遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

クアッドのインドでのワクチン生産構想が変化?

2021-05-01 01:23:56 | 米中新冷戦時代
 中国の覇権拡大に対抗する米中の新冷戦時代。トランプ前大統領は優勢に展開していたことは衆目の一致するところでしたし、米国議会も対中対抗姿勢では一致していました。
 チャイナゲート疑惑のあるバイデン政権が誕生し、対中外交政策の変化が危惧されていましたが、現状では対中対抗姿勢は概ね継続されている様子に見えていますね。
 対中けん制の枠組みは、安倍前首相が打ち出し、トランプ前大統領も賛同推進した「自由で開かれたインド太平洋戦略」があり、その中核になるのが「クアッド」の4か国とは、諸兄がご承知のとおりです。
 ところが、中国と国境を接し、最近も紛争を起こしているインドですが、対中包囲姿勢には消極的。
 そこで、中国が後進国にワクチン配布をして取り込む戦略に対抗する為、インドでのワクチン生産の増産を支援し、クアッドが一体となって配布することを、クアッドのバイデン氏が主催した首脳会議で合意していました。
 ところが、インド国内での感染急拡大に伴い、インドのセラム・インスティテュート・オブ・インディアが米国にワクチン増産に必要な原料の緊急支援をアメリカに要請したところ、トランプ政権時代に発動されていた国防生産法を盾に、トランプの「アメリカ・ファースト」政策に反対していたバイデン政権も、ワクチンに関する「アメリカ・ファースト」政策は継承しているため、インドへのワクチン原料供給は禁止してしまったのだそうです。
 バイデン大統領の大失策でお先真っ暗な対中「クアッド」構想と説くのは、軍事社会学者の北村淳氏。

 日米豪印4カ国「クアッド」、東南アジアなどに新型ウイルスワクチン10億回分を約束 - BBCニュース

 
バイデンの大失策でお先真っ暗な対中「クアッド」構想 コロナに喘ぐインドを救うのは「天敵」中国なのか? | JBpress(Japan Business Press) 2021.4.29(木) 北村 淳:軍事社会学者

 バイデン政権は“インド太平洋戦略”の根幹の1つとして、「クワッド」(アメリカ・オーストラリア・日本・インドの4カ国によって中国包囲網を構築する)構想を推し進めている

 
この構想に実質的な効果はない。同盟国や友好国を引き込み、中国包囲網を築くことで、「やってる感」をアピールし、中国との直接的軍事対決を回避するのがアメリカの狙いである。

クワッド構想に頼るしかない日本
 
だが日本政府はクワッドに大きな期待を寄せている

 現状では東シナ海での軍事的優位や尖閣諸島の領有権を中国に奪取されることが確実になりつつあるにもかかわらず、
日本政府は自ら的確な防衛戦略を打ち出すことができず、効果的な防衛組織の改編を推進する意思も持ち合わせていない。唯一の防衛戦略はアメリカの軍事力にすがりつくことだけである。

 そもそも世界中が
新型コロナとの戦いに明け暮れているさなかに、一国の政治リーダーがアメリカに「ご挨拶」に出かける国など日本くらいであろう(アメリカに限らず、どこもそんな国をまともに扱ってくれるはずがない)。

 そんな日本政府がクワッド構想に期待を寄せるのは当然と言えよう。たとえアメリカが自衛隊を「弾よけ」にすることが予想されても、バイデン政権による見かけ倒しの対中包囲網構築姿勢に賛同することは目に見えている。

 中国との対立を深めているオーストラリアの場合は、日本ほど病理的にアメリカにしがみついているというわけではないが、かつて第2次世界大戦中には日本軍によって補給網を絶たれそうになり恐怖のどん底に陥った記憶があるため、アメリカの軍事的支援をつなぎ止めておきたいという意識が高い。

 以上のように、
アメリカは、中国との緊密な関係が取り沙汰されているバイデン政権幹部たちが対中強硬姿勢をとっていると見せかけるために、オーストラリアは戦略的選択肢として、そしてアメリカに病理的に頼り切っている日本は「なにも考えることなく」それぞれクワッドを推進しているのである。

アメリカを完全には信用していないインド
 では
インドの思惑はどうか。そもそもインドは陸上国境の線引きを巡って、しばしば中国と小規模ながらも軍事衝突を繰り返しており、中国は“天敵”の1つである。また中国がインド洋を取り囲むように軍事的拠点を確保しつつある現状に対して警戒を強めている(下の地図を参照)。
 

 しかしながら、
インドはクワッドを結成して軍事的に中国を封じ込める方向性には躊躇していた

 なぜならば、
インドは伝統的にアメリカを完全には信用していないからである。というよりは、日本のようにある特定の国の軍事力にどっぷり頼り切ってしまうと、その国の軍事的属国になってしまうのが外交的常識である。そのためインドは軍艦(航空母艦や原子力潜水艦を含めて軍艦は極力自国で建造しようとしているが)や軍用機などを輸入する場合、特定の国に偏らないように分散して調達を進めている。たとえば、インド空軍の戦闘機はロシア製、フランス製、イギリス製および国産、攻撃ヘリコプターはアメリカ製とロシア製と国産、大型輸送機はソ連製とアメリカ製といった具合だ。

 このようにできうる限り自律的な防衛能力を維持しようとしているインドを、
バイデン政権は中国に対する軍事的牽制の手駒として取り込もうと、トランプ政権以上にクワッド結成を積極的に働きかけている。現にロイド・オースティン米国防長官は、3月に日本を訪問した足でインドも訪問している。

インドからの援助要請を「拒否」
 ところが、
その一方でバイデン政権は自らの失策によりインドの離反を招きそうな気配である。

 
インドでは4月中旬にムンバイなどの大都市部をはじめ各地で新型コロナ感染が爆発的に増加し、インド国内でのワクチン接種が危機的状況に陥った。そのため、世界最大のワクチンメーカーであり、国連のCOVAX(ワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的枠組み)への重要な供給メーカーでもあるインドのセラム・インスティテュート・オブ・インディアは国内向けワクチンすら供給不足になり、COVAXへの供給も厳しい状況に陥ってしまった。

 そこで
セラム・インスティテュート・オブ・インディアはワクチン増産に必要な原料の緊急支援をアメリカに要請した。ところが、トランプ大統領は新型コロナとの戦いのために国防生産法を発動して、原材料を含むワクチンに輸出制限をかけて確保する策を実施した。

 トランプの「アメリカ・ファースト」政策に反対していた
バイデン政権も、ワクチンに関する「アメリカ・ファースト」政策は継承しているため、インドへのワクチン原料供給は禁止されてしまったのである。

 このようなバイデン政権の硬直した姿勢に対して、
対中警戒派の海軍関係者たちからは、「バイデン政権はクワッドの結成によって中国を牽制する姿勢を示しているにもかかわらず、深刻な苦境に陥っているインドを素早く援助しないとは何事だ! これではとてもインドを軍事的なクワッドに参加させることなど無理な相談である」という声が上がっている

 そして、「この種の緊急支援はなによりもタイミングが重要であり、
未曾有の苦難に直面しているインドが支援を求めたならば、間髪を入れずに援助するのが“真の友人”であり、いろいろな批判が生じてからのろのろと支援を開始したのでは“もう手遅れ”である」と危惧している。

 なぜならばもともとインドは、アメリカに頼り切っており日米同盟しかオプションがない日本とは異なり、アメリカとの軍事的結びつきを強化して中国に対抗しようという策には懐疑的であるからだ。

 そして、それこそ
間髪を入れずに介入してきたのが中国だ。インドがアメリカに援助を要請し、それをバイデン政権が拒否した形になるや否や、中国のメディアは「アメリカはインドにとって友人ではない」「身勝手なアメリカに世界が驚愕」などといった論調を英語でばらまき始めた

 インド国内では「この危機的状況を克服するためには、あらゆる国々に支援を希求せざるを得ない」という声も上がっている。現在は、自国で開発製造しているワクチン(Covaxin)に加えてロシア製のワクチン(SputnikV)も投入しているところだが、Convidesia(カンシノバイオ)、BBIBP-CorV(シノファーム)、Corona-Vac(シノバック)などの
ワクチンを他国に供給している中国が「敵に塩を送る」姿が現実になりかねない状況だ。

 クアッドについて北村氏は、この構想に実質的な効果はない。同盟国や友好国を引き込み、中国包囲網を築くことで、「やってる感」をアピールし、中国との直接的軍事対決を回避するのがアメリカの狙いだ。
 アメリカは、中国との緊密な関係が取り沙汰されているバイデン政権幹部たちが対中強硬姿勢をとっていると見せかけるために、オーストラリアは戦略的選択肢として、そしてアメリカに病理的に頼り切っている日本は「なにも考えることなく」、それぞれクワッドを推進しているとの評価。

 インドのいまいちの消極姿勢を引きつける為と、具体的対中対抗姿勢として打ち出されたのが、中国のワクチン外交に対抗するための、インドで生産するワクチンの後進国への販売。日米豪で資金援助をするものでした。

 ところが、バイデン政権は自らの失策によりインドの離反を招きそうな気配だと北村氏。
 
 インドでは4月中旬にムンバイなどの大都市部をはじめ各地で新型コロナ感染が爆発的に増加し、インド国内でのワクチン接種が危機的状況に陥った。
 世界最大のワクチンメーカーのセラム・インスティテュート・オブ・インディアは国内向けワクチンすら供給不足になり、ワクチン増産に必要な原料の緊急支援をアメリカに要請。
 ところが、バイデン政権は、トランプ政権時代に発動されていた、国防生産法を盾に、「アメリカ・ファースト」政策は継承し、インドへのワクチン原料供給を禁止してしまったのだそうです。

 ただでさえ米国に懐疑的なインド。クアッドで、せっかくインドでのワクチン増産資金援助を打ち出したのに、大矛盾。まさか、認知症が疑われるバイデン氏が、クアッド首脳会議での援助約束を忘れたということかと疑いたくなる手のひら返し。米国内でも増産に拍車をかけていて、原材料は逼迫しているのかもしれませんが。

 対中警戒派の海軍関係者たちからは、「バイデン政権はクワッドの結成によって中国を牽制する姿勢を示しているにもかかわらず、深刻な苦境に陥っているインドを素早く援助しないとは何事だ! これではとてもインドを軍事的なクワッドに参加させることなど無理な相談である」という声が上がっていると北村氏。
 「この種の緊急支援はなによりもタイミングが重要であり、未曾有の苦難に直面しているインドが支援を求めたならば、間髪を入れずに援助するのが“真の友人”であり、いろいろな批判が生じてからのろのろと支援を開始したのでは“もう手遅れ”である」と軍関係者は危惧しているのだそうです。

 そこに間髪を入れずに介入してきたのが中国。中国のメディアは「アメリカはインドにとって友人ではない」「身勝手なアメリカに世界が驚愕」などといった論調を英語でばらまき始めたのだそうです。
 ワクチン不足でロシア製ワクチンの輸入も始めたインドに、Convidesia(カンシノバイオ)、BBIBP-CorV(シノファーム)、Corona-Vac(シノバック)などのワクチンを他国に供給している中国が「敵に塩を送る」姿が現実になりかねない状況だと北村氏。

 インドのアメリカ不審は、バイデン氏の認知症が疑われかねない矛盾の失政で、ますますすすむことでしょう。
 そのぶん、世界からのクアッドや「自由で開かれたインド太平洋戦略」への信頼性も失われる。


 
 # 冒頭の画像は、クアッド首脳オンライン会議の様子




  この花の名前は、エンコウソウ


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