遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

核燃料サイクルは、露中印任せでいいのか

2014-03-29 23:58:58 | 新エネルギー
 原発反対の理由に挙げられるもので、最も多くの人々がうなづくものは、核のゴミ処理です。トイレの無いマンションと謳い、原発反対を叫びます。
 核廃棄物の処理には、現状では二つの方法が考えられています。ひとつは、人体に影響を及ぼさないレベルになるまで保管しておく方法。もう一つは半永久的なサイクル利用。
 後者の「核燃料サイクル」では、高速増殖炉での挑戦が行われてきて、日本では実験炉「常陽」を経て、原型炉「もんじゅ」まで進んでいますが、トラブル続きでとん挫し、費用負担の大きさから高速増殖炉での「核燃料サイクル」の是非が問われています。
 読売では、「脱原発を問う」との記事を連載していますが、今日は、高速増殖炉をとりあげていました。
 

夢の増殖炉 重い課題 (3/29 読売 政治の現場 脱原発を問う [6] )

 小泉元首相
が「原発ゼロ」の必要性を確信したのは、昨年夏のフィンランド視察だった、という。フィンランドでは使用済み核燃料をそのまま地層に埋めることを計画している。核燃料の人体への影響が天然ウランと同程度になるには約10万年必要だ。
 「
人体に影響を与えなくなるまで、10万年かかる。
近寄れば死んでしまう。これは無理だ」
 小泉氏は2月に行われた東京都知事選の応援演説で、こう絶叫して回った。
 だが、
甘利経済再生相は「生ゴミ(のようにそのままの)状態で捨てると10万年かかるが、高速増殖炉で燃やせば300年になる
」と話す。
 使用済み核燃料を再処理すると、有害性を自然状態に戻すのにかかる期間は、約10万年から約8000年まで短縮する。さらに、高速増殖炉で燃やす計画が実現すれば約300年になり、
ゴミの量も約7分の1
に減らすことが可能と文部科学省はみている。
 高速増殖炉は、日本が進める「核燃料サイクル」の中核に位置づけられてきた。サイクルの仕組みはこうだ。
 〈使用済み核燃料を再処理して高速増殖炉で燃やす。高速増殖炉は発電しながら、燃料から発生する高速の中性子をウランに当てることで、消費した以上の核燃料を生み出す。再び高速増殖炉で燃やす〉
 
サイクルは半永久的に回り続ける資源小国、日本のエネルギー政策の切り札とされてきた

 ただ、実用化に向けた研究の中心施設、
高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」はナトリウム漏れや部品落下など事故が続き、ほとんど運転できていない。
1万件を超える点検漏れという管理体制の問題も発覚した。
 そもそも、高速増殖炉の開発は容易ではない。一般的な原子炉である「軽水炉」は冷却材として水を使うが、高速増殖炉はナトリウムを用いる。水と触れると爆発的な反応を起こすナトリウムは取り扱いが難しく、開発のネックとなってきた。
 これまでに約1兆円もの費用が投入され、停止中でも年200億円近い維持・管理費がかかっている。政府が近くまとめる新たなエネルギー基本計画では、これまで掲げてきた2050年頃という、開発の年次目標が削られる見通しだ。
 それでも、
下村文部科学相は2月、研究の継続を表明
した。高速増殖炉による使用済み核燃料の減量や、毒性期間の短縮は今後の重要な課題だからだ。北海道大教授や日本原子力技術協会最高顧問を務めた石川迪夫(みちお)氏も、「『核燃料サイクル』は将来、必ず必要になる」と強調する。
 
諸外国は高速増殖炉にどう向き合っているのだろうか。

 実用化の見通しが不透明な中、
米英独は開発から撤退した。これに対し、ロシアは原型炉を稼働中で、15年前後には実証炉の運転を始める予定だ。中国は年内に原型炉2基を着工インドも原型炉の運転を始める方針だ。いずれもエネルギー源確保が狙いとみられる。
 
フランスの場合は1973年に原型炉、85年には実証炉を稼働させた。事故が相次いだことなどから、98年に実証炉の廃炉を決めたものの、現在も使用済み核燃料の毒性期間の短縮の研究を主な目的に、高速増殖炉と同様の技術をベースにする次世代型高速炉の開発
に取り組んでいる。
 昨年6月、オランド仏大統領と安倍首相の昼食会が首相官邸で開かれた。両首脳は新しい高速炉の開発で協力していくことを確認した。
 フランス大使館のクリストフ・グゼリ参事官(原子力担当)は「
フランスにとっては技術力のある日本が唯一のキー・パートナー
だ。日本が『原発ゼロ』になったら協力できるパートナーがいなくなってしまう」と話している。

もんじゅ実用化遠く
 高速増殖炉の開発は、実験炉→原型炉→実証炉→商業炉という段階を踏んで、実用化される。
 1977年、実験炉「常陽」(茨城県)がウランの核分裂が連続的に起きる臨界に達した。常陽は日本初、世界では5か国目の高速増殖炉となった。常陽の基礎的な研究をもとに作られたのが原型炉「もんじゅ」だ。政府は、2025年頃を目標に経済性や信頼性を確認する実証炉を稼働し、50年頃をメドに商業炉を導入する計画だった。


 資源の少ない日本にとって、半永久的にサイクル利用でき、廃棄物も少なくなる高速増殖炉は、夢のエネルギーでした。
 しかし、「もんじゅ」は事故や、管理のずさんさもあり、稼働できていません。もんじゅについて、稼働停止や廃炉の議論が強まっていますね。
 
もんじゅ実用化計画、白紙か 日経報じ、官房長官は全否定 : J-CASTニュース
 核物質を増殖させて何千年も使い続けようという「夢の原子炉」に見切り - 遊爺雑記帳

 米英独は既に撤退しています。
 がしかし、ロシアは原型炉を稼働中で、15年前後には実証炉の運転を始める予定だそうです。つまり、原型炉はロシアでは稼働しているのです。何故日本では出来ないのか。管理のずさんさに顕れている様に、現行スタッフの技術のレベルが低いのではありませんか。あるいは世界の先端技術に取り組んでいるとのおごりや甘えがありませんか。チェルノブイリの事故を対岸の火事と笑っていて、それ以上の事故を起こした日本の原子力関連技術業界に、共通したおごりと甘えははありませんか。
 おごりではなく、プライドがあるのなら、ロシアで出来て日本で出来ないことは、大金を使いながら恥ずかしいと思って反省していただかねばなりません。

 更に、中国やインドが取組を進めているのだそうです。これらの国土が広い国こそ、地下貯蔵でいいのに、高速増殖炉に取り組んでいるのです。
 日本は、原発技術の先進国とよく言われます。しかし、半導体産業の様に、既に後発の国に追いつき追い越されようとしているのではありませんか。
 フランスは、次世代型高速炉に取り組んでいるとのこと。そして、日本とのパートナーシップを求めている。
 地震国日本で、地下埋蔵が可能な土地があるのでしょうか。フランスと取り組んで、次世代高速炉(例えば減速材にナトリウム以外のものを使うとか)にも取り組んでいただきたい。

 エネルギー源を輸入に頼っていては、日本で産み出す富が、国外に流出し続けます。貿易収支の赤字の原因云々ではなく、現実に富が年間2兆円、流出していると言う話です。働けど働けど、富が流出するということです。
 
アベノミクスの空振りで拡大した「双子の赤字」 「貿易立国」の幻想はもう捨てよう:JBpress(日本ビジネスプレス)

 日本の原発技術が世界の最先端にあると言うのなら、原発を世界に輸出すると言うのなら、日本で産み出す富を日本で受け取りたいなら、日本を貧国にしたくないなら、ゴミが処理できる原発へのチャレンジはあきらめるべきではないでしょう。ロシアが出来るのなら日本でも出来るはずだと、日本の技術者の方々を信じています。


 # 冒頭の画像は、もんじゅ



  この花の名前は、ラティビダ・レッドミジェット


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