遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米国の原発新技術 中国での実験で日本を凌駕

2013-08-13 23:56:06 | 新エネルギー
 オバマ政権は2012年2月、スリーマイル島で原発事故が起きる前年の1978年以来34年ぶりとなる原発新設を認可し、米原子力規制委員会(NRC)は、3月にも続いて認可しています。
 そこで採用されたのが、東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)の新型軽水炉「AP1000」でした。
 この新型軽水炉「AP1000」の建設は、中国で実験的に先行されていたのだそうです。技術の流出に繋がる中国での建設を米国が認可していたことには驚きですね。
 
東芝が原発機器輸出へ、米34年ぶり原発新設再開 | Reuters
 「米国、34年ぶり原発新設へ 歴史的重大事故乗り越え」:イザ!
 
米の原発技術 中国で“実験” (8/13 産経 【エネルギー同盟】(1))

 
ゴルフのメジャー大会で有名な米ジョージア州オーガスタ。ここから車で50分ほど南下した川沿いで、170メートルと北米最長クラスのアームを持つ大型クレーンがうなりを上げていた。地元電力大手、サザン社が建設を進めるボーグル原発の3、4号機だ。1979年のスリーマイル島原発事故以来、米国で初となる新設許可を昨年2月に取得した。2017年の運転開始に向けて工事は着々と進んでいる。

 導入される原子炉は、東芝子会社で米原発大手のウェスチングハウス(WH)が開発した次世代原発「AP1000」だ。原子力潜水艦の技術を受け継ぐ同社が、約112万キロワットの高出力と、全電源喪失時でも重力を利用した散水などで炉心冷却できる安全性を売りにした最新型だ。
 現場を指揮するWHのスコット・グレイ主任(57)は今春、赴任先の中国から帰国した。米規制当局の審査が長期化する中、
WHは世界初となるAP1000の建設を中国で先行させた。2カ所で計4基を受注し、来年秋にも1基目が稼働
する。
 グレイ氏は08年2月から浙江省の三門原発へ赴任していたが、「米国の若手に技術伝承できる最後のチャンス」と帰国志願した。
 「このコンクリートは41時間30分で打ち終えた。中国のものより数時間短く、世界新記録だ」
 原子炉建屋の基礎部分を指さし、グレイ氏は胸を張った。万が一、核燃料が溶融した場合の最終的な受け皿となる重要設備で、施工時間が短いほどコストが抑えられる。米国内で原発建設に携わってきた“職人”のこだわりだ。
 巨大クレーンを載せる円形レールも自慢の一つ。クレーンを分解せずに広大な現場を移動できるので工期を短縮できる。これも中国での経験から生まれた。

 それにしても
米国はなぜ自国技術の流出につながる原発の対中輸出を認めたのか
。審査にもあたった米エネルギー省の元職員は「積極的だったのはWH側。中国側は米国の最新技術を欲しがる一方で、建前上は実績のない原発受け入れを渋っていた」と証言する。
 
米国より規制の緩い中国に技術移転することで最新型原発建設の経験を積み、停滞していた米国の原発産業の再構築を狙う。米中の利害が一致した


■米、日本の原発政策注視
 原発関連産業が集積する米ノースカロライナ州シャーロット。5階建てのオフィスビルの壁面には、ウェスチングハウス(WH)とTOSHIBAのロゴが並ぶ。東芝は2006年にWHを英国企業から買収してグループ化し、原発事業の拡大を目指している。

 ボーグル原発の建設サイトにも東京電力柏崎刈羽原発などを手がけた「現場のエース」(東芝)8人を常駐させる。現地法人の塩入章夫社長は、「日本で培った経験からアドバイスしている」と意義を強調する。
日本の経済産業省幹部も、「原発建設をさぼってきた米国では、日本の協力なしに原子力産業は成り立たない
」と言い切る。
 ただ、
米原子力エネルギー協会(NEI)のジョー・ポロック副代表は、過去30年間、追加工事により米国の原発総発電力は10基分も増えたとし、「米国でも原子力開発は続いている。原発はグローバル産業で、日本が不可欠ということはない
」と反論する。
 実際、
ボーグル原発ではWHの中国での経験が生かされている
。海軍から原子力技術者を採用するなど、人材も豊富だ。また、東芝がボーグル原発に納入しているのは発電設備など原子炉以外の部品にとどまる。手がける原発が沸騰水型で、WHの加圧水型と異なるためだ。

 
東芝の視線は、ボーグル原発の先にある

 米国のほとんどの原発は1970年代に製造された。原則40年間の炉命に20年間の延長が認められても、2030年代には廃炉となるものが出てくると予想される。総電力に占める原発比率は2割だが、米国は100基以上を抱える世界最大の原発大国だ。火力発電の燃料となる新型天然ガス、シェールガスの増産でガス価格が下落しているとはいえ、火力発電だけでは代替できない。
 
塩入社長は、「米国は今後も一定の原発依存を続ける
」と述べ、福島の原発事故で頓挫したテキサス州での自社原発建設再開に意欲を示した。
 安倍晋三首相は、成長戦略の柱の一つに原発輸出を位置付け、東欧や中東への「トップセールス」を展開する。「ロシアなどの手前、米国より日本からの方が買いやすい国もある。米国も核不拡散問題などで、日本なら安心できる」(
首相周辺)と日米協調の世界戦略
を描く。
 だが米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のニコラス・セーチェニー日本部副部長は昨夏、当時の民主党政権が掲げた「原発ゼロ」がワシントンに与えた衝撃の大きさを指摘。「輸出は継続するといってみても、直訳すれば原発放棄宣言」(同副部長)だからだ。
 安倍政権は原発政策の見直しを続けるが、同副部長は「国際社会は、日本の長期的な国内原発比率目標を注目している。原発産業の方向性がその数字で明確に示される」との考えを示した。しかし、日本が年内にまとめるエネルギー基本計画には、原発比率は明示されない方向だ。
腰の定まらない日本の原発政策を米国は冷ややかさも込めて注視
している。

 東京電力福島第1原発事故から2年5カ月。日本が基本方針を示せぬエネルギー政策について、同盟国たる米国から協調態勢の現状を報告する。(米ジョージア州ウェインズボロ 吉村英輝)

【用語解説】世界の原発メーカー
 1980年代以降、国際的な再編が進み現在は主に日、米、フランス、中国、韓国、ロシアの6カ国の企業が手がける。特に近年は日米の企業統合が進んだ。新興国を中心とした電力需要の増加で、世界の原発は2030年までに90~370基増加されると予想されている。


 中国での建設に積極的だったのは、WH側だったのだそうですね。中国は得意の手管で技術習得をしたい本音とは裏腹に、実績がないと引く姿勢で食いつかせる。
 米国内でぶっつけ本番で新機種建設をする前に、規制の緩い中国での実験建設で実績を造りたいWH側や、34年振りに認可した米国の安全優先認識が、技術の流出を越えて決断したのですね。
 中国は、新幹線技術ではありませんが、独自技術として国際市場に打って出て来ることでしょう。

 新規建設が凍結され、30年余のブランクがあった米国の新規原発の技術。40年の耐用期限を順次迎える100基以上の原発の更新はどうなるのか。スケールは違いますが、原発依存度の高い日本も抱える共通の課題です。
 
 福島第一の事故原因は、第一が津波対策(地震が原因説も消えていない)で、避難所の役割も担った女川との差が出ました。
 第二が全電源喪失対策の欠如の人為ミス。この全電源喪失対策を施したのが、WHの「AP1000」です。
 ブランクがあった米国の原発技術ですが、日本の技術に依存しない新技術なのだそうです。
 日米の技術が一体となり、安全な原発で、世界の市場でシェアを拡大することを願いたいところです。
 米国からは買いたくない国へは日本が表に立つ。日本では国の姿勢が定まらず、長期安定供給に不安を持たれる東芝側は、米国子会社という安定供給の地盤。狙い通りの一体体制が、通用するか、期待と不安が交錯します。

 もうひとつの懸念は、シェールガスの登場での米国内での原発熱の低下です。
 CO2による環境保護の掛け声で高まった「原発ルネサンス」が、シェールガスの登場による建設・運用コストとの差の拡大で、すっかり熱が冷めているのだそうです。
 
米電力大手、原発新設断念=当局の承認遅延で (時事通信) - Yahoo!ニュース BUSINESS

 米国のエネルギー政策も迷っている様ですね。日本・安倍政権の姿勢も定まっていません。
 かといって、以下の現状を先送りして放置も、それはそれで日本の産業力への不安を募らせます。
 

関電など供給 猛暑で綱渡り 火力発電トラブル相次ぐ (8/13 読売朝刊)

 
原子力発電所の長期停止を補ってフル稼働が続く火力発電所のトラブルが、今年も相次いでいる。現時点で安定供給に支障は出ていないが、全国的な猛暑で想定よりも需要が伸びる日が続いており、関西電力など電力各社は綱渡りの供給を余儀なくされている。(井岡秀行)

連日の需要 想定上回る

■ひずみ出た
 関電の姫路第二発電所1号機(兵庫県、48万6500キロ・ワット)が5日午後、急きょ運転を停止した。今月6日からの営業運転に向け、試験運転の最終段階だったが、ガスタービンに異常が発生した。
 姫路第二発電所は建て替え工事を進めてきた最新鋭設備で、予定通り運転できていれば、関電の今夏の供給余力は3%から5%弱にまで上がっていた。「夏場の供給力に織り込める」(八木誠社長)として営業運転を当初予定の10月から2か月前倒しする方針だったが、復旧のめどは立っていない。
 関電管内では今年度に入り、火力発電所がトラブルで1日以上止まるケースが7月末までに7件発生した。12年度の同時期(4件)を上回るペースだ。関電は今夏、定期検査を先送りするなどして火力発電所31基をフル稼働させており、「無理を続けているひずみが出ている」(電気事業連合会関係者)との見方もある。

■他社から融通
 火力発電に負荷がかかっているのは各社共通だ。
 四国電力阿南発電所4号機(徳島県、45万キロ・ワット)では今月6日、蒸気量を調整する弁に不具合が発生した。運転を止めて作業する必要があるが、需要のピーク期で供給力に余裕がなく、出力を8万キロ・ワット下げて運転を継続している。気温とともに需要が下がる9月以降に復旧させるという。
 九州電力では2日、松浦発電所1号機(長崎県、70万キロ・ワット)でボイラーの不具合が発生し、運転を停止した。出力は九電の火力発電所1基あたりでは最大で、急きょ、中国電力からの融通を増やして対応を余儀なくされた。

■3日連続更新
 一方で、全国的な猛暑で需要はピークを迎えている。
 関電管内では8月に入り、需要が関電の想定を上回る日が12日までに7日間に達した。特に9日の需要は2,729万キロ・ワット(速報値)と3日連続で今夏最大を更新し、8日に続いて12年夏の最大需要(2,681万キロ・ワット)を上回った。供給力に占める最大需要の割合(使用率)が90%以上となる日も6日間に達している。
 今夏は政府の節電要請に数値目標がない上に、景気の回復傾向を受けて企業の生産活動が上向いていることも要因とみられる。
 多くの企業がお盆休みに入った今週の需給は比較的、安定する見通しだ。12日、使用率は関電が88%、国内の観測史上最高気温となる41.0度を記録した高知県四万十市を含む四電は、86%だった。ただ、9月までは厳しい暑さが見込まれる。過去には、9月に入って夏の最大電力需要を記録した年もあり、今後も警戒が続きそうだ。


 歴史的猛暑が予測され、実際にそうなっている今夏。今までの所、綱渡りで供給がなされていることに、裏でのご苦労に感謝ですが...。


 # 冒頭の画像は、米ジョージア州オーガスタ近郊で建設準備が進む新型原子炉「AP1000」を採用したボーグル(Vogtle)原子力発電所
 


  この梅の花の名前は、姫千鳥


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