遊爺雑記帳

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【続^2】フィリピン ドゥテルテ大統領、初の外遊先国、中国訪問

2016-10-22 23:58:58 | EEZ 全般
 ドゥテルテ大統領の、実質的には初の外遊と言ってよい中国訪問について触れてきましたが、時と場所でコロコロ変遷する発言は、帰国後もまたまた変化し、米国との「決別」発言について、「関係の断絶と言えば(米との)外交関係を断つことだが、私はそれはできない」と釈明し、「関係を維持することが国民にとっての最善の利益だ」と語っているのだそうですね。
 この目まぐるしい変遷は、国際外交では何処の国からも信頼を失うものですね。ドゥテルテ大統領にすれば、訪中で中国へのリップサービスしたつもりが、反響の重大さに、あわてて訂正をしたのかもしれません。
 もっとも、「生きている間には(米国には)訪問しない」とも宣言したのだそうですから、独自の麻薬取締方法(国民の支持獲得の決め手)を非難する米国嫌いは一貫している様でもあります。
 

比大統領「対米断絶ない」…訪中終え帰国 決別発言 打ち消す : 読売プレミアム

 【マニラ=向井ゆう子】中国訪問から帰国したフィリピンのドゥテルテ大統領は21日深夜、南部ダバオ市で記者会見を開き、北京で行った米国との「決別」発言について、「関係の断絶と言えば(米との)外交関係を断つことだが、私はそれはできない」と釈明した。「関係を維持することが国民にとっての最善の利益だ」とも語った。
 「決別」発言後、ドゥテルテ氏が内容に関し公式に説明したのは初めてで、自身が火消しに走った格好だ。
 ドゥテルテ氏の発言を巡っては、米国務省がフィリピン政府に発言の真意についての説明を求める意向を示すなど、国際社会に波紋が広がっていた。地元メディアによると、デルロサリオ前外相が「国家の悲劇」と語るなど、フィリピン国内でも批判が出ていた。
 ドゥテルテ氏は記者会見で、
中国との会談では南シナ海のスカボロー礁についても協議したと語ったものの、詳細は明らかにしなかった

 一方、自らがこだわる
麻薬対策について持論を展開。米国からの批判に反発した上で、「生きている間には(米国には)訪問しない」とも宣言
した。

米は不快感表明
 【ワシントン=尾関航也】フィリピンのドゥテルテ大統領が米国との「決別」など反米的な発言を繰り返していることについて、アーネスト米大統領報道官は21日の定例記者会見で、「無用の不安を招き、どちらの国も得るものはない」と不快感を表明した。

 他方、米国は、このドゥテルテ大統領の腰の定まらない不透明な姿勢で、中国へのけん制が必要と感じたのか、仲裁裁判所の裁定後では初となる、「航行の自由作戦」を敢行したのだそうです。
 

米艦が西沙で「航行の自由作戦」、中国をけん制 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 【ワシントン=大木聖馬、北京=蒔田一彦】米軍は21日、イージス駆逐艦「ディケーター」が南シナ海・パラセル(西沙)諸島で中国が領有権を主張する島の周辺を航行し、「航行の自由作戦」を実施した。米国防当局者が同日、明らかにした。7月に仲裁裁判所が南シナ海における中国の領有権主張を否定する判決を出して以降、米軍が南シナ海で同作戦を行うのは初めて。中国が国際社会の反対を無視して進める南シナ海での軍事拠点化をけん制する狙いがある。

 ロイター通信によると、同艦は中国が実効支配するウッディ島(永興島)とトリトン島(中建島)の付近を航行し、
中国軍艦3隻に追跡された
が、トラブルはなかった。
 米軍は、昨年10月、今年1、5月に同作戦を実施。3回とも中国の人工島などの12カイリ(約22キロ・メートル)内をイージス艦が航行した。
 米国防当局者は、
今回の作戦では米艦が12カイリ内には入らなかった
とした上で、「作戦は沿岸国が違法に航行の権利や自由を制限してはならないことを示すものだ」と趣旨を説明した。
 ウッディ島とトリトン島は、中国のほか、ベトナムや台湾が領有権を主張している。中国は
ウッディ島で滑走路の拡張などで埋め立てを進め、島の面積が約2年で4割拡大しているほか、長距離地対空ミサイルや戦闘機の配備を進めるなど、軍事拠点化を続けている。


 中国外務省の華春瑩フアチュンイン副報道局長は「米国のいわゆる『航行の自由作戦』は国際法に重大に違反する」とし、米側に「中国の主権や安全を損ねる挑発行為の停止」を求めるコメントを同省のホームページ上に発表した。


 麻薬犯取り締まりの、大統領支持率獲得の一丁目一番地政策を非難される米国とは交わる見込みが薄い現状のドゥテルテ大統領。しかし、「関係を維持することが国民にとっての最善の利益だ」とも語り、最後の一線までは切る意志は無い様です。
 首脳会談で、「南シナ海のスカボロー礁についても協議したと語ったものの、詳細は明らかにしなかった」とのことで肝心のスカボロー礁周辺でのフィリピン側の漁業権については共同声明に折込められず不調に終わったドゥテルテ大統領。せっかく仲裁裁判所のお墨付きがあるのに、中国に強気の攻めが出来ないのは何故なのでしょう。同行した多数の財界人の為なのでしょうか。
 従来の政権と財界の対米依存を断ち切る為に、中国からの投資を取り付けたいからでしょうか?
 そうだとしたら、そこを中国に見透かされ、スカボロー礁周辺の漁業権は中国側が外交カード化し、仲裁裁判所裁定の無効化に利用されているのですね。にもかかわらず、中国には噛みつかないドゥテルテ大統領。大統領選では、乗り込んで国旗を立てると言っていた勢いは、何処へ行ってしまったのでしょう。

 米国の為ではなく、フィリピン国民の為を最優先すると言って国内の高支持率を獲得しているドゥテルテ大統領。対中国よりも国民の為の優先も必要でしょう。国内の犯罪者を厳しく取り締まりが出来ても、国の領有権を侵略する無法者を取り締まれなければ、国民の支持は得られないはずです。元検事なら判るはずですが、国内犯罪専門で、国際犯罪は取り扱わないのでしょうか。国家の存在の意義の重要な要件のひとつは、国民と国家の安全と主権を護ることのはずです。

 昨日と同じことの繰り返しになりますが、米国とのコミニュケーションがうまくとれていない、不透明なドゥテルテ大統領。25日からの来日で、安倍首相が信頼関係を構築し、ドゥテルテ大統領を対中抑止力側(国際法を順守させようとする側)に繋ぎとめることが出来るのか。アジアの雄国としてのアジア諸国の期待に応えられるのか。注目されますね。



 # 冒頭の画像は、イージス駆逐艦「ディケーター」
  米軍が2隻目のイージス艦を配備、朝鮮半島沖のミサイル防衛強化 | ロイター




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