遊爺雑記帳

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戦争犯罪でプーチンを処罰する方法 たとえウクライナに勝ってもプーチンには犯罪者の烙印を

2022-03-20 01:55:55 | ロシア全般
 プーチン大統領が始めたウクライナへの武力侵略。親露派の地域の独立国化を承認し、その国との安全保障条約に基づく要請で出兵、稚拙で見え透いた理由。
 しかも出兵した軍隊は、該当の地域に留まらず、その2州全体、更にウクライナ全土に侵攻。婦女子、子供、入院患者のいる病院、一般住民の避難所、住宅等無差別攻撃も実施。
 人道外れる鬼畜のふるまいは、世界州の人々が、避難の声を挙げています。
 この犯罪を国際機関で裁く様、終戦を待たず、英独仏などが、国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)に、ウクライナの事態を巡る捜査を付託。日本は、41カ国目と後ればせながら同じく操作を付託。
 北京五輪への米国が提唱する「外交的ボイコット」でも、岸田政府は中国との二股外交とみなされる決断遅れで、バイデン大統領との面談を保留延期、オンライン会談に格下げされるという、かつてない日米同盟への亀裂を生じさせました。
 外務大臣失格の実績で、河野氏に交代させられた岸田氏。総理大臣となっても、外交失政は止まらない様子ですね。前回の総裁選では、3人の立候補者中、得票数はビリだったのですが、安部総理の指示で、投票者が融通され、ビリを免れていた。そんな実力なのに今回は何故か総裁に。。なので混迷と世界からの信頼低下は予想されていたことではありますが。


 止まらないプーチンの、ウクライナ侵攻の暴挙。
 バイデン大統領は、プーチンを戦争犯罪人とよびましたが、ウクライナの事態を巡る捜査を国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)に付託する動きが加速している様子です。元空将補の、横山恭三氏が解説していただいています。

 バイデン氏、プーチン氏を初めて「戦争犯罪人」と ロシア反発 - BBCニュース

 
戦争犯罪でプーチンを処罰する方法:国際刑事裁判所の役割と権限 たとえウクライナに勝ってもプーチンには犯罪者の烙印を  | JBpress (ジェイビープレス) 2022.3.18(金) 横山 恭三

 核兵器を掲げ、NATO(北大西洋条約機構)を牽制しながら、軍事作戦的に孤立無援のウクライナに対して、子供を抱えながら退避する婦女子を情け容赦なく砲撃し、病院や学校を手加減せずに無差別爆撃する――。

 
国際法を躊躇せずに無視する冷酷非道のプーチンを戦争犯罪で、国際法廷で裁くべきであると思うのは筆者だけではないと思う。

 
戦争犯罪とは国際法に違反する行為をいう

 ジュネーブ諸条約第1追加議定書(1978年発効)では、敵対行為の影響からの文民たる住民の保護に関して、

①軍事目標主義(軍事行動は軍事目標のみを対象とする)の基本原則を確認(第48条)

②文民に対する攻撃の禁止(第51条2)、無差別攻撃の禁止(第51条4-5)などが規定されている。

 さて、
英独仏などがロシアによる侵攻を含むウクライナの事態を巡る捜査を国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)に付託した

 
日本政府は3月9日、ICCに捜査を付託した。日本外務省によると日本の付託は41カ国目である。

 3月2日、
ICCのカリム・カーン主任検察官は、戦争犯罪と人道に対する罪などで、ロシアのウクライナ侵攻について捜査を始めると発表した。

 英国籍のカーン主任検察官は、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所とルワンダ国際刑事裁判所の検察局での法律顧問やイスラム国(ISIS)がイラクで犯した犯罪を調査する国連のチームを率いた経験がある。

 
ICCは容疑者不在の「欠席裁判」を認めないため、訴追には容疑者の逮捕と引き渡しが不可欠である。プーチンが失脚しない限り訴追される可能性はない。

 しかし、
ICCの検察官が「人道に対する犯罪」や「戦争犯罪」などの容疑でプーチンに逮捕状を発行すれば、プーチンがウクライナやICC加盟国の領域に入れば、彼を逮捕してICCで裁判にかけることが可能となる。

 幸い、
捜査協力はICC条約(ローマ規程)締約国の義務となっている。2021年6月30日現在のICC条約の締約国は123か国である。

 以下、初めに
国際裁判所の現状について述べ、次にICCの成り立ちと役割について述べ、次にICCが扱う犯罪に該当する行為について述べ、最後に ICCが扱う犯罪で適用される刑罰について述べる。

■1.国際裁判所の現状
 
国際裁判所には、国際司法裁判所国際刑事裁判所及国際仲裁裁判所がある

(1)国際司法裁判所

 
国際司法裁判所は、国家間の法律的紛争について裁判をする。現在設置されている全世界的な国際司法裁判所としては常設の「国際司法裁判所(International Court of Justice:ICJ)」や「国際海洋法裁判所(ITLOS)」などがある。

 また、地域的な国際司法裁判所としては常設の「欧州司法裁判所(ECtHR)」や「米州人権裁判所(IACHR)」などがある。

 2月27日、
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアによる攻撃を巡り国際司法裁判所(ICJ)に提訴したとツイッターへの投稿で明らかにした。

 
集団殺害を阻止するためウクライナを攻撃したとするロシア側の主張を否定し、ロシアの軍事行動の即時停止を命じるようICJに要請した。

 
ICJも27日、ウクライナによる提訴を確認した。

 
ロシア外務省は3月9日、ツイッターに投稿した声明で、ロシアの軍事行動停止を求めたウクライナの訴えを受けてオランダ・ハーグのICJで7日開かれた審理に同国が出席しなかったのは「訴訟自体がばかばかしく見える点を踏まえた」ためだとした

 ここで、日本の竹島問題および尖閣問題の国際司法裁判所(ICJ)への提訴について簡単に述べる。

 日本は、竹島の領有権を巡る問題について、国際司法裁判所(ICJ)への付託を1954年、1962年、2012年に提案したが、韓国側はいずれも拒否している。

 また、日本は尖閣の領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴して、その裁定を仰ぐべきだ、という意見もある。

 しかし、日本政府は尖閣が古くから日本固有の領土であり、領有権は日本側にあり領土紛争はないという立場を一貫してとってきており、国際機関への訴えや裁定の求めはあり得ないとしている。

 たとえ竹島および尖閣について、日本政府が単独で訴訟を起こしたとしても、「当事者合意」の原則があり、相手国が応じなければ裁判は開けない。

 ただし、提訴すれば、ICJは強制管轄権を行使し、相手国に対して裁判への出席を強制できる。

 それでも「日本との間には解決すべき紛争はない」との理由で相手国が拒み続ければ、裁判はいつまで経っても開けない。
しかし、提訴すれば次のようなメリットがある

 
1つ目は、領土問題を平和的に解決する努力をしていることをアピールすることができる。

 
2つ目は、日本が国際法の遵守を強調することで、相手国にICJの強制管轄権を受託するよう圧力を掛けることができる

 ただし、問題は米国政府の思惑である。「尖閣」も「竹島」も現状維持が望ましいというのが米国の立場であるとされる。米国政府との意思疎通が重要となるであろう。

(2)国際刑事裁判所

 国際刑事裁判所は、個人の国際犯罪を裁判する。すなわち、戦争犯罪で個人を裁くのが国際刑事裁判所である。

 
国際刑事裁判所には、常設のものとアドホックのものがある。常設のものには、「国際刑事裁判所(International Criminal Court: ICC)」がある

 アドホックなものには、過去に、第2次世界大戦後に戦勝国側により設置された「ニュルンベルク国際軍事裁判所」や「極東国際軍事裁判所」、1990年代に国連安保理により設置された「旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所」や「ルワンダ国際刑事裁判所」などがあった。

 ICCが設置されたのは2002年で、それほど古くない。

 ウクライナ戦争が拡大し、第3次世界大戦になれば戦勝国側がアドホックの国際軍事裁判所を設置するであろう。

 しかし、
今、現実的にプーチン容疑者の捜査などが可能なのはICCであろう。そこで各国はICCに捜査を付託しているのである。

(3)国際仲裁裁判所

 
国際仲裁裁判所には、外交の手段によっては処理できない国際紛争を仲裁裁判する「常設仲裁裁判所(Permanent Court of Arbitration:PCA)やビジネス上の問題を取り扱う国際商業会議所(International Chamber of Commerce )の国際仲裁裁判所(International Court of Arbitration)などがある

 
PCAは、国家間紛争のみならず、国家と私人、国家と国際機関の間の紛争に対しても開かれている

 
PCAは、国際司法裁判所(ICJ)と違い、相手国が拒否しても手続きは進めることができる。また、その判決には法的拘束力があるが、裁判所は執行する権限は持たない

 
最近の国家間仲裁の例としては、南シナ海を巡る比中仲裁裁判がある

 PCAは2016年7月12日、
中国の南シナ海における行動に対して初めての国際司法判断を下した

 この仲裁裁判は、フィリピンが2013年1月に国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいて提訴していたもので、中国は一貫して参加を拒否してきたが、PCAは2015年10月29日、「仲裁裁判手続きへの中国の不参加は仲裁裁判所の管轄権を奪うものではない」とし、仲裁手続きを進めていた。

 提訴から3年半後の7月12日、PCAは、15項目に及ぶフィリピンの提訴項目すべてに対して裁定を下した。

 フィリピンは、南シナ海における中国との領有権紛争を巡って、仲裁裁判に訴えた唯一の国である。

 
この裁定は、1つの提訴項目を除いて他のすべての提訴項目でフィリピンの主張を認めた、中国の完敗ともいえるものであった。

 ところが、
中国政府は仲裁裁判所の裁定を「紙屑」「無意味」などと批判し、行動を改める様子は露ほども見られない

 
それどころか、中国は、南シナ海の実効支配や軍事基地化を国際法違反であると指摘する国際社会の声に耳を貸さず、不法な行動や侵略的行為を露骨に行っている

■2.ICCの成り立ちと役割
 本項は、外務省のHPに公開されている「ICC(国際刑事裁判所)~注目されるその役割」を参考にしている。

(1)ICCの起源

 
ICCとは、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪を犯した個人を処罰するために設立された常設の国際刑事法廷であり、裁判所はオランダのハーグに置かれている。

 第2次世界大戦での経験を踏まえ、1947年、国連総会は、重大な国際犯罪を裁く裁判所を設立するための、裁判所規程の草案を作ることを国際法委員会(ILC)に要請する決議を採択し、これが後のICC設立につながることになった。

(2)ICCローマ規程の採択

 東西冷戦中は、自国民が裁かれる可能性を危惧した各国の間で積極的な動きは見られなかった。

 1990年代になって、旧ユーゴでの戦闘状態が激化し、大量虐殺などが行われた状況をふまえ、1992年、国連総会がILCに対して、改めて優先事項として国際刑事裁判所規程の草案作成に取り組むことを要請した。

 その後、安保理決議による旧ユーゴ国際刑事裁判所やルワンダ国際刑事裁判所の設置の後、1998年、ローマ外交会議における交渉の結果、ついにICCを設立するための「ICCローマ規程」が採択された。

 2002年7月1日に60番目の国が加盟したことによりICCローマ規程が発効し、ICCは活動を開始した。

(3)ICCが扱う犯罪

 
ICCが扱う犯罪は、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪、すなわち「集団殺害犯罪」「人道に対する犯罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」である(これらの犯罪の内容については後述する)。

 
これらの罪を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰することにより、犯罪の撲滅と予防を目指し、世界の平和と安全に貢献することがICCの目的である。

 ICCローマ規程は、それを実現するために裁判の仕組みなどを詳細に定めている。

 よく、国連の主要な司法機関である国際司法裁判所(ICJ)との違いが挙げられるが、
ICCが個人の犯罪を扱うのに対し、ICJの当事者は「国家のみ」、つまり国家間の紛争を扱うという部分に、大きな違いがある。

(4)ICCの役割は「補完」

 ICCの役割は、あくまで各国の国内刑事司法制度を「補完するもの」である。関係国が被疑者の捜査・訴追を行う能力や意思がない場合のみ、管轄権が認められる。

(5)管轄権が発生するケース

 
ICCに事態を付託できるのは、締約国または国連安保理に限られているが、ICC検察官が自らの考えにより捜査を開始することもできる

 ある事態が付託された場合、
犯罪行為の実行地国または被疑者の国籍国のどちらかが締約国ならば、ICCに管轄権が発生する。

 また、
実行地国と国籍国、両者ともICCに加盟していないときでも、どちらか一方がICCの管轄権を認めれば、これを行使することができる

 このほかに、国連安保理が憲章第7章に基づいた決議で付託した場合は、ICCの管轄権が認められる。

 ちなみに、
ロシアもウクライナも、ともにICC非締約国である。しかし、ウクライナは、2015年にICCの管轄権を受け入れることを表明している。

(6)捜査協力は加盟国の義務

 既述したが、ICCの捜査が進み、被疑者の逮捕、引渡し、証拠の提出などの段階になったとき、その捜査協力を行うのは、加盟国の義務である。

 そのため、例えば
被疑者がICC非加盟国に逃亡してしまうと、逃亡先の国での捜査協力が得られないため逮捕できず、結局法廷を開くことができない、という事態も発生してしまう。

■3.ICCが扱う犯罪に該当する行為
 
ICCが扱う犯罪は、「集団殺害犯罪」・「人道に対する犯罪」・「戦争犯罪」・「侵略犯罪」である。それぞれの犯罪に該当する行為は次のとおりである。

(1)集団殺害犯罪(ローマ規程第6条)

 この規程の適用上、「集団殺害犯罪」とは、国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次のいずれかの行為をいう。

a.当該集団の構成員を殺害すること。

b.当該集団の構成員の身体又は精神に重大な害を与えること。

c.当該集団の全部又は一部に対し、身体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を故意に課すること。

d.当該集団内部の出生を妨げることを意図する措置をとること。

e.当該集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。

(2)人道に対する犯罪(ローマ規程第7条)

 この規程の適用上、「人道に対する犯罪」とは、文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次のいずれかの行為をいう。

a.殺人

b.絶滅させる行為

c.奴隷化すること。

d.住民の追放又は強制移送

e.国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しいはく奪

f.拷問

g.強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力であってこれらと同等の重大性を有するもの

h.政治的、人種的、国民的、民族的、文化的又は宗教的な理由、性に係る理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく特定の集団又は共同体に対する迫害であって、集団殺害犯罪の行為又は裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を伴うもの

i.人の強制失踪

j.アパルトヘイト犯罪

k.その他の同様の性質を有する非人道的な行為であって、身体または心身の健康に対して故意に重い苦痛を与え、または重大な傷害を加えるもの

(3)戦争犯罪(ローマ規程第8条)

 裁判所は、戦争犯罪、特に、計画若しくは政策の一部として又は大規模に行われたそのような犯罪の一部として行われるものについて管轄権を有する。

 この規程の適用上、
「戦争犯罪」とは、次の行為をいう。

a.1949年8月12日のジュネーブ諸条約に対する重大な違反行為、すなわち、
関連するジュネーブ条約に基づいて保護される人または財産に対して行われる、殺人や拷問または非人道的な待遇(生物学的な実験を含む)などの行為

b.確立された国際法の枠組みにおいて国際的な武力紛争の際に適用される法規および慣例に対するその他の著しい違反、すなわち、
文民たる住民それ自体または敵対行為に直接参加していない個々の文民を故意に攻撃することや民用物、すなわち、軍事目標以外の物を故意に攻撃することなどの行為

c.国際的性質を有しない武力紛争の場合には、1949年8月12日のジュネーブ諸条約のそれぞれの第3条に共通して規定する著しい違反、すなわち、敵対行為に直接に参加しない者(武器を放棄した軍隊の構成員および病気、負傷、抑留その他の事由により戦闘能力のない者を含む)に対する生命及び身体に対し害を加えること(特に、あらゆる種類の殺人、身体の切断、虐待および拷問)や個人の尊厳を侵害すること(特に、侮辱的で体面を汚す待遇)などの行為

(4)侵略犯罪(ローマ規程第8条の2)

 この規程の適用上、
「侵略犯罪」とは、国の政治的または軍事的行動を、実質的に管理を行うかまたは指示する地位にある者による、その性質、重大性および規模により、国際連合憲章の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行をいう

 上記の適用上、
「侵略の行為」とは、他国の主権、領土保全または政治的独立に対する、一国による武力の行使、または国際連合憲章と両立しない他のいかなる方法によるものをいう

 以下のいかなる行為も、宣戦布告に関わりなく、1974年12月14日の国際連合総会決 議3314(侵略の定義に関する決議)に一致して、侵略の行為とみなすものとする。

a.
一国の軍隊による他国領域への侵入または攻撃、もしくは一時的なものであってもかかる侵入または攻撃の結果として生じる軍事占領、または武力の行使による他国領域の全部若しくは一部の併合

b.
一国の軍隊による他国領域への砲爆撃または国による他国領域への武器の使用

c. 一国の軍隊による他国の港または沿岸の封鎖

d.
一国の軍隊による他国の陸軍、海軍または空軍などへの攻撃

e. 受け入れ国との合意で他国の領域内にある一国の軍隊の、当該合意に規定されている条件に反した使用、または当該合意の終了後のかかる領域における当該軍隊の駐留の延長

f. 他国の裁量の下におかれた領域を、その他国が第三国への侵略行為の準備のために使用することを許す国の行為

g. 他国に対する上記載行為に相当する重大な武力行為を実行する武装した集団、団体、不正規兵または傭兵の国による若しくは国のための派遣、またはその点に関する国の実質的関与

■4.ICCが扱う犯罪で適用される刑罰
(ローマ規程第77条)

 
裁判所は、第110条(減刑に関する裁判所の再審査)の規定に従うことを条件として、第5条に規定する犯罪(「集団殺害犯罪」「人道に対する犯罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」)について有罪の判決を受けた者に対し、次のいずれかの刑罰を科することができる

a.
最長30年を超えない特定の年数の拘禁刑(ちなみに、拘禁刑は、刑を言い渡された者を受け入れる意思を裁判所に対して明らかにした国の中から裁判所が指定する国において執行される)

b.
犯罪の極度の重大さ及び当該有罪の判決を受けた者の個別の事情によって正当化されるときは終身の拘禁刑

 
また、裁判所は、拘禁刑のほか、次のものを命ずることができる

a.手続および証拠に関する規則に定める基準に基づく
罰金

b.犯罪によって直接または間接に生じた
収益、財産および資産の没収。ただし、善意の第三者の権利を害することのないように行う

■おわりに
 
ICCは、「集団殺害犯罪」「人道に対する犯罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」を行った個人を裁く、常設かつ独立の裁判所である。

 裁判官や検察官は、その専門的資格において締約国の国民から選出され、その職務の独立が保障されている。
裁判官は18人で、締約国が9年に限定された任期で選出する。

 またその裁判手続においては、被害者や証人の保護と併せて、被疑者や被告人の国際的に認められた人権の保障との両立が求められている。

 この
ICCの設立によって、20世紀を通じて繰り返されてきた、不処罰と残虐行為の繰り返しや暴力と報復の連鎖を断ち切り、専ら武力紛争に伴い引き起こされる犯罪を抑止し、国際社会における正義を実現することが期待されている

「戦勝国には戦犯がいない」と言われる

 よしんば、
ウクライナ戦争でロシアが勝利したとしても、ICCは、プーチンを追い詰め、逮捕して、国際法廷において、厳正な法の裁きを受けさせることを筆者は期待している

 戦争犯罪とは国際法に違反する行為。
 ジュネーブ諸条約第1追加議定書(1978年発効)では、敵対行為の影響からの文民たる住民の保護に関して、
 ①軍事目標主義(軍事行動は軍事目標のみを対象とする)の基本原則を確認(第48条)
 ②文民に対する攻撃の禁止(第51条2)、無差別攻撃の禁止(第51条4-5)などが規定されている
 のだそです。

 国際裁判所には、国際司法裁判所、国際刑事裁判所及び国際仲裁裁判所があることは諸兄がご承知のとおり。
 国際司法裁判所は、韓国による竹島の不法占拠に対し、日本が提訴を呼びかけていますが、韓国は、「選択条項受諾宣言」をしておらず、逃げ回っていますね。
 中国による、南シナ海の島々の領有化で、フィリピンが、国際仲裁裁判所に提訴し、中国は敗訴しましたが、紙きれだと無視し続けているのですね。

 今回のプーチンの暴挙に対しては、英独仏などや、遅ればせながらも日本も、国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)に捜査を付託。
 カリム・カーン主任検察官は、戦争犯罪と人道に対する罪などで、ロシアのウクライナ侵攻について捜査を始めると発表。
 
 ただ、ICCは容疑者不在の「欠席裁判」を認めないため、訴追には容疑者の逮捕と引き渡しが不可欠である。プーチンが失脚しない限り訴追される可能性はないのだそうです。
 しかし、ICCの検察官が「人道に対する犯罪」や「戦争犯罪」などの容疑でプーチンに逮捕状を発行すれば、プーチンがウクライナやICC加盟国の領域に入れば、彼を逮捕してICCで裁判にかけることが可能となるとも。
 なを、被疑者がICC非加盟国に逃亡してしまうと、逃亡先の国での捜査協力が得られないため逮捕できず、結局法廷を開くことができない、

 ロシアもウクライナも、ともにICC非締約国である。しかし、ウクライナは、2015年にICCの管轄権を受け入れることを表明。
 
 ICCの設立によって、20世紀を通じて繰り返されてきた、不処罰と残虐行為の繰り返しや暴力と報復の連鎖を断ち切り、専ら武力紛争に伴い引き起こされる犯罪を抑止し、国際社会における正義を実現することが期待されている。
 ウクライナ戦争でロシアが勝利したとしても、ICCは、プーチンを追い詰め、逮捕して、国際法廷において、厳正な法の裁きを受けさせることを期待していると、横山氏。

 プーチン追い詰めに協調する国際社会。
 一方、追い詰めすぎると、核の使用など、更なる懸念も。とりあえずは、停戦交渉の行方と、その交渉での対露圧力としてのICCの捜査開始に期待ですね。



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