【北京=古谷浩一】日中が共同開発に向けて交渉準備を進めている東シナ海ガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)について、中国で同ガス田の開発を担う国有企業、中国海洋石油(CNOOC)幹部は8日、同ガス田で中国側が「生産段階」にあることを明らかにした。一方的な開発再開は日中間の合意に反し、中国政府はこれを認めていないが、同幹部は「すでに石油が出ている」とし、掘削の事実を確認した。
CNOOC監査機関責任者であり、北京で開会中の全国人民代表大会(国会に相当)の代表である宋恩来・CNOOC南海西部公司党委員会元書記が、朝日新聞などに語った。 宋氏は「春暁ガス田を我々はすでに開発し、生産をした。現在、すでに石油が出ている」とし、生産・掘削段階にあることを確認。「(日本との)争いの地域内であり、我々は協力することはできる。しかし、このガス田は自分たちの領土内にある。(日本は)今でも頻繁に邪魔をするが、我々は境界線上ですでに開始した。我々は作業を行った」と語った。
中国の楊潔チー(ヤン・チエチー=チーは竹かんむりに褫のつくり)外相は7日の記者会見で条約交渉の開始に前向きな姿勢を見せていたが、開発側が掘削を認めたことで、今後の日中政府間の協議に影響を与えることは必至だ。
白樺は、日本側が排他的経済水域(EEZ)の境界とする「日中中間線」付近の海域で中国側が先行開発。日本側の反発を受け、2008年6月に両国政府は日本法人の出資と出資比率に応じた利益分配に合意したが、中国側はその実行に向けて動かず、昨年5月の温家宝(ウェン・チアパオ)首相の来日で、共同開発の条約締結交渉に入ることで合意していた。
しかし、昨年9月に尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件が起き、中国政府は条約交渉延期の措置を発表。さらに、白樺の施設に中国側が掘削工具とみられる機材を持ち込んだことも確認された。
中国政府は「中国は春暁ガス田に完全な主権と管轄権がある。中国の活動は完全に合法的なものだ」(姜瑜外務省副報道局長)と主張。機材持ち込みは「修理のため」などと日本側に伝え、掘削の事実を認めなかったが、白樺周辺海面の変色などもあり、日本側には中国が掘削を開始しているとの見方が出ていた。
一方、宋氏は中国がベトナムやフィリピンなどと領有権問題を抱える南シナ海での油田開発を巡っても、CNOOCが中国政府に過去3年間、「積極的なガス田開発」を進める提議を行ってきたことを明らかにした。中国政府はこれを認めていないが、「我々には技術も資金も不足はない」とし、開発推進の意向を強調した。
asahi.com(朝日新聞社):中国外相、日中関係改善に意欲 ガス田交渉再開も前向き - 中国特集
中国外相、国際協調路線を誇示 領土などは譲歩せず :日本経済新聞
中国は、交渉延期後に機材を持ち込む、海面の色が変わるなど動きがみられ、生産開始の予測は出来ました。
日経の厳しい見方に反する、朝日の交渉再開の甘い見方のギャップは見事裏目に出ました。
ここで注目したいのは二つ。
一つは、朝日の報道に沿うと、外相と現場の不一致にもうけとれます。軍と政府の連携不足が時折見られるのですが、その類なのか?日経の記事からは、うかがい知れません。
二つ目は、なぜこの時期に暴露したのか。
全人代が開かれていることに関係があるのか。それもあるでしょうが、外相辞任の日本外交の空白を突かれています。尖閣沖漁船事故も、総理、外相が訪米中のタイミングを突かれています。
背景には、ロシアの北方領土に対する強引な手法が成功している、民主党政権の無能さを見透かして、真似をして強行実践策にでたのであり、その公表(政府は未だで企業に言わせる周到さ)タイミングを計っていたのですね。
機材持ち込み時に、前原氏は「掘削の可能性は高い」との見方を示していたにも関わらず、監視と抗議を怠ったつけがきたのですが、新外務大臣や、媚中の丹羽大使は公言に対し政府に質すと共に、厳重な抗議と、交渉再開要求を突き付けるべきですね。
東シナ海のガス田 前原外相が「中国が掘削の可能性」指摘 - MSN産経ニュース
枝野氏は、民主党らしくのらりくらりです。
枝野氏、東シナ海ガス田・中国企業生産報道に「大変遺憾なこと」強い不快感 - MSN産経ニュース
やはり外交空白の隙間へのかく乱なのか、ガス田発言への支援なのか、「海監」のヘリ(母船は発見できていないという情けなさ)が、海自の護衛艦「さみだれ」に異常接近し威嚇しています。
政府が抗議 中国ヘリが海自艦に異常接近、ガス田「白樺」付近 - MSN産経ニュース
日経の記事通りに、世界世論の手前の発言はしていますが、中身の各論ではゆるぎない覇権拡大を推進しています。口先だけの民主党には珍しい実務派といわれる新外務大臣に、頑張っていただくしかないでしょう。
↓よろしかったら、お願いします。
http://uk.reuters.com/article/2011/03/09/japan-china-idUKL3E7E90ER20110309
日本語サイトではまだ出してないみたいですが。。。
中国の「海監」のヘリの「さみだれ」への接近にも触れ、更に、中国海軍の「Y8情報収集機」と「Y8哨戒機」の尖閣接近にも触れていますね。こちらは知りませんでした。領空侵犯には至らなかったが、これまででは最も接近したのだそうですね。
尖閣上陸へ向け、着々と既成事実を積み上げてきていますね。
日米関係はまたまたもめごと勃発で、中国はほくそ笑んでいることでしょう。