遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

高浜原発 またもや停止命令

2016-03-10 23:58:58 | 東日本大震災

 関西電力の高浜原発3、4号機は昨年2月、新規制基準に基づき規制委の審査に合格しましたが、福井地裁によって同4月、再稼働差し止めの仮処分が下されました。しかし、同地裁の別の裁判長が、12月に保全異議審決定で差し止め決定を取り消し、3号機は今年1月29日に再稼働し、営業運転を開始していました。4号機は、2月26日に再稼働しましたが、29日に原子炉が自動停止するトラブルがあり、今月中旬以降の再開を目指していました。1, 2号機は、40年超の運転を目指して審査中です。
 しかし、滋賀県の住民29人が昨年1月、大地震や津波で原発事故が起き、放射性物質で琵琶湖が汚染されるなどして生命に危険が及ぶと申し立てしていましたが、大津地裁が9日、3、4号機の運転差し止めを関電に命じる仮処分を決定し、稼働停止することとなりました。
 裁判官によって、稼働差し止め、取り消し、再度差し止めと翻弄されています。

 
地裁の裁判官が、行政、立法が築いた科学的根拠を否定 - 遊爺雑記帳

 主要5紙中 4紙が社説で取り上げています。
 読売と産経は、同じ論調で最高裁が裁判所の深入りを制限する判例を示したことに反する地裁の稼働停止仮処分は行き過ぎと指摘し、毎日は仮処分を支持、朝日は原発そのものの否定をしています。日経は、記事で翻弄される地元の声(西川福井県知事、高浜町の野瀬豊町長や住民)を取り上げています。

 

高浜差し止め 判例を逸脱した不合理な決定 (3/10 読売 朝刊)

 裁判所自らが、原子力発電所の安全審査をするということなのか。

 滋賀県の住民29人が、福井県の関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁が差し止めを命じる決定を出した。
 重大事故や津波の対策、事故時の避難計画の策定などについて、「関電側が主張や説明を尽くしていない」との理由である。
 原子力規制委員会は、福島第一原発事故後に厳格化された新規制基準に従い、1年半をかけて3、4号機の審査を実施した。昨年2月、合格証にあたる「審査書」を交付し、関電は今年1月に3号機を再稼働させた。
 大津地裁は、規制委と同様、関電に原発の安全性の技術的根拠を説明するよう求めた。関電は、審査データを提出し、安全性は担保されていると主張した。
 だが、大津地裁は「対策は全て検討し尽くされたのか不明だ」として、受け入れなかった。
 
司法として、関電に過剰な立証責任を負わせたと言えないか。
 最高裁は、1992年の四国電力伊方原発訴訟判決で、原発の安全審査は「高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解
を示した。
 高度な専門性が求められる原発の安全性の判断で、司法は抑制的であるべきだとする判例は、その後の判決で踏襲されてきた。
 今回の決定も、最高裁判例に言及はしている。だが、
再稼働のポイントとなる地震規模の想定などについてまで、自ら妥当性を判断する姿勢は、明らかに判例の趣旨を逸脱している。

 大津地裁が、
規制委の新規制基準に疑問を呈したのも問題だ。
 新基準は、第一原発事故を踏まえ厳しくなったにもかかわらず、規制委の策定手法などに対して、
「非常に不安を覚える」と独自の見解
を示した。原発にゼロリスクを求める姿勢がうかがえる。
 菅官房長官が「世界最高水準の基準に適合するという(規制委の)判断を尊重していく」と強調したのは、もっともである。
 仮処分決定を受け、関電は、再稼働したばかりの高浜3号機を停止する作業に入る。4号機は2月に再稼働したが、直後のトラブルで停止している。
 関電は、大津地裁に対し、保全異議などを申し立てる。それが認められなければ、高裁に抗告することになろう。裁判所には、冷静で公正な判断を求めたい。

 
高浜原発差し止め 常軌を逸した地裁判断だ (3/10 産経・主張)

 またも驚くべき司法の判断
である。これでは日本のエネルギー・環境政策が崩壊してしまう。
 関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)に対し、滋賀県の住民が求めていた運転差し止めの仮処分を大津地裁が認めた。
 高浜3、4号機は福島事故を踏まえて策定された新規制基準に合格して今年、再稼働を果たしたばかりである。
 にもかかわらず、運転を差し止めるということは
新規制基準と原子力規制委員会の審査を真っ向から否定した
ことに他ならない。
 仮処分は即効力を持ち、関電は運転を停止する。司法判断での稼働中の原発停止は前例がない。
 関電は「到底承服できない」として、速やかに不服申し立ての手続きを行う。一日も早く取り消される必要があろう。
 決定の影響は甚大だ。
4月からの電力小売り自由化を目前に、関電の供給計画は全面見直しを余儀なくされ、予定された電気料金の値下げも困難になる。近畿圏での企業活動や生活にマイナスの影響が出るのは避けられない。

 
原発の安全性をめぐっては、平成4年の最高裁判決で、その適否について、科学的、専門的な知見に基づく行政の合理的判断に委ねるとしている。
 これに対し、今回の決定は、政府の新規制基準による安全性確保が合理的かどうかの説明を関電に求め、「主張および疎明を尽くしていない」と断じた。
具体的には耐震性能や津波対策、避難計画などに疑問があると指摘した。
 これが理にかなっているといえるのか。高浜原発の強制停止がもたらす電力不足や電気料金上昇など社会的なリスクの増大にも、目をつむるべきではない。
 司法判断の不可解さには前例がある。
27年には福井地裁が今回と同じ高浜3、4号機に運転差し止めの決定を下したが、8カ月後に取り消した大津地裁も26年に高浜3、4号機を含む運転差し止めの仮処分申請を却下し
ている。
 高度に専門的な科学技術の集合体である原子力発電の理工学体系に対し、
司法が理解しきったかのごとく判断するのは、大いに疑問
である。
 乱訴が続き、基本計画に基づく国のエネルギー政策や温暖化対策が揺らぐ事態を危惧する。原発政策に対する政府の明確な姿勢を今こそ求めたい。



 社説:高浜差し止め 政府も重く受け止めよ - 毎日新聞
 (社説)原発事故から5年 許されぬ安全神話の復活:朝日新聞デジタル

 「裁判所自らが、原子力発電所の安全審査をするということなのか。」=読売。「高度に専門的な科学技術の集合体である原子力発電の理工学体系に対し、司法が理解しきったかのごとく判断するのは、大いに疑問」=産経。この2紙の指摘に全く同意します。
 しかも、両紙が指摘するように、最高裁の判例に反する決定で、それは直ぐに停止効力を発する仮処分です。まさに、産経の記事が指摘するように、「脱原発ありき」の裁判長の主観が優先されていると言っても過言ではないでしょう。
 
【高浜3、4号機差し止め】視点・脱原発ありき 裁判長の「主観」でしかない - 産経WEST

 民主主義国家であり法治国家である日本は、三権分立が護られている国だと信じていますが、法的根拠、科学的根拠があやふやで、感情を優先する判決が出る様は、韓国の、情ち(痴 or 治)国家化しています。
 または、三権分立を、司法の独立が政治や行政を上回り支配すると勘違いしています。

 「原発の安全審査は、高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」とする最高裁の判例を逸脱し、新規制基準と原子力規制委員会の審査を真っ向から否定する仮処分に、合理性は見られません。

 また、一歩譲れば、青山繁晴氏が指摘する、3者に責任があるとする説にも同意します。
 第一は、ずさんな判決。
 第二は、甘えている安全・危機管理意識の薄弱な関電。万全を期すべき再稼働でトラブルを生じさせ、裁判官に不安を抱かせている。
 最も悪いのは、安倍首相。民主党時代に広まった、誤った安全基準(放射線量)を放置して訂正していない。だから、裁判官や国民が誤った判断をする。


 2016/03/10 ザ・ボイス 青山繁晴
 # 開始11分15秒あたりからこの話題です。

 日本の司法が、韓国化しないことを切望します。




 冒頭の画像は、高浜原発3,4号機




  この花の名前は、ペンタス


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