経済成長に伴いエネルギー資源の増量確保が必要な中国が、南シナ海、東シナ海の海洋資源を武力で奪い取ろうとしたり、世界各地で買いあさっていることは諸兄がご承知の通りです。
一方の日本、点検で停止した原発の再稼働の見込みがたたず、是非の論議とは無関係に自動的に来春には全原発停止となります。脱原発急先鋒のドイツでさえ10年後を目指しているにも関わらず...です。そこで、火力発電で電力を補うために、LNGの輸入確保が死活的命題となっています。
中国と日本の近況が今朝の読売に載っていました。
震災前から豪州とは安定供給交渉を続けてきていましたが、震災発生時には、カタールやインドネシア、ブルネイなどから供給増量の支援を受けました。カナダからも売り込みがあります。
原発代替えエネルギー LNGの調達情勢 - 遊爺雑記帳
問題なのは、ロシアからの供給に手を伸ばそうとしていることです。
いつも書いていることですが、古くは終戦のドサクサで平和条約を無視して満州や千島列島に攻め込み北方領土を不法占拠したままであり、サハリン1, 2では、リスクのある開発は依頼しておきながら、成果が見えてきた途端に横取りしてしまいました。日本だけでなく、ロシアから供給を受けていた欧州の国々は、政治がらみで安定供給がなされないことから、脱露の供給先確保を進めています。
ロシアの一連の実績からして、何故ロシアの供給を受けなければならないのか。たとえ供給先に苦労することがあっても、せいぜいスポット買いにとどめ、供給を依存することは、生命線を握られることになり、エネルギー安全保障上、絶対に避けねばなりません。まして、カナダの様に新規に売り込んでくる国があるのですから。
極東や北極の開発を進めねばならなくなったロシアは、東アジアへの販売先拡張に追い込まれているのです。北方領土を返すというのなら、開発支援と産出分の購入を考えてもいいのですが。
民間企業も、商売になればいいと言うのではなく、広い視野で考えた行動をお願いしたいものですし、過去の煮え湯を忘れないでいただきたい。
そして、国内のメタンハイドレート他の資源開発にも本格的注力が必要です。
ここでは多くは触れませんが、LNGの輸入増加で、貿易収支の赤字(1~10月の累計は、1兆5,897億円の赤字)が定着しそうなのです。GNP比200%超の日本。貿易収支が赤字国に転落すれば、ギリシャ、イタリアの二の舞になってしまうので、対策が必要なのです。
財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan
この花の名前は、オタカラコウ (撮影場所=六甲高山植物園)
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一方の日本、点検で停止した原発の再稼働の見込みがたたず、是非の論議とは無関係に自動的に来春には全原発停止となります。脱原発急先鋒のドイツでさえ10年後を目指しているにも関わらず...です。そこで、火力発電で電力を補うために、LNGの輸入確保が死活的命題となっています。
中国と日本の近況が今朝の読売に載っていました。
中国天然ガス産出5年で倍増 05年14位⇒10年6位 国土資源省局長「南シナ海での開発強化」 (11/26 読売朝刊)
【北京=大木聖馬】中国の2010年の天然ガスの産出量が05年から倍増して942億立方メートルに達し、05年の世界第14位から同6位に躍進したことがわかった。中国国土資源省が24日、明らかにした。
同省によると、天然ガスの埋蔵量は52兆立方メートル、採掘可能量は32兆立方メートルで、03~07年の前回調査時に比べ、それぞれ49%、45%増加した。同省の彭斉鳴・地質調査局長は記者会見で、「30年には産出量を3000億立方メートルに近づけられる」と述べた上で、「南シナ海北部深海の調査、開発をさらに強化していく」と宣言した。
一方、天然ガスの輸入戦略も着々と進んでいる。胡錦濤国家主席は23日、トルクメニスタンのベルドイムハメドブ大統領と北京で会談し、両国を結ぶ天然ガスパイプラインを安定的に運営することで合意した。24日には、トルクメニスタンから約6800キロメートル離れた広東省までパイプラインを通じて天然ガスが到達、大統領は同日、中国への年間輸送量を650億立方メートルに引き上げると表明した。
【北京=大木聖馬】中国の2010年の天然ガスの産出量が05年から倍増して942億立方メートルに達し、05年の世界第14位から同6位に躍進したことがわかった。中国国土資源省が24日、明らかにした。
同省によると、天然ガスの埋蔵量は52兆立方メートル、採掘可能量は32兆立方メートルで、03~07年の前回調査時に比べ、それぞれ49%、45%増加した。同省の彭斉鳴・地質調査局長は記者会見で、「30年には産出量を3000億立方メートルに近づけられる」と述べた上で、「南シナ海北部深海の調査、開発をさらに強化していく」と宣言した。
一方、天然ガスの輸入戦略も着々と進んでいる。胡錦濤国家主席は23日、トルクメニスタンのベルドイムハメドブ大統領と北京で会談し、両国を結ぶ天然ガスパイプラインを安定的に運営することで合意した。24日には、トルクメニスタンから約6800キロメートル離れた広東省までパイプラインを通じて天然ガスが到達、大統領は同日、中国への年間輸送量を650億立方メートルに引き上げると表明した。
今回のASEAN首脳会議~EASにかけての主要テーマは、中国の南シナ海での覇権拡大対策でした。中国の武力を伴った覇権拡大の目的の一つが、地下資源の強奪にあることは今更申し上げるまでもないことです。ところが、中国国内の天然ガス産出量も増やしていて、2005年に世界14位だったものが、2010年には 6位になるほどの急増を果たしていたのだそうです。そして、更に南シナ海の調査・開発を強化するのだとか。東シナ海も...?
着々と中長期戦略を推進する中国に対し、急遽輸入の増加が必要となった日本。官民一体となって当たるのだそうですね。
エネ資源獲得新戦略 石油やガス官民で権益拡大 経産省検討 (11/26 読売)
経済産業省は25日、石油や天然ガスなどエネルギー資源の権益獲得の強化に向けた具体策の検討に入った。東京電力福島第一原子力発電所事故後は、火力発電用の液化天然ガス(LNG)や原油の需要が急増しており、官民一体による権益の拡大が急務となっているためだ。(上地洋実、瀬川大介)
■競争激化
「資源獲得は戦国時代だ。政府支援なしでは難しい」
25日に開かれた「資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会」に参加した石油やガス業界関係者らは資源獲得競争の厳しさを訴えた。経産省によると、国内の原発が再稼働できない場合、2012年のLNGの国内需要は約9000万トンと、10年に比べて約3割(約2000万トン)増える。
一方、世界的な資源需要は増加し続けており、資源権益を巡る競争は一段と激化している。特に中国の国営企業は豊富な資金力を背景に、中東や中南米、豪州などの権益を相次いで獲得しており、日本企業が単独で太刀打ちすることは困難になっている。
油田などの開発コストも過去10年間で2倍以上に膨らんでおり、「民間による対応は限界」(石油鉱業連盟)を迎えつつある。
■危機感
経産省はこの日の会合で?民間への資金支援の強化?石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の機能強化?資源保有国のインフラ整備支援━━などの対策を提案した。
具体的には、民間企業が権益を獲得する際に、JOGMECによる資金支援を受けられるようにするほか、JOGMECの資源獲得に向けた調査対象を広げる。また、インフラ開発に政府が協力することで、資源保有国との関係を強化する。国内では地熱発電や海洋資源の開発を促す。
官民の危機感は強く、経産省は年内にも識者の意見を基に具体策をまとめる。
企業は奔走
大手商社を中心に日本企業は国外での資源権益の確保に奔走している。三菱商事は今月中にも資源メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルと共同でイラク南部の天然ガス権益を獲得する方針だ。北米では岩盤から抽出した天然ガス「シェールガス」の獲得も進んでいる。三井物産は6月、原油換算で日量2万バレルのシェールガス・オイル(原油)を生産する米テキサス州の権益を12・5%分取得した。
世界最大の天然ガス資源国であるロシアとの関係強化も欠かせない。国際石油開発帝石などを含む日本の企業グループは、ロシア・ウラジオストクのLNGプラントでの生産能力を年1000万トンに倍増させることでロシア側と合意した。
経済産業省は25日、石油や天然ガスなどエネルギー資源の権益獲得の強化に向けた具体策の検討に入った。東京電力福島第一原子力発電所事故後は、火力発電用の液化天然ガス(LNG)や原油の需要が急増しており、官民一体による権益の拡大が急務となっているためだ。(上地洋実、瀬川大介)
■競争激化
「資源獲得は戦国時代だ。政府支援なしでは難しい」
25日に開かれた「資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会」に参加した石油やガス業界関係者らは資源獲得競争の厳しさを訴えた。経産省によると、国内の原発が再稼働できない場合、2012年のLNGの国内需要は約9000万トンと、10年に比べて約3割(約2000万トン)増える。
一方、世界的な資源需要は増加し続けており、資源権益を巡る競争は一段と激化している。特に中国の国営企業は豊富な資金力を背景に、中東や中南米、豪州などの権益を相次いで獲得しており、日本企業が単独で太刀打ちすることは困難になっている。
油田などの開発コストも過去10年間で2倍以上に膨らんでおり、「民間による対応は限界」(石油鉱業連盟)を迎えつつある。
■危機感
経産省はこの日の会合で?民間への資金支援の強化?石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の機能強化?資源保有国のインフラ整備支援━━などの対策を提案した。
具体的には、民間企業が権益を獲得する際に、JOGMECによる資金支援を受けられるようにするほか、JOGMECの資源獲得に向けた調査対象を広げる。また、インフラ開発に政府が協力することで、資源保有国との関係を強化する。国内では地熱発電や海洋資源の開発を促す。
官民の危機感は強く、経産省は年内にも識者の意見を基に具体策をまとめる。
企業は奔走
大手商社を中心に日本企業は国外での資源権益の確保に奔走している。三菱商事は今月中にも資源メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルと共同でイラク南部の天然ガス権益を獲得する方針だ。北米では岩盤から抽出した天然ガス「シェールガス」の獲得も進んでいる。三井物産は6月、原油換算で日量2万バレルのシェールガス・オイル(原油)を生産する米テキサス州の権益を12・5%分取得した。
世界最大の天然ガス資源国であるロシアとの関係強化も欠かせない。国際石油開発帝石などを含む日本の企業グループは、ロシア・ウラジオストクのLNGプラントでの生産能力を年1000万トンに倍増させることでロシア側と合意した。
震災前から豪州とは安定供給交渉を続けてきていましたが、震災発生時には、カタールやインドネシア、ブルネイなどから供給増量の支援を受けました。カナダからも売り込みがあります。
原発代替えエネルギー LNGの調達情勢 - 遊爺雑記帳
問題なのは、ロシアからの供給に手を伸ばそうとしていることです。
いつも書いていることですが、古くは終戦のドサクサで平和条約を無視して満州や千島列島に攻め込み北方領土を不法占拠したままであり、サハリン1, 2では、リスクのある開発は依頼しておきながら、成果が見えてきた途端に横取りしてしまいました。日本だけでなく、ロシアから供給を受けていた欧州の国々は、政治がらみで安定供給がなされないことから、脱露の供給先確保を進めています。
ロシアの一連の実績からして、何故ロシアの供給を受けなければならないのか。たとえ供給先に苦労することがあっても、せいぜいスポット買いにとどめ、供給を依存することは、生命線を握られることになり、エネルギー安全保障上、絶対に避けねばなりません。まして、カナダの様に新規に売り込んでくる国があるのですから。
極東や北極の開発を進めねばならなくなったロシアは、東アジアへの販売先拡張に追い込まれているのです。北方領土を返すというのなら、開発支援と産出分の購入を考えてもいいのですが。
民間企業も、商売になればいいと言うのではなく、広い視野で考えた行動をお願いしたいものですし、過去の煮え湯を忘れないでいただきたい。
そして、国内のメタンハイドレート他の資源開発にも本格的注力が必要です。
ここでは多くは触れませんが、LNGの輸入増加で、貿易収支の赤字(1~10月の累計は、1兆5,897億円の赤字)が定着しそうなのです。GNP比200%超の日本。貿易収支が赤字国に転落すれば、ギリシャ、イタリアの二の舞になってしまうので、対策が必要なのです。
財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan
この花の名前は、オタカラコウ (撮影場所=六甲高山植物園)
↓よろしかったら、お願いします。