましたので、昨夏以上の節電は期待薄です。
電力需給については、足りないとする論と足りるとする論が平行線をたどるばかりですが、政府の有識者会議「需給検証委員会」は、足りるとする側の主張するものは組み込んでいても足りないとの結論の様です。
余談ですが、関西広域連合と関西電力との打ち合わせで、足りないとする関西電力の説明に、嘉田由紀子知事は「足りない足りない」ばかりでダタッコみたいと追及していましたが、原発は動かすな、供給責任は果たせと言っている知事も五十歩百歩とは気づかないのでしょうか。ヘルメットを斜めに装着して、私は安全に関して無知ですと示しながら安全の視察をするような素人ですからしかたない。。
上記の読売の記事でも、橋下氏が再稼働を容認したかの記述をしています。
「再稼働が出来なければ、どのような負担があるか、それを市民が受け入れなければ...」と言った発言は以前にもありました。ガチガチの原発即時廃止論者ではないことは確かな様ですし、今回、民主党と対決姿勢を示したのは、再稼働の決定プロセスについて噛みついているのでもあります。
マスコミが、自分の主張の都合に併せて橋下氏の発言を編集するから、原発即時廃止論者の様に報道されているのです。
かと言って、原発推進論者でないのは明白です。嘉田知事でさえ、原発即時廃止論者ではないと自ら言っていますが、まぁこのあたりの人種の方々の言うことは、よく解りません。
橋下氏の今回の発言は、大飯原発再稼働はその手順が認められないので再稼働させない。再稼働させない時の対策を、関西電力がとれないのなら、自治体でやるが、その財源がいるので、再稼働に反対する住民側の負担として税金を集めるというものですね。
嘉田知事のように、なにもかも人任せのダダッコではなく、言うことに責任を持って言おうと市民に投げかけているのです。
「原発は止めろ。電気はよこせ。値段は上げるな。では話にならない。」といった趣旨の発言をしておられたのを聞いた記憶があります。
いずれにしても、夏はもうそこまできています。
原発の無い夏をどう乗り切るのか。電力会社に任せきりではなく、政府、自治体は情報と対策を国民や企業に早く提示し、準備に取り掛からねばなりません。
この梅の花の名前は、春の粧
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