京都議定書の低炭素化目標に、日本は大幅に遅れています。
京都議定書は、目標の実現を可能にする現実的な策として、排出権取引を定めていました。省エネに努力し新技術を開発し、新しいシステムを取り入れて排出を削減した分、利益を得られる仕組みだと思っていました。
でも、ODAで実現した新技術の恩恵は、ODAで援助を受けた国に帰属して、援助した国は、排出権取引でお金を払って買い取らないとその成果を手にすることが出来ないのですね...!
元旦の日経は、温暖化を取り上げて、低炭素化社会の実現に向けた、排出権取引制度設計に対する、日本の取り組みの遅れ、政府の動きの鈍さを指摘したいました。(今日の社説も同じテーマ)
京都議定書での日本の目標値は、08~12年の温室効果ガスの平均排出量を1990年に比べ 6%(約7,600万トン)減らすというものです。
<前略>
1980年度から始まった対中円借款事業のうち、環境関連の事業は約3割の100件。例えば2007年度に供与を決定した円借款事業6件は、甘粛省蘭州市で小型ボイラーを集中型熱供給施設に切り替える「大気環境改善事業」など、いずれも温室効果ガスの削減が見込まれている。この6件に限っても5年間で1000万~1500万トンの排出量取引が可能と試算されている。温室効果ガスの取引価格は公表されていないが、取引が盛んな欧州連合(EU)では、2005年に1トンあたり5~20ドル(約585~2340円)程度で取引された実績がある。
温室効果ガスを大量に排出する電力や鉄鋼などの産業界は現在、削減目標の大幅な積み増しを迫られている。関係者は「対中ODAで排出量取引が可能になれば、積極的に購入したい」としている。
京都議定書は日本の目標について、08~12年の温室効果ガスの平均排出量を1990年に比べ6%(約7600万トン)減らすと明記している。このうち年2000万トン(08~12年の5年間では計1億トン)分について、政府はCDMなどで海外から買い取る方針だ。しかし、昨年末までに契約できたのは計638万トンにとどまっている。
7,600万トンの削減目標のうち、2,000万トンを海外から買い取る予定とのことですが、記事に上げられているだけでも、中国へのODAで削減されたものは、1,000 ~ 1,500万トンとの事ですから、大きいですね。
他に、東欧諸国からの買い取り話も進んでいる様です。
ですが、排出権取引は、開発途上国の排出規制枠から余っているものを、先進国が買い取る制度です。
それが、削減目標値の設定に乗らず、多大な排出量をかかえている中国が、権利を売れるのが不思議です。
中国が途上国の地位にとどまっていることと、数値目標の設定を拒否しているからですね。
ところが、お金が貰えるとなると、俄然スピーディな対応ぶりです。
GDPも日本を抜く国で、ODAの廃止も内定している中国です。
ようやく中止するのですが、その裕福な日本の金のODAで出来た成果を、もう一度お金を払って買うというところが、理解(心情的に)しがたいのです。中国は、他人の金で、成果を二重取り出来ているのです。
そういう制度なのだからといわれても...。
判っていても、買わざるをえないところも情けない。
本来の目的は、全世界の各国が削減する。個々の企業、個人も削減を実行することです。
日本は、産業革命的変革を生じさせる低炭素化の新技術を世界に先駆け開発し、世界に貢献し成果を得るとともに、低炭素化を実現させねばなりません。
洞爺湖サミットでは、中露や米の参画を促すよう、日本人議長(福田さん)に対する期待は大きいです。
しつこいのですが、どうにも納得できない話です。
bp special ECOマネジメント/矛盾抱えるCDM 「空からお金が降ってくる」
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今年も時々訪問させてもらいますので宜しくお願いいたします。
さて今年のサミットは日本の洞爺湖で行われるのですが、「この排出権取引制度って、開発途上国の排出規制枠から余っているものを、先進国が買い取る制度です。」・・・これって本当に可笑しいです。
ご指摘のように「ODAで実現した新技術の恩恵は、ODAで援助を受けた国に帰属して、援助した国は、排出権取引でお金を払って買い取らないとその成果を手にすることが出来ない」なんて可笑しな制度ですね。
これでは途上国は、責任を先進国に押し付けて、地球を破壊する側にいてもそ知らぬ不利をしているなんて許せません。
日本は二度のオイルショック以後、低炭素化(省エネと言っていました)技術導入がすすんでいて、一律の削減目標は苦しく、そこのところの表現が曖昧で、先日の会議でもなにもしない国のレッテルをはられてしまいましたね。
低炭素化の新技術は、久しくなかった待望の産業改革での活況を産む革新技術だと思います。そのため、欧州はじめ各国がイニシアティブ(スタンダード)をとろうと競り合い始めていると感じます。
洞爺湖サミットでは、諸々の国際信用失墜の挽回のチャンスであると同時に、世界の産業をリードする新技術の主張の場になると推定されます。
御手洗経団連会長が、政府任せではなく、日本の経済界として提案を出すと言っておられますが、政府には戦力を集中し日本の未来を左右する会議との認識を深めて取り組んで頂きたいものですね。
余談ですが、めったに映画を観なくなっている遊爺ですが、アースは見に行こうと、封切りを待ち遠しく楽しみにしています。見ても、爆睡するはずだと家族には野次られていますが...。(笑)