遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

G7 安倍外交は合格点

2015-06-08 23:58:58 | 日本を護ろう
 今回のG7は、日米と欧州勢の分裂を防ぎ、団結を中露に示すという歴史の分岐点と言っても過言でない意味があったと考えます。
 AIIBの参加。南シナ海での国連海洋法を無視した中国の暴挙。同様に力で現状変更を進めるウクライナに侵攻するロシアへの制裁、ギリシャ経済対応がメインの議題でした。
 中でも、南シナ海の中国の行動に対する、G7の団結は、AIIB参加で分裂した状況とと併せて、どう実現できるかが、日本にとって重要な課題だったと遊爺は考えていました。
 安倍首相もこの点で精力的に行動いただきました。まだ、諸国の評価報道情報は未明ですが、安倍首相は、日本にとって合格点の結果を獲得いただいたと考えます。
 

アジア投銀 議論白熱 サミット開幕 日米は懸念、欧州は接近 (6/8 読売朝刊 [スキャナー])

 
7日に開幕した先進7か国(G7)首脳会議(サミット)は、初日の経済討議で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡って首脳らの議論が白熱した。G7は自由貿易推進などでかりそめの結束は演出したが、中国に対し、戦略的にどう対応していくのか、温度差も目立つ。世界経済の安定成長に向けて、G7が担う課題は重い。(ミュンヘン 関根晃次郎、エルマウ 安江邦彦)

■予定オーバー
 世界経済や成長をテーマにした議論は、首脳らの発言が相次ぎ、予定を1時間オーバーした。
話題の4割ほどを占めたのは、AIIBを含めた中国の問題
だ。
 
自由や民主主義といった先進国の価値観を前面に押し出して熱弁をふるったのは安倍首相だ。「汚職があっては途上国のインフラ(社会基盤)は育たない。持続可能でないことにお金をかけてはならない」。AIIBがG7の価値観とは異なる方向に進むのではないかとの懸念を提起
した。オバマ米大統領は1日の演説で「持続可能な開発でなければ、問題を抱えることになる」とAIIBをけん制しており、足並みをそろえた。
 中国の経済力に引き寄せられるように、AIIBには英独仏伊の4か国が雪崩を打って参加を表明。公正な運営への懸念から参加を見送った日米カナダとの間で対応が分かれていた。
 
安倍首相は「G7の結束が重要」と強調
し、各国首脳は情報共有を進め、AIIBが透明性の高い運営となるよう力を合わせる方針を確認した。
 
しかし、中国に向き合う姿勢には温度差も隠せない。ドイツは、輸出先として巨大な中国市場を重視している。メルケル首相は、汚職が問題となりがちなインフラ投資のあり方などについて、「重要な問題であるので、次期議長国の日本でしっかり議論してほしい
」と述べるにとどまった。

 2008年秋のリーマン・ショック後、高い成長で世界経済を引っ張ってきた新興国経済は曲がり角を迎えている。アジアは電力や道路、通信といったインフラ整備の遅れが足かせとなっている。安倍首相は、日本が1100億ドル(約14兆円)を投じる計画こそ、G7の価値観を継いで成長を下支えするとアピールした。

<中略>


ギリシャ破綻 世界が警戒
 初日の経済討議では、ギリシャの財政問題について、各国首脳から現状や展望などの発言が相次いだ。ギリシャが債務不履行(デフォルト)やユーロ圏からの離脱に追い込まれれば世界経済に打撃を与えかねない。ギリシャ問題が世界経済の懸念材料になっていることが浮き彫りになった。
 
議長のドイツのメルケル首相は、サミットがギリシャ問題で埋めつくされるのを嫌ったとされる。メルケル首相とオランド仏大統領らは1日、ベルリンで緊急会合を行った。打開策は発表されなかったが、ギリシャは、5日に予定されていた国際通貨基金(IMF)への約3億ユーロの返済を、他の債務と一本化して月末の返済に先送りし、デフォルトがサミットを直撃することは回避した。メルケル首相は4日、米CNNテレビのインタビューに対し、「我々ユーロ圏は結束を示す必要がある。同時にギリシャは必要な改革に進んで取り組まなくてはならない」と述べた。
 欧州連合(EU)やIMFなどは、ギリシャが厳しい財政再建策に取り組まなければ、これ以上資金支援できない、という姿勢を突きつけている。しかし、ギリシャ政権は行き過ぎた緊縮策として反発し、打開策のメドは立っていない。
 
日米は危機感を強めている。麻生副総理・財務相は5月下旬の記者会見で、米財務長官が2008年秋、世界経済に甚大な被害をもたらしたリーマン・ショックを過小評価していたと指摘した。ドイツなど欧州はギリシャ問題の重大さを見誤っていないか、と暗に批判
したものだ。
 EUによるギリシャに対する支援策は、6月末で期限切れとなる。EUのユンカー欧州委員長は7日、サミット開幕前に記者会見し、「確実に最終期限は来る」と述べ、ギリシャに対し、デフォルト回避に向けた代替案を早急に提出するよう求めた。世界の金融市場はギリシャ破綻への警戒感を募らせている。(エルマウ 三好益史)

 対中国の話題に多くの時間が割かれたことは、日米が連携して、AIIBでの分裂修復と、南シナ海の暴挙への欧州各国の認識向上に努めた成果ですね。
 ただ、AIIBについては、メルケル首相は重要な問題なので、次回の日本でしっかり議論してほしいと、対中貿易に経済依存度の高いドイツの国益を優先し、中国からの評価を重く考える言動をして逃げています。
 英、仏、伊の本音はこの記事からはうかがえません。

 ギリシャ問題については、この話題を避けたいメルケル首相が、話題を逸らすと共に、サミットの成果を得たいとして取り上げた「地球温暖化」問題で、安倍首相は、温室効果ガスを2030年度までに13年度比で26%削減する日本の新しい目標を国際会議で初めて表明しました。もともとCO2排出規制の進んでいる日本には厳しい削減率での目標設定の中、原発停止に伴い目標値を下げていたのですが、厳しい数値の国際公約となり、懸念が残ります。
 
東・南シナ海「緊張を懸念」…G7首脳宣言 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 議長国・メルケル首相のしたたかな国益優先の立ち回りや発言は、オバマ大統領のリーダーシップが劣る国際社会で、やりたい放題の感がいなめませんね。
  

G7 対中国で足並み 南シナ海 危機感一致 (6/8 読売夕刊)

 【ミュンヘン=中島健太郎、エルマウ(ドイツ)=白川義和】先進7か国首脳会議(G7サミット)の7日の夕食会では、南シナ海で岩礁埋め立てを強行する中国に安倍首相が強い懸念を表明、地理的にアジアから遠い欧州各国の首脳も、一方的な現状変更の試みに強く反対するなど、対中国でG7の足並みがそろった


 中国による強引な海洋進出を念頭に、G7は昨年のブリュッセル・サミットの首脳宣言に、初めて「海洋航行・飛行の自由の確保」を盛り込んだ。
 4月のG7外相会合では、一方的な現状変更に懸念を示した「海洋安全保障に関する外相宣言」をまとめた。
 G7で南シナ海や東シナ海への関心が高まったのは、アジア太平洋地域の安全保障に関与する
米国と日本が連携し、英仏独伊の首脳らへの働きかけを強めた
ことによるものだ。安倍首相はこれまで、各国首脳との会談で積極的に海洋安全保障の問題を取り上げ、賛同を得てきた。
 
米国も南シナ海での中国の動きに危機感を強めており、アーネスト米大統領報道官は夕食会に先立つ7日の記者会見で、航行の自由の阻害が世界経済に悪影響を与えるとして、「南シナ海における貿易の保護」の重要性を強調し、「米国の懸念」を欧州諸国も共有すべきだ
との考えを示した。

対露では温度差 米「圧力」、日欧「対話」/
 【エルマウ=白川義和】先進7か国(G7)首脳は7日の夕食会で、ロシアへの制裁について、ロシアがウクライナ東部の戦闘に関する停戦合意を完全に履行するまで継続する方針で一致した。だが、「
圧力」に重点を置く米国と、「対話」による事態打開を目指す日欧の思惑の違いは依然として残っている

 オバマ米大統領は7日、記者団に、「ロシアに圧力を加える制裁体制を維持する重要性」を強調した。ウクライナ危機の「平和的、外交的解決」を目指す原則を示す一方、「そのためには欧州と米国、世界が警戒を維持し続ける必要がある」と指摘した。
 一方、安倍首相は7日、オランド仏大統領などとの2国間会談で、北方領土問題解決を目指す立場からプーチン露大統領との直接対話の必要性を訴え、支持を得た。G7の欧州各国では、メルケル独首相が5月にウクライナ情勢打開を目指してロシアを訪問し、プーチン氏と会談した。プーチン氏は近くイタリアを訪問する予定で、レンツィ伊首相との会談も見込まれている。関係が冷え切った米露間とは、対照的な様相を呈している。
 ロシアから天然ガスなどエネルギーの供給を受ける欧州諸国は、米国と比べてロシアとの経済関係が深い。制裁によるロシア経済の悪化やロシア側の報復措置は、各国に直接はね返ってくるため、欧州側は、対話を通じてロシアの譲歩を引き出し、制裁緩和につなげたいのが本音だ。米側もこの点については、「欧州の友好国は対露制裁で米国より多くの犠牲を払っている」(アーネスト大統領報道官)と認識している。
 ただ、事態が長期化するほど欧州と米国の溝は広がる可能性がある。欧州連合(EU)加盟国の中では、債務不履行(デフォルト)の瀬戸際にあるギリシャがプーチン氏に接近し、制裁に反対している。ハンガリーやオーストリアなども制裁に反対する構えだ。EUは今月下旬の首脳会議で対露制裁の延長を決める可能性が高いが、「一枚岩」とは言い難く、米国が求める圧力維持にどこまで応え続けられるかは不透明だ。

 対露政策では、対話を重視したい安倍首相。米国からの圧力の中、対話路線の糸を繋いだしぶとい動きは、ことの是非(力で現状変更するロシアに譲歩して、中国に誤解を生みかねないが、日露接近は対中けん制力ともなる)は別にして、外交としては、安倍首相の狙いを保てたのでしょうね。
 
 南シナ海については、メルケル首相など欧州勢の本心は別として、G7の統一見解が得られたことは、対中抑止力となり、日米にとっては成果でした。
 欧州勢と中国との関係が、AIIBの稼働と併せて、引き続き注目されます。



 # 冒頭の画像は、ドイツ南部エルマウで、G7サミットに臨む各国首脳ら




  この花の名前は、ヤマブキソウ (撮影場所;六甲高山植物園 2014年 5月)


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