ただ、財源の元は世界の工場で稼いだものが元です。名実ともに世界第二位、日本を抜いて米国と肩を並べるには、自社ブランド品が不可欠です。
時には開発途上国と言って使い分ける中国がそのことは一番自覚しているようで、自社ブランド品の開発に注力しているのだそうです。
中国メーカーが、デジタルカメラや電気自動車といった先端工業製品を、自社ブランドで米国に売り込もうと躍起になっている。かつて日本が歩んだように、「低価格・低品質」との評判を克服し、次のソニーやトヨタ自動車を目指そうとしている。膨張する中国経済の象徴ともいえる。
■高級デジカメ投入
中国人の若手起業家が、自社のコンパクトデジタルカメラを、各国から集まった記者に熱心に説明している。ブランド名は「aigo(アイゴー)」、中国語で「愛国者」の創業者だ。
今月上旬、米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトリック・ショー」(CES)。aigo創業者の馮軍(フォン・チュン)氏(41)は、世界の家電メーカーに交じり、中国メーカーで最大のブースを構えた。
デジカメは今月、1台1999ドル(約16万円)で米国で売り始めた。
「自社で開発した特殊技術により、まったく手ぶれしないカメラ」が売り文句。確かにデモでは、カメラを大きく動かしながら写しても対象の人物をきちんととらえていた。一台ずつ異なる手作りの陶磁器の文様をいれ、「価格だけの価値がある製品だ」と自信満々だ。
半年前、馮氏は北京で開かれた中国高級ブランドを語る会合でこう語った。「今後3年以内に、『愛国者』ブランドの専門店が世界の主要な繁華街のルイ・ヴィトンの店舗横に出店されるだろう」
<中略>
「かつてメード・イン・ジャパンは米国で低品質の代名詞だった。ソニーなどが良い商品を次々投入してブランドを作り上げた。我々がそれを出来ない理由はない」と日本を強く意識する。「40年前はソニー、20年前は(韓国の)サムスン電子、これからはアイゴーの番だ」
手ぶれしないカメラの仕組みなど、競争力の源泉となる中心技術については詳細を語らない。「消費者が求める製品を独自技術で開発する」とだけ言う。
米国でカメラに次いで投入する製品は「aigoPad(アイゴーパッド)」。見かけは米アップルの「iPad(アイパッド)」によく似ている。ただ、電話機として通話もできるという。
■「EVなら勝機」
「BYDはアメリカで、新エネルギー自動車の一つのブランドになるだろう」
中国の比亜迪汽車(BYDオート)の王伝福(ワン・チョワンフー)総裁は今月10日、デトロイトで開かれた北米国際自動車ショーで記者団に語った。
同社は来年、小型のミニバン型電気自動車(EV)「e6」を米国に投入する予定。6時間の充電で300キロ走る。中国で昨年5月に発売し、米国では3万ドル(約250万円)で売るといい、日本での発売も検討する。
同社は1995年に電池メーカーとして出発し、携帯電話向けなどで成長し、2003年に自動車に参入。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資していることでも知られ、日本の有力金型メーカー、オギハラの旧工場も手に入れた。
中国メーカーにとって、かつての日本メーカーと同様、米国市場への参入は悲願だ。販売台数が増えてコスト競争力が付くことに加え、「自動車産業の本場」で認められればブランド力も高まる。
このため、2008年の北米国際自動車ショーには中国メーカー5社が出展。会場の話題をさらった。しかし、中国車はほとんど米国に浸透せず、今年はBYD1社だけだった。
4回目の出展となる同社の記者発表会に臨んだ王総裁は、「米国はガソリン車の競争は激しく、我々はその戦いでは有利ではない。しかしEVとなれば話は違ってくる」と、中国メーカーでもEVなら勝算があると強調した。
■TVでイメージアップ作戦
米消費者には中国製品に対し、「安いが品質もそれなり」というイメージがまだ強く、中国のブランド名を冠した先端製品を米国で見かけることは少ない。
「メード・イン・チャイナ。シリコンバレーのソフトと共に」。携帯音楽プレーヤーの裏側にはこう書かれ、冷蔵庫の中には「メード・イン・チャイナ。欧州のスタイルと共に」と書かれている。
09年冬、中国の商業団体はこのような30秒のコマーシャルを作り、米テレビで繰り返し流した。中国製品がすでに米国にあふれていることを示し、イメージアップを狙ったものだ。
米貿易統計によると、10年1~11月の累計で米輸入相手国の1位は中国。輸入総額のほぼ2割だ。機械類がその半分で、なかでも携帯電話やコンピューター部品が上位を占める。例えばアップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」は、デザインや設計は米国だが、多くが中国で組み立てられ、米国に逆輸入されている。
コロンビア大のリタ・マックグラス准教授は、「中国はすでに高品質な製品を作る能力がある。中国製品に対する悪い評価は克服されつつある」とみる。
一方で、「日本が高品質との評価を確定させるまで20年近くかかった。最先端品で中国ブランドが米国に浸透するにはまだ相当時間がかかる」(ITアナリスト)との見方も根強い。(山川一基)
一方では、世界の有名ブランドのM&Aも進めています。NECのパソコン事業のレノボとの合弁も、レノボが過半数出資になるのだそうですね。
asahi.com(朝日新聞社):レノボが過半出資の方向 NECとの国内PC合弁会社 - PC・ゲーム - デジタル
精密部品、精密機械の製造機械といった分野では、依然として日本からの輸入に頼る中国、韓国ですが、モノづくりの大元にはまだまだ至っていないと言われています。しかし、売る方では着実に日米の企業を凌駕しつつあります。
精密技術、先端技術をリードする日本と言われていますが、10年単位で観ればいつかは追いつかれる可能性がありますし、技術があっても売れなければ宝の持ち腐れで、産業の拡大や雇用の創出といった規模の大きな経済のサイクルにはつながりません。
「ファブレス(fabless)」が注目されたのは、中国が世界の工場として注目された根源でした。
開発・設計と、販売(ブランド)を行い、工場を持たない製造業が新しいビジネスモデルとして注目されたのでした。同時に「ファウンドリ(foundry)」も注目されましたが。
「ファウンドリ(foundry)」と言ってよかった世界の工場たる中国企業が、「ファブレス(fabless)」を買い取った例が、レノボとIBMのパソコン事業でした。今また、NECのパソコン事業もその歴史を辿ろうとしています。
開発・設計や製造技術に胡坐をかいて売るしなものづくりになってしまっていて、売れる品物づくりが忘れられていたのではないでしょうか?
一朝一夕では築けないブランドも製造技術も持つ日本企業は、人件費などで「ファブレス(fabless)」となること(雇用は減る)は、就労人口減もありやむを得ませんが、ブランドを活かして売れる開発・設計に立ち戻り、復活をとげていただけることを願っています。
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