遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

新米中関係と北朝鮮

2017-04-17 23:58:58 | 中国 全般
 トランプ大統領は、習近平との晩餐会でシリア攻撃の話をし、習近平は暫く絶句した後「子供や赤ん坊にガスを使う残虐な者に対してなので(武力を使うことは)問題ない」と語り理解を示したという、トランプ大統領の奇襲攻撃に習近平が一本とられた場面は、新しい米中関係のスタートを象徴するひとつのエピソードでした。
 ここで言質をとられた習近平の中国は、国連でのシリアによる化学兵器使用への批難とアサド政権にこの件で調査に協力するよう求める決議案に拒否権を使用せず、棄権という態度をとらざるをえなかったことは、諸兄がご承知の通りです。
 チャイナセブンの椅子取り争いの政局を控えた習近平には、前回のオバマ大統領(当時)との首脳会談で、オバマ大統領に「航行の自由作戦」実施を決断させる外交失政に続く、痛手となる失政でした。
 中国国内でのこの会談への評価や、トランプ大統領が下駄を預けてプレッシャーをかけることで注目される、中国の対北姿勢の動向に注目しています。

 
【トランプ政権】トランプ大統領がシリア攻撃を説明したのはデザート中だった 中国の習近平主席、10秒間沈黙 - 産経ニュース
 シリア非難の安保理決議案、ロシア拒否権で否決 中国は棄権 | ロイター

 人民日報の首脳会談の内容報道では、北朝鮮問題については全く触れられず、シリア攻撃も無視したもので、米中両首脳が関係発展に向けて、すばらしい第一歩をしるしたことをアピール。ソファに座った習氏が右手を少し前に出しながら、傍らのトランプ氏に何かを語りかけていて、中国は言うべきことを米国に主張し、米国も中国の主張に耳を傾けている様に見える写真を掲載していたのだそうです。
 予想はされるものの、全く真実を欠く偏向報道です。
 中国国内の、北朝鮮に関する世論については、以下の様な記事がありました。
 

多様化する中国の対北世論 中国総局・西見由章 (4/17 産経 【視線】)

 
前世紀に日本が建設した2つの橋が、中朝の“絆”を象徴していた。
 国境の鴨緑江で隔てられた中国遼寧省丹東と北朝鮮新義州を結ぶ「中朝友誼橋」。ライトアップが始まった午後6時すぎ、歴史的遺構のようなたたずまいで沈黙していた全長約940メートルの鉄橋が別の顔を見せ始めた。
 「ガガガ」。大型トラックの車列がエンジン音のうなりを上げ、ベルトコンベヤーに乗せられたように橋の上を数珠つなぎで北朝鮮へ向かっていく。日用品や建設資材などを載せたトラックの数は1時間で約60台。翌日午前には200台以上が対岸に渡った。
 友誼橋の100メートル下流には、もうひとつ橋がある。川の上を半分ほど渡ったところで突然途切れ「断橋」と呼ばれる。朝鮮戦争時の1950年11月、中国から北朝鮮への重要な支援ルートとなっていたこの橋を国連軍の米爆撃機B29が攻撃し、北朝鮮側の橋が崩落した。
 その後、残された橋を中国側が愛国主義教育のために改修し、橋上のパネルには「米国侵略者」の蛮行として当時の写真が飾られている。

 「中国と北朝鮮は同じ社会主義国の仲間だ。
米国には北朝鮮を攻撃する度胸も国力もないさ」。米国によるシリア空爆の前日、丹東市の初老のタクシー運転手は米国や日本への敵愾(てきがい)心をあらわにした。「小日本(シャオリーベン)(日本の蔑称)や韓国はアジアの国だ。米国を頼っても何の役にも立たないぞ

 
丹東市民の親北感情
の由来は、歴史的な経緯だけではない。中朝貿易の7割以上を担う丹東には北朝鮮の物産店やレストランがあふれ、閉ざされた独裁国家への好奇心を抱く観光客を引き寄せてきた。丹東を外貨獲得の窓口としている北朝鮮とは経済的な相互依存関係にある。

 ただ
中国世論は複雑だ。インターネット上では「金三胖(金家の3代目の太っちょ)」が金正恩朝鮮労働党委員長の代名詞となり、その強いリーダーシップが尊敬を集めるプーチン露大統領との落差は大きい。金正男氏殺害事件も「北朝鮮が異質で恐ろしい国という印象
を急速に広めた」(北京の政治学者)といい、負のイメージに追い打ちをかけた。

 中国経済は地域や業界ごとに状況が大きく異なることから「まだら模様」と表現されることが多いが、
中国の対北世論もまた、まだら模様だ。擁護論と批判論を両端にしたグラデーション(濃淡)は、朝鮮半島研究者の中にも存在する。こうした世論の多様化そのものが、当局が対北政策の幅を広げるための下準備
だと指摘する声もある。
 
中国は朝鮮半島の「非核化」と「安定」の両立を目指しているが、実態は安定を優先してきた。民主主義陣営の米韓に対する「緩衝地帯」が必要であり、北朝鮮の政権崩壊は難民の発生など中国東北部の不安定化につながるとの判断
だ。

 一方、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展により
「非核化」の優先順位が上がった
と分析する研究者もいる。
 米国による北朝鮮への武力行使が現実味を帯び、日韓では核武装論もくすぶる。核施設の事故による放射性物質拡散への懸念も根深い。
中国にとって北朝鮮の核開発が「潜在的脅威」から現実のリスクになりつつある
ためだ。

 ある中国人研究者は
「米国の外圧」を利用して中国当局が対北政策を転換させようとしていると指摘し、こう大胆に予測する。「表面的には武力行使反対を唱え続けるが、核関連施設だけを狙った限定的な『歯を抜く』措置は黙認する」


 もっとも習近平指導部は今年秋、中国共産党の最高指導部メンバーが大幅に入れ替わる
党大会を控え、周辺国の混乱は極力避けたいのも本音だ。トランプ、金正恩という「不確実性」の高い両政権のはざまで、中国側が導き出す「解」の不確実性も高まっている。(にしみ よしあき)

 中国世論の結論は、「まだら模様」。
 と言うことは、北擁護一辺倒ではなくなってきている。注目すべきは、「世論の多様化そのものが、当局が対北政策の幅を広げるための下準備だと指摘する声もある」との指摘。
 中国政府も、北朝鮮擁護一辺倒ではなく、不確実性の高い「金三胖(金家の3代目の太っちょ)」について、核やミサイル開発にいそしむことのリスクの高まりに、対北政策の見直しを検討し始めているという気配です。正男氏暗殺も、習近平の面目を潰されると同時に、「金三胖」に対する金王朝の継承という抑止力を失ったことによるあらたな抑止力確保を迫られているとも言えます。

 迷う習近平。秋の党大会へ向けた政局争いの仕上げの山場で、トランプ大統領から下駄を預けられ、窮地に立たされています。「話し合い」をかかげ先送りの時間稼ぎ戦術の様相ですが、どう乗り切るのか、不確実性の高さでは引けをとらないトランプ大統領の反応も含め注目されますね。



 # 冒頭の画像は、トランプ大統領と習近平主席




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