習近平が共産党の維持継続に欠かせないと、汚職などの腐敗にメスを入れることに力をそそいでいることは、諸兄がご承知の通りです。
これには、人民の共産党への支持を失わない様にすることの他に、軟弱な習近平の政治基盤を強める(逆効果を産むとの説も根強い)目的もあるのですね。
ところが、更にもう一つの目的があると、宮家邦彦氏が興味深い指摘をしておられます。
日清戦争で何故中国が日本に負けたのかの研究がなされていて、当時の軍隊と、今の人民解放軍が似ていることから、腐敗の撲滅を計っているとの説です。
サンシュユの実
↓よろしかったら、お願いします。
これには、人民の共産党への支持を失わない様にすることの他に、軟弱な習近平の政治基盤を強める(逆効果を産むとの説も根強い)目的もあるのですね。
ところが、更にもう一つの目的があると、宮家邦彦氏が興味深い指摘をしておられます。
日清戦争で何故中国が日本に負けたのかの研究がなされていて、当時の軍隊と、今の人民解放軍が似ていることから、腐敗の撲滅を計っているとの説です。
中国は今の人民解放軍で本当に戦えるのか 中国株式会社の研究(253)~自衛隊と人民解放軍の違い 宮家 邦彦:JBpress(日本ビジネスプレス)
日清戦争から120年の今年に入り、中国では解放軍内の不正・腐敗が有事の戦闘能力に及ぼす悪影響を懸念する声が高まっているという。8月19日付北京発ロイター通信記事は、解放軍幹部・国営メディアなどで、「戦争になっても勝てないのではとの疑念も出ている」とまで報じている。
一方、日本の自衛隊についても新しい発見があった。
実のところ、この原稿は御殿場からの帰りの車内で書いている。陸上自衛隊の富士総合火力演習のリハーサルと国際活動教育隊を見学させてもらったのだが、なるほど自衛隊もやるものだと感じた。という訳で、今回のテーマは「日中もし戦わば」である。
中国国内の懸念
例によって、関連報道・事実関係をまとめてみたい。まずはネット上で拾ってきた中国内の論調から始めよう。
今年7月は日清戦争開戦120周年だ。
中国共産党の機関紙「人民日報」や人民解放軍の機関紙「解放軍報」などでは同戦争の敗因分析が活発に行われているらしい。各種報道を読む限り、中国側はこの件につき共産党・軍主導で組織的かつ大規模なキャンペーンを張っているようだ。
こうした背景には、今も軍にはびこる不正・腐敗や海洋主権確保能力に対する習近平総書記の危機感があるとの見方が根強い。
だがこれとは別に、党内・軍内・学会には1894年当時圧倒的に優勢とされた清帝国が日本に敗れた理由、その教訓に学ぶべきだとの論調が少なくないという。少し具体例を挙げよう。
●甲午(日清)戦争に敗れた真の原因は、清朝の政治体制・官僚制度・軍隊が腐敗・堕落していたからである。(光明日報)
●明治維新後に「殖産興業」を進め、西側資本主義の社会制度を導入した日本に対し、清が1860年代に展開した「洋務運動」は社会制度に触れず、改革の効果も日本に及ばなかった。(社会科学院研究者)
●甲午戦争の敗勢は、根本的に清の内政・外交の全面的な失敗が引き起こした。今日の中国も当時と同様、全面的な改革が歴史的任務であり、改革の成否が国家の未来を決める。(第一財経日報)
●海洋権力の喪失が近代中国の落後を加速させた。海洋強国を建設する歴史的使命は、既に現代中国人の双肩にかかっている。(人民解放軍後勤学院教授)
ロイター通信の記事
こうした中国内の状況を8月18日付北京発ロイター通信記事は次のように伝えている。
●東・南シナ海をめぐり周辺国との緊張が高まる中国で、最近人民解放軍の不正・腐敗に対する懸念が高まっている。
●現職・退職幹部や国営メディアからは、あまりの堕落ぶりに戦争になっても勝てないのではないかとの疑念も出ている。
●中国政府系メディアはここ数カ月、人民解放軍ではびこる汚職と軍の腐敗が120年前の日清戦争における中国の敗北につながったことを関連付けた記事を相次いで掲載している。
●軍の腐敗体質は、谷俊山・元総後勤部副部長と徐才厚・元共産党中央軍事委員会副主席の収賄容疑という2件のスキャンダルにより改めて浮き彫りにされた。
●軍高官らが懸念するのは、中国で長年にわたり公然の秘密となっている幹部ポストの売買だ。こうした悪弊が優秀な人材の排除につながっているからである。
●軍の元幹部で論客として知られる羅援氏は「腐敗幹部が現れ続ければ、軍にいくらお金を投じても足りないだろう」と指摘した。
●同幹部は、「徐才厚や谷俊山のような腐敗幹部が吸い上げたお金は数億もしくは数十億元になる。これで何機の戦闘機が作れるのだろうか。腐敗を取り除かなければ、戦う前に敗れるだろう」と述べた。
イラク正規軍と同じ病根
このロイター記事を読んで、筆者は思わず唸ってしまった。「これじゃ、イラク正規軍と同じじゃないか」。
<中略>
中国の識者の中には、「19世紀末当時の清朝の軍隊に存在する問題はその多くが今と似ており、それはコネを利用する点や、派閥、腐敗等が含まれる」といった辛辣な意見もあるようだ。
彼らは、「拡張と現代化(明治維新)の時期の日本軍隊は規律と責任感を強めたため、清朝の北洋艦隊を粉砕できた」と考えている。清朝軍隊とイラク正規軍と人民解放軍。これら3つの軍隊組織には、気味が悪いほどの共通点がある。だが、三者の共通点はこれだけではない。
急激に拡大した軍の弱点
もう1つの重要な共通点は「軍隊の急激な拡大と近代化」だ。イラク正規軍もたった8年間で米軍と同じ最新装備を持つ近代的軍隊に変貌を遂げた。見てくれは確かに変わったが、中身は同じイラク兵士だ。そんな複雑な装備を一朝一夕で使いこなせるようになるはずはないのである。
最新兵器を持つ新しい部隊の数が急激に増えても、全体の戦闘能力は直ちに向上しない。それどころか、新装備、新編成、新戦術に完熟するにはざっと5年10年の時間がかかる。そもそも、既に不正・腐敗で大幅に士気が低下していたイラク軍は、保持する装備品ほど強力な軍隊ではなかったのだ。
このことは現在の人民解放軍にも言えることだろう。
最近、南シナ海や東シナ海で米海軍や海上自衛隊・航空自衛隊に対する様々な嫌がらせが起きている。このように短期間で急激に拡大しながら兵員の練度が追いつかない未熟な軍隊ほど危険なものはないのである。
日清戦争直前、日本の陸上部隊は国軍として編成・装備が統一され、訓練・士気ともに高く、質的に清国軍を大きく凌駕していた。
これに対し、清国本来の正規軍である八旗と緑営の軍制は乱れ、精神的にも腐敗堕落し、阿片戦争、太平天国の乱などを通じて、もはや軍隊として機能しなくなっていたという。
さらに、当時の日本海軍は清国艦隊に総隻数、総トン数、巨大戦艦などの面で劣っていたものの、部隊の士気、技能、指揮統率面で清国海軍よりもはるかに優れていた。これに対し、数で勝る清国海軍には旧型艦艇が多く、訓練・士気ともに劣り、指揮権も訓練も統一されていなかったそうだ。
陸上自衛隊の練度の高さ
夕方まで御殿場にある陸上自衛隊国際活動教育隊で訓練を見学していた。PKO(平和維持活動)活動に投入される隊員の訓練のレベルは筆者の想像を超えていた。
例えば、自動小銃への実弾の装填・抜弾訓練だが、2人の隊員が代わる代わる、一つひとつの確認動作をお経のように唱えながら装填・抜弾を繰り返していた。
中東では米国、英国、豪州など各国軍隊の実弾装填・抜弾作業を何度も見てきたが、これほど美しい動きは見たことがない。これはもう単なる装填・抜弾動作ではなく、「茶道」、「華道」のような「様式美」のレベルに到達している。これこそ実弾の「装填道」と「抜弾道」、中国人には絶対無理だと思った。
たまたま居合わせた豪州軍人にも聞いてみたが、豪州でこれほど深く(in depth)装填・抜弾動作を訓練することはないという。
陸上自衛隊の人に聞いたら、「それはそうでしょう、でも日本人がやると、どうしても様式ができてしまうのです」、と笑っていた。これが日本の自衛隊の士気と規律の根源だと実感した。
もちろん、120年前と同じことが繰り返されるとは思わない。一番良いのは日中がお互いに衝突しないことだろう。
現在の人民解放軍がイラク正規軍レベルだとも言わない。しかし、120年前の清朝軍レベルのままである可能性は十分ある。現在の中国国内の議論が建設的な結論に至ることを期待したい。
日清戦争から120年の今年に入り、中国では解放軍内の不正・腐敗が有事の戦闘能力に及ぼす悪影響を懸念する声が高まっているという。8月19日付北京発ロイター通信記事は、解放軍幹部・国営メディアなどで、「戦争になっても勝てないのではとの疑念も出ている」とまで報じている。
一方、日本の自衛隊についても新しい発見があった。
実のところ、この原稿は御殿場からの帰りの車内で書いている。陸上自衛隊の富士総合火力演習のリハーサルと国際活動教育隊を見学させてもらったのだが、なるほど自衛隊もやるものだと感じた。という訳で、今回のテーマは「日中もし戦わば」である。
中国国内の懸念
例によって、関連報道・事実関係をまとめてみたい。まずはネット上で拾ってきた中国内の論調から始めよう。
今年7月は日清戦争開戦120周年だ。
中国共産党の機関紙「人民日報」や人民解放軍の機関紙「解放軍報」などでは同戦争の敗因分析が活発に行われているらしい。各種報道を読む限り、中国側はこの件につき共産党・軍主導で組織的かつ大規模なキャンペーンを張っているようだ。
こうした背景には、今も軍にはびこる不正・腐敗や海洋主権確保能力に対する習近平総書記の危機感があるとの見方が根強い。
だがこれとは別に、党内・軍内・学会には1894年当時圧倒的に優勢とされた清帝国が日本に敗れた理由、その教訓に学ぶべきだとの論調が少なくないという。少し具体例を挙げよう。
●甲午(日清)戦争に敗れた真の原因は、清朝の政治体制・官僚制度・軍隊が腐敗・堕落していたからである。(光明日報)
●明治維新後に「殖産興業」を進め、西側資本主義の社会制度を導入した日本に対し、清が1860年代に展開した「洋務運動」は社会制度に触れず、改革の効果も日本に及ばなかった。(社会科学院研究者)
●甲午戦争の敗勢は、根本的に清の内政・外交の全面的な失敗が引き起こした。今日の中国も当時と同様、全面的な改革が歴史的任務であり、改革の成否が国家の未来を決める。(第一財経日報)
●海洋権力の喪失が近代中国の落後を加速させた。海洋強国を建設する歴史的使命は、既に現代中国人の双肩にかかっている。(人民解放軍後勤学院教授)
ロイター通信の記事
こうした中国内の状況を8月18日付北京発ロイター通信記事は次のように伝えている。
●東・南シナ海をめぐり周辺国との緊張が高まる中国で、最近人民解放軍の不正・腐敗に対する懸念が高まっている。
●現職・退職幹部や国営メディアからは、あまりの堕落ぶりに戦争になっても勝てないのではないかとの疑念も出ている。
●中国政府系メディアはここ数カ月、人民解放軍ではびこる汚職と軍の腐敗が120年前の日清戦争における中国の敗北につながったことを関連付けた記事を相次いで掲載している。
●軍の腐敗体質は、谷俊山・元総後勤部副部長と徐才厚・元共産党中央軍事委員会副主席の収賄容疑という2件のスキャンダルにより改めて浮き彫りにされた。
●軍高官らが懸念するのは、中国で長年にわたり公然の秘密となっている幹部ポストの売買だ。こうした悪弊が優秀な人材の排除につながっているからである。
●軍の元幹部で論客として知られる羅援氏は「腐敗幹部が現れ続ければ、軍にいくらお金を投じても足りないだろう」と指摘した。
●同幹部は、「徐才厚や谷俊山のような腐敗幹部が吸い上げたお金は数億もしくは数十億元になる。これで何機の戦闘機が作れるのだろうか。腐敗を取り除かなければ、戦う前に敗れるだろう」と述べた。
イラク正規軍と同じ病根
このロイター記事を読んで、筆者は思わず唸ってしまった。「これじゃ、イラク正規軍と同じじゃないか」。
<中略>
中国の識者の中には、「19世紀末当時の清朝の軍隊に存在する問題はその多くが今と似ており、それはコネを利用する点や、派閥、腐敗等が含まれる」といった辛辣な意見もあるようだ。
彼らは、「拡張と現代化(明治維新)の時期の日本軍隊は規律と責任感を強めたため、清朝の北洋艦隊を粉砕できた」と考えている。清朝軍隊とイラク正規軍と人民解放軍。これら3つの軍隊組織には、気味が悪いほどの共通点がある。だが、三者の共通点はこれだけではない。
急激に拡大した軍の弱点
もう1つの重要な共通点は「軍隊の急激な拡大と近代化」だ。イラク正規軍もたった8年間で米軍と同じ最新装備を持つ近代的軍隊に変貌を遂げた。見てくれは確かに変わったが、中身は同じイラク兵士だ。そんな複雑な装備を一朝一夕で使いこなせるようになるはずはないのである。
最新兵器を持つ新しい部隊の数が急激に増えても、全体の戦闘能力は直ちに向上しない。それどころか、新装備、新編成、新戦術に完熟するにはざっと5年10年の時間がかかる。そもそも、既に不正・腐敗で大幅に士気が低下していたイラク軍は、保持する装備品ほど強力な軍隊ではなかったのだ。
このことは現在の人民解放軍にも言えることだろう。
最近、南シナ海や東シナ海で米海軍や海上自衛隊・航空自衛隊に対する様々な嫌がらせが起きている。このように短期間で急激に拡大しながら兵員の練度が追いつかない未熟な軍隊ほど危険なものはないのである。
日清戦争直前、日本の陸上部隊は国軍として編成・装備が統一され、訓練・士気ともに高く、質的に清国軍を大きく凌駕していた。
これに対し、清国本来の正規軍である八旗と緑営の軍制は乱れ、精神的にも腐敗堕落し、阿片戦争、太平天国の乱などを通じて、もはや軍隊として機能しなくなっていたという。
さらに、当時の日本海軍は清国艦隊に総隻数、総トン数、巨大戦艦などの面で劣っていたものの、部隊の士気、技能、指揮統率面で清国海軍よりもはるかに優れていた。これに対し、数で勝る清国海軍には旧型艦艇が多く、訓練・士気ともに劣り、指揮権も訓練も統一されていなかったそうだ。
陸上自衛隊の練度の高さ
夕方まで御殿場にある陸上自衛隊国際活動教育隊で訓練を見学していた。PKO(平和維持活動)活動に投入される隊員の訓練のレベルは筆者の想像を超えていた。
例えば、自動小銃への実弾の装填・抜弾訓練だが、2人の隊員が代わる代わる、一つひとつの確認動作をお経のように唱えながら装填・抜弾を繰り返していた。
中東では米国、英国、豪州など各国軍隊の実弾装填・抜弾作業を何度も見てきたが、これほど美しい動きは見たことがない。これはもう単なる装填・抜弾動作ではなく、「茶道」、「華道」のような「様式美」のレベルに到達している。これこそ実弾の「装填道」と「抜弾道」、中国人には絶対無理だと思った。
たまたま居合わせた豪州軍人にも聞いてみたが、豪州でこれほど深く(in depth)装填・抜弾動作を訓練することはないという。
陸上自衛隊の人に聞いたら、「それはそうでしょう、でも日本人がやると、どうしても様式ができてしまうのです」、と笑っていた。これが日本の自衛隊の士気と規律の根源だと実感した。
もちろん、120年前と同じことが繰り返されるとは思わない。一番良いのは日中がお互いに衝突しないことだろう。
現在の人民解放軍がイラク正規軍レベルだとも言わない。しかし、120年前の清朝軍レベルのままである可能性は十分ある。現在の中国国内の議論が建設的な結論に至ることを期待したい。
お金に糸目をつけず軍拡を続け、米国に追いつき追い越して、世界一の強国を目指す中国。
しかし、現状では幹部の汚職がはびこり、士気は低い。新規設備を使いこなせる技術も訓練も追いついていない。これは、日清戦争で清国の軍隊が日本に負けた原因と酷似しているというのですね。
もしも日本と中国が戦争しても、日本に向けて配備・設置されている核ミサイルの攻撃を防ぐことが出来れば、日本は負けないと、多くの専門家の方々が解説される所以ですね。
勿論、実際に開戦されることが無い様、抑止力を高めておくことが大事で、どうしたら戦争に至らないですませられるかに注力が必要なことは、申し上げるまでもないことです。
中国軍にも優秀な方はいらっしゃるはずですから、日米と人民解放軍との実力差が解っている方々もいらっしゃるはずです。
だから、軍の改革を推進していると言うことでしょうが、戦争をすることを目的に軍拡をすすめても、逆に世界から孤立し自滅する道へ転落することとなりますから、ブーメランの様に自国を滅ぼす凶器(世界世論)となって、戻って来ることになります。
中国共産党は、人民の離反を許すことを防ぐのに、戦争による覇権拡大ではなく、人民の生活改善や、法律の上に共産党がある体制を、憲政に改変していく必要があります。
サンシュユの実
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日本の7月の貿易収支が出ましたね。
9600億円の赤字!
壊滅的な悪い数字ですね。
この中で対中国は3200億円の赤字。
ありゃこれもダメか?
しかし問題は内容で、以前から中国は
組立産業のみと楽観視する人が多数いましたね。
7月の貿易で日本の中国への輸出は
金属加工品の増加が目立ち始め
スパートフォンの最終品から設計応用と中国が独自にはじめ、とうとう日本は中国の下請けに成り下がってきたという事実です。
このままでは日本は中国の属国になってしまいそうですね。