丸紅が、香港の大手衛星テレビ局の通販を足掛かりに中国への農産物の輸出を開始するのだそうです。旧い話ですが、2009年頃に世界の資源買占めの話題の中で、農業に適した土地も有限だということで、世界の国々が農地の買い占めに走り始め、日本も遅れるなということで農水省が笛を吹いたのですが、日本の大手商社は踊らないという記事に接しました。以来、日本の大手商社は、リスクが大きい農業には消極的というイメージが遊爺の中に定着していました。
日本の農業改革に、企業の参加が唱えられるようになった今、世界を股にかけた商売の専門家が、その販売ノウハウを活かして参入することが出来れば、商社にとっても新しい柱が出来るし、日本の農業の輸出=農家にも新たな需要が産まれることになる、ハッピーな話なのですが。
農地争奪に出遅れる日本 自給率UPだけで大丈夫? WEDGE Infinity(ウェッジ)
日本の農産物や水産物を大量に輸出するための本格的な「定期販路」が年内にスタートする。大手商社の丸紅が、香港の現地企業と提携して青果や加工食品の販売を始める計画で、大規模な集配センターの新設も予定している。他の大手商社に同様の取り組みが広がる可能性もあり、2020年に農産物・食品の輸出を1兆円規模に倍増させるという政府の目標達成に、弾みがつきそうだ。
政府「輸出倍増」戦略弾み
丸紅は月内に、香港の大手衛星テレビ局「香港衛星テレビ国際メディア集団(HKSTV)」と提携する。同社が運営するテレビ通販やインターネット通販を活用したコメや野菜、果物などの販売を、年内に香港やマカオなど中国南部で始める。HKSTVの協力を得て、現地の百貨店やスーパーを通じた販売も行う。
販売品目は今後、水産物、牛肉、乳製品などに拡大し、販売地域も中国内だけでなく東南アジアに広げる。一定の輸出量が確保できた段階で、香港に独自の集配センターを新設し、恒常的に輸出農産物を受け入れられる体制を整える。15年に300億円、20年に1000億円を目指す。
日本の農産物輸出はこれまで、各地の農家や農業法人などが、地方自治体や農協の協力を得て行うケースが多かった。ただ、定期的に販売できるルートを持っていない上、商品の種類や数量が少なく、輸送料などのコストが割高になるなどの問題点があった。
中国にある日系のスーパーや百貨店も、日本の農産物を独自に輸入しているが、店舗数が限られていて取扱量は多くない。このため、現地の農産物の価格は日本の価格より高めで、一部の富裕層向けなど市場が限定されていた。
これに対し、丸紅の取り組みには、定期的に大量輸出・大量販売するルートを構築することで、輸送費などのコストを削減する狙いがある。販売価格をこれまでより安くして、富裕層だけでなく中間層の需要も取り込みたい考えだ。
日本政府も、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けて、農業など1次産業の国際競争力を強化する方針を打ち出している。今後、大規模な農業法人による輸出向け作物の生産が活発化することも予想され、丸紅は、こうした動きも活用する方針だ。
丸紅が中国向けに農産物などの本格輸出に乗り出すのは、海外で日本の農産物に対する需要が増えていることに加え、政府が打ち出した農林水産物・食品輸出の倍増計画を商機ととらえたからだ。 (佐藤千尋)
安倍首相が今月17日に発表した成長戦略第2弾は、「農業・農村の所得倍増」を柱とし、農林水産物・食品の輸出額を2012年の4500億円から20年に1兆円規模に増やす目標を揚げた。これを達成するため、農地を集積して農業法人に貸し出しやすくする仕組みの創設や、輸出に必要な衛生証明書の発給迅速化なども盛り込んだ。
政府が農産物輸出を後押しする姿勢を明確に打ち出したことで、意欲のある農業法人が今後、輸出用の作物や加工品を生産する動きが加速するとみられる。食糧を含む非資源分野が利益全体の7割を占め、世界の穀物取引のノウハウを持つ丸紅にとっては、事業拡大の追い風と映った。
丸紅は、米穀物取引大手ガビロンホールディングスを傘下に収めるなど、食糧関連事業の強みを生かした国際戦略を展開している。そのためには、経済成長や人口増が続く中国や新興国市場のさらなる開拓が必須で、今回の本格輸出は、その成否を占うカギとなる。
丸紅が新たな販路を確立すれば、これまで独自に輸出に取り組んできた農家にとっては、販路開拓の苦労や代金回収リスクなどを回避できる。輸出のハードルが大きく下がることで、国内農業や水産業、畜産業など1次産業の収益や競争力の向上につながると期待される。
丸紅は、生産者と消費者を結ぶ豊富なノウハウをいかし、中国への本格輸出を足がかりに、東南アジア諸国などへの輸出ルートも構築する考えだ。
大手商社は資源価格の高騰や円高を追い風に好業績を続けてきたが、2013年3月期連結決算では、石炭や鉄鉱石などの価格下落が響き、三菱商事や三井物産など4社の税引き後利益が減益だった。このため、各社とも、資源と比べて安定的な収益が見込める非資源分野への投資を拡大する方針を打ち出している。
丸紅の農産物輸出が順調に伸びれば、他の大手商社が追随し、政府の取り組みがさらに前進するという好循環も期待できる。
後継ぎがいないまま老齢化が進んでいる日本の農林水産業の改革には、生産現場、6次産業化への付加価値向上工程、安全で美味しい品質を差別化して売る工程のそれぞれに新しい仕掛けが必要です。
世界中で活躍する日本の商社が、農産物にも前向きに参加してくれば、バラバラの点で行われてきた農業改革が、線で繋がった力を発揮できることが期待されますね。
ただ気がかりなのは、香港と言えども相手が中国というところです。
「日本がTPPに参加すれば、北海道や新潟のコメに重大な影響が出る」「日本の農業人口が146万人減少する」。TPPでの日米のタッグを「貿易による東西冷戦」と表現するなど、中国は日本のTPP参加に対抗心をむき出しにしているのだそうです。
【TPP】日本参加を中韓は牽制 露はEU挟み撃ち警戒 - MSN産経ニュース
反日暴動のチャイナリスクは繰り返されるものとしての対策が必要です。国内の格差や人権無視などの問題が深刻化の度を増す中国では、習近平の既得権益者の保護を優先し対外好戦的姿勢を強める政策を採っていて、江沢民時代以上の反日姿勢を強め、国民の意識統括を計っていますから、反日暴動をことある毎に利用します。
記事に書かれていますが、中国を足がかりにするのは目をつぶるとして、広くアジアの市場を目指し、中国向けが止まることがあっても影響を最小化出来る仕組み造りが必要です。
外国人観光客で中国からの比率が落ちても、東南アジアや台湾からの観光客が増えて、過去最高を記録出来た様に、中国がなくても怖がることはないのです。
中国新政権の首脳は、外遊先で日本を名指しで非難するのが定例化してきています。中国の嘘を「世論戦」で本当と洗脳しようとしているのですね。ドイツで戦勝国顔して敗戦国・日本を非難。ドイツの方々はどのように反応されたのでしょう。
ポツダムで李首相、尖閣領有主張 - goo ニュース
丸紅に続いて参画する商社が増えて、中国以外のアジアの国々向けのルートが開拓されることを願います。
# 冒頭の画像は、ドイツ・ベルリン郊外ポツダムで演説する李克強首相
この花の名前は、コブクザクラ
↓よろしかったら、お願いします。
今回も中国の言うがままに従っている。札束外交の中国の軍門に下っています。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130527-OYT1T00335.htm