遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国経済政策の主導権が李首相から習主席に移った

2015-02-13 01:26:29 | 中国 全般
 中国中央財経指導小組のトップの座は、前政権で温家宝首相がそうであった様に、代々首相が務めてきたのだそうで、習近平政権では李克強首相が経済政策を担当してきていました。
 しかし、小平から始まった改革開放経済を引き継いでいた李克強の市場重視の経済政策が後退し、国有企業を巨大化させ、その力で輸出競争力を高めようというし習近平の「中華民族の偉大な復興」という、過去への回帰路線を経済も周到するかの様に、中央財経指導小組のトップの座に習近平自らが就いたのだそうですね。
 

中国を覆う「シーコノミクス」 習氏、経済政策も掌握:日本経済新聞 アジア総局編集委員 村山宏

 中国は市場経済の徹底で経済構造の転換を進めると明言してきたが、最近は再び政府が経済に関与する姿勢を強めている。習近平国家主席が経済政策も掌握し、市場原理を重視する李克強首相の影響力が低下していることと無縁ではないようだ。李克強氏の経済政策はリコノミクスと呼ばれたが、現実は国家の威信と力を前面に打ち出す習近平(Xi Jinping=シー・チンピン)氏の経済政策「シーコノミクス」が中国を覆いつつある。

■鉄道企業の合併が手本

 鉄道車両メーカーの
中国北車集団は1月26日、米ボストンの地下鉄向けに総額41億1800万元(約780億円)の受注契約を結んだと明らかにした。ライバル視された川崎重工業は昨秋の入札で中国企業の安値攻勢の前に敗れていた
。北車集団は中国南車集団と合併が決まっており、新会社は中国の鉄道車両生産をほぼ独占する企業となる。日米欧の同業他社の売上高を大きく上回り、規模を生かしてカリフォルニア州の高速鉄道の受注を目指す。

 2月5日には原子力発電の設備を手掛ける
中国核工業集団
がアルゼンチンで原発の建設協力事業を受注したと明らかにした。中国政府はアルゼンチン政府と原発協力の合意書に調印しており、両国政府の委託を受けてプロジェクトを進める。さらに中国では中国電力投資集団と国家核電技術という電力関連企業の合併構想も進んでいる。鉄道企業の合併を手本に巨大企業をつくり、原発企業の海外進出を加速させる考えだ。

■インフラ企業の海外進出後押し

 李首相は1月28日、政府の会議を主宰し、高速鉄道や原発などインフラ関連企業の海外進出を政府が後押しする方針を明確にした。李首相は外遊のたびにインフラの売り込みに奔走している。李首相といえば市場原理を重視し、投資に偏重した政府主導の経済成長から市場主導に切り替える構造改革を唱えてきた。海外メディアは李首相の名前をもじってリコノミクス(Liconomics=李克強経済学)と呼び、改革に期待を寄せたほどだ。
 だが、
最近の李首相の言動を見る限り、市場重視の政策は後退している。2013年秋に開かれた中国共産党の重要会議「3中全会」では、民間企業や民間資本を導入し、政府と国有企業を中心とする経済体制を変革する大方針を決めた。国有企業や政府系企業が独占してきた分野に民間の参入を促し、効率性を高める狙いだった。それとは裏腹に国有企業の合併を容認し、合併で生まれる独占企業の海外進出を政府が支援する戦略を強めている

 これでは市場経済への転換というより国家資本主義の強化と形容したほうが良いくらいだ。
李首相はいつの間に宗旨変えしてしまったのだろうか。李首相の変節を責める前に政治状況の変化に目を向けたい。昨年6月、中国メディアは共産党の中央財経指導小組のトップに習近平国家主席
が就いていることを明らかにした。党が政府に対して優位に立つ国の政治システムのなかでは、中央財経指導小組が実質的に経済政策を決める最高機関だ。

■表舞台から消えた「リコノミクス」

 慣例として歴代の首相が中央財経指導小組のトップに就いてきたため、習主席がトップである事実は意外性をもって受け止められた。しかも、小組のトップが外部に明らかにされるのは異例中の異例であり、
習氏は自ら経済政策を所管する立場にあることをアピールした形だ。昨年の6月までに経済政策の主導権が李首相から習主席に移った
とみて間違いないだろう。リコノミクスは表舞台から消え、シーコノミクスに取って代わられた。

 では習主席の経済政策とは何か。当初は李首相と同じ構造改革路線を歩むとみられていた。習主席は汚職の摘発で政敵を次々に葬り去ってきたが、標的となったのは石油や電力、石炭などの国有独占企業の企業経営者やそれに連なる共産党内の大物幹部だ。反腐敗を口実に国有企業内に巣くう既得権勢力と背後にいる政治指導者にメスを入れ、
国有独占企業を解体し、改革に持ち込む腹づもり
と受け止められていた。筆者もそう考えていた。

■効率性より規模を重視

 しかし、
合併による巨大な国有独占企業づくりを見ると、これは間違いだったようだ。市場原理の重要性を訴えた3中全会の決定よりも、習主席が常々口にする「中華民族の偉大な復興」のスローガンの方が政策の方向を物語っている。中国という国家や民族を前面に押し出し、世界に膨張していこうという発想だ。効率性よりも規模やパワーといった価値に重きを置く考え方
だ。習主席の反腐敗は、国有企業を根城にする政敵を一掃して産業を自らの統制下に置くための手段だったのかもしれない。国有企業の民営化を進め、政府から独立させる意図はないということだろうか。

 中国国内の経済成長が一段落した今、
さらなる成長を求めるには海外進出こそが望ましく、目標を達成するには国家と国有企業が一体となって進むべきだ――。これがシーコノミクスの本質だとしたら、先進国は政治や軍事だけでなく経済でもいずれ中国との摩擦激化を覚悟しなければならない。今となってはリコノミクスが懐かしい。

 日経の村山アジア総局編集委員は、「合併による巨大な国有独占企業づくりを見ると、これは間違いだった」と断じておられます。
 国有企業重視が事実だとすれば、遊爺も仰天します。中国の今日の発展の出発点は、小平による改革開放経済の導入であることは、多くの方々が認めておられることです。社会主義体制では、ソ連や東ドイツなどの崩壊が歴史の事実として示しています。そして中国にとっても明らかなのは、改革開放の効果があったのは、硬直化していた国営企業の改革開放が出来たからですね。
 
 習近平は主席就任に至る経緯もそうですし、就任後も江沢民・上海グループと、胡錦濤・共青団と三つ巴の政局争いを続けています。
 国営企業の解体・合併のなかには、巣食う対抗閥の要人を葬ることが含まれているとのことで、政局争いでも優勢な旗色に見えます。
 このまま、政局を習近平が勝ち抜いて残って、これまでの改革開放路線から、復古路線に切り替えがなされれば、「安かろう、悪かろう」の時代に戻り、急速に中国経済が失速することになるでしょう。
 世界経済は、大きな転換機になります。習近平・中国の動きは、目が離せません。





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