注目の比中首脳会談が、20日実施されました。
しかし、共同声明が発表されるには至っておらず、内容や今後の展望は不透明です。
米比の分断を謀る中国の狙いは達成されたのか。中国からの経済支援が途切れたままのフィリピンは、支援の再開を獲得出来たのでしょうか。
仲裁裁判所の裁定を棚上げ=遵守しないことを認めることは、現在も埋め立て継続や、軍事化を進める中国の姿勢を、フィリピンが容認することにもなり、抵抗の先方だったフィリピンの変節は、米国ほかの国々の対中勢力図への影響も大きく、国際法を無視する中国の力(金力と軍事力)による覇権拡大が加速されることになります。
中国 南シナ海、比に棚上げ提案 首脳会談 投資・海上協力で合意 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
南シナ海で、「航行の自由作戦」を展開する姿勢を示し、中国の力による現状変更を進めようとしている米国や関連諸国にとって、その推進と中国の国際法を無視する姿勢の抑止力への大きな推進力となった仲裁裁判所の裁定が、当事国のフィリピンが棚上げし、中国の国際法無視の姿勢を黙認することとなれば、せっかくの追い風を失うこととなり、分断作戦を狙っている中国の勝利となります。
ドゥテルテ大統領が、反米感情が強いとはいえ、それが理解出来ていないとは考えられません。内容が不透明で、共同声明が発せられるにいたらなかったのは、ドゥテルテ大統領が、国益、国家の主権を守ろうとした証と推測しますがどうどしょう。
米比の分断を狙う中国は、経済援助の代償に、共同演習の中止を打ち出しているドゥテルテ大統領に、さらなる米軍排除を要求してくるでしょう。それをドゥテルテ大統領が飲めば、米国の「リバランス戦略は根底から見直しを迫られることになります。米国の大統領選による政治空白を突いて、いっきに米比分断をすすめたい中国の狙いが成就、勝利することとなります。
しかし、ドゥテルテ大統領にも国内世論の圧力もあります。
ドゥテルテ大統領が、「棚上げ」に動いているのは、「和解」ではない。米中を天秤にかけ両国から国益を引き出すためだとの指摘をするのは、南洋工科大の古賀助教。
仲裁裁定を前提とするドゥテルテ大統領の姿勢は一貫していて、対中二国間交渉の中では、仲裁裁定を武器に、出したり、棚上げを装ったりして、国益を追求し続けると。
また、「航行の自由」作戦を開始した米国が、その後も南シナ海の軍事拠点化を続ける中国に対し、抑止行動が微弱で本気度に疑問があること、国際法がフィリピンの主権を中国が侵害したと認めたにもかかわらず、同盟国として中国への軍事的圧力を加えるなどの具体策を示していないことから、ドゥテルテ大統領は、米国のコミットメントを試しているのだと古賀助教は指摘されています。
25日から来日するドゥテルテ大統領。米国とのコミニュケーションがうまくとれていない、不透明なドゥテルテ大統領と信頼関係を構築し、ドゥテルテ大統領を対中抑止力側(国際法を順守させようとする側)に繋ぎとめることが出来るのか。アジアの雄国として期待される日本の役割を安倍首相が果たしてしただけることを期待します。
フィリピン ドゥテルテ大統領、初の外遊先国、中国訪問 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、習近平と面談したドゥテルテ大統領
この花の名前は、シャガ
↓よろしかったら、お願いします。
しかし、共同声明が発表されるには至っておらず、内容や今後の展望は不透明です。
米比の分断を謀る中国の狙いは達成されたのか。中国からの経済支援が途切れたままのフィリピンは、支援の再開を獲得出来たのでしょうか。
仲裁裁判所の裁定を棚上げ=遵守しないことを認めることは、現在も埋め立て継続や、軍事化を進める中国の姿勢を、フィリピンが容認することにもなり、抵抗の先方だったフィリピンの変節は、米国ほかの国々の対中勢力図への影響も大きく、国際法を無視する中国の力(金力と軍事力)による覇権拡大が加速されることになります。
中国 南シナ海、比に棚上げ提案 首脳会談 投資・海上協力で合意 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
中比首脳会談 米、アジア戦略の崩壊恐れ (10/21 産経)
【ワシントン=青木伸行】オバマ米政権は、フィリピンのドゥテルテ大統領の訪中と習近平国家主席との首脳会談を受け、アジア太平洋地域における米軍のリバランス(再均衡)戦略からフィリピンが離れ、同盟関係のリセットにつながるものと深刻に受け止めている。フィリピンをつなぎ留める有効な手立てはなく、とりつく島もないのが実情だ。
中比が南シナ海の領有権争いを一時、棚上げする機運を強めていることについて、米政府は当事国ではなく、「平和的解決」を訴えてきたことから、表立って非難しがたい。
だが、南シナ海における中国の主権主張を退けた7月の仲裁裁判所の判断を、ドゥテルテ氏が背後に押しやれば、米政府は中国に「国際法の順守」を要求する重要な論拠の一つを失うことになる。
それ以上に、中比が将来的に南シナ海の共同開発へと進むとすれば、中国が軍事拠点化を進める人工島の存在を、フィリピンが事実上、容認することにつながる。中国は今後、ドゥテルテ政権に、人工島の目と鼻の先にあるパラワン島の米軍使用を、中止するよう打診するとの観測もある。
そうなれば「リバランス戦略は根底から見直しを迫られ、地域における米軍と同盟の弱体化を目指してきた中国の勝利になる」(政府筋)といえるだろう。
アキノ前政権時代、東南アジアにあって中国に対し最も強硬だったフィリピンの姿勢転換が、他の諸国の“米国離れ”を誘発することへの警戒感も、米政府にはある。とりわけ、全方位外交を取りながらも近年、米国寄りにシフトしてきたベトナムに微妙な影響を与えることは、要注意だろう。
東南アジアにおける米中の軍事、外交の力関係が中国寄りに傾くことは、リバランス戦略に打撃となる。
今回の首脳会談と今後の2国間協議を経て、ドゥテルテ氏はいずれ、米政府にいっそうの経済協力を求めてくると見る向きも、米政府内にはある。そうなれば「関係修復」のきっかけとなるが、現時点では希望的観測にすぎない。
【ワシントン=青木伸行】オバマ米政権は、フィリピンのドゥテルテ大統領の訪中と習近平国家主席との首脳会談を受け、アジア太平洋地域における米軍のリバランス(再均衡)戦略からフィリピンが離れ、同盟関係のリセットにつながるものと深刻に受け止めている。フィリピンをつなぎ留める有効な手立てはなく、とりつく島もないのが実情だ。
中比が南シナ海の領有権争いを一時、棚上げする機運を強めていることについて、米政府は当事国ではなく、「平和的解決」を訴えてきたことから、表立って非難しがたい。
だが、南シナ海における中国の主権主張を退けた7月の仲裁裁判所の判断を、ドゥテルテ氏が背後に押しやれば、米政府は中国に「国際法の順守」を要求する重要な論拠の一つを失うことになる。
それ以上に、中比が将来的に南シナ海の共同開発へと進むとすれば、中国が軍事拠点化を進める人工島の存在を、フィリピンが事実上、容認することにつながる。中国は今後、ドゥテルテ政権に、人工島の目と鼻の先にあるパラワン島の米軍使用を、中止するよう打診するとの観測もある。
そうなれば「リバランス戦略は根底から見直しを迫られ、地域における米軍と同盟の弱体化を目指してきた中国の勝利になる」(政府筋)といえるだろう。
アキノ前政権時代、東南アジアにあって中国に対し最も強硬だったフィリピンの姿勢転換が、他の諸国の“米国離れ”を誘発することへの警戒感も、米政府にはある。とりわけ、全方位外交を取りながらも近年、米国寄りにシフトしてきたベトナムに微妙な影響を与えることは、要注意だろう。
東南アジアにおける米中の軍事、外交の力関係が中国寄りに傾くことは、リバランス戦略に打撃となる。
今回の首脳会談と今後の2国間協議を経て、ドゥテルテ氏はいずれ、米政府にいっそうの経済協力を求めてくると見る向きも、米政府内にはある。そうなれば「関係修復」のきっかけとなるが、現時点では希望的観測にすぎない。
南シナ海で、「航行の自由作戦」を展開する姿勢を示し、中国の力による現状変更を進めようとしている米国や関連諸国にとって、その推進と中国の国際法を無視する姿勢の抑止力への大きな推進力となった仲裁裁判所の裁定が、当事国のフィリピンが棚上げし、中国の国際法無視の姿勢を黙認することとなれば、せっかくの追い風を失うこととなり、分断作戦を狙っている中国の勝利となります。
ドゥテルテ大統領が、反米感情が強いとはいえ、それが理解出来ていないとは考えられません。内容が不透明で、共同声明が発せられるにいたらなかったのは、ドゥテルテ大統領が、国益、国家の主権を守ろうとした証と推測しますがどうどしょう。
米比の分断を狙う中国は、経済援助の代償に、共同演習の中止を打ち出しているドゥテルテ大統領に、さらなる米軍排除を要求してくるでしょう。それをドゥテルテ大統領が飲めば、米国の「リバランス戦略は根底から見直しを迫られることになります。米国の大統領選による政治空白を突いて、いっきに米比分断をすすめたい中国の狙いが成就、勝利することとなります。
しかし、ドゥテルテ大統領にも国内世論の圧力もあります。
中比合意、不透明ばかり 多数の経済支援、海上協力 (10/21 産経)
【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領は、初の訪中で多くの経済支援の約束を取り付け、一定の成果を収めた。ただ、実際に実行されるかはなお不透明。協力文書に盛り込まれた「海上協力」も内容が不明確だ。南シナ海におけるフィリピンの主権を侵害する内容となれば、国内世論の反発は必至で、政権のよりどころである高い支持率も急落しかねない。
■首脳会談 フィリピン国内反発も
ドゥテルテ氏は20日、習近平国家主席と会談し「中国と密接に協力する」と友好関係を強調。習氏は、フィリピンで整備が遅れている交通インフラなどで協力を約束した。
ただ、約束が履行されない可能性もある。中国は以前、フィリピンで通信インフラ整備計画を進めたが、当時のアロヨ政権へ中国企業からの賄賂疑惑が浮上し2007年に中止。鉄道整備計画でも、中国が政府開発援助(ODA)で04年に事業に着手したが、建設の遅れなどを理由にアキノ前大統領が11年に凍結。南シナ海の領有権問題の対立もあって、中国からのODAは途切れたままだ。
仲裁裁判所は7月、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺でのフィリピン側の漁業権を認めたが、中国の監視船は今もフィリピン漁民を排除している。
ドゥテルテ氏がフィリピンの主権放棄を伴うかたちで中国からの妥協案を受け入れれば、憲法違反で弾劾対象になり得る。
首都マニラでは近年、スカボロー礁から漁民を締め出す中国の大使館前でデモが頻繁に行われている。主権問題で、安易な譲歩は許されない状況にある。
【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領は、初の訪中で多くの経済支援の約束を取り付け、一定の成果を収めた。ただ、実際に実行されるかはなお不透明。協力文書に盛り込まれた「海上協力」も内容が不明確だ。南シナ海におけるフィリピンの主権を侵害する内容となれば、国内世論の反発は必至で、政権のよりどころである高い支持率も急落しかねない。
■首脳会談 フィリピン国内反発も
ドゥテルテ氏は20日、習近平国家主席と会談し「中国と密接に協力する」と友好関係を強調。習氏は、フィリピンで整備が遅れている交通インフラなどで協力を約束した。
ただ、約束が履行されない可能性もある。中国は以前、フィリピンで通信インフラ整備計画を進めたが、当時のアロヨ政権へ中国企業からの賄賂疑惑が浮上し2007年に中止。鉄道整備計画でも、中国が政府開発援助(ODA)で04年に事業に着手したが、建設の遅れなどを理由にアキノ前大統領が11年に凍結。南シナ海の領有権問題の対立もあって、中国からのODAは途切れたままだ。
仲裁裁判所は7月、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺でのフィリピン側の漁業権を認めたが、中国の監視船は今もフィリピン漁民を排除している。
ドゥテルテ氏がフィリピンの主権放棄を伴うかたちで中国からの妥協案を受け入れれば、憲法違反で弾劾対象になり得る。
首都マニラでは近年、スカボロー礁から漁民を締め出す中国の大使館前でデモが頻繁に行われている。主権問題で、安易な譲歩は許されない状況にある。
ドゥテルテ大統領が、「棚上げ」に動いているのは、「和解」ではない。米中を天秤にかけ両国から国益を引き出すためだとの指摘をするのは、南洋工科大の古賀助教。
米中を試す「棚上げ」、「和解」ではない 南洋工科大助教・古賀慶氏 (10/21 産経)
南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁定について、フィリピンが首脳会談で順守を求めなかったのは、一時的な「棚上げ」に応じただけで「和解」ではない。今後の2国間協議で、再び裁定順守を迫り中国から譲歩を引き出す展開もあり得る。少なくともその可能性は捨てていない。
中国との領有権交渉で、仲裁裁定を前提とするドゥテルテ大統領の姿勢は一貫している。存在自体を無視する中国と認識は乖離(かいり)している。中国の態度を変えられない以上、認識の違いは見て見ぬふりをして中国の顔を立てたほうが、建設的であると判断した。
仲裁裁定後は大規模な埋め立てなどの中国の現状変更行動は認められておらず、外交摩擦は残るものの一定の安定が維持されていることも対話を促す一因と捉えられる。
ドゥテルテ氏が中国に歩み寄る姿勢を示した理由に反米感情が挙げられるが、米国のコミットメントを試す意味合いもある。
米国の「航行の自由」作戦後も中国は南シナ海の軍事拠点化を続け、米国の対中抑止力に疑問の声が上がっている。また米国が主張する国際法がフィリピンの主権を中国が侵害したと認めたにもかかわらず、同盟国として中国への軍事的圧力を加えるなどの具体策を示していない。
米大統領選がアジアへの「リバランス(再均衡)政策」にどう影響するか見極める必要もあり、外交政策で不透明感の高まる米国を牽制(けんせい)している。(談)
南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁定について、フィリピンが首脳会談で順守を求めなかったのは、一時的な「棚上げ」に応じただけで「和解」ではない。今後の2国間協議で、再び裁定順守を迫り中国から譲歩を引き出す展開もあり得る。少なくともその可能性は捨てていない。
中国との領有権交渉で、仲裁裁定を前提とするドゥテルテ大統領の姿勢は一貫している。存在自体を無視する中国と認識は乖離(かいり)している。中国の態度を変えられない以上、認識の違いは見て見ぬふりをして中国の顔を立てたほうが、建設的であると判断した。
仲裁裁定後は大規模な埋め立てなどの中国の現状変更行動は認められておらず、外交摩擦は残るものの一定の安定が維持されていることも対話を促す一因と捉えられる。
ドゥテルテ氏が中国に歩み寄る姿勢を示した理由に反米感情が挙げられるが、米国のコミットメントを試す意味合いもある。
米国の「航行の自由」作戦後も中国は南シナ海の軍事拠点化を続け、米国の対中抑止力に疑問の声が上がっている。また米国が主張する国際法がフィリピンの主権を中国が侵害したと認めたにもかかわらず、同盟国として中国への軍事的圧力を加えるなどの具体策を示していない。
米大統領選がアジアへの「リバランス(再均衡)政策」にどう影響するか見極める必要もあり、外交政策で不透明感の高まる米国を牽制(けんせい)している。(談)
仲裁裁定を前提とするドゥテルテ大統領の姿勢は一貫していて、対中二国間交渉の中では、仲裁裁定を武器に、出したり、棚上げを装ったりして、国益を追求し続けると。
また、「航行の自由」作戦を開始した米国が、その後も南シナ海の軍事拠点化を続ける中国に対し、抑止行動が微弱で本気度に疑問があること、国際法がフィリピンの主権を中国が侵害したと認めたにもかかわらず、同盟国として中国への軍事的圧力を加えるなどの具体策を示していないことから、ドゥテルテ大統領は、米国のコミットメントを試しているのだと古賀助教は指摘されています。
25日から来日するドゥテルテ大統領。米国とのコミニュケーションがうまくとれていない、不透明なドゥテルテ大統領と信頼関係を構築し、ドゥテルテ大統領を対中抑止力側(国際法を順守させようとする側)に繋ぎとめることが出来るのか。アジアの雄国として期待される日本の役割を安倍首相が果たしてしただけることを期待します。
フィリピン ドゥテルテ大統領、初の外遊先国、中国訪問 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、習近平と面談したドゥテルテ大統領
この花の名前は、シャガ
↓よろしかったら、お願いします。
トゥテルテ大統領と習近平国家主席との会談での共同声明について、本文中の産経のリンク記事に基づいて、発表に至っていないとしていましたが、今朝(10/22)の読売では、共同声明が公開された様です。
中国によるバナナの輸入禁止は解除された様ですが、肝心の、スカボロー礁周辺でのフィリピン側の漁業権については触れられていない様ですね。ドゥテルテ大統領は、ここを黙殺されても共同声明に合意した(=弱気?)のですね。
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中比共同声明の要旨 (10/22 読売朝刊)
【南シナ海問題】係争は両国関係の全てではない。国連憲章や国連海洋法条約を含む国際法の原則にのっとり、直接関係する主権国家の協議を通して平和的な方法で領土や管轄権の争いを解決する。他のメカニズムを補完し、損なわないことを基礎とした2国間の対話メカニズムは有益だ。南シナ海の関心事項を話し合う定期対話を行う。
【経済協力】社会基盤への投資や建設、金融分野の協力を進め、アジアインフラ投資銀行などの枠組みでの協力を強化する。フィリピンは、フィリピン産バナナなどの対中輸出再開を歓迎する。
【その他の協力】中国はフィリピン政府の麻薬取り締まりを理解、支持する。海難事故対応などで海上警備部門間の協力を強化する。
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