遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ロシアのウクライナ侵攻で、インドに求められる役割

2023-03-05 01:33:55 | ウクライナ全般
 西側諸国がモスクワを非難する中、インドは非難するどころか逆に露印関係をむしろ深めている構図が浮かび上がってきている。いったいどういうことなのかと、ジャーナリストの堀田氏。
 先月、人口が中国を抜き、世界一となったインド。同時に世界最大の民主主義国家でもあり、本来であればロシアのウクライナ侵攻を非難してしかるべきだ。
 しかし、非難していない。
 欧米諸国がロシアへの制裁措置としてロシア産の原油の輸入を削減しているなか、全く逆の動きに出てさえいる。
 さらにロシア製兵器の発注も続けている。
 インドとロシアや欧米との歴史の経緯から、国際アナリストには、インドがロシアと欧米との橋渡し役を担えるのではないかとの声があると堀田氏。
 
ウクライナ戦争で莫大な漁夫の利、そのインドに求められること ロシアと蜜月の関係を築いてきた歴史的背景 | JBpress (ジェイビープレス) 2023.3.3(金) 堀田 佳男

 ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻から1年が経った。

 
西側諸国がモスクワを非難する中、インドは非難するどころか逆に露印関係をむしろ深めている構図が浮かび上がってきている。いったいどういうことなのか。

 
インドの人口は先月、中国を抜いて世界一になったと人口動態統計を扱う独立機関ワールド・ポピュレーション・レビュー(WPR)が発表した。

 ちなみに2022年末時点での人口は中国が14億1200万人だったのに対し、インドは14億1700万人。

 
インドは世界最大の「民主主義国家」になったことから、本来であればロシアのウクライナ侵攻を非難してしかるべきだ。

 しかし、非難していない。


 
欧米諸国がロシアへの制裁措置としてロシア産の原油の輸入を削減しているなか、全く逆の動きに出てさえいる

 
さらにロシア製兵器の発注も続けている。西側アナリストの分析をながめると理由がみえてきた。

 最初はインドとロシアが歴史的に外交的な立場を共有してきたという背景がある。

 
インドは英国から独立した後、旧ソ連に傾斜しながらロシア側に身を寄せる。それは反欧米という感情がインドに根付き始めたということでもあった

 ニューデリー市にある
オブザーバー研究所の政治学者ラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン氏は次のように説明する

「当時は反植民地主義と反帝国主義が芽生えた時だった。そして冷戦の激化とともに反欧米という感情が増幅し、ロシアとインドは共感し合うようになった」

 
こうした政治背景があることから、ウクライナ戦争が起きても非難されるべき国はロシアではなく米国であるとの見方がインド国内で醸成された

 もちろん、
インドの野党政党であるインド国民会議の議員などからは「ウクライナ問題でこれまでインドが取ってきた行動には、(ロシアへの)批判が感じられない。むしろ手助けしているかにみえる」といった政権への疑念の声も聞かれる

 
インドがロシアを非難しない他の理由は経済的要因がある

 
インドはいま、世界でも急速に経済成長を遂げている国の一つで、国民の潜在意識として「政治よりもまず経済」を優先する流れがある

 ちなみに
国際通貨基金(IMF)が予測する今年のインドの経済成長率は6.8%日本は1.8%なので、成長著しいといって差し支えない。

 
ただインドには原油や天然ガスがほとんどないため、大半を輸入に頼っている

 
そこに登場するのがロシアなのだ。

 
インドはいまでも中東の産油国から原油を輸入しているが、ロシアのシェアが急増している。

 
原油輸入先としては、これまでイラクとサウジアラビアがロシアよりも上だった。それがいまやロシアが最大の原油供給国になっている

 2022年12月、インドはロシアから1日120万バレルの原油を輸入した。この数字は2021年12月比の33倍という数字である。

 
ウクライナ戦争が始まる前、ロシア産原油を全体の1%未満しか輸入していなかったインドが、今では総輸入量の28%をロシア産に頼っている

 皮肉なのは、
インドに供給されたロシア産原油はインドで精製された後、欧州連合(EU)などに輸出されていることだ。

 EUは2022年12月、ロシアへの経済制裁としてロシア原油の輸入を禁止したばかりで、巡り巡って欧州諸国に行きついているのだ。

 言い方を変えれば、
EUは手を汚さずにロシア産原油を手に入れていることになる。

 もちろん
インドも割安なロシア産原油を大量に仕入れて、再輸出することで利益を上げている。これが今の国際関係の現実である。

 
露印関係が深まっている別の理由は、インドがいまでもロシア製の兵器に頼っていることである。

 歴史的にインドの軍隊はロシアの兵器を使用してきた。冷戦時代、ロシアとインドは公式には非同盟だったものの密接な関係を維持していた。

 ただ近年、ロシア製の兵器の品質に疑問を持ち始めたインドが航空機や大砲の一部をフランス、イスラエル、米国のものに置き換え始めてもいる。

 もちろん、すべての軍備を置き換えるには多大の時間とコストがかかるし、いまだにロシアはインドに対し大量の武器を供給しているのも事実だ。

 
過去5年だけでも約130億ドル(約1兆7742億円)相当の武器がインドに渡っており、過去20年を眺めても、インドが外国から輸入した兵器の約66%はロシア製である。

 インドに精通した外交アナリストと話をすると、
インドが今採るべき外交上の役割があるという。

 そ
れはロシアと国際社会の仲介役を担うことである。

 
ロシアと密接な関係を築いているからこそ、重要な役回りを担う必要があるというのだ。

 
ロシアによるウクライナ侵攻が開始された時、ナレンドラ・モディ首相はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談している

 その際、ロシアとウクライナを含む北大西洋条約機構((NATO)との対立を解決する唯一の方策は対話であると述べて、
戦争の即時中止を求めている

 
プーチン氏はモディ首相の忠告を無視したが、少なくともインド・ロシア両国は首脳同士のパイプがあり、コミュニケーションが取れることを内外に示した

 同外交アナリストが望むのは、このままウクライナの戦況が膠着した場合、ロシアを含めた関係国は「着地点」を探らざるを得なくなるので、
インドがロシアと欧米との橋渡し役を担えるのではないかということだ。

 
モディ首相は今後もプーチン氏をあからさまに非難したり攻撃することはしないだろう

 それだからこそ、ウクライナ紛争の早期解決を提案し、働きかけることができるはずだ。

 岸田文雄首相もモディ首相とプーチン大統領の両首脳に対して積極的に和平を働きかけてもいい。

 日本は地理的にウクライナから距離があるが、国際社会のなかで存在感を示すと同時に、紛争の収束がいかに一般市民にとって、また世界和平にとって重要であるかを内外に諭さないといけない。

 岸田首相は行動を起こすべきだろう。

-----------------------------------------------------
堀田 佳男のプロフィール
Yoshio Hotta ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社などを経て1990年に独立。以来、ワシントンDCを拠点に政治、経済、社会問題など幅広い分野で取材・執筆。25年間の滞米生活後、2007年に帰国。現在は国内外で精力的にジャーナリスト活動を続けている。


 西側アナリストの分析をながめると、自由主義国のインドが、ロシアと近しい理由がみえてきたと、堀田氏。
 
 ひとつは、インドとロシアが歴史的に外交的な立場を共有してきたという背景があると。
 インドは英国から独立した後、旧ソ連に傾斜しながらロシア側に身を寄せる。それは反欧米という感情がインドに根付き始めたということでもあったと、堀田氏。

 「当時は反植民地主義と反帝国主義が芽生えた時だった。そして冷戦の激化とともに反欧米という感情が増幅し、ロシアとインドは共感し合うようになった」
 と、ニューデリー市にあるオブザーバー研究所の政治学者ラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン氏。

 こうした政治背景があることから、ウクライナ戦争が起きても非難されるべき国はロシアではなく米国であるとの見方がインド国内で醸成されたと、堀田氏。
 インド国内では、野党政党であるインド国民会議の議員などから「ウクライナ問題でこれまでインドが取ってきた行動には、(ロシアへの)批判が感じられない。むしろ手助けしているかにみえる」といった政権への疑念の声もあるのだそうです。
 
 インドがロシアを非難しない他の理由は経済的要因があると、堀田氏。
 国民の潜在意識として「政治よりもまず経済」を優先する流れがあるのだそうです。
 
 インドには原油や天然ガスがほとんどないため、大半を輸入に頼っている。
 そこに登場するのがロシア。
 原油輸入先としては、これまでイラクとサウジアラビアがロシアよりも上だった。それがいまやロシアが最大の原油供給国になっているのだそうです。
 
 ウクライナ戦争が始まる前、ロシア産原油を全体の1%未満しか輸入していなかったインドが、今では総輸入量の28%をロシア産に頼っている。
 皮肉なのは、インドに供給されたロシア産原油はインドで精製された後、欧州連合(EU)などに輸出されていることだと、堀田氏。

 対露制裁をしているEUは、インド経由で露の原油を輸入出来ている。。
 インドも割安なロシア産原油を大量に仕入れて、再輸出することで利益を上げている。これが今の国際関係の現実だと!

 露印関係が深まっている別の理由には、インドがいまでもロシア製の兵器に頼っていることもあると堀田氏。

 # 中国と国境紛争を抱えるインドは、中国の背後のロシアに接近し、中国をけん制しているのですね。

 ただ近年、ロシア製の兵器の品質に疑問を持ち始めたインドが航空機や大砲の一部をフランス、イスラエル、米国のものに置き換え始めてもいるのだそうです。
 それでも、過去5年だけでも約130億ドル(約1兆7742億円)相当の武器がインドに渡っており、過去20年を眺めても、インドが外国から輸入した兵器の約66%はロシア製なのだそうです。

 インドに精通した外交アナリストと話をすると、インドが今採るべき外交上の役割があるのだと。
 ロシアと密接な関係を築いているからこそ、重要な役回りを担う必要がある。それはロシアと国際社会の仲介役を担うことだと。

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始された時、モディ首相はロシアのプーチン大統領と電話会談している。
 その際、ロシアとウクライナを含む北大西洋条約機構((NATO)との対立を解決する唯一の方策は対話であると述べて、戦争の即時中止を求めていたのだそうです。
 プーチン氏はモディ首相の忠告を無視したが、少なくともインド・ロシア両国は首脳同士のパイプがあり、コミュニケーションが取れることを内外に示したのでした。

 インドがロシアと欧米との橋渡し役を担えるのではないかということだ。
 モディ首相は今後もプーチン氏をあからさまに非難したり攻撃することはしないだろうと、堀田氏。

 直近では、習近平が仲介役を買って出る様な発言がありましたが、ロシアに有利な内容との評価ですね。
 中国のロシア支援「明確」 米、和平の仲介者でない - 産経ニュース

 G7議長国の岸田首相は?
 7ヵ国中、唯一ウクライナ訪問をしていない国の首相となり、焦っているようですが。。
 内弁慶で、外務大臣時代にはむしろ国益を棄損(例=慰安婦問題最終合意 etc.)していた実績では、期待は無理!
 
 
  
 # 冒頭の画像は、上海協力機構首脳会議に出席したモディ首相とプーチン大統領('22.9)



  ヒイラギナンテン


↓よろしかったら、お願いします。



遊爺さんの写真素材 - PIXTA

写真素材のピクスタ


Fotolia





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 林外相〝大失態〟 思考停止状... | トップ | EV超えのハイブリッド車、中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ウクライナ全般」カテゴリの最新記事