中国による尖閣諸島の実効支配実績造りがエスカレートしていることは、日本の多くのオールド偏向メディアは、何故か報道しない自由を行使していますが、諸兄はご承知のことです。
中国が勝手に設定していた禁漁期間開けには、漁船団が押し寄せるが日本は邪魔をするなと、中国政府が通告し、一時は騒然としましたが、今のところ大漁船団の襲来はありません。
しかし、「海監」の侵入・日本漁船追尾は続いています。
日米安保条約の適用について、通常は領土・領海争いには関与しない米軍ですが、尖閣については、日本が実効支配しているとの理由で安保条約の適用範囲としていることから、中国が実効支配の実績造りをエスカレートさせているのですね。
石原都知事による都有化と実効支配実績構築に横やりを入れて、民主党政権(当時)による尖閣国有化がなされて以来、無為に放置してきた日本政府。日中の、実効支配実績造り競争が急がれる事態を迎え、自民党有志議員が、政府に石原都知事時代と同様の実効支配策実施を要求していますが、環境省が動植物の生態調査を年内にも実施する方針を固めたのだそうです。
政府は尖閣諸島の安定的な管理を目的に原則として上陸を認めない方針を決めており、実地調査は見送り、衛星画像の解析技術の進歩に伴い、人工衛星が撮影した高解像度画像を初めて活用。アホウドリの生息状況などの確認が可能だと判断したのだそうです。
上陸なしでの衛星画像調査が、実効支配実績として、国際法廷で認められるものなのでしょうか?ただ、無為無策だったこれまでに比べれば、一歩前進とは言えますね。
管理上、上陸を認めない政府方針とやらを緩和し、必要な上陸は認めることとしないと、真の実効支配・管理がなされている事にはならないでしょう。
石原都知事と中山石垣市長の協力とでの実効支配策推進時にも懸念されていた、昭和50年代に食用として持ち込まれて繁殖し、島の生態系を脅かしているとされるヤギの生態の調査もされるとのこと。
自民党の国防議員連盟の衛藤征士郎元衆院副議長は産経新聞の取材に「関係調査を行い、日本固有の領土であるという事実を着実に積み上げてもらいたい」と語ったのだそうです。
近年の状況について、産経がまとめた記事がありました。
石原都知事が中山市長と連携し、全国から募金も募るなどして都有化を進めていたところに、横槍をいれて国有化した当時の民主党政権。ただ、石原都知事の先を越したいとの競争心だけで、対中姿勢はむしろ腰がひけて、中国側にやりたい放題を許してしまったのですね。
オバマ大統領、バイデン副大統領政権が、南シナ海の人工島建設で国際法を無視した中国の領土・領海化を許したのと同様の大失政です。
中国軍艦艇による異常接近が起きる前、野田首相官邸中枢からは、「中国軍艦艇が目視できるであろう海域に自衛隊艦艇を展開させるな」との指示が防衛省に下されていたと。
北緯27度線。通常、この北側海域には中国海軍艦艇2隻が展開。海上自衛隊の護衛艦は南側で中国軍艦艇の動きに目を光らせ、不測の事態に備えている。
野田政権幹部は海自のそうした警戒監視が「中国を刺激している」と考えたのだと。
更に、政権中枢は、尖閣諸島周辺で中国軍機が領空侵犯しても、航空自衛隊の戦闘機が曳光弾で警告することを禁じたのだそうです。
自衛隊幹部は「開いた口が塞がらず、そのまま顎が外れそうになった」と。。
中国軍(含海警)がやりたい放題なのは、民主党政権のそうした当初の姿勢が助長させたのですね。
平成24(2012)年に中国海軍艦艇が尖閣諸島に異常接近した際も、中国軍艦艇の視野に入る海域での海上自衛隊艦の航行を禁じるなど過度に抑制された動きは、中国側にも伝わり、中国軍がより挑発的な行動に出る誘惑に駆られたとしても不思議ではないと。
第2次安倍晋三内閣が発足すると、尖閣諸島周辺での自衛隊の制約は取り払われ、海自護衛艦は中国軍艦艇を目視できる距離で航行することが再び可能になったのだそうです。
しかし、今年に入ってからも中国海警局の巡視船が尖閣諸島周辺の海域を8月2日まで111日連続で航行。今月11日から13日午後3時時点で52時間を超える滞在で、それぞれ、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最長滞在記録を達成。
習近平の国賓招聘を、いまだあきらめない発言を二階幹事長がしていますが、これも中国を助長させる原因ですね。
中国が尖閣諸島にこだわるのは主権にかかわる面目や、漁業や原油資源等の経済的利益だけではなく軍事的理由があると。
こちらの方が、大きな脅威です。
それは、台湾を武力で統一する際は、尖閣諸島を押さえて米軍や自衛隊の介入を防がなければならない。このときは尖閣諸島だけではなく、沖縄県の先島諸島も標的になると。
米中の「新冷戦時代」に突入している今。かつて、オバマ、バイデン体制の米政府が、南シナ海の領有を許した様に、バイデン大統領が誕生したら、台湾が危うくなります。当然、日本も巻き込まれることに。。
「問題は、そうした事態が起こるかどうかではない。いつ起こるかだ」と産経。
上陸、占領されてから取り返すよりは、実効支配を確立し、侵略をけん制するほうが護りやすいのは自明。それを理由に侵攻されることを防ぐには、どんな方法で、何時実行開始するか。世界の世論を味方にする事も急がれます。
新型コロナウイルスの武漢肺炎の感染の発生源として、世界が注目している今は、中国の侵略国の理解は得やすくチャンスでしょう。
外交実績が未知数とされる菅政権。安倍さんの健康状況によりますが、特使として、各国への世論形勢にひと肌脱いでいただければと考えますがいかがでしょう。
# 冒頭の画像は、尖閣近海の海警と日本漁船と巡視船 (平成28年8月)
この花の名前は、モナルダ
↓よろしかったら、お願いします。
中国が勝手に設定していた禁漁期間開けには、漁船団が押し寄せるが日本は邪魔をするなと、中国政府が通告し、一時は騒然としましたが、今のところ大漁船団の襲来はありません。
しかし、「海監」の侵入・日本漁船追尾は続いています。
日米安保条約の適用について、通常は領土・領海争いには関与しない米軍ですが、尖閣については、日本が実効支配しているとの理由で安保条約の適用範囲としていることから、中国が実効支配の実績造りをエスカレートさせているのですね。
石原都知事による都有化と実効支配実績構築に横やりを入れて、民主党政権(当時)による尖閣国有化がなされて以来、無為に放置してきた日本政府。日中の、実効支配実績造り競争が急がれる事態を迎え、自民党有志議員が、政府に石原都知事時代と同様の実効支配策実施を要求していますが、環境省が動植物の生態調査を年内にも実施する方針を固めたのだそうです。
《独自》環境省が尖閣諸島の生態調査に着手へ - 産経ニュース 2020.10.14
環境省が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に生息する動植物の生態調査を年内にも実施する方針を固めたことが14日、分かった。絶滅危惧種のアホウドリの繁殖調査のほか、平成27年に作成した植生図の更新にも着手する。尖閣周辺の領海内には中国公船が頻繁に侵入しており、調査の実施などを日本の実効支配の根拠とする狙いがある。
アホウドリの調査には、人工衛星が撮影した高解像度画像を初めて活用する。環境省は衛星画像の解析技術の進歩に伴い、生息状況などの確認が可能だと判断した。政府は尖閣諸島の安定的な管理を目的に原則として上陸を認めない方針を決めており、実地調査は見送る。
環境省によると、尖閣諸島では魚釣島に生息するセンカクモグラなど11種の固有種を確認。一方で、国の天然記念物のアホウドリやセンカクツツジなど23種の動植物が環境省の絶滅危惧種に指定されている。昭和50年代に食用として持ち込まれて繁殖し、島の生態系を脅かしているとされるヤギの生態についても調査での確認が見込まれる。
地域の植物群落の分布を示す植生図の更新時期は通常10~20年だが、早期の調査を求める自民党内の意見を尊重した。
自民党の国防議員連盟は今月2日、尖閣諸島に生息する希少動植物の保全のため実地調査を小泉進次郎環境相に求めていた。同議連会長の衛藤征士郎元衆院副議長は産経新聞の取材に「関係調査を行い、日本固有の領土であるという事実を着実に積み上げてもらいたい」と語った。
環境省が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に生息する動植物の生態調査を年内にも実施する方針を固めたことが14日、分かった。絶滅危惧種のアホウドリの繁殖調査のほか、平成27年に作成した植生図の更新にも着手する。尖閣周辺の領海内には中国公船が頻繁に侵入しており、調査の実施などを日本の実効支配の根拠とする狙いがある。
アホウドリの調査には、人工衛星が撮影した高解像度画像を初めて活用する。環境省は衛星画像の解析技術の進歩に伴い、生息状況などの確認が可能だと判断した。政府は尖閣諸島の安定的な管理を目的に原則として上陸を認めない方針を決めており、実地調査は見送る。
環境省によると、尖閣諸島では魚釣島に生息するセンカクモグラなど11種の固有種を確認。一方で、国の天然記念物のアホウドリやセンカクツツジなど23種の動植物が環境省の絶滅危惧種に指定されている。昭和50年代に食用として持ち込まれて繁殖し、島の生態系を脅かしているとされるヤギの生態についても調査での確認が見込まれる。
地域の植物群落の分布を示す植生図の更新時期は通常10~20年だが、早期の調査を求める自民党内の意見を尊重した。
自民党の国防議員連盟は今月2日、尖閣諸島に生息する希少動植物の保全のため実地調査を小泉進次郎環境相に求めていた。同議連会長の衛藤征士郎元衆院副議長は産経新聞の取材に「関係調査を行い、日本固有の領土であるという事実を着実に積み上げてもらいたい」と語った。
政府は尖閣諸島の安定的な管理を目的に原則として上陸を認めない方針を決めており、実地調査は見送り、衛星画像の解析技術の進歩に伴い、人工衛星が撮影した高解像度画像を初めて活用。アホウドリの生息状況などの確認が可能だと判断したのだそうです。
上陸なしでの衛星画像調査が、実効支配実績として、国際法廷で認められるものなのでしょうか?ただ、無為無策だったこれまでに比べれば、一歩前進とは言えますね。
管理上、上陸を認めない政府方針とやらを緩和し、必要な上陸は認めることとしないと、真の実効支配・管理がなされている事にはならないでしょう。
石原都知事と中山石垣市長の協力とでの実効支配策推進時にも懸念されていた、昭和50年代に食用として持ち込まれて繁殖し、島の生態系を脅かしているとされるヤギの生態の調査もされるとのこと。
自民党の国防議員連盟の衛藤征士郎元衆院副議長は産経新聞の取材に「関係調査を行い、日本固有の領土であるという事実を着実に積み上げてもらいたい」と語ったのだそうです。
近年の状況について、産経がまとめた記事がありました。
【戦後75年】第6部 国家主権(1)狙われた尖閣 27度線南下「戦争覚悟した」 - 産経ニュース 2020.10.14
中国海軍の艦艇が予想外の行動をとり、日本側に極度の緊張を強いる事態が発生したのは、平成24(2012)年9月に野田佳彦政権が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化してしばらく後のことだった。北緯27度線の北側海域に展開していた中国軍艦艇2隻が27度線を越えて南下し、尖閣諸島に向かってきたのだ。
一報は東京・市ケ谷の防衛省にも届けられた。27度線から尖閣諸島までの距離は約90キロ。中国軍艦艇はその距離をどんどん縮めていく。
60キロ、50キロ、40キロ…。当時、中国軍艦艇の動きを知り得る立場にいた自衛隊関係者は約30キロになったときのことを、こう振り返る。
「戦争が起きるかもしれないと覚悟した」
中国軍艦艇は約30キロの地点で針路を変え事なきを得たが、この動きが公表されることはなかった。中国国内では、日本の尖閣諸島国有化に抗議する反日デモの嵐が吹き荒れていた。中国軍艦艇の異常接近を公表すれば非難の応酬となり、火に油を注ぐことになりかねないという判断だった。
野田政権の配慮はこれにとどまらなかった。中国軍艦艇による異常接近が起きる前、首相官邸中枢から、ある指示が防衛省に下されていた。
「中国軍艦艇が目視できるであろう海域に自衛隊艦艇を展開させるな」
沖縄本島と与論島(鹿児島県)の間を通過し、中国の福建省などを通る北緯27度線。通常、この北側海域には中国海軍艦艇2隻が展開している。海上自衛隊の護衛艦は南側で中国軍艦艇の動きに目を光らせ、不測の事態に備えている。野田政権幹部は海自のそうした警戒監視が「中国を刺激している」と考えたのだ。
自衛隊幹部は「開いた口が塞がらず、そのまま顎が外れそうになった」と語る。しかも政権中枢は、尖閣諸島周辺で中国軍機が領空侵犯しても、航空自衛隊の戦闘機が曳光(えいこう)弾で警告することを禁じたという。
特別な意味
尖閣諸島周辺で警戒・監視の任務にあたる自衛隊関係者にとって、北緯27度線は特別な意味を持つ。
中国漁船や日本の海上保安庁に当たる中国海警局の巡視船が尖閣諸島の領海に侵入したときでも、中国軍艦艇が27度線を大きく越えてくることはない。不測の事態に備えて一定の距離を置きながら待機しているとみられている。
平成12(2000)年に発効した日中漁業協定(新協定)は、27度以南の一定の水域で日中双方の漁船が操業できると定めており、尖閣諸島もこの水域に位置している。協定が締結された9(1997)年に当時の外相、小渕恵三が中国側に送った書簡では、中国漁船の不法操業を取り締まらないとしている。
中国政府が突如として尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは昭和46(1971)年12月。その前々年、国連アジア極東経済委員会報告書で尖閣諸島周辺に石油埋蔵の可能性が指摘された。これ以降、尖閣諸島は日中間の火種となり続けている。
現在の漁業協定は、尖閣諸島の領有権についてあえてぼかした妥協の産物だ。協定と直接関係するかは不明確だが、尖閣諸島周辺の動きを監視する中国軍艦艇は、27度線を越えないというルールを順守しているような行動をとっている。
プロの仕事
中国軍艦艇が時折27度線以南の海域に踏み出し、すぐに戻る動きを見せることがある。その都度、自衛隊は警戒・監視のレベルを上げる。自衛隊幹部は「中国側の動きに自衛隊がどう反応しているのか観察しているのだろう」と分析する。
こうした動きは一昨年ごろから目立っている。中国政府は同年7月、海警局を中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊に編入した。海警局のトップに海軍少将を充て、他の幹部にも軍出身者を送り込んでいる。さらに中国海軍の駆逐艦やフリゲート艦を改修し、海警局巡視船にしているとされる。
中国軍と海警局の連携は、人員や装備の面にとどまらない。海警局の巡視船が尖閣諸島の領海に侵入する際は中国本土のミサイル部隊が移動し、東シナ海に中国海軍のミサイル艇が展開するようになっている。防衛省幹部は「彼らの動きは統制が取れている。プロの仕事だ」と語る。
◇
対中国、問題「いつ起こるか」
平成24(2012)年に中国海軍艦艇が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に異常接近した動きは、日本側にも原因があるとの見方がある。中国軍艦艇の視野に入る海域での航行を禁じるなど海上自衛隊の護衛艦の過度に抑制された動きは、中国側にも伝わるからだ。中国軍がより挑発的な行動に出る誘惑に駆られたとしても不思議ではない。
同年末の衆院選で自民党が勝利し、第2次安倍晋三内閣が発足すると、尖閣諸島周辺での自衛隊の制約は取り払われた。海自護衛艦は中国軍艦艇を目視できる距離で航行することが再び可能になった。
組織的で計画的
だが、その後も中国軍の挑発は続く。25年1月19日には東シナ海の公海上で、中国海軍フリゲート艦が海自ヘリコプターに火器管制レーダーを照射する事件が起きた。同じ月の30日にも中国海軍フリゲート艦が海自護衛艦にレーダーを照射した。
このとき、安倍政権は事実関係を確認後、中国軍の挑発行為を公表した。当時の防衛相、小野寺五典は「一歩間違えば大変危険な事態が発生する。危険な行為には厳しく自制を求めていく」と中国を非難した。
それ以降、北緯27度線以北の中国軍艦艇による異常接近やレーダー照射は発生していない。とはいえ、中国による挑発行為がなくなったわけではない。当時は中国軍の動きは「現場の暴走」とも解釈できたが、徐々に組織的、計画的な挑発行為が目立つようになる。
令和元(2019)年7月、中国軍とロシア軍の爆撃機が編隊を組み、まっすぐ尖閣諸島に向かって飛行した。中露の爆撃機は竹島(島根県隠岐の島町)周辺の上空で合流して尖閣諸島方面に向かい、北緯27度線の上空で二手に分かれている。自衛隊関係者は「相当綿密に計画を練ってからの行動だったとみられる」と分析する。
今年に入ってからも中国海警局の巡視船が尖閣諸島周辺の海域を8月2日まで111日連続で航行した。これだけ長期にわたる行動が「現場の暴走」で片づけられないことは明白だ。
接近の裏で挑発
米中対立の激化に伴い、中国政府は表面上、日中関係の安定に前向きな態度を示す。9月25日には中国国家主席の習近平が首相、菅義偉と電話で会談した。国家主席が日本の首相の就任に電話で祝意を伝えるのは初めてだ。
しかし、その裏では中国軍の挑発が続いている。
中国が尖閣諸島にこだわるのは主権にかかわる面目や経済的利益だけではなく軍事的理由があるからだ。尖閣諸島は台湾から約170キロの距離にある。台湾を武力で統一する際は、尖閣諸島を押さえて米軍や自衛隊の介入を防がなければならない。このときは尖閣諸島だけではなく、沖縄県の先島諸島も標的になるとの見方が政府内で根強い。ある政府高官はこう語る。
「問題は、そうした事態が起こるかどうかではない。いつ起こるかだ」
(敬称略)
中国海軍の艦艇が予想外の行動をとり、日本側に極度の緊張を強いる事態が発生したのは、平成24(2012)年9月に野田佳彦政権が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化してしばらく後のことだった。北緯27度線の北側海域に展開していた中国軍艦艇2隻が27度線を越えて南下し、尖閣諸島に向かってきたのだ。
一報は東京・市ケ谷の防衛省にも届けられた。27度線から尖閣諸島までの距離は約90キロ。中国軍艦艇はその距離をどんどん縮めていく。
60キロ、50キロ、40キロ…。当時、中国軍艦艇の動きを知り得る立場にいた自衛隊関係者は約30キロになったときのことを、こう振り返る。
「戦争が起きるかもしれないと覚悟した」
中国軍艦艇は約30キロの地点で針路を変え事なきを得たが、この動きが公表されることはなかった。中国国内では、日本の尖閣諸島国有化に抗議する反日デモの嵐が吹き荒れていた。中国軍艦艇の異常接近を公表すれば非難の応酬となり、火に油を注ぐことになりかねないという判断だった。
野田政権の配慮はこれにとどまらなかった。中国軍艦艇による異常接近が起きる前、首相官邸中枢から、ある指示が防衛省に下されていた。
「中国軍艦艇が目視できるであろう海域に自衛隊艦艇を展開させるな」
沖縄本島と与論島(鹿児島県)の間を通過し、中国の福建省などを通る北緯27度線。通常、この北側海域には中国海軍艦艇2隻が展開している。海上自衛隊の護衛艦は南側で中国軍艦艇の動きに目を光らせ、不測の事態に備えている。野田政権幹部は海自のそうした警戒監視が「中国を刺激している」と考えたのだ。
自衛隊幹部は「開いた口が塞がらず、そのまま顎が外れそうになった」と語る。しかも政権中枢は、尖閣諸島周辺で中国軍機が領空侵犯しても、航空自衛隊の戦闘機が曳光(えいこう)弾で警告することを禁じたという。
特別な意味
尖閣諸島周辺で警戒・監視の任務にあたる自衛隊関係者にとって、北緯27度線は特別な意味を持つ。
中国漁船や日本の海上保安庁に当たる中国海警局の巡視船が尖閣諸島の領海に侵入したときでも、中国軍艦艇が27度線を大きく越えてくることはない。不測の事態に備えて一定の距離を置きながら待機しているとみられている。
平成12(2000)年に発効した日中漁業協定(新協定)は、27度以南の一定の水域で日中双方の漁船が操業できると定めており、尖閣諸島もこの水域に位置している。協定が締結された9(1997)年に当時の外相、小渕恵三が中国側に送った書簡では、中国漁船の不法操業を取り締まらないとしている。
中国政府が突如として尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは昭和46(1971)年12月。その前々年、国連アジア極東経済委員会報告書で尖閣諸島周辺に石油埋蔵の可能性が指摘された。これ以降、尖閣諸島は日中間の火種となり続けている。
現在の漁業協定は、尖閣諸島の領有権についてあえてぼかした妥協の産物だ。協定と直接関係するかは不明確だが、尖閣諸島周辺の動きを監視する中国軍艦艇は、27度線を越えないというルールを順守しているような行動をとっている。
プロの仕事
中国軍艦艇が時折27度線以南の海域に踏み出し、すぐに戻る動きを見せることがある。その都度、自衛隊は警戒・監視のレベルを上げる。自衛隊幹部は「中国側の動きに自衛隊がどう反応しているのか観察しているのだろう」と分析する。
こうした動きは一昨年ごろから目立っている。中国政府は同年7月、海警局を中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊に編入した。海警局のトップに海軍少将を充て、他の幹部にも軍出身者を送り込んでいる。さらに中国海軍の駆逐艦やフリゲート艦を改修し、海警局巡視船にしているとされる。
中国軍と海警局の連携は、人員や装備の面にとどまらない。海警局の巡視船が尖閣諸島の領海に侵入する際は中国本土のミサイル部隊が移動し、東シナ海に中国海軍のミサイル艇が展開するようになっている。防衛省幹部は「彼らの動きは統制が取れている。プロの仕事だ」と語る。
◇
対中国、問題「いつ起こるか」
平成24(2012)年に中国海軍艦艇が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に異常接近した動きは、日本側にも原因があるとの見方がある。中国軍艦艇の視野に入る海域での航行を禁じるなど海上自衛隊の護衛艦の過度に抑制された動きは、中国側にも伝わるからだ。中国軍がより挑発的な行動に出る誘惑に駆られたとしても不思議ではない。
同年末の衆院選で自民党が勝利し、第2次安倍晋三内閣が発足すると、尖閣諸島周辺での自衛隊の制約は取り払われた。海自護衛艦は中国軍艦艇を目視できる距離で航行することが再び可能になった。
組織的で計画的
だが、その後も中国軍の挑発は続く。25年1月19日には東シナ海の公海上で、中国海軍フリゲート艦が海自ヘリコプターに火器管制レーダーを照射する事件が起きた。同じ月の30日にも中国海軍フリゲート艦が海自護衛艦にレーダーを照射した。
このとき、安倍政権は事実関係を確認後、中国軍の挑発行為を公表した。当時の防衛相、小野寺五典は「一歩間違えば大変危険な事態が発生する。危険な行為には厳しく自制を求めていく」と中国を非難した。
それ以降、北緯27度線以北の中国軍艦艇による異常接近やレーダー照射は発生していない。とはいえ、中国による挑発行為がなくなったわけではない。当時は中国軍の動きは「現場の暴走」とも解釈できたが、徐々に組織的、計画的な挑発行為が目立つようになる。
令和元(2019)年7月、中国軍とロシア軍の爆撃機が編隊を組み、まっすぐ尖閣諸島に向かって飛行した。中露の爆撃機は竹島(島根県隠岐の島町)周辺の上空で合流して尖閣諸島方面に向かい、北緯27度線の上空で二手に分かれている。自衛隊関係者は「相当綿密に計画を練ってからの行動だったとみられる」と分析する。
今年に入ってからも中国海警局の巡視船が尖閣諸島周辺の海域を8月2日まで111日連続で航行した。これだけ長期にわたる行動が「現場の暴走」で片づけられないことは明白だ。
接近の裏で挑発
米中対立の激化に伴い、中国政府は表面上、日中関係の安定に前向きな態度を示す。9月25日には中国国家主席の習近平が首相、菅義偉と電話で会談した。国家主席が日本の首相の就任に電話で祝意を伝えるのは初めてだ。
しかし、その裏では中国軍の挑発が続いている。
中国が尖閣諸島にこだわるのは主権にかかわる面目や経済的利益だけではなく軍事的理由があるからだ。尖閣諸島は台湾から約170キロの距離にある。台湾を武力で統一する際は、尖閣諸島を押さえて米軍や自衛隊の介入を防がなければならない。このときは尖閣諸島だけではなく、沖縄県の先島諸島も標的になるとの見方が政府内で根強い。ある政府高官はこう語る。
「問題は、そうした事態が起こるかどうかではない。いつ起こるかだ」
(敬称略)
石原都知事が中山市長と連携し、全国から募金も募るなどして都有化を進めていたところに、横槍をいれて国有化した当時の民主党政権。ただ、石原都知事の先を越したいとの競争心だけで、対中姿勢はむしろ腰がひけて、中国側にやりたい放題を許してしまったのですね。
オバマ大統領、バイデン副大統領政権が、南シナ海の人工島建設で国際法を無視した中国の領土・領海化を許したのと同様の大失政です。
中国軍艦艇による異常接近が起きる前、野田首相官邸中枢からは、「中国軍艦艇が目視できるであろう海域に自衛隊艦艇を展開させるな」との指示が防衛省に下されていたと。
北緯27度線。通常、この北側海域には中国海軍艦艇2隻が展開。海上自衛隊の護衛艦は南側で中国軍艦艇の動きに目を光らせ、不測の事態に備えている。
野田政権幹部は海自のそうした警戒監視が「中国を刺激している」と考えたのだと。
更に、政権中枢は、尖閣諸島周辺で中国軍機が領空侵犯しても、航空自衛隊の戦闘機が曳光弾で警告することを禁じたのだそうです。
自衛隊幹部は「開いた口が塞がらず、そのまま顎が外れそうになった」と。。
中国軍(含海警)がやりたい放題なのは、民主党政権のそうした当初の姿勢が助長させたのですね。
平成24(2012)年に中国海軍艦艇が尖閣諸島に異常接近した際も、中国軍艦艇の視野に入る海域での海上自衛隊艦の航行を禁じるなど過度に抑制された動きは、中国側にも伝わり、中国軍がより挑発的な行動に出る誘惑に駆られたとしても不思議ではないと。
第2次安倍晋三内閣が発足すると、尖閣諸島周辺での自衛隊の制約は取り払われ、海自護衛艦は中国軍艦艇を目視できる距離で航行することが再び可能になったのだそうです。
しかし、今年に入ってからも中国海警局の巡視船が尖閣諸島周辺の海域を8月2日まで111日連続で航行。今月11日から13日午後3時時点で52時間を超える滞在で、それぞれ、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最長滞在記録を達成。
習近平の国賓招聘を、いまだあきらめない発言を二階幹事長がしていますが、これも中国を助長させる原因ですね。
中国が尖閣諸島にこだわるのは主権にかかわる面目や、漁業や原油資源等の経済的利益だけではなく軍事的理由があると。
こちらの方が、大きな脅威です。
それは、台湾を武力で統一する際は、尖閣諸島を押さえて米軍や自衛隊の介入を防がなければならない。このときは尖閣諸島だけではなく、沖縄県の先島諸島も標的になると。
米中の「新冷戦時代」に突入している今。かつて、オバマ、バイデン体制の米政府が、南シナ海の領有を許した様に、バイデン大統領が誕生したら、台湾が危うくなります。当然、日本も巻き込まれることに。。
「問題は、そうした事態が起こるかどうかではない。いつ起こるかだ」と産経。
上陸、占領されてから取り返すよりは、実効支配を確立し、侵略をけん制するほうが護りやすいのは自明。それを理由に侵攻されることを防ぐには、どんな方法で、何時実行開始するか。世界の世論を味方にする事も急がれます。
新型コロナウイルスの武漢肺炎の感染の発生源として、世界が注目している今は、中国の侵略国の理解は得やすくチャンスでしょう。
外交実績が未知数とされる菅政権。安倍さんの健康状況によりますが、特使として、各国への世論形勢にひと肌脱いでいただければと考えますがいかがでしょう。
# 冒頭の画像は、尖閣近海の海警と日本漁船と巡視船 (平成28年8月)
この花の名前は、モナルダ
↓よろしかったら、お願いします。