遊爺雑記帳

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マスク氏のツイッター再生、失敗しそうな訳

2022-11-10 01:33:55 | my notice
 マスク氏のツイッター買収は、やるのかやらないのか揺れに揺れて、いますね。
 生き馬の眼を抜くこの業界で、素早いが頑として貫く決意が要求される中、よく言えば臨機応変で柔軟な対応ともいえるが、迷いで揺れている印象が否めない。マスク氏らしくないと思うのは、遊爺だけ?
 WSJハイテク担当コラムニスト クリストファー・ミムズ氏が、機微を解説しておられます。

 
マスク氏のツイッター再生、失敗しそうな訳 - WSJ

 新興企業には有効な戦略かもしれないが
 2022年 11月 7日 WSJハイテク担当コラムニスト クリストファー・ミムズ

 起業家イーロン・マスク氏は米ツイッターをスタートアップ企業のように扱っている。スタートアップ企業の問題点は、その大半が失敗に終わることだ。

 
マスク氏はIT(情報技術)スタートアップ企業にありがちなやり方で、ツイッターに非常に多くの変更を急ピッチで導入したか、もしくは導入すると約束した会社がまだ小さく、投資家の資金を燃焼し続けている場合、これは大いに理にかなっているこのお決まりの戦術にマスク氏ほど精通したIT業界の経営者はほとんどいない。自らが指揮したり、創業に関わったりした企業(宇宙開発ベンチャーのスペースXや電気自動車大手テスラ、電子決済サービスのペイパルなど)の時価総額の合計でマスク氏は他の起業家の追随を許さないほどだ。

 
だがツイッターはスタートアップ企業ではない。マスク氏があまりにも迅速に動き、あまりにも多くのものを一度に破壊すれば、浪費される可能性がある多くのものを持つ成熟した企業だ。ツイッターは4日に大幅な人員削減を発表した後も数千人規模の従業員を抱える。また大量のコードを持ち、それが将来的に技術的負債になる可能性がある。年間売上高は約50億ドル(約7300億円)で、同社のサービスに揺るぎない意見を持つ2億4000万人近いデイリーアクティブユーザー(DAU)を擁する。さらに、諸経費に加え、マスク氏が買収資金の一部とした借入金のために年間10億ドルを超える債務返済の必要がある点もスタートアップ企業とは異なる

 
ツイッターはすでに存続の危機にひんしている。マスク氏は4日、同社が「収入の大幅減」に見舞われているとツイート。同氏が次に何をするか、それが自分たちにどう跳ね返るかを警戒し、企業がツイッターへの広告出稿を一時停止したためだという。

 今までマスク氏は多くの人が不可能と考えることを成し遂げてきたが、
ツイッターは同氏が過去に手がけたのとは全く異なる種類のチャレンジだ。よく褒めそやされるマスク氏の「第一原理」思考は、新しい物理的製品を生み出すのにはうってつけだだが同氏が示したのは、ソーシャルネットワークの運営に必要となる極めて巧妙な交渉術の才能とは真逆のものだソーシャルネットワークではリーダーが、規制当局や政治家はもちろん、広告主やユーザーのニーズや要望のバランスを取る必要があるその傍ら、いかなるコンテンツが許容され、もしくは許容されないかに関して編集上の決断とみなされるものを監督しなければならない

 米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、巨大ソーシャルネットワークを運営する経験について、毎日、目が覚めると「腹にパンチを食らう」ようなものだと話している。その現実に対し、マスク氏は彼らしい陽気で好戦的なスタイルで、ツイッターにパンチを打ち返している。だが同氏の行動は広告主を動揺させている。彼らはソーシャルネットワークの運営責任者の振る舞いが、サイトに関わる他の全員の行動の暗黙のモデルであることを正しく認識しているからだ。

 
マスク氏指揮下のツイッターに対する強気論を簡単には退けることはできないそもそもツイッターは長年その実力を発揮できていないという見方がある。人気の高いプラットフォームでありながら、独創性を欠くリーダーシップや停滞する技術革新、四半期業績のみに関心を向ける株主のせいで、真の可能性が阻害されているというものだ。マスク氏の支持者は、同氏がツイッターの潜在能力を引き出し得る型破りな思考と実験の意欲をもたらし、ツイッターをより多くの人々にとってより価値あるツールにできると考えている。

 
マスク氏のツイッター構想は金融業界の支援を取りつけた。大手銀行は次々と130億ドルの融資を決め、大物投資家グループは70億ドルの出資を約束した。「この機会を検討したところ、製品そのものにせよ、収益化モデルにせよ、ツイッターが提供するサービスには改善できる点が多い」。マスク氏のツイッター買収計画をめぐり8億ドルの出資を約束したベンチャーキャピタル(VC)セコイア・キャピタルを率いるロエロフ・ボサ氏はそう話す

 長年ツイッターと仕事をしてきた
外部の開発業者も、新経営陣が思慮深く新たな製品や機会を追求するならば、売上高が大幅に伸びる可能性があると考えている。ツイッターのユーザー向けフィルタリングサービスを手がけるブロック・パーティーのトレーシー・チューCEOは「ツイッターが規模と売上高を5倍にできる可能性はある。ただし賢い方法で実行する必要がある」と述べた

 
ベンチャーキャピタリストのターナー・ノバク氏は最近のエッセーで、マスク氏率いるツイッターに対する楽観論を簡潔に記している(同氏はツイッター買収には参加していない)。その一方で、この買収がマスク氏とその支持者にとってあまり良いものとは思えないとも述べている

 
第一に、マスク氏所有のツイッターは財務面で深い窮地の中からスタートする。同氏が4月に買収金額で合意した際、IT株は下落していたが、その後さらに悪化の一途をたどり、特にソーシャルメディア関連は落ち込んでいる。競合するフェイスブックを運営するメタやスナップチャットを運営するスナップの昨年の売上高に対する株価売上高倍率(PSR)は現在2~3倍程度だが、マスク氏がツイッターに支払った買収額440億ドルは、2021年の売上高の9倍近くに相当する。

 
また買収資金の債務の利払いがのしかかり、利益を出すのが一段と難しくなるだろう(ツイッターは長年、黒字を持続できずにいる)。もし利益が出れば、非常に高額な買収を正当化できる可能性はあるのだが。

 
そのうえソーシャルメディア市場がすでに過密状態なことを考えると、誰かが(イーロン・マスク氏ですら)ツイッターを急成長企業に変えることができるのか、それとも全く見込みがないのかは定かでない。したがって、ツイッターに対する弱気論の根拠は、「ツイッターはいわば、多額の負債を抱え込んだ停滞気味の問題ある企業」だという点にあるとノバク氏は指摘する。

 もちろん「多額の負債を抱え込んだ問題ある企業」は、過去のさまざまな時点でテスラやスペースXを言い表せる言葉でもあった。これらの企業やツイッターは大勢のプログラマーとコードを必要とするため、全て「テック系」企業に分類される。だがソーシャルネットワークが、経営大学院のケーススタディーでロケットや自動車を製造する企業と同じカテゴリーに入るのは名目上に過ぎない。そしてマスク氏のこれまでの成功は、主に物理学や材料科学における不変の法則と格闘してきたことによるが、
ソーシャルネットワークの運営は人間を管理することに他ならず、その行動は限りなく複雑で予測するのが難しい

 例えば、コンテンツモデレーション(不適切な投稿の監視・削除)についてマスク氏はルール緩和の方向に変更すると主張していた。だが買収後1週間ほどで同氏はすでにこの問題の複雑さに直面している。広告主やさまざまな擁護団体の反発に遭う中、同氏は最近のコメントの一部で、ツイッターのコンテンツモデレーションに関して以前約束したほど大きく変更しないことを示唆している。

 
マスク氏のより長期的で斬新な構想についてはどうだろうか同氏はツイッターを「何でもありのアプリ『X』」に変えたいと言う。これはIT業界では「スーパーアプリ」として知られ、例えば中国の微信(ウィーチャット)が当てはまる。筆者は以前、スーパーアプリが欧米諸国で成功するかどうかを論じたことがある。要約すると、その確率はあまり高くないなぜなら通信、ショッピング、決済といった機能の多くは、他の無数のアプリとそれを支える巨大IT企業がすでに非常にうまく処理しているからだ。

 一方で、
マスク氏はツイッターに新たなサブスクリプション(定額課金)サービスを導入する予備段階の計画をほのめかした。マスク氏は現在使われていないツイッターの短編動画アプリ「Vine」を何らかの形で復活させる可能性についてもツイート。Vineは短編動画ジャンルの先駆けだったが、経営陣が2016年にサービスを終了したその後「TikTok(ティックトック)」が同様のフォーマットを使い、世界的なソーシャルメディアの巨人に成長した。最も人気を集めるツイートの多くがTikTok動画の再投稿に過ぎないことを考えると、この種の機能を加えることは理にかなう試みだろう。

 
たとえそうした野心的計画がうまくいくとしても、ツイッターの最終損益に大きな違いが生じるとは思えない。例えば、ツイッターの現在約2億4000万人のDAUのうち1%がサブスクに加入したとして、年間2億3000万ドルの売上高になる。それはツイッターの2021年の売上高50億ドルの5%にも満たない。売上高の約90%は広告収入が占めている

 
最善のシナリオでは、もしツイッターが新製品をテコにしてDAUを4倍増の約10億人に増やし――マスク氏がこの数字を目標としていることは、ツイッターの計画に関する流出したスライド資料から分かる――そのうち5%が同様のサービスに加入すれば、年間48億ドルの売上高につながる。これが実現すれば、ツイッターにとって大幅増収となり得る。ただ、ソーシャルネットワークへのアクセスを有料化する試みは過去にたびたび行われたが、この規模に近い水準を達成した企業はなかったことに留意すべきだ

 こうした全てを行う中で、
マスク氏は新規ユーザーの獲得よりも速いペースで既存ユーザーを失うリスクとのバランスを取らねばならないここ1週間に多くのセレブを含むツイッターの著名ユーザーが次々とツイッターを離脱、または離脱する予定だと宣言している

 
ツイッターの現在のユーザー数とエンゲージメントのレベルがいずれもピークに達している可能性もある。その場合、ツイッターの絶頂期は、何年にも及ぶ製品の停滞がもたらした予期せぬ結果ということになる。ツイッターは時代に合わせ、動画などの新しい手段を導入することを断固拒否してきたそのおかげで政治家やメディアタイプ、できる限り多くの視聴者にメッセージが届く拡声器が必要な人にとって、ツイッターは最小限の労力で最大限のインパクトを与えられる場所であり続けた

 4月に「TED」カンファレンスに登壇した
マスク氏は、ツイッターについて「カネを稼ぐような方法ではない」と述べた。「私の強い直感によると、最大限に信頼され、幅広い人々が参加できる公開プラットフォームを持つことは、文明の未来にとって極めて重要だ。経済的側面については全く気にしない」

 5月になってテスラの株価が29%下落し、株式市場でIT関連銘柄が売り浴びせられると、
マスク氏はツイッター買収計画を「保留する」とツイート。7月には正式に手を引く道を探った。同氏はツイッターが偽アカウントやスパムアカウントの数に関して誠実でないことが原因だと常に主張してきた。

 だが、
ツイッター幹部と徹底的に議論した結果、マスク氏自身がツイッターの現在と未来の経済的側面に気づかされ、そこで知り得た現実に嫌気が差したのだという結論に至らないことは難しい


 マスク氏については、会社がまだ小さく、投資家の資金を燃焼し続けている場合、そのやり方は大いに理にかなっている。このお決まりの戦術にマスク氏ほど精通したIT業界の経営者はほとんどいないと、ミムズ氏。
 しかし、ツイッターはスタートアップ企業ではない。マスク氏があまりにも迅速に動き、あまりにも多くのものを一度に破壊すれば、浪費される可能性がある多くのものを持つ成熟した企業だ。
 ツイッターは4日に大幅な人員削減を発表した後も数千人規模の従業員を抱える。また大量のコードを持ち、それが将来的に技術的負債になる可能性がある。
 同社のサービスに揺るぎない意見を持つ2億4000万人近いデイリーアクティブユーザー(DAU)を擁する。さらに、諸経費に加え、マスク氏が買収資金の一部とした借入金のために年間10億ドルを超える債務返済の必要がある点もスタートアップ企業とは異なる。
 現状の収入源は、企業ユーザー出来なく、企業広告。
 今までマスク氏は多くの人が不可能と考えることを成し遂げてきたが、ツイッターは同氏が過去に手がけたのとは全く異なる種類のチャレンジだと、ミムズ氏。
 褒めそやされるマスク氏の「第一原理」思考は、新しい物理的製品を生み出すのにはうってつけだ。だが同氏が示したのは、ソーシャルネットワークの運営に必要となる極めて巧妙な交渉術の才能とは真逆のものだと。

 そもそもツイッターは長年その実力を発揮できていないという見方がある。人気の高いプラットフォームでありながら、独創性を欠くリーダーシップや停滞する技術革新、四半期業績のみに関心を向ける株主のせいで、真の可能性が阻害されているというものだ。マスク氏の支持者は、同氏がツイッターの潜在能力を引き出し得る型破りな思考と実験の意欲をもたらし、ツイッターをより多くの人々にとってより価値あるツールにできると考えていると、ミムズ氏。

 「製品そのものにせよ、収益化モデルにせよ、ツイッターが提供するサービスには改善できる点が多い」と、買収計画をめぐり8億ドルの出資を約束したベンチャーキャピタル(VC)セコイア・キャピタルを率いるロエロフ・ボサ氏。
 外部の開発業者も、新経営陣が思慮深く新たな製品や機会を追求するならば、売上高が大幅に伸びる可能性があると考えていると。

 ベンチャーキャピタリストのターナー・ノバク氏は、マスク氏率いるツイッターに対する楽観論を簡潔に記している一方で、この買収がマスク氏とその支持者にとってあまり良いものとは思えないとも述べているのだそうです。
 マスク氏所有のツイッターは財務面で深い窮地の中からスタートする。マスク氏がツイッターに支払った買収額440億ドルは、2021年の売上高の9倍近くに相当。
 買収資金の債務の利払いがのしかかり、利益を出すのが一段と難しくなるだろう(ツイッターは長年、黒字を持続できずにいる)と。

 ソーシャルメディア市場がすでに過密状態なことを考えると、誰かが(イーロン・マスク氏ですら)ツイッターを急成長企業に変えることができるのか、それとも全く見込みがないのかは定かでない。
 「ツイッターはいわば、多額の負債を抱え込んだ停滞気味の問題ある企業」だと、ノバク氏。

 マスク氏はツイッターに新たなサブスクリプション(定額課金)サービスを導入する予備段階の計画をほのめかした。
 この種の機能を加えることは理にかなう試みだろう。
 ただし、たとえそうした野心的計画がうまくいくとしても、ツイッターの最終損益に大きな違いが生じるとは思えないと、ミムズ氏。

 ツイッターの現在約2億4000万人のDAUのうち1%がサブスクに加入したとして、年間2億3000万ドルの売上高になるが、2021年の売上高50億ドルの5%にも満たない。売上高の約90%は広告収入が占めている体質。
 
 ソーシャルネットワークへのアクセスを有料化する試みは過去にたびたび行われたが、この規模に近い水準を達成した企業はなかったことに留意すべきだと、ミムズ氏。

 マスク氏は新規ユーザーの獲得よりも速いペースで既存ユーザーを失うリスクとのバランスを取らねばならない。ここ1週間に多くのセレブを含むツイッターの著名ユーザーが次々とツイッターを離脱、または離脱する予定だと宣言しているのだそうです。

 ツイッターは時代に合わせ、動画などの新しい手段を導入することを断固拒否してきた。そのおかげで、できる限り多くの視聴者にメッセージが届く拡声器が必要な人にとって、ツイッターは最小限の労力で最大限のインパクトを与えられる場所であり続けた。

 5月、マスク氏はツイッター買収計画を「保留する」とツイート。7月には正式に手を引く道を探った。しかし、10月にはCEOに就任。
 
 マスク氏がツイッターCEOに就任、「5社の経営は多すぎる」との懸念も(ロイター) - Yahoo!ニュース

 揺れ動いたのには、それなりの理由があるのですね。この先は??

 異才の方だからでしょうか、決断が往々にしてゆれる。
 マスク氏「打ち切り」一転、ウクライナへの衛星通信「無償提供続ける」 : 読売新聞オンライン



 # 冒頭の画像は、テスラが独ブランデンブルク州グリューンハイデに建設した工場で今年行われた開所式でのイーロン・マスク氏

 


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