中国共産党と政府が経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」で、減速に歯止めがかからない中国経済への危機感を強め、財政赤字の拡大を伴う財政出動での下支えを強化することとしたのだそうです。
中国の15年の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.3%で、財政出動拡大の余地はあるとのことですが、駆け足で先進資本主義国に追いつき追い越した中国ですが、先進国の辿った道である、財政赤字拡大の悩みを持ちながらの経済運営をする老成化への転換期にさしかかった様ですね。
日本の国と地方を合わせた債務残高は、GDP比246%ですから、中国の2.3%はまだご愛嬌の内とも言えますが、元々が国や地方政府の不動産、インフラへの財政投資と、外資の投資で経済成長を成し遂げてきた中国経済。
拡大する巨額の軍事費、その軍事費を更に上回る公安費を抱え、赤字の財政投資拡大路線に突入すれば、民需での大幅税収増が見込めない限り、雪だるま式に赤字が拡大することは目に見えています。
中国政府の景気対策としては、製鉄や造船など重厚長大産業の過剰生産能力の削減、地方都市での住宅在庫の削減、製造業主体の経済体質(組立産業での世界の工場)からサービス業拡大への脱却が打ち出されているのだそうです。
しかし、製造業の縮小は働く人々の失業を産むことは、諸兄がご承知の通りで記事でも指摘されていますね。つまり、デフレ経済突入。
安価な人件費や土地・建物で世界の工場として、組み立て産業(部品を調達して組み立てる)を中心に世界の工場としてスタートした経済モデルは、人件費の高騰で他の発展途上国にその座を譲らねばならなくなっています。環境汚染や安全重視でのコスト増大も必須です。製鉄・造船などの基幹産業は成長を見込んだ過大投資で生産能力過剰。インフラ投資も行き渡り、住宅も鬼城の多発で余剰。
サービス業への構造転換に賭けていますが、どうでしょう。
社会が成熟し、成長が鈍化するのは、先進国が歩んだ道。その道を駆け足で追いつき、格差の拡大、安全・安心の欠如の社会問題が大きくのしかかっている現状。
転換期を迎えた中国経済を、どう制御するのか。李克強を封じて主導する習近平のお手並み拝見ですね。
# 冒頭の画像は、ゴーストタウン化したモンゴル自治区のオルドス市
この花の名前は、フロックス
↓よろしかったら、お願いします。
中国の15年の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.3%で、財政出動拡大の余地はあるとのことですが、駆け足で先進資本主義国に追いつき追い越した中国ですが、先進国の辿った道である、財政赤字拡大の悩みを持ちながらの経済運営をする老成化への転換期にさしかかった様ですね。
中国、財政出動を拡大 来年方針 経済減速に危機感 (12/22 読売朝刊)
【北京=鎌田秀男】中国共産党と政府が2016年の経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」は21日、「積極的な財政政策をさらに力強く実行する」と、景気の下支えを目的とした財政出動の拡大姿勢を打ち出し、閉幕した。
財政赤字の緩やかな拡大を容認し、公共投資など財政政策の強化に言及したのは、従来型産業の整理など構造改革を進める一方で、減速に歯止めがかからない中国経済への危機感を反映したものだ。中国の15年の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.3%で、財政出動拡大の余地はある。
経済改善に向けた具体策としては、製鉄や造船など重厚長大産業の衰退を招いている過剰な生産能力の削減や、地方都市で深刻な住宅在庫の解消などを挙げた。構造改革の痛みを和らげるため、減税や行政手続き効率化により企業のコストを削減する方針を示し、政策金利など金融政策についても「柔軟性を持たせる」との表現を盛り込んだ。第13次5か年計画が始まる16年のGDP成長率目標については、「中高速の成長を維持する」との言及にとどめた。
【北京=鎌田秀男】中国共産党と政府が2016年の経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」は21日、「積極的な財政政策をさらに力強く実行する」と、景気の下支えを目的とした財政出動の拡大姿勢を打ち出し、閉幕した。
財政赤字の緩やかな拡大を容認し、公共投資など財政政策の強化に言及したのは、従来型産業の整理など構造改革を進める一方で、減速に歯止めがかからない中国経済への危機感を反映したものだ。中国の15年の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.3%で、財政出動拡大の余地はある。
経済改善に向けた具体策としては、製鉄や造船など重厚長大産業の衰退を招いている過剰な生産能力の削減や、地方都市で深刻な住宅在庫の解消などを挙げた。構造改革の痛みを和らげるため、減税や行政手続き効率化により企業のコストを削減する方針を示し、政策金利など金融政策についても「柔軟性を持たせる」との表現を盛り込んだ。第13次5か年計画が始まる16年のGDP成長率目標については、「中高速の成長を維持する」との言及にとどめた。
中央経済工作会議 習政権、痛み伴う改革 炭鉱、製鉄で雇用不安 (12/22 読売朝刊)
【北京=鎌田秀男】中国の習近平政権は、21日に閉幕した「中央経済工作会議」で、経済の重点を製造業からサービス業などへ転換させる構造改革を進めつつ、将来的な安定成長を図る路線を確認した。だが、改革の過程で企業の整理や貿易の縮小も進み、政権の思惑を超えて経済が悪化している部分もある。
北京から西へ約550キロ・メートルの内モンゴル自治区オルドス市。全国の石炭産出量の約6分の1を占め、原油生産で巨利を得た中東にちなみ、かつて「中国のドバイ」とも呼ばれた街は今、暗い雰囲気に包まれていた。
「きょうはトラック1台しか来ていない。従業員の半分がクビになった」
深い霧に包まれた露天掘り炭鉱の入り口で、警備員の文紹軍(がい・しょうぐん)さん(37)がぼやいていた。
この炭鉱では、電力会社への供給契約を守るため、完全な停産はできず、赤字を出しながら細々と操業している。ピーク時には1日3万トンの石炭販売量が、今は2000トン程度まで激減。人影のない石炭集積場には、十数台のショベルカーが放置され、物音は数匹の犬がほえる声くらいだった。
「オルドス炭鉱ネット」の楊志東社長(31)によると、5年前は発電用の石炭が1トン500元(約9500円)で取引されていたが、今では100元前後に下落。回復には「炭鉱の整理が必要で、2年はかかる」といい、すでに国内の炭鉱の半分近い4947か所が生産を停止している事態となっている。
工作会議が示した「過剰生産の削減」などの改革は、炭鉱や製鉄など従来型産業を直撃し、成長率を押し下げる。失業者の増加が社会不安を招くおそれもある。
習政権は国民の不満が自らに向けられる事態を警戒し、政府が地方のインフラ投資案件の着手を前倒ししたり、長期の自動車減税を実施したりと、景気を底割れさせないための目配りもしてきた。だが、製造業の竸争力低下は止まらず、15年通年の輸出も09年以来6年ぶりに前年割れしそうな状況だ。「製造業で給料の遅配がない企業は3割だけ」と報じた中国メディアもある。マンションなどへの投資を示す不動産開発投資も1~11月の累計で1.3%増と異例の低さに落ち込んだ。
工作会議が財政赤字の緩やかな拡大を容認し、財政政策の強化に言及したのは、やみくもに改革を進めれば中国経済がパンクするとの危機感が政権内部にも存在することを示唆している。ただ、改革を断行しなければ、将来の安定成長は望めない。習政権はジレンマを抱えつつ、中国経済の微妙なかじ取りを迫られる。
【北京=鎌田秀男】中国の習近平政権は、21日に閉幕した「中央経済工作会議」で、経済の重点を製造業からサービス業などへ転換させる構造改革を進めつつ、将来的な安定成長を図る路線を確認した。だが、改革の過程で企業の整理や貿易の縮小も進み、政権の思惑を超えて経済が悪化している部分もある。
北京から西へ約550キロ・メートルの内モンゴル自治区オルドス市。全国の石炭産出量の約6分の1を占め、原油生産で巨利を得た中東にちなみ、かつて「中国のドバイ」とも呼ばれた街は今、暗い雰囲気に包まれていた。
「きょうはトラック1台しか来ていない。従業員の半分がクビになった」
深い霧に包まれた露天掘り炭鉱の入り口で、警備員の文紹軍(がい・しょうぐん)さん(37)がぼやいていた。
この炭鉱では、電力会社への供給契約を守るため、完全な停産はできず、赤字を出しながら細々と操業している。ピーク時には1日3万トンの石炭販売量が、今は2000トン程度まで激減。人影のない石炭集積場には、十数台のショベルカーが放置され、物音は数匹の犬がほえる声くらいだった。
「オルドス炭鉱ネット」の楊志東社長(31)によると、5年前は発電用の石炭が1トン500元(約9500円)で取引されていたが、今では100元前後に下落。回復には「炭鉱の整理が必要で、2年はかかる」といい、すでに国内の炭鉱の半分近い4947か所が生産を停止している事態となっている。
工作会議が示した「過剰生産の削減」などの改革は、炭鉱や製鉄など従来型産業を直撃し、成長率を押し下げる。失業者の増加が社会不安を招くおそれもある。
習政権は国民の不満が自らに向けられる事態を警戒し、政府が地方のインフラ投資案件の着手を前倒ししたり、長期の自動車減税を実施したりと、景気を底割れさせないための目配りもしてきた。だが、製造業の竸争力低下は止まらず、15年通年の輸出も09年以来6年ぶりに前年割れしそうな状況だ。「製造業で給料の遅配がない企業は3割だけ」と報じた中国メディアもある。マンションなどへの投資を示す不動産開発投資も1~11月の累計で1.3%増と異例の低さに落ち込んだ。
工作会議が財政赤字の緩やかな拡大を容認し、財政政策の強化に言及したのは、やみくもに改革を進めれば中国経済がパンクするとの危機感が政権内部にも存在することを示唆している。ただ、改革を断行しなければ、将来の安定成長は望めない。習政権はジレンマを抱えつつ、中国経済の微妙なかじ取りを迫られる。
日本の国と地方を合わせた債務残高は、GDP比246%ですから、中国の2.3%はまだご愛嬌の内とも言えますが、元々が国や地方政府の不動産、インフラへの財政投資と、外資の投資で経済成長を成し遂げてきた中国経済。
拡大する巨額の軍事費、その軍事費を更に上回る公安費を抱え、赤字の財政投資拡大路線に突入すれば、民需での大幅税収増が見込めない限り、雪だるま式に赤字が拡大することは目に見えています。
中国政府の景気対策としては、製鉄や造船など重厚長大産業の過剰生産能力の削減、地方都市での住宅在庫の削減、製造業主体の経済体質(組立産業での世界の工場)からサービス業拡大への脱却が打ち出されているのだそうです。
しかし、製造業の縮小は働く人々の失業を産むことは、諸兄がご承知の通りで記事でも指摘されていますね。つまり、デフレ経済突入。
安価な人件費や土地・建物で世界の工場として、組み立て産業(部品を調達して組み立てる)を中心に世界の工場としてスタートした経済モデルは、人件費の高騰で他の発展途上国にその座を譲らねばならなくなっています。環境汚染や安全重視でのコスト増大も必須です。製鉄・造船などの基幹産業は成長を見込んだ過大投資で生産能力過剰。インフラ投資も行き渡り、住宅も鬼城の多発で余剰。
サービス業への構造転換に賭けていますが、どうでしょう。
社会が成熟し、成長が鈍化するのは、先進国が歩んだ道。その道を駆け足で追いつき、格差の拡大、安全・安心の欠如の社会問題が大きくのしかかっている現状。
転換期を迎えた中国経済を、どう制御するのか。李克強を封じて主導する習近平のお手並み拝見ですね。
# 冒頭の画像は、ゴーストタウン化したモンゴル自治区のオルドス市
この花の名前は、フロックス
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