遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ドイツのエネルギー政策は袋小路に陥りつつある

2014-02-17 23:43:50 | 新エネルギー
 福島第一の原発事故を受けて、さっそうと(?)10年後の脱原発を宣言した(即時停止ではない)ドイツ・メルケル政権でしたが、電力料金の値上げで思慮していることは、諸兄がご承知のことです。
 再生可能エネルギーの導入の先進国でもあり、固定価格買い取り制度で新エネルギーの普及を推進するお手本となる国で、課題の克服をどう実行するのか、日本も学ばせていただく、パイオニアでもありその動向は注目が必要です。
 再生可能エネルギーの比率が高まるにつれ、電力料金の値上げを迫られ、買い取り価格の値下げを実施したことは衆知の事実で、日本でもカンカンラ菅が孫に乗せられて優遇した太陽エネルギーの極度に高く設定された買い取り価格は、ドイツを見習ったのかどうかは定かではありませんが、早々に値下げされましたね。見習ってはいなくても、ドイツが太陽光エネルギーや陸上風力エネルギーといった再生可能エネルギーの使用比率が増えると、固定価格買い取り制度を続ければ、電力料金の値上げが必要になると、パイオニアとして実証してくれました。
 国内産業の国際競争力を保ちながら、太陽光や陸上風力エネルギー比率を増やすことが可能なのか、ドイツの対策に注目してきましたか、ドイツのそれは袋小路にはまりこんでいるとの記事がありました。
 

電気代抑制 悩む独 再生エネ買い取り負担 (2/17 読売朝刊)

 【ベルリン=工藤武人】17日に発足2か月となるドイツの第3次メルケル政権は、太陽光や風力など再生可能エネルギーを、電力会社が高値で買い取る「固定価格買い取り制度」の見直しに苦しんでいる。家庭用料金の高騰と大企業優遇、関連企業の破綻など制度への批判は高まる一方だ。ドイツの看板政策だった再生可能エネルギー優遇策の輝きは失われつつある


大企業優遇 政権に批判

◇素案
 独紙ウェルトは13日、メルケル政権が4月上旬に閣議決定を目指す「再生可能エネルギー法」改正案の素案を伝えた。
 
2000年比で約2倍に達した家庭用電気料金の上昇を抑えるため、陸上風力や太陽光などの新設目標を引き下げ、買い取り枠を縮小する
。一方、化学や鉄鋼、製紙など電気を大量に使う大企業が、電気料金に上乗せされる賦課金の大半を減免される制度の大枠は維持される。
 
メルケル首相は制度改正の狙いを「電気代を支払い可能な範囲にとどめる」
と述べていたが、野党「緑の党」は「(改正案は)電気料金の低下につながらない」と批判している。

◇家庭にツケ
 社会の不公平解消を重視する中道左派の社会民主党が連立政権に参画したにもかかわらず、
大企業優遇制度の見直しに及び腰
なのは、企業業績の悪化を警戒しているためだ。
 しかし、
保護のツケは家庭に回されている
。現在の一般家庭や中小企業に対する賦課金は、1キロ・ワット時あたり6.24セント(約9円)。これに対し、最も優遇される企業の賦課金は0.05セントに過ぎない。2014年の賦課金総額約236億ユーロ、(約3兆3000億円)のうち、製造業の支払総額は約74億ユーロと、一般家庭などの約83億ユーロより少ない。
 欧州連合(EU)の執行機関、
欧州委員会は昨年12月、EU法が禁じる自国産業保護のための「補助金」に該当する疑いがあるとして制度の調査に着手
しているが、メルケル首相は「ドイツよりも産業用電気料金が安い国がある」と突っぱねている。

◇袋小路
 買い取り制度が期待していた
環境関連産業の育成も挫折しつつある

 1月には風力発電大手プロコンが破綻した。風力発電の適地は主に北部だが、電力消費地である南部への送電線の新設が環境保護団体の反対で難航していることや、安価な中国製などとの競争激化が背景にある。
12年には太陽光パネルメーカーの破綻も相次いだ

 メルケル政権は電力供給量の16%を占める原子力発電所を全て停止するかわりに、再生可能エネルギーの比率を25年までに現在の約2倍の最大45%に高める目標は維持している。
 しかし、
これ以上の料金上昇はドイツ経済の重荷となるが、優遇策を減らせば再生可能エネルギー普及の勢いが減るドイツのエネルギー政策は袋小路に陥りつつあるとの見方もある。


 中国の太陽光パネルの国策による安売りでは、欧米の企業が危機に立たされ、EUは中国への懲罰的措置発動の準備を進めていました。しかし、メルケル氏は、中国向け輸出に大きく依存する経済を優先させる判断で懲罰措置の中止に動き、中国の為に活動し懲罰的措置発動を頓挫させました。
 
EU、中国製太陽光パネル調査に着手 不当廉売の疑い  :日本経済新聞
 中国に貿易依存するドイツ 企業だけでなくメルケル氏も買収され変節 - 遊爺雑記帳

 中国の国策による太陽光パネルの安値攻勢により、自国のみならず、欧米各国の企業が倒産に追いやられるのを護り、適正な競争を守ろうという動きを、ドイツ一国の利益の為に頓挫させたのです。
 その犠牲を払った結果がどうなるかには注目していましたが、ドイツ国内のエネルギー政策は見直しを迫られ袋小路に陥りつつあるというのです。
 自国の企業の倒産の犠牲を払ってでも、安価な中国製を使うことで、太陽光エネルギーのコストダウンを狙ったとは思えませんが、もしそうであったとしたら大失敗ということになります。

 再生可能エネルギーを拡大させ、コストや品質を満たしながら原子力発電を切り替えて行きたいとは、世界中が求める理想です。
 しかし、増大するコストの負担が家庭に押し付けられるドイツの現状の悩みは、その理想の達成が容易ではないことを教えてくれています。
 再生可能エネルギーの新しい産業が生まれ経済が活性化されると言う話も、太陽光パネルについては、中国の国策の廉売で、欧米でも日本でも関連企業は価格競争に敗北を喫しています。しかも、太陽光エネルギーは、今の技術では天候に影響を受けて品質が不安定で、主力のエネルギーたりえません。

 10年かけて原発を廃止して、再生可能エネルギーに切り替えるという、ドイツの世界の魁と言われた看板政策が行き詰まっていることは、後続の日本として学ばねばなりません。
 太陽光エネルギーや陸上風力エネルギーを主力にし、産業の電力コスト負担を避けて経済を立ち行かせるモデルは、現状の技術では成り立たないということです。
 他の再生可能エネルギー(水力、地熱、波・潮流・風などの海洋等)や、火力に依存する方法を採らざるをえないということです。
 火力では、ガスや石炭で、CO2の発生を抑えた技術は進化していますが、有限の資源ですし、CO2が発生することは避けられません。
 その目途が立たずに原子力を即時停止してよいのか。核のゴミの処理が目途がたたないのに、核を燃やし続けてよいのか。
 安定した品質の再生可能エネルギーを開発すること。核の安全でリサイクルできる出来る技術を開発することが求められます。

 ドイツは陸続きの他国から電力を輸入する抜け道がありますが、島国の日本は、自国内で発電せねばなりません。そのぶん海に囲まれた環境を利用し、海底資源や海洋エネルギーの活用の未開の道があります。地震国を逆手にとった地熱もあります。
 日本の叡智を集めて、太陽光に投資している人やお金の資源を、そちらに回すべきとの答えが、先行するドイツが教えてしれているのですね。





  コバタゴ




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