遊爺雑記帳

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EU諸国は「新冷戦時代」に中国とどう付き合うののか

2020-09-22 01:22:22 | 米中新冷戦時代
 米中の「新冷戦時代」に突入している今日、自由の価値観を共有する米国と歩調を合わせる国々と、中国の傘下に入る国々とで別れつつあります。
 対中輸出比率の高い欧州勢では、イタリアが「一帯一路」の欧州での橋頭保となっていましたが、新型コロナウイルス感染の欧州諸国の先鞭禍にあい、中国との距離を置き始めているようです。
 新型コロナウイルスの世界中への感染拡大に加え、香港の「一国二制度」の期限破りの「国家安全法」適用。ウイグルやチベットでの人権無視施策なども重なり、欧州諸国も重い腰を上げようかと揺れ始めたようですね。
 
EUの対中戦略行き詰まり 強気の中国に人権で強く出られず(1/2ページ) - 産経ニュース 2020.9.21

 【パリ=三井美奈】米中対立の陰で、欧州連合(EU)の対中戦略が行き詰まっている。EUは米国のように中国を真正面から攻撃せず、投資や環境の分野で対中協力を模索してきたが、習近平国家主席は14日のEU・中国首脳会談でEUの懐柔策を受け入れなかった新型コロナウイルス流行後の中国、EU間の力関係の変化も背景にある。

◇人権「封印」も空振り

 
首脳会談最大の課題は過去7年、交渉を続けてきた投資協定だった。過去の貿易で中国から技術移転ばかり迫られたEUは情報通信やバイオ産業の市場開放を要求する一方、香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題では、「懸念」を表明するのにとどめた

 
それでも、習氏は「中国は人権問題の『先生』を受け入れない」と反発し、会談は投資協定の「年内合意」の目標を確認しただけで終わったEUのミシェル大統領は「われわれは中国に利用されない」といらだちを示した

◇形勢逆転

 EUが第5世代(5G)移動通信システムや人工知能(AI)、エネルギーなど戦略分野で大きく後れをとっていることは交渉上の弱みになっている。

 
5Gではデンマークやスロベニアが安全保障上の懸念から中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)製品採用を見送ったが、EUですぐに取って代われる企業は多くない。電気自動車(EV)でも欧州自動車大手は中国企業のバッテリーが頼みだ。中国は技術力でEUを凌駕しつつある

 
中国は米国に対抗するため自国産業の育成に熱をあげ、投資協定が目指す市場開放どころか保護主義色を強める北京の欧州商工会議所は今月、「中国の外資規制は強まり、欧州の競合企業を締め出そうとしている」と懸念を示した

◇EU内で批判も

 
中国は新型コロナ流行後、EUへの態度を変えた医療用品の不足に苦しんだEUは供給を中国に頼ったが、中国は「感謝せよ」と迫った。これが欧州では居丈高な態度と映り、世論調査で「中国への見方が悪化した」と答えた人はフランスで62%、ドイツで48%にのぼった

 
EUは昨年春の対中方針で中国を「競争相手」と位置付けた。米国が離脱したイラン核合意や地球温暖化対策で協力しつつ中国市場の開放で譲歩を狙ったが、出口の見えない戦略を産業界は疑問視する。ドイツ機械工業連盟は「投資協定が年内に合意できない場合、EUは状況を見直すべきだ」と声明で促した。

◇人権制裁法

 欧州では
EUが「人権で弱腰」であるとの批判も強まるフォンデアライエン欧州委員長は16日の演説で、迅速な制裁を可能にするため、「米マグニツキー法の『欧州版』導入に取り組む」と述べた。首脳会談の不調を受け、中国側に圧力をかけようとした。

 この法は人権侵害に関わった外国人の資産凍結、渡航禁止などを定め、米政権は香港政府や新疆ウイグル自治区の高官に制裁をかける根拠とした。だが、
EU議長国ドイツは制裁に否定的で、「欧州版」実現の見込みは乏しいのが現状だ。

 米中対立の陰で、EUは米国のように中国を真正面から攻撃せず、投資や環境の分野で対中協力を模索してきたのですが、14日のEU・中国首脳会談で、習近平国家主席はEUの懐柔策を受け入れなかったのだそうです。
 首脳会談で最大の課題は投資協定。
 過去の貿易で中国から技術移転ばかり迫られたEUは情報通信やバイオ産業の市場開放を要求したのだそうです。
 一方、香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題では、「懸念」を表明するのにとどめるといった弱気。人権や、「一国二制度」の反故については、貿易を優先させたのですね。
 
 にもかかわらず、習氏は「中国は人権問題の『先生』を受け入れない」と反発し、会談は投資協定の「年内合意」の目標を確認しただけで終わったのだそうです。
 
 米国が各国に呼び掛けている華為技術(ファーウェイ)製品の排除。デンマークやスロベニアは応じたのだそうですが、動き紙鈍いEU諸国。
 
 中国は米国に対抗するため自国産業の育成に熱をあげ、投資協定が目指す市場開放どころか保護主義色を強めていて、北京の欧州商工会議所は、「中国の外資規制は強まり、欧州の競合企業を締め出そうとしている」と懸念を示しているのだそうです。

 新型コロナウイルスの世界中への感染で、世界中から習近平の初動への批判が高まり、賠償を求める声が高まっていますが、習近平はマスク外交を展開し逆攻勢をかけていますね。
 EUへの姿勢も、医療用品の不足に応じた供給をしたことで、「感謝せよ」と迫ったのだそうです。
 これが欧州では居丈高な態度と映り、世論調査で「中国への見方が悪化した」と答えた人はフランスで62%、ドイツで48%にのぼったのだそうです。

 EUは昨年春の対中方針で中国を「競争相手」と位置付けていたのだそうです。
 中国市場の開放で譲歩を狙ったが、出口の見えない戦略を産業界は疑問視し始めているのですね。ドイツ機械工業連盟は「投資協定が年内に合意できない場合、EUは状況を見直すべきだ」と声明を発したのだと。

 また、EUが「人権で弱腰」であるとの批判も強まっていて、フォンデアライエン欧州委員長は、迅速な制裁を可能にするため、「米マグニツキー法の『欧州版』導入に取り組む」と述べたのだそうです。
 米政権が香港政府や新疆ウイグル自治区の高官に制裁をかける根拠とした法律です。
 ただ、ドイツが制裁に否定的で、「欧州版」実現の見込みは乏しいのが現状なのだそうです。

 しかし、ドイツ政府がこれまでの中国一辺倒のアジア政策の転換に動き始めたと日経。
 
独、中国依存を転換 アジア政策、日本などと連携 :日本経済新聞 2020/9/9 朝刊

【ベルリン=石川潤】ドイツ政府がこれまでの中国一辺倒のアジア政策の転換に動き始めた。新たにまとめたインド・太平洋戦略で、日本や韓国など民主主義をはじめとした共通の価値観を持つ国との関係強化を打ち出した。独の方針転換は、中国への依存に対する欧州の警戒感の高まりを映している

「民主主義と自由主義の価値観を分け合う国々とより深く協力していく」(マース外相)。
独政府は2日初のインド・太平洋外交の指針(ガイドライン)を閣議決定した。大国の覇権を受け入れず、開かれた市場を重視するという文言ににじむのが中国離れだ。アジア政策の「急転回」(南ドイツ新聞)につながる可能性がある。

インド・太平洋で「法の支配」を重視するという方針は、日本やオーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)などが掲げる。欧州ではフランスが採用しており、独も追随した。

背景には中国への不信感がある。独は中国を軸にアジア戦略を描き、メルケル首相が毎年のように中国を訪問してきた。
中国は独の最大の貿易相手国でインド・太平洋での対外貿易の約50%を占める

だが、
経済成長と共に開かれた市場になるとの期待は裏切られ、中国に進出した独企業は技術の強制移転などにあえぐ。不公正を是正するための欧州連合(EU)と中国の投資協定の協議も難航し、懸念が高まった。

そんな中、香港国家安全維持法の施行や新疆ウイグル自治区の「再教育施設」などの人権問題も浮上した。
中国との価値観の違いが浮き彫りになる中、独国内では中国に弱腰とされるメルケル政権への批判が高まりつつある

新たな指針では、中国の広域経済圏構想「一帯一路」について対象国の過剰債務の問題を指摘するなど、中国に手厳しい表現が目立つ。ルールに基づく秩序は「強者の法ではなく、法の強さが決め手でなければならない」とクギを刺した。

欧州全体でも中国との関係は曲がり角を迎えている。EUは2019年に中国を「競合相手」とする新たな対中戦略を協議した。貿易や技術面の警戒を前面にし「陶酔から冷静な対中政策へ」(ドイツ世界地域研究所のパトリック・ケルナー氏)の転換が進む。

独は今回の指針をもとに、仏と協力し欧州全体でのインド・太平洋戦略策定を協議する。欧州全体で動くことで発言力を高め、成長市場で存在感を発揮する狙いがある。

英国や仏は次世代通信網(5G)から華為技術(ファーウェイ)の締め出しに動き始めた。中国の王毅(ワン・イー)外相は9月初めまで仏独など5カ国を訪問して関係の改善を探ったが、人権問題への批判が噴出し、かえって隙間風が目立つ結果となった。

成長が続く中国が独や欧州にとって重要なパートナーという事実は変わらない。しかし、
両者の間に価値観の違いが埋めがたく横たわるなか、従来の蜜月は終わりに向かおうとしている

 中国への依存に対する欧州の警戒感の高まりを映して、新たにまとめたインド・太平洋戦略で、日本や韓国など民主主義をはじめとした共通の価値観を持つ国との関係強化を打ち出したのだそうです。

 中国は独の最大の貿易相手国でインド・太平洋での対外貿易の約50%を占めるのだと。
 しかし、経済成長と共に開かれた市場になるとの期待は裏切られ、中国に進出した独企業は技術の強制移転などにあえいでいるのが現状。
 EUと中国の投資協定の協議も難航。
 香港国家安全維持法の施行や新疆ウイグル自治区の「再教育施設」などの人権問題も浮上。価値観の違いが浮き彫りになる中、独国内では中国に弱腰とされるメルケル政権への批判が高まりつつあるのだそうです。
 新たな指針では、中国の「一帯一路」政策について対象国の過剰債務の問題を指摘するなど、中国に手厳しい表現が目立つと。
 独は今回の指針をもとに、仏と協力し欧州全体でのインド・太平洋戦略策定を協議する。欧州全体で動くことで発言力を高め、成長市場で存在感を発揮する狙いがあるのだとも。
 
 英国や仏は次世代通信網(5G)から華為技術(ファーウェイ)の締め出しに動き始めています。
 
 成長が続く中国が独や欧州にとって重要なパートナーという事実は当面は変わりませんが、両者の間に価値観の違いが埋めがたく横たわるなか、従来の蜜月は終わりに向かおうとしていると日経。

 繰り返しになりますが、米中の「新冷戦時代」。EU勢も重い腰をあげる様子です。
 日本では、尖閣諸島の領海を含む近海に「海警」の侵入による、実効支配の争いがエスカレートしています。
 自民党・二階幹事長等は、いまだに習近平の国賓招聘を言い続けています。
 新型コロナ感染騒動で、サプライチェーンの中国依存度が露呈し、安全保障にも影響があると判っても、欧州勢がふん切れなかったと同様に、企業経営者が対中貿易をあきらめきれない日本。
 
 日本の媚中勢の、時代の流れの変化への覚醒が求められます。



 # 冒頭の画像は、EUと中国の隔たり




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