会議では、原発は引き続き重要な電源になるとの指摘が相次いだ一方、「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指し、30年までに再生可能エネルギーを10年比で3倍以上にすると決めた日本に対し、批判や懐疑的な意見が相次いだのだそうです。
世界の原子力規制の専門家の多数派の見解は、日本国内の風となっている世論には冷ややかな(?)様です。
京都市で7日開かれた「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」では、国内外の参加者から、原子力発電について、安全性向上に努める必要があるとの意見が出る一方で、引き続き重要な電源になるとの指摘が相次いだ。
「原子力の安全性と将来の発展」と題したシンポジウムには、国際原子力機関 (IAEA)の天野之弥事務局長や英仏の原子力規制当局の代表らが参加した。
IAEAの報告書で、世界の原発の総発電規模が2011年の368.8ギガ・ワットから、30年に最大で740ギガ・ワットに倍増すると予測していることを踏まえ、天野事務局長は「原子力は多くの国で重要な選択肢となる傾向がますます明確になっている」と説明した。
ベルナール・ビゴ仏原子力庁長官は、人口やエネルギー需要が増加する中で、電気料金の高騰や二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるには「原子力は利点がある」と指摘。そのうえで、「化石燃料の代替は、再生可能エネルギーだけでは解決できない」と強調した。英露の出席者からも原発は電源として必要との意見が出された。
一方、日本政府が9月にまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」で、「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指し、30年までに再生可能エネルギーを10年比で3倍以上にすると決めたことに関して批判や懐疑的な意見が相次いだ。
新戦略は閣議決定が見送られたことで、国際社会から位置づけが曖昧との指摘も出ている。IAEAの天野事務局長は「日本の意思決定は世界への影響が大きい。私のところにも質問があった」ことを明かしたうえで、より積極的な説明が必要だとの認識を示した。
午前中に開かれた「エネルギーと環境」をテーマにした会合では、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が「(日本政府のエネルギー)政策に困惑を覚える。エネルギー安全保障が脅かされ、人材の流出にもつながる。実践的な観点から見直すべきだ」と再考を求めた。
東芝の西田厚聡会長も「再生可能エネルギーへの期待が過剰すぎる。ファン一タジーではないか」と苦言を呈した。
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フオーラムに参加した各国の識者に、日本のエネルギー政策の課題などを聞いた。(実森出、国際部 上地洋実)
原子力研究必要 マティアス・クライナードイツ研究振興協会会長
ドイツでは、原子力をどうするかを30年以上、議論してきたが、福島の事故を受け、原発ゼロの方針が決まった。日本の省エネの取り組みは称賛に値する。原発ゼロまでの移行期間は、科学や技術、経済的にも難しい問題が出る。日本とはアイデアや研究結果を共有できるだろう。
原発をなくすことは研究者の流出も招く。核融合や放射線治療など原子力の研究は必要だ。将来世代にあらゆる選択肢を残せるよう、最低限の規模を維持しなければならない。
欧州参考を危惧 イブ・バンベルジェー フランス電力会社科学顧問
フランスではオランド大統領が原発の依存度を減らす方針を打ち出し、今後、活発な議論をすることになる。ただ、原発の利用を減らすのであり、ゼロにするわけではない。日本が欧州連合などを参考に電力システム改革を進めていることには危惧を感じる。日本は島国で送電網が他国とつながっているわけではない。
原発が止まっても電力供給できているのは、余力のある設備投資をしてきたからだ。電力自由化が進めば、それも出来なくなる恐れがある。
事故原因分析を バルデフ・ラジュ インド工学アカデミー代表
経済成長が著しいインドでは電力需要が高まっている。安価で安定的な電力供給が必要で原子力利用を除外できない。再生可能エネルギーなどの技術を結集することが大事だ。 福島の原発事故は不幸な出来事だが、避けられた問題だ。日本は事故の原因分析を進めるべきで、脱原発を決めるのは乱暴だ。日本の原子力技術は素晴らしくインドは輸入を検討している。日本が原発ゼロを推進すれば、10年、20年先に輸出国としての優位な立場は揺らぐことになる。
日本の原発反対論者やマスコミが、当初世界のトレンドとして例示したドイツでさえも、研究者の流出や原子力の研究の断絶防止を指摘し、将来世代へ残すことを唱えています。ドイツは風に流されるのではなく、冷静に計画的に進めようとしているのであって、日本で見かける即時廃止とは言ってないことは、遊爺も最初から言ってきたことです。
また、再生エネルギーの進んでいる欧州では、導入率が上がるにつれ国民負担(企業も)が増えてきていることが、社会問題化してきていることは、諸兄がご承知の通りです。
更に、欧州は、フランスが指摘するように、国家間で豊富な電力供給力(含原発)による、安定供給が可能であるのに対し、島国の日本は単独で、世界3位の経済力を賄う電力の供給が死活的に必要なのです。
日本が30年後に原発をゼロにして、再生可能エネルギーを3倍にして賄うという、民主党得意の裏付けのない空論は、国際社会の規制の専門家からも批判や懐疑的意見が相次いだとのことですが、知る人が見れば判るということでしょう。
更に、遊爺が民主党案に反対するのは、太陽光エネルギーへの過剰な保護です。総括原価方式に意義を唱えながら、買い取り制度では、コスト積み上げの言い値のまま、太陽光42円/KW(20年)、風力23.1円/KW(20年)、地熱27.3円/KW(15年)等とされていて、販売単価(電力料金)が、22円/KWとされるなか、太陽光が突出しすぎています。地熱や海洋エネルギーと比べて、不安定で量も期待薄で、産業上も中国企業に制覇されてしまっている太陽光にここまで極端にえこひいきをする理由はなになのでしょう。
品質とコストは自由競争とし淘汰されていくべきです。
再生エネルギーの固定価格買い取り制度は、大欠陥を持ったままスタート - 遊爺雑記帳
インドは、福島第一の事故は回避できた(人災)とし、日本の原子力技術に期待を寄せています。
そういえば、国会事故調の真実に迫った貴重な報告は、どうなったのでしょう。
国会で、この報告を受けたアクションは立ち消え...?与野党通じた国会議員の怠慢でしょう。マスコミが取り上げる話題にだけ刹那的に食いつくポピュリズムに犯された国会議員ばかりです。腰を据えて長期に取り上げないマスコミも悪い。
世界は、技術先端国の日本、腐っても世界第三位の経済大国日本に、期待と、民主党政府への懐疑とが織り交ぜられた視線を注いでいます。
IMFの会議も開催され、復旧する日本をPRしようとしていますが、世界の期待に応えられる政府の国際貢献への信念が求められています。
党内事情、政権の座、国会議員の椅子にしがみつくことを全てに優先させ、国会で議論することが仕事なのに、重要問題山積なのに国会を開かない=敵前逃亡をしている民主党は銃殺刑でよし!
# 冒頭の画像は、福島第一・四号機を視察する野田氏
この花の名前は、ユキモチソウ 撮影場所; 六甲高山植物園
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