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衆議院の「一票の格差」是正と、定数削減の議論が進んでいます。
得られる選挙結果は、小選挙区も含めた全議席を、純粋に比例代表の得票数に応じて配分する場合と近いとされ、得票結果と議席数が近くなると思われるのですが、どうやらそうでもない様です。
自民党以外の野党が賛成に廻っていますので、自民党が賛成すれば導入される勢いです。遊爺は、『選挙制度改革 自民も「比例代表連用制」に賛同せよ』を書きましたが、そのコメントで産経の試算に基づき自己流の計算結果から、獲得票数と獲得議席数の乖離が、二位、三位の党で異常値が出ることから考えを改め、連用制が民意を反映するという論に一転して疑問を投げかけています。
選挙制度改革 自民も「比例代表連用制」に賛同せよ - 遊爺雑記帳
コメントで書いた遊爺の計算での、獲得票数率と獲得議席数率の比較は以下
現行の小選挙区比例代表並立制では、「51 : 49」が、「100 : 0」になり死に票がでて、比例で補正しても上記の前回議席率と得票率の乖離(民主党が過半数に満たない得票に対し、64.2%と過半数を大きく上回る議席を獲得)が生じており、遊爺は得票率=民意と議席率が一致する選挙制度を求めているのです。
現行制度を導入以来、この民意と議席数の乖離が政治の不安定化の要因になっている(小泉政権では安定化に貢献した?)と考えるのです。
今回の産経の試算は、視点の角度は面白いし、試算結果による一票の格差の指摘も着眼には一考の余地はあります。が、小選挙区と比例との合計でバランスを保とうとする連用制の主旨に対し、比例の議席だけで計算している基本がズレているため答えがズレている面があり、全面的に賛同はしかねます。
連用制は、世界の国々で導入実績がないという事実は、その欠陥が懸念されている証拠といえます。
一般的には連用制と区別しないとされる、併用制。ドイツ他で導入されているのですが、これで試算するとどうなるのか、どこかのメディアで実施してくれないか。自民党や、次回は二位になるかもしれない民主党が試算してくれないか待たれます。
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↓よろしかったら、お願いします。
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得られる選挙結果は、小選挙区も含めた全議席を、純粋に比例代表の得票数に応じて配分する場合と近いとされ、得票結果と議席数が近くなると思われるのですが、どうやらそうでもない様です。
自民党以外の野党が賛成に廻っていますので、自民党が賛成すれば導入される勢いです。遊爺は、『選挙制度改革 自民も「比例代表連用制」に賛同せよ』を書きましたが、そのコメントで産経の試算に基づき自己流の計算結果から、獲得票数と獲得議席数の乖離が、二位、三位の党で異常値が出ることから考えを改め、連用制が民意を反映するという論に一転して疑問を投げかけています。
選挙制度改革 自民も「比例代表連用制」に賛同せよ - 遊爺雑記帳
選挙制度改革 連用制 ここがおかしい!! 本紙試算 (2/1 産経)
■比例1議席の得票数 格差42倍、選挙区有利なら「死に票」増
衆院の「一票の格差」是正に向けた選挙制度改革で、中小政党に優先的に議席配分する小選挙区比例代表連用制の導入が現実味を増している。だが、選挙区で議席を得た政党の比例票が極端に圧縮され、公明、共産両党などが「漁夫の利」を得るなど比例代表選挙での「投票価値の平等性」を著しく損なう制度だといえる。連用制を詳しく分析すると他にも数々の矛盾点が見つかった。(小田博士)
産経新聞では、平成21年衆院選の結果に基づき、比例代表全国11ブロックの各党の得票数を合算し、獲得議席数で単純に割り、各党の「比例1議席当たりの得票数」を試算した。
民主党は比例代表で計2984万票を獲得し、現行の小選挙区比例代表並立制度で計87議席を得た。1議席当たりで34万票となる。
ところが、比例定数を80減らし、連用制を導入した場合はわずか3議席となり、1議席当たり得票数は995万票に激増した。
これに対し、現行制度で21議席だった公明党は比例だけで34議席を獲得。1議席当たり得票数は23万7千票で民主党との格差は42倍。現行制度で9議席の共産党も18議席に倍増する。
比例定数を180のまま連用制を導入しても民主党の比例議席は11議席のみ。公明党は49議席、共産党も29議席と激増する。 全国11ブロックごとの各党の獲得議席を分析するとさらにおかしな結果が浮き彫りとなる。
比例定数80減で連用制を導入した場合の試算では、民主党が議席を得たのは中国、四国の2ブロックのみ。ほかの9ブロックで民主党に投じられた計2716万票は比例代表得票総数の4割に相当するが、まったく議席に反映されないことになる。
第二党の自民党も、中国と四国の2ブロックで議席配分がなく計210万票が事実上「死に票」となる。
このため連用制では、有権者が、選挙区で議席を獲得できる政党への比例での投票を回避する傾向が表れる公算が大きい。
九州ブロックでは、中小政党間でも投票価値の不平等を生む結果が出た。
九州ブロックは比例定数を80削減すると定数は21から12に減り、民主党は0議席、自民党は1議席のみ。ところが得票率15・2%(122万票)の公明党は7議席、得票率5・3%(42万票)の共産党も2議席を得る。
社民党は村山富市元首相の地元・大分などで強い基盤を持つこともあり、48万票を得たが、ブロック内の選挙区で2議席を得たことにより比例は1議席のみ。連用制下では、中小政党が選挙区に候補を擁立する意味が薄れることが裏付けられたといえる。
また、「新党大地・真民主」など地域性の強い政党に不利な制度でもある。何よりも「一票の格差」是正の根拠となる「法の下の平等」(憲法14条)を侵しかねない。
【用語解説】小選挙区比例代表連用制
現行の小選挙区比例代表並立制と同じように有権者は2票を投じる。現行は各党が獲得した比例票に応じて議席をドント式で割り振るが、連用制では「選挙区議席数プラス1」で各党の得票を順に割り議席配分するため、選挙区で議席を得た政党は比例代表での獲得議席が極端に減る。その分、中小政党には有利となるが、「議席配分の実態は比例代表制に近い」との指摘もある。主要国の国政選挙で実施例はない。
■比例1議席の得票数 格差42倍、選挙区有利なら「死に票」増
衆院の「一票の格差」是正に向けた選挙制度改革で、中小政党に優先的に議席配分する小選挙区比例代表連用制の導入が現実味を増している。だが、選挙区で議席を得た政党の比例票が極端に圧縮され、公明、共産両党などが「漁夫の利」を得るなど比例代表選挙での「投票価値の平等性」を著しく損なう制度だといえる。連用制を詳しく分析すると他にも数々の矛盾点が見つかった。(小田博士)
産経新聞では、平成21年衆院選の結果に基づき、比例代表全国11ブロックの各党の得票数を合算し、獲得議席数で単純に割り、各党の「比例1議席当たりの得票数」を試算した。
民主党は比例代表で計2984万票を獲得し、現行の小選挙区比例代表並立制度で計87議席を得た。1議席当たりで34万票となる。
ところが、比例定数を80減らし、連用制を導入した場合はわずか3議席となり、1議席当たり得票数は995万票に激増した。
これに対し、現行制度で21議席だった公明党は比例だけで34議席を獲得。1議席当たり得票数は23万7千票で民主党との格差は42倍。現行制度で9議席の共産党も18議席に倍増する。
比例定数を180のまま連用制を導入しても民主党の比例議席は11議席のみ。公明党は49議席、共産党も29議席と激増する。 全国11ブロックごとの各党の獲得議席を分析するとさらにおかしな結果が浮き彫りとなる。
比例定数80減で連用制を導入した場合の試算では、民主党が議席を得たのは中国、四国の2ブロックのみ。ほかの9ブロックで民主党に投じられた計2716万票は比例代表得票総数の4割に相当するが、まったく議席に反映されないことになる。
第二党の自民党も、中国と四国の2ブロックで議席配分がなく計210万票が事実上「死に票」となる。
このため連用制では、有権者が、選挙区で議席を獲得できる政党への比例での投票を回避する傾向が表れる公算が大きい。
九州ブロックでは、中小政党間でも投票価値の不平等を生む結果が出た。
九州ブロックは比例定数を80削減すると定数は21から12に減り、民主党は0議席、自民党は1議席のみ。ところが得票率15・2%(122万票)の公明党は7議席、得票率5・3%(42万票)の共産党も2議席を得る。
社民党は村山富市元首相の地元・大分などで強い基盤を持つこともあり、48万票を得たが、ブロック内の選挙区で2議席を得たことにより比例は1議席のみ。連用制下では、中小政党が選挙区に候補を擁立する意味が薄れることが裏付けられたといえる。
また、「新党大地・真民主」など地域性の強い政党に不利な制度でもある。何よりも「一票の格差」是正の根拠となる「法の下の平等」(憲法14条)を侵しかねない。
【用語解説】小選挙区比例代表連用制
現行の小選挙区比例代表並立制と同じように有権者は2票を投じる。現行は各党が獲得した比例票に応じて議席をドント式で割り振るが、連用制では「選挙区議席数プラス1」で各党の得票を順に割り議席配分するため、選挙区で議席を得た政党は比例代表での獲得議席が極端に減る。その分、中小政党には有利となるが、「議席配分の実態は比例代表制に近い」との指摘もある。主要国の国政選挙で実施例はない。
コメントで書いた遊爺の計算での、獲得票数率と獲得議席数率の比較は以下
比例連用制での試算 (遊爺) 2012-01-21 17:09:01
産経が、過去の衆議院選を、比例80議席減で連用制とした場合の試算をしていました。(小選挙区は300議席のまま)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120120/elc12012023120001-n1.htm
前回の衆院選では、得票率と獲得議席率は、遊爺の計算だと以下の様になります。
得票率 前回議席率 連用制議席率
民主党 44.9 64.2 56.0
自民党 32.7 24.8 23.3
公明党 6.3 4.4 8.5
共産党 5.6 1.9 4.5
社民党 3.1 1.5 2.5
2位の自民党は、ますます得票率と獲得議席率が乖離し、3位の公明党は、得票率より獲得議席率が上回る結果となっています。民主やその他の党は、乖離が狭まっています。
第2位と3位の党に異常値が出るのでは野党の世論が正しく反映されないことになります...。
「実際の議席配分は比例代表制に近いとされる」とのことですが、どうやらそうではないような...。
産経が、過去の衆議院選を、比例80議席減で連用制とした場合の試算をしていました。(小選挙区は300議席のまま)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120120/elc12012023120001-n1.htm
前回の衆院選では、得票率と獲得議席率は、遊爺の計算だと以下の様になります。
得票率 前回議席率 連用制議席率
民主党 44.9 64.2 56.0
自民党 32.7 24.8 23.3
公明党 6.3 4.4 8.5
共産党 5.6 1.9 4.5
社民党 3.1 1.5 2.5
2位の自民党は、ますます得票率と獲得議席率が乖離し、3位の公明党は、得票率より獲得議席率が上回る結果となっています。民主やその他の党は、乖離が狭まっています。
第2位と3位の党に異常値が出るのでは野党の世論が正しく反映されないことになります...。
「実際の議席配分は比例代表制に近いとされる」とのことですが、どうやらそうではないような...。
現行の小選挙区比例代表並立制では、「51 : 49」が、「100 : 0」になり死に票がでて、比例で補正しても上記の前回議席率と得票率の乖離(民主党が過半数に満たない得票に対し、64.2%と過半数を大きく上回る議席を獲得)が生じており、遊爺は得票率=民意と議席率が一致する選挙制度を求めているのです。
現行制度を導入以来、この民意と議席数の乖離が政治の不安定化の要因になっている(小泉政権では安定化に貢献した?)と考えるのです。
今回の産経の試算は、視点の角度は面白いし、試算結果による一票の格差の指摘も着眼には一考の余地はあります。が、小選挙区と比例との合計でバランスを保とうとする連用制の主旨に対し、比例の議席だけで計算している基本がズレているため答えがズレている面があり、全面的に賛同はしかねます。
連用制は、世界の国々で導入実績がないという事実は、その欠陥が懸念されている証拠といえます。
一般的には連用制と区別しないとされる、併用制。ドイツ他で導入されているのですが、これで試算するとどうなるのか、どこかのメディアで実施してくれないか。自民党や、次回は二位になるかもしれない民主党が試算してくれないか待たれます。
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↓よろしかったら、お願いします。
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詳しくは私のブログを参照ください。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/seiji200601/view/20120212/1329006718
連用制は、知れば知るほど欠陥が浮き彫りにされますね。
ドイツは連用制ではなく、併用制とのこと。一般的には、連用制と併用制の区別はしないとのことですが、試算結果がどうなのか知りたいところです。
誠司さんのご提唱の、「小選挙区単記委譲式(即時決選投票)と大選挙区単記委譲式の並立式」というのは、何処をみれば勉強できるのでしょうか?
遊爺は、得票数と獲得議席数が一致する制度が良いと考えるのですが、誠司さんのご提唱の方式は群雄割拠を排し、二大政党化に導く方式なのですか?
不勉強で恐縮ですが、ご教授いただければ幸甚です。
週末ロガーなので遅れて申し訳ありません
思いつくまま書いているのでここというのは
ありませんが
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/seiji200601/view/20100504
http://www.geocities.jp/seiji200601/senkyo01.htm
http://www.geocities.jp/seiji200601/senkyo02.htm
です。
私は、衆議院は二大政党化に導く方式ですが
参議院は政党の影響が小さくなる方式を提案しています。
http://www.geocities.jp/seiji200601/link-b02-senkyo.htm
> 小選挙区単記非移譲式投票の問題点
> 2005年の衆議院選挙の結果を見るまでもなく1つの選挙区で1人の当選者を決める方法は特定の政党だけが得票率以上に議席数を占める危険がある。
現行制度の欠陥に改革の必要性を感じたのは、まさにこの点でした。得票率と議席獲得率が同等になる制度がないのか、求めていました。
> (2)複数の人に投票し複数の人が当選する仕組み
> (3)判りやすく、選挙結果に同感できる方式
理想的とされるご説に賛成です。これが得票率と獲得議席率を近づけることにもなりそうですね。
「単記移譲式投票」が元々は大選挙区を前提としているが、先ずは以下を考えられた。
> どの程度大きさの選挙区が良いかであるが、私は3人区が良いと考える。なぜなら2人区では最大33%の人の意見が少数意見として切り捨てられる可能性があり数が多すぎる。4人区以上になると選挙区が大きくなりすぎて個人が薄れ代わりに政党色が強くなる。
しかし、衆議院の二大政党化を推進するためにと、以下に修正された。
> 政権選択の性格が強い衆議院選挙は、小選挙区委譲式が良いとの結論になった。
> つまり、1人区とし「選挙制度改革-01 知事・市町村長選挙編」と同じ方式が良いと思う。しかし、1政党だけが突出した 選挙結果となる可能性が高いので比例区との並立が好ましいと思う。
更に政党主導の色彩がある比例ではなく、「小選挙区単記委譲式(即時決選投票)と大選挙区単記委譲式の並立式」が良いとの結論に到達されたということですね。
順位を 3位まで(非強制?)にとの案は現実的で良いですね。同じ党の人に順位を付けてもいいし、二大政党等に振り分けて順位をつけてもいい。賛同する政策の順でもいい。投票に幅が出来ますね。
橋下氏の参議院廃止論(衆議院 1院制とは言ってない)で、衆参両院の役割議論もされるようになってきました。
これと併せて、もっと勉強させていただこうと思います。
ご教授をありがとうございました。