遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

公開檀上でちゃぶ台返しのプーチン

2018-09-14 01:22:11 | ロシア全般
 ロシアのプーチン大統領は12日、「東方経済フォーラム」の全体会合の公開の壇上の質疑応答の場で突然、北方領土問題の解決を事実上棚上げし、年内に日露平和条約を締結することを安倍首相に提案しました。
 10日の首脳会談では出なかった話で、事前打診もない突然の提案。
 16年10月には、平和条約締結に期限を設けることに関し「不可能だ。有害でさえある」と述べたこともあるプーチン大統領。北方領土問題の解決を事実上棚上げし、年内に日露平和条約を締結しようとの提案。
 2001年にプーチン氏と森首相(当時)が署名したイルクーツク声明には「4島の帰属問題を解決して平和条約を締結」と盛り込まれ、日本政府はその手順で交渉をつづけてきたのですが、これらを全く覆す話。
 公開の壇上で、安倍首相を愚弄するものです。
 
露大統領 「年内に平和条約」提案 首相に 北方領土棚上げ (9/14 読売朝刊一面トップ)

 【ウラジオストク(ロシア極東)=畑武尊、田島大志】ロシアのプーチン大統領は12日、「東方経済フォーラム」の全体会合で、北方領土問題の解決を事実上棚上げし、年内に日露平和条約を締結することを安倍首相に提案した。日本政府は領土の帰属問題の解決が条約締結の前提との立場で、提案通りには応じない方針だ。

日本、応じぬ方針
 
プーチン氏は同会合の質疑応答で、司会から「北方領土の帰属が変わると、米軍が配置されるのでは」と間われ、「私のアイデア」と前置きし、「まずは平和条約を結ぼう。年末までに。ほかの条件はつけずに結ぶということだ」と述べた。その上で、「平和条約を結び、(日露両国が)友人として、争点となっている北方領土問題の話し合いを続けていきたい」と語った。また、「(条約締結後に歯舞群島、色丹島を引き渡すとした)日ソ共同宣言は、ソ連の最高会議と日本の国会で批准された。その後、日本が拒否した」と言及した。各国首脳らが座る壇上で、プーチン氏は近くの首相に語りかけるように発言した。

 これに先立つ質疑応答で、首相は司会から北方領土について聞かれ、「今まで領土問題、平和条約を解決できなかった。アプローチを変えていくべきだ。北方4島において共同経済活動をしていくことによって、日本とロシアの理解が進んでいく」と答えた。
 タス通信によると、
対日外交を担当するモルグロフ外務次官は12日、プーチン氏の提案は日本側に事前に通告していないと明らかにした。今後、日露の外務次官級で今回の提案を協議する考えも示した。
 ロシアは、2016年の米大統領選挙への干渉問題や英国での神経剤襲撃事件などを巡って対米関係がぎくしゃくしている。プーチン氏の発言は、
米国の同盟国である日本へのけん制の可能性がある。北方4島の実効支配を続けるロシアにとって、領土問題が決着しない状態での平和条約締結は国益に合致している。
 菅官房長官は12日の記者会見で、プーチン氏の提案に関して、「意図についてコメントすることは控える。政府としては、北方4島の帰属問題を解決したうえで、平和条約を締結するという基本方針のもと、引き続き粘り強く交渉していきたい」と語り、方針に変更がないことを強調した。また、10日の日露首脳会談では、プーチン氏から今回の提案のような発言がなかったことも明らかにした。10日の首脳会談後、プーチン氏は、領土問題について「すぐに解決すると考えるのは単純すぎる」と発言していた。

━━プーチン氏発言のポイント━━━━
>領土問題の解決より先に、日露平和条約を年末までに結ぶことを提案
>平和条約の締結後、領土問題の交渉を継続
>「日ソ共同宣言」を重視する考えに言及
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 
露の突然提案 日本困惑 平和条約 交渉乱す「くせ球」真意確認へ (9/14 読売朝刊)

 【ウラジオストク(ロシア極東)=田島大志】ロシアのプーチン大統領が12日、前提条件なしでの日露平和条約締結を突然提案したことに、日本政府内では困惑が広がっている。北方4島の帰属問題が未解決のまま平和条約を締結すれば、領土問題が置き去りになりかねないため、外交ルートを通じて発言の真意を確認する構えだ。

 領土問題を巡る
日本政府の方針は、4島の帰属問題を解決し、平和条約を結ぶというものだ。菅官房長官は12日の記者会見で、この方針に「全く変わりないと強調した。2001年にプーチン氏と森首相(当時)が署名したイルクーツク声明にも「4島の帰属問題を解決して平和条約を締結」と盛り込まれている。
 外務省関係者は
今回のプーチン氏の提案について、「従来の立場とは異なり、領土問題解決へのハードルをあげた。交渉を乱す『くせ球』だ」と警戒する。米露関係の緊張緩和が進まないことを背景に、プーチン氏が領土問題解決に「及び腰になっている」(日露関係筋)との見方もある。
 もっとも、
プーチン氏は平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を重視する考えを繰り返し、「4島返還に応じない」との見方がもっぱらだ。このため、日本政府内には「歯舞、色丹の返還を先行し、択捉、国後両党の帰属問題は平和条約締結後の継続協議とするのが現実的」との意見もあるが、政府関係者は「前提条件なしでの平和条約締結はあり得ない」と断言する。
 安倍首相は12日、東方経済フォーラムでの講演で、「日露両国はいまだ平和条約締結に至っていない。プーチン大統領、『今やらないで、いつやるのか』『我々がやらないで他の誰がやるのか』と問いながら、歩んでいこう」と呼びかけた。プーチン氏が今回の提案にこだわるようだと、首相は難しい対応を迫られそうだ。


プーチン氏「揺さぶり」度々
 【ウラジオストク=工藤武人】2000年からロシアの実権を握る
プーチン大統領は、北方領土問題を含む平和条約交渉で、日本に対し様々な揺さぶりをかけてきた
 プーチン氏は大統領復帰前の
12年3月、一部外国メディアとの会見で北方領土問題について、得意とする柔道の「引き分け」になぞらえ、日露双方が「受け入れ可能な妥協に至らなければならない」と述べ、交渉進展に期待を持たせた16年10月には、平和条約締結に期限を設けることに関し「不可能だ。有害でさえある」と述べたこともある。
 日本との平和条約交渉を巡りプーチン氏は、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を引き渡すことを明記した
「日ソ共同宣言」(1956年)が解決のべースになるとの立場を維持する。
 プーチン氏が年内の平和条約締結を提案したことについて、日露関係が専門の
モスクワ国際関係大のドミトリー・ストレリツォフ教授は、「1970~80年代にソ連側が提案していたものをプーチン氏が復活させたといえる。領土問題は袋小路に陥っており、新たな提案で日本の出方を試しているのではないか」との見方を示した。

 プーチン大統領は、2016年12月の来日時、領土問題解決の姿勢を後退させ、経済支援の獲得を勝ち取り、延々とその調印式を繰り広げさせました。
 安倍、プーチン蜜月説にひび割れが生じたターニングポイントでした。
 そして、今回の28回目の首脳会談。
 日露首脳会議 通算で28回目だが - 遊爺雑記帳

 繰り返しますが、公開の壇上での愚弄です。
 しかも、時間は年内で、順番は領土問題は棚上げで平和条約先行。
 
 外務省関係者は今回のプーチン氏の提案について、「従来の立場とは異なり、領土問題解決へのハードルをあげた。交渉を乱す『くせ球』だ」と警戒しているとのことですが、事前に察知し、このような愚弄を未然に防止するのが外務省官僚の仕事。
 メドベージェフ大統領(当時)の国後島初上陸を察知できなかったのも、外務省・ロシア組。
 日本の外務官僚が能力不足なのか、ロシア外交が格上で歯がたたないのか?!

 G7が対露制裁を協調しているなか、日本だけがロシアに接近しているのに、愚弄され放題。
 一方、軍事基地化はエスカレートし、実効支配は定着。

 安倍首相は異なったアプローチを模索されていますが、結果は今回の愚弄。
 ここはこちらも態度変更で、G7の対露制裁と同調してはいかがでしょう。

 北朝鮮への制裁を広く世界に訴えていて、対露制裁には抜け駆けの経済支援では、国際世論から信頼されるとは言い難い。
 しかも、北朝鮮制裁協調に、最も非協力的なのがロシア。

 北方領土の返還が、ロシアにとってメリットとなるカードが要るのですが、それは経済支援(含む極東や北極圏のガス田開発)。
 完全になめられてしまっている日露関係。とても領土奪還どころではありません。戦略の再検討が必要ですね。



 # 冒頭の画像は、東方経済フォーラムの全体会合に臨む、安倍首相、習近平国家主席、プーチン大統領




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Fotolia


誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交
ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





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