しかも、迫っているこの夏の電力需給で電力が足りるのか、不足するのかも両論が平行して主張されるだけで、実際はどうなのか判らないまま。おまけに、もしも不足した場合の対策とそのための準備も未着手。
原発の安全に万全を期せとの声は姦しいが、電力不足が生じた場合の備え=安全な国民生活と企業活動についての声は、特に原発不要論者に多いようだが聞こえない。ひどい話では、去年の夏や冬が大丈夫だったのだから、今年も大丈夫の声。このひとは節電の苦労や危険を知らないで、節電遊びをしただけの人。
そんな中で、評判の悪い関電が、新料金制度での節電(ピークカット)策の導入を発表。口先の議論だけで何も決められない政府、知事さん方などのなかで、具体策を決めて動いたのは駄目関電だった。それだけ日本のレベルが駄目ってこと...?
全原発停止 これでは夏の電力が不足する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
関西電力大飯原子力発電所が再稼働しなければ、日本は全原発が止まったまま"節電の夏"を迎える。企業は蓄電池や自家発電設備の増設で自前の電力をため込もうと懸命だ。
大型連休中の5月2日、蓄電池メーカー、エリーパワーの川崎工場(川崎市)では6月の稼働を目指し、新工場の建設が最終段階を迎えていた。完成すれば、リチウムイオン電池を現在の6倍、年間120万個生産できる。電力不足を見越して企業や自治体から引き合いが増えているためだ。
最も深刻な電力不足が懸念される関電管内に多くの拠点を持つ大和ハウス工業もその一つ。全国の支店や工場など約200か所にエリーパワー製の計1000台の蓄電池を設置する。幅32センチ、奥行き55センチ、高さ70センチとスーツケースほどの大きさで、1台で10人分のノート型パソコンと卓上照明の5時間分の電力を使う。
だが、蓄電池購入に十数億円を投じるのに対し、安い深夜電力で電気をためることによる電気料金の節約効果は年間660万円ほどにしかならない。蓄電池を置いたオフィスのピーク時の使用電力を5%程度カットする効果はあるが、設備投資としては効率が悪い。
他の製造業も取り組みを急ぐ。キリンビールは、滋賀工場に7億円を投じて大型自家発電装置を導入した。関電管内の全工場の最大30%を賄う。電炉メーカーの山陽特殊製鋼も、兵庫県内の工場で約5億円をかけ、休止中の自家発電装置の復旧作業を進めている。
三菱自動車は1997年に2億6000万円かけて京都工場に設置した自家発電装置を今夏、再稼働させる。益子修社長は「生産維持のためにはやむを得ない」と話すが、燃料代など7~9月だけで2000万円のコスト増になる。
自家発電や蓄電池による節電効果は限られる。最も効果のある対策は、工場の稼働日を週末にずらしたり、生産量そのものを落としたりすることだが、収益や従業員の生活、雇用への影響が出かねない。
政府推計では、原発停止に伴う国内全体の火力発電の燃料費が、2011年度は10年度より2.4兆円も増えた。11年度の貿易赤字が4兆4101億円と過去最高に膨らんだ最大の要因ともなった。 みずほ総合研究所は、電力不足の影響で関電管内の12年度の域内経済の成長率が1.0%、九州電力管内で0.2%それぞれ押し下げられ、実質国内総生産(GDP)を最大0.6%押し下げると予想する。
総研の山本康雄シニアエコノミストは「全原発停止は企業の国内活動の妨げとなり、雇用喪失にもつながる」と指摘する。付け焼き刃の電力確保策では、日本経済の衰退は防げない。
と、電力不足の現実を直視する話がようやく増えてきた。未だ抽象論も多いが。
余談ですが、橋下市長。今日(5/5)の「たかじんNOマネー」で、「原発停止は、計画停電や電気料金値上げを受け入れる覚悟があれば出来るが、国民や産業界、医療現場で容認できるかどうかだ」と。以前にも同様の発言をしておられたのを覚えていますが、やはりたかじん系の番組のなかだったのかも。
ただし、今回の大飯の再開については、政府の手順がおかしく、認められないと。
関電の導入する、節電用新料金制度は以下。
関西電力は4日、今夏の電力不足対策として、家庭の節電を促す新たな料金プランや優遇措置を導入する方針を明らかにした。午後2時前後を中心としたピーク時闇帯の料金を割り増す一方、ピーク以外の夜間などを割引する。節電した家庭には、料金割引や商品券提供などの優遇措置も行う。電力不足対策で料金プランを設けるのは電力会社で初めてで、節電の実効性を高める狙いだ。5月中にも予想される節電要請などに合わせて詳細を公表する。
選択プランや優遇措置 来月後半にも
原子力発電所の再稼働の時期が見通せず、抜本的な供給力増強は困難として、4日開かれた大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議で、関電の岩根茂樹副社長が明らかにした。6月後半にも電力不足になる恐れがあり、大飯原発3、4号機(福井県おおい町、出力計236万キロ・ワット)の再稼働の行方にかかわらず、導入するという。
家庭向けには、冷房使用で電力需要が高まる平日午後のピーク時の料金単価を割高にし、夜間などその他の時間帯を割り引く選択プランを新設する。新プランの導入には、電力使用量を確認できる次世代電力計(スマートメーター)が必要で、加入希望者に無料で取り付ける。
時間帯別料金はこれまでオール電化住宅を対象に実施しており、午後1~4時のピーク時などの料金は夜間の4倍となっている。新プランでは、オール電化料金を上回る差に設定する。昼間の電気使用を抑えるなどの使い方によっては電気料金の節約になるとアピールし、加入を促す方針だ。
節電協力家庭への優遇策はスマートメーターなどは不要で、関電が今後定める目標を達成することが要件となる。割引幅や商品券の金額などの詳細を詰める。
一方、企業向けは、大口需要家を対象に、節電した分の電力(ネガワット)を関電が買い取るネガワット入札制度を導入する。節電の意欲を高めることで、ピーク需要を抑制する。買い取り単価などは今後、検討する。
関電は昨年夏、家庭を含む全顧客に前年夏より15%程度の節電を要請したが、家庭での実績は3%にとどまった。原発再稼働のめどが立たない今夏はさらに電力需給が逼迫することが予想され、より踏み込んだ節電対策が必要となっている。
時間帯別料金制度は、オール電化の家庭では実施されているのですね。有効性については語りつくされていましたが、スマートメーターの普及が必要な為、話だけで終わっていました。無償配布で先ず出来るところからと実施に踏み切ったのは、議論ばかりで決断も実行も無い昨今ですから、拍手を贈ります。
スマートメーターが無くても出来る「優遇策」の併用や、企業向けの「ネガワット入札制度」の導入も、節電をすることでのメリットを出すことで促進の効果は期待できますね。
こういった促進の具体策が実施されて、節電がどれだけ進むのかは興味深いところです。つまり、安全な市民生活や産業活動に無理のない節電の可能な量がどのくらいあるかが示されることになるからです。
去年の節電実績が、この記事では、関西の家庭で 3%としていますが、同じ読売の去年の10月15日の記事では、14%の削減としていました。電力需給の数値にしても、節電実績の数値にしても、信頼できる数値がどれなのか判らないのも、話が混迷する原因ですね。
関電管内今夏節電 家庭=14% 大口=9% 東西で逆転現象 - 遊爺雑記帳
先ず、出来ることは何でもやる。そして最悪の事態に備える。
決めることが出来ない、実行することが出来ない昨今、橋下流で、できるところから先ず実行ですね。
どんな具体策が出てくるのか、今、関西に居るので、スマートメーターを申し込んで、ノートパソコンに夜充電して、日中ピーク時はバッテリーで使用して(去年もそうしましたが)どうなるかみてみたいと、ちょっとミーハーな興味もあります。
この梅の花の名前は、冬至
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