遊爺雑記帳

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西側諸国の対露経済制裁は穴だらけ 

2022-04-06 01:55:55 | ロシア全般
 バイデン大統領も、EU諸国もロシアの軍事行動への対抗として、直接の軍事行動は、第三次世界大戦に繋がるとし行っていません。そのことをバイデン氏が早々に言明したことから、プーチン大統領が稚拙な御旗(ウクライナ国内の親露派独立国承認・保護)で、やりたい放題のウクライナ侵攻を開始しました。
 これに対し、西側諸国がウクライナ支援に立ち上がり、経済制裁を実施しているのですが、その効果は未だ見えてこない。
 経済制裁効果には時間が必要と言うが、現状の経済制裁は穴だらけだと、効果のほどに疑問を呈しておられるのは、経済評論家の加谷珪一氏。

 
「最大限の経済制裁」は穴だらけ、これではロシアを追い詰められない 抜け道をふさいでロシア経済に決定的な打撃を | JBpress (ジェイビープレス) 2022.4.4(月)

 ロシアによるウクライナ侵攻が続いている。短期での勝利を予定していたロシアは戦局が不利になっており、各種制裁によって経済的にも追い込まれているとされるだが、ロシアへの制裁には多くの抜け道があり、これがロシアの軍事行動を助長し、停戦交渉を阻害している面がある。(加谷 珪一:経済評論家)

■100%の効果を発揮できていない経済制裁
 
日本を含む西側各国は、ロシアに対して経済制裁を行っている。経済的に苦しい状況に追い込むことで、戦費の調達を困難にしたり、プーチン体制に対する国民の不満を高めたりすることが狙いである。

 ロシア軍は苦戦が報じられているが、
少なくとも現時点においてロシア軍が完全撤退する気配はない。一般的に経済制裁が効果を発揮するまでには、ある程度の時間がかかるので、制裁の効果が発揮されてくれば、戦争の継続が困難になると期待されている

 確かにそうしたシナリオになるのは望ましいことだが、
今の制裁を続けていれば、自動的にロシア側が困窮し、一方的に撤退を決断するあるいは容易に停戦交渉が進むというのは、少々楽観的過ぎるだろう。実は、今、行われている経済制裁には多くの抜け道があり、(相当な制限はあるものの)ロシアには経済活動を維持する余地が残されている

 西側が
実施している経済制裁は、(1)ロシア政府が保有する外貨準備の凍結(2)「SWIFT」と呼ばれる国際送金ネットワークからの排除(3)ロシア産原油の禁輸措置、の3つである。仮にこれら3つの制裁を完璧に実施すれば、事実上、ロシアは海外とやり取りする手段をほぼすべて失ってしまい、自給自足でもしない限り、経済活動を維持することはできない

 西側各国は、最大限の経済制裁を行っていると喧伝しており、メディアもそうしたトーンで報道するので、ロシア経済は極限まで追い詰められていると思っている人が多い。だが、現実にはロシアに対する制裁には多くの抜け道があり、完全にロシアを追い込めているわけではない
各国が意図的に抜け道を残しているのか、そうでないのかは不明だが、現状では100%の効果を発揮できていないのが現実だ。

■ロシアの輸出を停止しない限り、外貨の獲得は続く
 順を追って説明しよう。まず
(1)の外貨準備の凍結だが、これはあくまでもロシア政府が保有する外貨を凍結しているだけであって、民間の金融機関が保有する外貨は含まれていない。ロシア政府は、発行した国債の利払いに苦慮しており、ロシア国債はデフォルト(債務不履行)が懸念された。ところがロシア政府は今のところドルでの利払いを行っており、ギリギリの綱渡りではあるもののロシア国債はまだデフォルトしていない

 各国の中央銀行は、ロシアの外貨準備を凍結しているので、ロシア政府が保有するドルは引き出せないはずである。ところが現実に利払いが行われており、このケースについては例外的に引き出しができた可能性が否定できない。自国の投資家が損しないよう、
西側各国が凍結解除を例外的に認めたのか、ロシア側が政府の口座とは別ルートで支払ったのかは定かではない。しかしながら、何らかの方法でデフォルトが回避されているのは事実であり、ロシア政府は利払いを行う何らかのルートを確保している。

 
これだけもかなりの抜け道といえるが、現実はそれだけにとどまらない。先ほど説明したように、あくまでも制裁対象は政府の外貨準備だけであり、民間の金融機関が保有する外貨は凍結されていないのだ。

 ロシアは昨年(2021年)時点で約6000億ドルの外貨準備を保有しており、そのうち、約半分がドルとユーロになっている。直近でデフォルト懸念が生じているドル資金は、おおよそ1000億ドルである。
外貨準備を凍結すればロシア経済は一発でダウンしそうに思えるが、同国経済の実態を考えると必ずしもそうとは言えない

 ロシアは世界第3位の原油産出国、第2位の天然ガス産出国であり、
毎年、莫大な量のエネルギーを輸出している。2020年におけるロシアの輸出総額は約3300億ドルもある。先ほど凍結されたドル資金は1000億ドルと述べたが、ロシアは輸出が継続できれば、毎年3000億ドル以上の外貨を入手できてしまう。この外貨が手つかずだった場合、1000億ドルの資金凍結はほとんど意味がなくなる。天然ガスの輸出は国策企業であるガスプロムが行っているので、事実上、政府と一体になっており、互いに資金を融通することが可能だ。

■SWIFT排除と原油禁輸措置の現実
 本当にロシア経済の息の根を止めるためには、莫大な外貨をもたらしている
輸出を封じ込める必要があるのだが、その点において現状の制裁は不十分である。先ほど例に挙げた、(2)のSWIFT排除についても、(3)の禁輸措置についても同じことがいえる

 
SWIFT排除について、仮にすべての金融機関が対象となっていれば、ロシアは貿易の決済ができなくなり、事実上、ロシアの輸出は止まる。しかし現時点において最大手の銀行であるズベルバンクと、国策企業ガスプロムの関連銀行であるガスプロムバンクは制裁対象に入っていない有力な2つの銀行がSWIFTを使える以上、ロシアは自由に石油や天然ガスの輸出を行い、莫大な量の外貨を獲得できる。これでは、いくら外貨準備を制限しても意味がない

 
原油の禁輸措置も同様である。現時点でロシア産原油の禁輸措置を行っているのは、ロシアからの買い付けがほとんどない米国だけであり、欧州はまだそこまで踏み切っていないEU(欧州連合)は原油の禁輸措置の発動を検討しているものの、慎重な意見も多く、まだ決断には至っていない。EUは原油と天然ガスのロシア依存を見直す方針を打ち出しており、今後、ロシアからの輸出は大幅に減る可能性が高い。だが、時間軸は早くても2024年までとなっており、今すぐ輸出がなくなるわけではない。

■意図的なのか?それとも踏み込めないのか?
 結局のところ、
ロシアは今日も原油と天然ガスを輸出し、その代金を外貨で受け取っている。しかもロシアは西側に対して、石油や天然ガスの代金をルーブルで支払うよう求めるなど、嫌がらせのような行為も行っている

 長期的にはともかく、
短期的にロシア経済に致命的な打撃は与えられておらず、各種の経済制裁の効果は不十分と言わざるを得ない

 問題は、こうした
不十分な制裁をなぜ継続しているのかという点である。

 もし、西側が
あえて抜け道を残しているのだとすると、ロシアの現状や西側との対立構造についても、少し冷めた見方が必要となる。抜け道を残しているということは、何らかの裏交渉を行っている可能性が高く、米国政府による勇ましい各種発表についても、少し割り引いて考えなければならない

 一方、ロシアからの輸出がストップしたり、ロシア国債がデフォルトすることによる
西側経済の被害を恐れ、100%の制裁に踏み切れないのだとすると、これは西側の弱点ということになる。相手はウクライナに武力侵攻する非道な国である。弱点を見せてしまえば、確実に足元を見られてしまうだろう。

 
米国が軍事的な支援を実施するつもりがないことは、ほぼハッキリしており、これがロシアに対して、最後通牒を突きつけられない最大の原因となっている。国際交渉の場において、実施できないオプションが明確化してしまうと、当該部分が最大の弱点になってしまうのは、ごく当たり前の常識である。経済面でも同じであり、ロシア産天然ガスの供給途絶を絶対に回避したいと欧州が考えているのなら、交渉では弱点として機能する。

 
国内では、ロシアは追い込まれているので、明日にでも白旗を揚げるはずだという、願望をベースにした報道や議論が多いが、こうした風潮は、自身の弱点について見て見ぬフリをする作用をもたらしてしまう。

 プーチン大統領は冷酷な独裁者であり、ロシアはどのような手段を使ってくるか分からない相手だ。こうした相手と対峙するには、我々の弱点も含めた徹底的なリアリズムの視点が必要であり、その点において国内の議論には問題が多い


 戦費の調達を困難にしたり、プーチン体制に対する国民の不満を高めたりすることが狙いの経済制裁。
 直接の軍事行動での対露制裁を断念したなかでは、これが最も効果的と、西側諸国が踏み切っているのですが、穴があると加谷氏。
 
 西側が実施している経済制裁は、(1)ロシア政府が保有する外貨準備の凍結、(2)「SWIFT」と呼ばれる国際送金ネットワークからの排除、(3)ロシア産原油の禁輸措置、の3つ。

 これが現実にはロシアに対する制裁には多くの抜け道があり、完全にロシアを追い込めているわけではない。各国が意図的に抜け道を残しているのか、そうでないのかは不明だが、現状では100%の効果を発揮できていないと。
 (1)の外貨準備の凍結
   ロシア政府が保有する外貨を凍結しているだけであって、民間の金融機関が保有する外貨は含まれていない。
   ロシア国債はデフォルト(債務不履行)が懸念された。ところがロシア政府は今のところドルでの利払いを行っており、ギリギリの綱渡りではあるもののロシア国債はまだデフォルトしていない。
   西側各国が凍結解除を例外的に認めたのか、ロシア側が政府の口座とは別ルートで支払ったのかは定かではない。しかしながら、何らかの方法でデフォルトが回避されているのは事実であり、ロシア政府は利払いを行う何らかのルートを確保している。
   また、あくまでも制裁対象は政府の外貨準備だけであり、民間の金融機関が保有する外貨は凍結されていない。

   直近でデフォルト懸念が生じているドル資金は、おおよそ1000億ドルである。外貨準備を凍結すればロシア経済は一発でダウンしそうに思えるが、同国経済の実態を考えると必ずしもそうとは言えない。
   ロシアは世界第3位の原油産出国、第2位の天然ガス産出国であり、毎年、莫大な量のエネルギーを輸出している。
   この外貨が手つかずだった場合、1000億ドルの資金凍結はほとんど意味がなくなる。
   本当にロシア経済の息の根を止めるためには、莫大な外貨をもたらしている輸出を封じ込める必要があるのだが、その点において現状の制裁は不十分だと加谷氏。

 (2)SWIFT排除
   最大手の銀行であるズベルバンクと、国策企業ガスプロムの関連銀行であるガスプロムバンクは制裁対象に入っていない。有力な2つの銀行がSWIFTを使える以上、ロシアは自由に石油や天然ガスの輸出を行い、莫大な量の外貨を獲得できる。これでは、いくら外貨準備を制限しても意味がない。

 (3)禁輸措置
   ロシア産原油の禁輸措置を行っているのは、ロシアからの買い付けがほとんどない米国だけであり、欧州の主要国はまだそこまで踏み切っていない。
   
   リトアニア、ロシア産ガス輸入を完全停止 EU初: 日本経済新聞

   EUは原油と天然ガスのロシア依存を見直す方針を打ち出しており、時間軸は早くても2024年までとなっており、今すぐ輸出がなくなるわけではない。
   結局のところ、ロシアは今日も原油と天然ガスを輸出し、その代金を、ルーブルで支払うよう求めている。
   ルーブルの為替下落対策ですね。

 こうした不十分な制裁をなぜ継続しているのか。
 西側があえて抜け道を残しているのか、残さざるをえないのか。
 あえて抜け道を残しているのだとすると、何らかの裏交渉を行っている可能性が高く、米国政府による勇ましい各種発表についても、少し割り引いて考えなければならないと加谷氏。

 一方、ロシアからの輸出がストップしたり、ロシア国債がデフォルトすることによる西側経済の被害を恐れ、100%の制裁に踏み切れないのだとすると、これは西側の弱点。弱点を見せてしまえば、確実に足元を見られてしまうと加谷氏。

 米国が軍事的な支援を実施するつもりがないことは、ほぼハッキリしており、これがロシアに対して、最後通牒を突きつけられない最大の原因だと。
 プーチン大統領は冷酷な独裁者であり、ロシアはどのような手段を使ってくるか分からない相手だ。こうした相手と対峙するには、我々の弱点も含めた徹底的なリアリズムの視点が必要だと加谷氏。
 
 欧州勢の脱ロシア体制が整う(元々CO2削減で、脱石油やガスは強化される方向)2024に期待。
 しかし、ウクライナの戦争と人々の命の犠牲はそこまで続けていいのか。

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 プーチンが起こした今回のウクライナ侵攻。停戦もプーチン次第となってきています。
 5月9日の「対独記念日」までに、進軍当初に掲げた東部2州とクリミアに繋がる南部の占領を勝ち取り、国内に成果を示し停戦としたいプーチンの意向が伺えるとの報道が多く見られます。
 果たしてそうなるのか。
 欧米から武器等の支援を得て善戦。攻め返しているウクライナ軍が、ロシア軍を開戦時まで追い返すのか。だとすると、まだ暫くは激しい戦闘は続く。

 日本の岸田内閣は、対露制裁網の「(3)禁輸措置」では国際包囲網にどこまで対応できるのか。
 現状では、商工会議所会頭、経団連会長も、サハリン1, 2について、メジャー企業が撤退したのに、日本は残ると宣言、岸田氏もそれに従っています。
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 ウクライナ避難民救出の大見えを切りましたが、口先だけで実行具体策はなく、林大臣の帰路に、20人をやっと同行という、無為無策さの露呈。
 このままの岸田政権の口だけ政治が続けば、日本が口だけの国となり、国際信用・信頼を失墜します。
 かつて自民党の改革で安倍政権を産んだ様に、来る参院選で当時の様なネジレ国会現象でお灸をすえるべきなのか。しかし、参院は解散がないので、生じたネジレの回復には長期間を要する。
 プーチン退陣とともに、岸田退陣もやっかい!



 # 冒頭の画像は、ブチャフで殺害放置された市民


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