福島第一の事故は、ドイツのエネルギー政策を転換させるなど世界に影響を及ぼしていることは、いまさら申し上げるまでもないことです。
そのドイツも、再生可能エネルギーの現状は日本より多いとはいえ16.5%で、石炭が42.2%、原子力23.5%(+停止中≒輸入 6.8%)、天然ガス13.4%、石油など5.5%の状況です。この16.5%を、洋上風力発電を中心に、'20年までに35%と倍増させるという大英断です。が、当面は火力発電(石炭。天然ガス)や輸入に頼らざるを得ないのも実情です。しかし、「このような変革を成し遂げる技術・経済力を我々以外のどこの国が持っているのか」と、先駆的社会プロジェクトを推進すると意気軒昂ですね。
需要家が電力の購入先を自由に選択できる全面自由化が実施されていて、再生可能電力の会社を選ぶことができたりするのだそうですね。一方、電力会社間で激しい競争が行われていて合併や統合が進んで、8大電力会社が4つに集約されるなど寡占化の方向にむかいつつある面もあるのだとか。
いずれにしても、輸入で賄えるという安全弁があるとはいえ先駆のトライをしているのは間違いなく、いいところも欠点も学ぶことができ、これから検討する日本にとって学ぶべきところはありますね。
海外電力調査会:データ集:各国の電気事業:ドイツ
脱原発では、当面は火力発電で補うしかなく、石炭や天然ガスの需要が増えますが、2035年には天然ガスの需要が62%増えるとの予測がなされているのだそうです。(全体のエネルギー需要は37%増加)
asahi.com(朝日新聞社):天然ガス需要、62%増 IEA、2035年予測 - ビジネス・経済
石油の可採年数が約50年。天然ガスの可採年数が約63年とされています。天然ガスの埋蔵量は増加傾向にあるとのことですが、需要の急増はCO2の増加につながりますし、資源の枯渇を速めることでしょう。
東電、中部電力のほかに九州電力でもLNGの安定供給量増加が急務ですが、韓国向けを急遽東電けに転用手配していただいたブルネイにつづき、中部電力向けに供給増を引き受けてくれることになったカタールなど、優先供給支援していただける国がでてきていることには、深く感謝せねばなりませんね。
天然ガスについて|天然ガスの確認埋蔵量構成比と可採年数
【続】日露首脳会談でカンカラ菅は何を話すのか - 遊爺雑記帳
asahi.com(朝日新聞社):中部電、LNG調達にめど カタールと追加供給に合意 - ビジネス・経済
定期点検に入った原発の再稼働がなければ、来年4月には全原発が停止することになります。再生エネルギーも大事ですが、火力でのつなぎにも限界があるでしょう。福島第一は今日の大災害を起こしましたが、第二や女川はかろうじてとはいえ凌ぎました。その差の原因は歴然ですね。
政府は早急な結論と方針をしめさなければ、日本の国民生活や産業の電力が、来春には更なる不足を生じ活動に支障を生じることになります。決断が求められていますね。
# 冒頭の写真は、カタールから中電へのLNG船です。
↓よろしかったら、お願いします。
そのドイツも、再生可能エネルギーの現状は日本より多いとはいえ16.5%で、石炭が42.2%、原子力23.5%(+停止中≒輸入 6.8%)、天然ガス13.4%、石油など5.5%の状況です。この16.5%を、洋上風力発電を中心に、'20年までに35%と倍増させるという大英断です。が、当面は火力発電(石炭。天然ガス)や輸入に頼らざるを得ないのも実情です。しかし、「このような変革を成し遂げる技術・経済力を我々以外のどこの国が持っているのか」と、先駆的社会プロジェクトを推進すると意気軒昂ですね。
風力発電など比率倍増へ・エコ住宅促進 経済と調和志向 (6/7 朝日朝刊)
<前略>
最大の課題は、電力の安定供給だ。現在、原子力エネルギーは発電量の約23%を占める。
福島事故後に7基を停止し、5月には定期点検なども含め17基中13基が停止した時期にも、停電などの問題は起きなかった。だが、送電網を監督する連邦ネット庁は、冬場に太陽光や風力の発電量が下がった場合に、電力供給が切迫する可能性を指摘している。このため政府は、即時閉鎖する原発のうち1基を予備機として残すことを決めた。当面は火力発電への依存を強めざるを得ないため、温暖化対策のコストが上がる懸念もある。
洋上風力発電を中心に、再生可能エネルギーの発電割合を20年までに35%に倍増する計画の実現には、風車が並ぶ北部から南部への高圧送電網の増強も必要だ。政府は断熱性の高いエコ住宅への改築や、電力と熱を同時に供給するコージェネレーション、電気自動車の普及促進などの政策を導入する方針だ。
ドイツが原発を廃止できるのは隣国から電気を融通できるからだという指摘もある。ドイッは近年、電気の輸出が輸入を上回ったが、3月以降はフランスやチニコからの輸入が増えた。ネット庁は、同時期の仏原発の発電量が変わらないことなどから、原発からの電気を輸入しているわけではないとしている。
欧州連合によると、ドイツの家庭の電気料金は100キロワット時あたり23・8ユーロ(約2800円)で、欧州内でデンマークに次いで高い。欧州平均は16・8ユーロ(約2千円)だ。再生可能エネルギー促進のための負担金の上乗せなどが理由だ。脱原発で料金がさらに上がる可能性が指摘される一方、今後は再生可能エネルギーへの投資コストが下がるとの見方もある。
メルケル首相は「私たちはエネルギー構造の変革と経済成長とが調和することを世界に示す」と宣言。専門家委員会も会見でこう述べた。「このような変革を成し遂げる技術・経済力を我々以外のどこの国が持っているのか」(ベルリン=松井健)
<前略>
最大の課題は、電力の安定供給だ。現在、原子力エネルギーは発電量の約23%を占める。
福島事故後に7基を停止し、5月には定期点検なども含め17基中13基が停止した時期にも、停電などの問題は起きなかった。だが、送電網を監督する連邦ネット庁は、冬場に太陽光や風力の発電量が下がった場合に、電力供給が切迫する可能性を指摘している。このため政府は、即時閉鎖する原発のうち1基を予備機として残すことを決めた。当面は火力発電への依存を強めざるを得ないため、温暖化対策のコストが上がる懸念もある。
洋上風力発電を中心に、再生可能エネルギーの発電割合を20年までに35%に倍増する計画の実現には、風車が並ぶ北部から南部への高圧送電網の増強も必要だ。政府は断熱性の高いエコ住宅への改築や、電力と熱を同時に供給するコージェネレーション、電気自動車の普及促進などの政策を導入する方針だ。
ドイツが原発を廃止できるのは隣国から電気を融通できるからだという指摘もある。ドイッは近年、電気の輸出が輸入を上回ったが、3月以降はフランスやチニコからの輸入が増えた。ネット庁は、同時期の仏原発の発電量が変わらないことなどから、原発からの電気を輸入しているわけではないとしている。
欧州連合によると、ドイツの家庭の電気料金は100キロワット時あたり23・8ユーロ(約2800円)で、欧州内でデンマークに次いで高い。欧州平均は16・8ユーロ(約2千円)だ。再生可能エネルギー促進のための負担金の上乗せなどが理由だ。脱原発で料金がさらに上がる可能性が指摘される一方、今後は再生可能エネルギーへの投資コストが下がるとの見方もある。
メルケル首相は「私たちはエネルギー構造の変革と経済成長とが調和することを世界に示す」と宣言。専門家委員会も会見でこう述べた。「このような変革を成し遂げる技術・経済力を我々以外のどこの国が持っているのか」(ベルリン=松井健)
需要家が電力の購入先を自由に選択できる全面自由化が実施されていて、再生可能電力の会社を選ぶことができたりするのだそうですね。一方、電力会社間で激しい競争が行われていて合併や統合が進んで、8大電力会社が4つに集約されるなど寡占化の方向にむかいつつある面もあるのだとか。
いずれにしても、輸入で賄えるという安全弁があるとはいえ先駆のトライをしているのは間違いなく、いいところも欠点も学ぶことができ、これから検討する日本にとって学ぶべきところはありますね。
海外電力調査会:データ集:各国の電気事業:ドイツ
脱原発では、当面は火力発電で補うしかなく、石炭や天然ガスの需要が増えますが、2035年には天然ガスの需要が62%増えるとの予測がなされているのだそうです。(全体のエネルギー需要は37%増加)
asahi.com(朝日新聞社):天然ガス需要、62%増 IEA、2035年予測 - ビジネス・経済
石油の可採年数が約50年。天然ガスの可採年数が約63年とされています。天然ガスの埋蔵量は増加傾向にあるとのことですが、需要の急増はCO2の増加につながりますし、資源の枯渇を速めることでしょう。
東電、中部電力のほかに九州電力でもLNGの安定供給量増加が急務ですが、韓国向けを急遽東電けに転用手配していただいたブルネイにつづき、中部電力向けに供給増を引き受けてくれることになったカタールなど、優先供給支援していただける国がでてきていることには、深く感謝せねばなりませんね。
天然ガスについて|天然ガスの確認埋蔵量構成比と可採年数
【続】日露首脳会談でカンカラ菅は何を話すのか - 遊爺雑記帳
asahi.com(朝日新聞社):中部電、LNG調達にめど カタールと追加供給に合意 - ビジネス・経済
定期点検に入った原発の再稼働がなければ、来年4月には全原発が停止することになります。再生エネルギーも大事ですが、火力でのつなぎにも限界があるでしょう。福島第一は今日の大災害を起こしましたが、第二や女川はかろうじてとはいえ凌ぎました。その差の原因は歴然ですね。
政府は早急な結論と方針をしめさなければ、日本の国民生活や産業の電力が、来春には更なる不足を生じ活動に支障を生じることになります。決断が求められていますね。
# 冒頭の写真は、カタールから中電へのLNG船です。
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