中国共産党の第20回党大会は22日、新たな党指導層となる中央委員に習近平総書記(国家主席)=(69)=を含む205人を選出し終了しました。
鄧小平が、毛沢東の独裁政治で産み出した弊害をなくす為に定めた、チャイナ7による集団指導体制と、定年制度を破り、習近平が3期目の独裁政治体制を構築することは、事前に憲法改定をし準備していたことで計画通りの事ですが、対抗勢力の鄧小平を継ぐ共青団派との人事勢力図の行方が注目されていました。
新最高指導部は、23日に開かれる第20期中央委員会第 1回総会(1中総会)で中央委員の中から選出され、3期目の習指導部が発足するとのことで、改めて触れさせていただきます。
ここでは、習近平の 3期目続投と米国との関係についての、WSJ経済担当チーフコメンテーター・グレッグ・イップ氏の記事を取り上げさせていただきます。
習総書記3期目確定 李首相ら最高指導部4人退任 - 産経ニュース
米国の歴代指導者はかつて、中国の繁栄を望んでいた。
だが、時代は変化した。米国はここ10年で、中国をパートナーではなく、競争相手としてとらえるようになった。世界経済および戦略地政学的な秩序を支配する覇者の座を、中国が米国から奪おうと躍起になっているとの考えに至ったためだと、グレッグ・イップ氏。
これに伴い、2つの気掛かりな影響が想定されると。
一つ目は、米国の立場として、中国が貧しくなることは望んでいないにしても、豊かになることをもはや支持していないという点。中国が豊かになれば、それだけ競争相手としては手ごわさを増すから。
バイデン米政権は中国の封じ込めは狙っていないと述べながらも、米国の半導体や設備、人材に対する包括的な対中規制を導入していると。
規制は単に米国の技術的な優位性を維持するだけにとどまらず、「中国テクノロジー業界の大部分を、殺す意図を持って締めつける」。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・アレン氏はこう記しているのだそうです。
2つ目は、中国の長期的な見通しは総合的にみると、習近平国家主席の下で悪化し、少なくとも経済的な観点からは米国に利する可能性があるというのが、西側専門家の間で一致した見方になっていることだと、グレッグ・イップ氏。
習氏が実権を握った2013年以降、対中接近での期待は薄れ、むしろ「米国の関与は失敗する運命にあった」との悲観的な見方が強まった。
こうした見解はマイケル・ピルズベリー、ラッシュ・ドシ両氏の著書によってさらに浸透したと、グレッグ・イップ氏。
中国共産党は絶えず、イデオロギーと地政学上の覇権をめぐり、米国との長期的な闘争の中に自らを置いてきた、というのが両書のテーマ。
習氏の外交政策で米国を最も不安にするものは、いずれも習氏の就任前から存在していたが、必要であれば武力で台湾を共産党支配下に置くという主張や、台湾の奪還と西太平洋からの米国排除を可能にする軍事力の開発に加え、香港に「国家安全維持法(国安法)」を導入することなど。
習体制で従来と異なるのは、かつての最高指導者、鄧小平氏が諭したように自らの能力を隠すことも、好機を待つことも中国がもはやしなくなったことだ。
南シナ海では実質的な軍事拠点化を進め、経済力を武器に韓国やオーストラリア、リトアニアなどに圧力をかけ、インドとの国境紛争を激化させていると、グレッグ・イップ氏。
日本の尖閣諸島では、実効支配競争に挑んできていますね。
また、ペロシ米下院議長が台湾を訪問した事への対抗措置で台湾周辺海域にミサイルを撃ち込みましたが、与那国島のEEZ海域内にもミサイルを撃ち込みましたね。
米国では、与野党ともに対中強硬派が存在感を増している。ドイツは、欧州では積極的な対中関与の筆頭格だった。だが、アナレーナ・ベーアボック独外相は中国経済への依存低下を目指す方針を打ち出す一方、人権・台湾問題を巡り中国を批判しているのだそうです。
非同盟主義のインドも米国に接近し、方針が定まらなかった同盟国フィリピンも米国の勢力圏に戻りつつあると。
習氏は、中国が抱える根本的な問題にほとんど対処してこなかった。ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「習は(不動産が圧倒的に多い)投資主導型の経済から脱却させる改革を断行する人物として就任したが、それは実現しなかった」と、グレッグ・イップ氏。
習氏が改革を目指したものについても、中途半端に終わるか、政治的な優先課題の二の次となってしまった。背景には、習氏が権力固めを進める中で、党内の意見や異論を封じ込めてきたことがあると。
ゼロコロナ政策へのかたくなな拘りも、中国経済減速の要因となるとともに、人民の中に不満を膨らませていますね。
習氏が歴代指導者と一線を画すのは民間部門の扱いだ。江氏と胡錦濤氏(2003~13年に国家主席)の下でほぼ民間部門が野放しの状況になっていたことで、中国では起業家精神とイノベーション(技術革新)が開花した。中国の偉大なハイテク企業はこの時代に創業した。
鄧小平が進めた、改革開放政策によるものですね。
だが、習氏はこうした企業の多くを締め付けた。最も成功した経済界首脳らを嫌がらせや当局による追及の標的に据え、彼らの事業をたたき、民間企業はすべて共産党の優先事項を順守するよう執拗(しつよう)に迫った。
ハイテク首脳らは中国から出国できないが、「後輩たちには国外でキャリアを築くよう助言している」。中国のベンチャーキャピタル(VC)業界に関する著作があるセバスチャン・マラビー氏はこう指摘しているのだそうです。
世界第2位の経済規模を誇り、かつ核兵器を保有し、被害者意識が根底にある国を他人の助言を聞き入れない人物が率いれば、「紛争の可能性が高まることは確実だろう」と、フーバー研究所の客員フェローで、トランプ政権時代にNSCのメンバーを務めたマシュー・ターピン氏。
調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの調査責任者アンドリュー・バトソン氏は、「習は優れた判断力を有していないようだ。判断力が劣る人物が中国の軍隊や核兵器の管理を統括することが米国の利益にかなうのだろうか」と。
独裁力を強めた 3期目に突入する習近平。鄧小平が改革開放経済政策でもたらした、日本を遥かに凌駕し、米国に迫ろうとする経済大国となった中国を、逆行させようとしています。
親中の岸田、林コンビ政権の日本は、日本の領土や国民を護れるのでしょうか。。
# 冒頭の画像は、途中退席した、共青団派の胡錦涛前主席
胡錦濤氏、突然の会議中座 体調不良か強制退場か… - 産経ニュース
この花の名前は、カワミドリ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
鄧小平が、毛沢東の独裁政治で産み出した弊害をなくす為に定めた、チャイナ7による集団指導体制と、定年制度を破り、習近平が3期目の独裁政治体制を構築することは、事前に憲法改定をし準備していたことで計画通りの事ですが、対抗勢力の鄧小平を継ぐ共青団派との人事勢力図の行方が注目されていました。
新最高指導部は、23日に開かれる第20期中央委員会第 1回総会(1中総会)で中央委員の中から選出され、3期目の習指導部が発足するとのことで、改めて触れさせていただきます。
ここでは、習近平の 3期目続投と米国との関係についての、WSJ経済担当チーフコメンテーター・グレッグ・イップ氏の記事を取り上げさせていただきます。
習総書記3期目確定 李首相ら最高指導部4人退任 - 産経ニュース
習氏の3期目続投、米国に利するかもしれない理由 - WSJ 2022 年 10 月 20 日 WSJ経済担当チーフコメンテーター・グレッグ・イップ
米国の歴代指導者はかつて、中国の繁栄を望んでいた。2002年のジョージ・W・ブッシュ大統領の言葉を借りれば「力強く、平和で豊かな」中国を、そして2009年のバラク・オバマ大統領は「力強く、豊かで成功した」中国への期待を示した。
だが、時代は変化した。米国はここ10年で、中国をパートナーではなく、競争相手としてとらえるようになった。世界経済および戦略地政学的な秩序を支配する覇者の座を、中国が米国から奪おうと躍起になっているとの考えに至ったためだ。
これに伴い、2つの気掛かりな影響が想定される。まずは米国の立場として、中国が貧しくなることは望んでいないにしても、豊かになることをもはや支持していないという点だ。中国が豊かになれば、それだけ競争相手としては手ごわさを増す。
その結果、バイデン米政権は中国の封じ込めは狙っていないと述べながらも、米国の半導体や設備、人材に対する包括的な対中規制を導入しており、まさにそうした意図があることは確かだろう。規制は単に米国の技術的な優位性を維持するだけにとどまらず、「中国テクノロジー業界の大部分を、殺す意図を持って締めつける」。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・アレン氏はこう記している。
2つ目は、中国の長期的な見通しは総合的にみると、習近平国家主席の下で悪化し、少なくとも経済的な観点からは米国に利する可能性があるというのが、西側専門家の間で一致した見方になっていることだ。習氏は共産党大会の閉幕にあたり、正式に総書記3期目続投を決めるとみられている。
こうした状況の変化を招いた要因は、対中政策の変遷にみてとれる。米国の歴代大統領は2012年頃まで、中国への関与を深める方針を掲げていた。そうすることで中国はより開かれ、市場原理を重視し、米国が第2次世界大戦以降、注力してきたルールに基づく国際制度を尊重するようになるとの読みがあったからだ。
ところが、習氏が実権を握った2013年以降、こうした期待は薄れ、むしろ「米国の関与は失敗する運命にあった」との悲観的な見方が強まった。
こうした見解はマイケル・ピルズベリー、ラッシュ・ドシ両氏の著書によってさらに浸透した。ピルズベリー氏の著作「China 2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』」は、トランプ政権に強い影響をもたらした。また「The Long Game: China’s Grand Strategy to Displace American Order(長期戦:米国の秩序を覆す中国の壮大な戦略(仮訳))」を執筆したイエール大学の政治学者ドシ氏は現在、バイデン政権で国家安全保障会議(NSC)のメンバーだ。
中国共産党は絶えず、イデオロギーと地政学上の覇権をめぐり、米国との長期的な闘争の中に自らを置いてきた、というのが両書のテーマだ。ドシ氏は、1993~2003年に国家主席を務めた江沢民氏が1993年に自国外交官に対して伝えた言葉を引用している。「これからは、比較的長期にわたって、米国が外交上の主要な敵になるだろう」
習氏の外交政策で米国を最も不安にするものは、いずれも習氏の就任前から存在していた。必要であれば武力で台湾を共産党支配下に置くという主張や、台湾の奪還と西太平洋からの米国排除を可能にする軍事力の開発に加え、香港に「国家安全維持法(国安法)」を導入することなどだ。
習体制で従来と異なるのは、かつての最高指導者、鄧小平氏が諭したように自らの能力を隠すことも、好機を待つことも中国がもはやしなくなったことだ。南シナ海では実質的な軍事拠点化を進め、経済力を武器に韓国やオーストラリア、リトアニアなどに圧力をかけ、インドとの国境紛争を激化させている。
習氏の下で鮮明になった対決姿勢は心穏やかなものではないが、明確にはなっている。その結果、かつて西側諸国の対中政策を形成していたあいまいさと分裂は大方なくなった。
米国では、与野党ともに対中強硬派が存在感を増している。「貿易を通じた変化」と呼ぶ政策を掲げていたドイツは、欧州では積極的な対中関与の筆頭格だった。だが、アナレーナ・ベーアボック独外相は中国経済への依存低下を目指す方針を打ち出す一方、人権・台湾問題を巡り中国を批判している。
非同盟主義のインドも米国に接近し、方針が定まらなかった同盟国フィリピンも米国の勢力圏に戻りつつある。
米国と同盟国がここにきて、中国を戦略的な競争相手ととらえるのであれば、中国経済の成長が加速し発展すれば、さらに強力な競争相手になることを認識する必要がある。そのため、習氏の経済的な実績を別の観点からみることにもなる。
表面上は、習氏の実績は極めて望ましいように思える。中国経済は10年前に世界銀行が予測した高いペースで成長を遂げた。成長は鈍化したが、少子高齢化や投資主導の成長モデルによるリターン低下を踏まえれば不可避だ。いずれの要因も習氏にとっては、前任から受け継いだものだ。
とはいえ、習氏はこれらの根本的な問題にほとんど対処してこなかった。ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「習は(不動産が圧倒的に多い)投資主導型の経済から脱却させる改革を断行する人物として就任したが、それは実現しなかった」と話す。
習氏が改革を目指したものについても、中途半端に終わるか、政治的な優先課題の二の次となってしまった。背景には、習氏が権力固めを進める中で、党内の意見や異論を封じ込めてきたことがある。習氏は「ゼロコロナ」政策の撤回を拒んだ。この厳格な感染対策は、経済の活力と公衆衛生の間でつける妥当な折り合いから、国内の個人消費への足かせ、そして外国人材の排除へと様変わりした。
もっとも、中国が科学・技術大国になりつつあることは確かだ。習氏は技術的な覇権と自給自足を目指す中で、重要産業に手厚い保護と資金を提供している。しかし、こうした政策は形がやや変わっても習体制以前から存在しており、誰が指導者になろうとも継続であろうことにほぼ疑いの余地はない。
習氏が歴代指導者と一線を画すのは民間部門の扱いだ。江氏と胡錦濤氏(2003~13年に国家主席)の下でほぼ民間部門が野放しの状況になっていたことで、中国では起業家精神とイノベーション(技術革新)が開花した。中国の偉大なハイテク企業はこの時代に創業した。電子商取引(eコマース)大手アリババグループ、ソーシャルメディア大手テンセントホールディングス、ドローン(小型無人機)大手のDJI、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、人気動画共有アプリTikTok(ティックトック)を傘下に持つ字節跳動(バイトダンス)といった企業が次々に誕生した。
だが、習氏はこうした企業の多くを締め付けた。最も成功した経済界首脳らを嫌がらせや当局による追及の標的に据え、彼らの事業をたたき、民間企業はすべて共産党の優先事項を順守するよう執拗(しつよう)に迫った。中国スタートアップ企業には依然として資金が流入しているものの、次のアリババが誕生する確率は下がっている。
ハイテク首脳らは中国から出国できないが、「後輩たちには国外でキャリアを築くよう助言している」。中国のベンチャーキャピタル(VC)業界に関する著作があるセバスチャン・マラビー氏はこう指摘する。
習氏が中国経済の先行きにとってマイナスの存在であったとしても、米国の戦略地政学的な利益にとって純然たるプラスとは言えない。世界第2位の経済規模を誇り、かつ核兵器を保有し、被害者意識が根底にある国を他人の助言を聞き入れない人物が率いれば、「紛争の可能性が高まることは確実だろう」。フーバー研究所の客員フェローで、トランプ政権時代にNSCのメンバーを務めたマシュー・ターピン氏はこう述べる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の例が示すように、経済的に追い詰められると、国家の指導者は予測不可能で危険になり得る。調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの調査責任者アンドリュー・バトソン氏は、習氏が戦争を開始するかどうかに比べれば、習氏が掲げる経済政策の重要性は下がると述べる。「習は優れた判断力を有していないようだ。判断力が劣る人物が中国の軍隊や核兵器の管理を統括することが米国の利益にかなうのだろうか」
米国の歴代指導者はかつて、中国の繁栄を望んでいた。2002年のジョージ・W・ブッシュ大統領の言葉を借りれば「力強く、平和で豊かな」中国を、そして2009年のバラク・オバマ大統領は「力強く、豊かで成功した」中国への期待を示した。
だが、時代は変化した。米国はここ10年で、中国をパートナーではなく、競争相手としてとらえるようになった。世界経済および戦略地政学的な秩序を支配する覇者の座を、中国が米国から奪おうと躍起になっているとの考えに至ったためだ。
これに伴い、2つの気掛かりな影響が想定される。まずは米国の立場として、中国が貧しくなることは望んでいないにしても、豊かになることをもはや支持していないという点だ。中国が豊かになれば、それだけ競争相手としては手ごわさを増す。
その結果、バイデン米政権は中国の封じ込めは狙っていないと述べながらも、米国の半導体や設備、人材に対する包括的な対中規制を導入しており、まさにそうした意図があることは確かだろう。規制は単に米国の技術的な優位性を維持するだけにとどまらず、「中国テクノロジー業界の大部分を、殺す意図を持って締めつける」。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・アレン氏はこう記している。
2つ目は、中国の長期的な見通しは総合的にみると、習近平国家主席の下で悪化し、少なくとも経済的な観点からは米国に利する可能性があるというのが、西側専門家の間で一致した見方になっていることだ。習氏は共産党大会の閉幕にあたり、正式に総書記3期目続投を決めるとみられている。
こうした状況の変化を招いた要因は、対中政策の変遷にみてとれる。米国の歴代大統領は2012年頃まで、中国への関与を深める方針を掲げていた。そうすることで中国はより開かれ、市場原理を重視し、米国が第2次世界大戦以降、注力してきたルールに基づく国際制度を尊重するようになるとの読みがあったからだ。
ところが、習氏が実権を握った2013年以降、こうした期待は薄れ、むしろ「米国の関与は失敗する運命にあった」との悲観的な見方が強まった。
こうした見解はマイケル・ピルズベリー、ラッシュ・ドシ両氏の著書によってさらに浸透した。ピルズベリー氏の著作「China 2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』」は、トランプ政権に強い影響をもたらした。また「The Long Game: China’s Grand Strategy to Displace American Order(長期戦:米国の秩序を覆す中国の壮大な戦略(仮訳))」を執筆したイエール大学の政治学者ドシ氏は現在、バイデン政権で国家安全保障会議(NSC)のメンバーだ。
中国共産党は絶えず、イデオロギーと地政学上の覇権をめぐり、米国との長期的な闘争の中に自らを置いてきた、というのが両書のテーマだ。ドシ氏は、1993~2003年に国家主席を務めた江沢民氏が1993年に自国外交官に対して伝えた言葉を引用している。「これからは、比較的長期にわたって、米国が外交上の主要な敵になるだろう」
習氏の外交政策で米国を最も不安にするものは、いずれも習氏の就任前から存在していた。必要であれば武力で台湾を共産党支配下に置くという主張や、台湾の奪還と西太平洋からの米国排除を可能にする軍事力の開発に加え、香港に「国家安全維持法(国安法)」を導入することなどだ。
習体制で従来と異なるのは、かつての最高指導者、鄧小平氏が諭したように自らの能力を隠すことも、好機を待つことも中国がもはやしなくなったことだ。南シナ海では実質的な軍事拠点化を進め、経済力を武器に韓国やオーストラリア、リトアニアなどに圧力をかけ、インドとの国境紛争を激化させている。
習氏の下で鮮明になった対決姿勢は心穏やかなものではないが、明確にはなっている。その結果、かつて西側諸国の対中政策を形成していたあいまいさと分裂は大方なくなった。
米国では、与野党ともに対中強硬派が存在感を増している。「貿易を通じた変化」と呼ぶ政策を掲げていたドイツは、欧州では積極的な対中関与の筆頭格だった。だが、アナレーナ・ベーアボック独外相は中国経済への依存低下を目指す方針を打ち出す一方、人権・台湾問題を巡り中国を批判している。
非同盟主義のインドも米国に接近し、方針が定まらなかった同盟国フィリピンも米国の勢力圏に戻りつつある。
米国と同盟国がここにきて、中国を戦略的な競争相手ととらえるのであれば、中国経済の成長が加速し発展すれば、さらに強力な競争相手になることを認識する必要がある。そのため、習氏の経済的な実績を別の観点からみることにもなる。
表面上は、習氏の実績は極めて望ましいように思える。中国経済は10年前に世界銀行が予測した高いペースで成長を遂げた。成長は鈍化したが、少子高齢化や投資主導の成長モデルによるリターン低下を踏まえれば不可避だ。いずれの要因も習氏にとっては、前任から受け継いだものだ。
とはいえ、習氏はこれらの根本的な問題にほとんど対処してこなかった。ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「習は(不動産が圧倒的に多い)投資主導型の経済から脱却させる改革を断行する人物として就任したが、それは実現しなかった」と話す。
習氏が改革を目指したものについても、中途半端に終わるか、政治的な優先課題の二の次となってしまった。背景には、習氏が権力固めを進める中で、党内の意見や異論を封じ込めてきたことがある。習氏は「ゼロコロナ」政策の撤回を拒んだ。この厳格な感染対策は、経済の活力と公衆衛生の間でつける妥当な折り合いから、国内の個人消費への足かせ、そして外国人材の排除へと様変わりした。
もっとも、中国が科学・技術大国になりつつあることは確かだ。習氏は技術的な覇権と自給自足を目指す中で、重要産業に手厚い保護と資金を提供している。しかし、こうした政策は形がやや変わっても習体制以前から存在しており、誰が指導者になろうとも継続であろうことにほぼ疑いの余地はない。
習氏が歴代指導者と一線を画すのは民間部門の扱いだ。江氏と胡錦濤氏(2003~13年に国家主席)の下でほぼ民間部門が野放しの状況になっていたことで、中国では起業家精神とイノベーション(技術革新)が開花した。中国の偉大なハイテク企業はこの時代に創業した。電子商取引(eコマース)大手アリババグループ、ソーシャルメディア大手テンセントホールディングス、ドローン(小型無人機)大手のDJI、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、人気動画共有アプリTikTok(ティックトック)を傘下に持つ字節跳動(バイトダンス)といった企業が次々に誕生した。
だが、習氏はこうした企業の多くを締め付けた。最も成功した経済界首脳らを嫌がらせや当局による追及の標的に据え、彼らの事業をたたき、民間企業はすべて共産党の優先事項を順守するよう執拗(しつよう)に迫った。中国スタートアップ企業には依然として資金が流入しているものの、次のアリババが誕生する確率は下がっている。
ハイテク首脳らは中国から出国できないが、「後輩たちには国外でキャリアを築くよう助言している」。中国のベンチャーキャピタル(VC)業界に関する著作があるセバスチャン・マラビー氏はこう指摘する。
習氏が中国経済の先行きにとってマイナスの存在であったとしても、米国の戦略地政学的な利益にとって純然たるプラスとは言えない。世界第2位の経済規模を誇り、かつ核兵器を保有し、被害者意識が根底にある国を他人の助言を聞き入れない人物が率いれば、「紛争の可能性が高まることは確実だろう」。フーバー研究所の客員フェローで、トランプ政権時代にNSCのメンバーを務めたマシュー・ターピン氏はこう述べる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の例が示すように、経済的に追い詰められると、国家の指導者は予測不可能で危険になり得る。調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの調査責任者アンドリュー・バトソン氏は、習氏が戦争を開始するかどうかに比べれば、習氏が掲げる経済政策の重要性は下がると述べる。「習は優れた判断力を有していないようだ。判断力が劣る人物が中国の軍隊や核兵器の管理を統括することが米国の利益にかなうのだろうか」
米国の歴代指導者はかつて、中国の繁栄を望んでいた。
だが、時代は変化した。米国はここ10年で、中国をパートナーではなく、競争相手としてとらえるようになった。世界経済および戦略地政学的な秩序を支配する覇者の座を、中国が米国から奪おうと躍起になっているとの考えに至ったためだと、グレッグ・イップ氏。
これに伴い、2つの気掛かりな影響が想定されると。
一つ目は、米国の立場として、中国が貧しくなることは望んでいないにしても、豊かになることをもはや支持していないという点。中国が豊かになれば、それだけ競争相手としては手ごわさを増すから。
バイデン米政権は中国の封じ込めは狙っていないと述べながらも、米国の半導体や設備、人材に対する包括的な対中規制を導入していると。
規制は単に米国の技術的な優位性を維持するだけにとどまらず、「中国テクノロジー業界の大部分を、殺す意図を持って締めつける」。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・アレン氏はこう記しているのだそうです。
2つ目は、中国の長期的な見通しは総合的にみると、習近平国家主席の下で悪化し、少なくとも経済的な観点からは米国に利する可能性があるというのが、西側専門家の間で一致した見方になっていることだと、グレッグ・イップ氏。
習氏が実権を握った2013年以降、対中接近での期待は薄れ、むしろ「米国の関与は失敗する運命にあった」との悲観的な見方が強まった。
こうした見解はマイケル・ピルズベリー、ラッシュ・ドシ両氏の著書によってさらに浸透したと、グレッグ・イップ氏。
中国共産党は絶えず、イデオロギーと地政学上の覇権をめぐり、米国との長期的な闘争の中に自らを置いてきた、というのが両書のテーマ。
習氏の外交政策で米国を最も不安にするものは、いずれも習氏の就任前から存在していたが、必要であれば武力で台湾を共産党支配下に置くという主張や、台湾の奪還と西太平洋からの米国排除を可能にする軍事力の開発に加え、香港に「国家安全維持法(国安法)」を導入することなど。
習体制で従来と異なるのは、かつての最高指導者、鄧小平氏が諭したように自らの能力を隠すことも、好機を待つことも中国がもはやしなくなったことだ。
南シナ海では実質的な軍事拠点化を進め、経済力を武器に韓国やオーストラリア、リトアニアなどに圧力をかけ、インドとの国境紛争を激化させていると、グレッグ・イップ氏。
日本の尖閣諸島では、実効支配競争に挑んできていますね。
また、ペロシ米下院議長が台湾を訪問した事への対抗措置で台湾周辺海域にミサイルを撃ち込みましたが、与那国島のEEZ海域内にもミサイルを撃ち込みましたね。
米国では、与野党ともに対中強硬派が存在感を増している。ドイツは、欧州では積極的な対中関与の筆頭格だった。だが、アナレーナ・ベーアボック独外相は中国経済への依存低下を目指す方針を打ち出す一方、人権・台湾問題を巡り中国を批判しているのだそうです。
非同盟主義のインドも米国に接近し、方針が定まらなかった同盟国フィリピンも米国の勢力圏に戻りつつあると。
習氏は、中国が抱える根本的な問題にほとんど対処してこなかった。ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「習は(不動産が圧倒的に多い)投資主導型の経済から脱却させる改革を断行する人物として就任したが、それは実現しなかった」と、グレッグ・イップ氏。
習氏が改革を目指したものについても、中途半端に終わるか、政治的な優先課題の二の次となってしまった。背景には、習氏が権力固めを進める中で、党内の意見や異論を封じ込めてきたことがあると。
ゼロコロナ政策へのかたくなな拘りも、中国経済減速の要因となるとともに、人民の中に不満を膨らませていますね。
習氏が歴代指導者と一線を画すのは民間部門の扱いだ。江氏と胡錦濤氏(2003~13年に国家主席)の下でほぼ民間部門が野放しの状況になっていたことで、中国では起業家精神とイノベーション(技術革新)が開花した。中国の偉大なハイテク企業はこの時代に創業した。
鄧小平が進めた、改革開放政策によるものですね。
だが、習氏はこうした企業の多くを締め付けた。最も成功した経済界首脳らを嫌がらせや当局による追及の標的に据え、彼らの事業をたたき、民間企業はすべて共産党の優先事項を順守するよう執拗(しつよう)に迫った。
ハイテク首脳らは中国から出国できないが、「後輩たちには国外でキャリアを築くよう助言している」。中国のベンチャーキャピタル(VC)業界に関する著作があるセバスチャン・マラビー氏はこう指摘しているのだそうです。
世界第2位の経済規模を誇り、かつ核兵器を保有し、被害者意識が根底にある国を他人の助言を聞き入れない人物が率いれば、「紛争の可能性が高まることは確実だろう」と、フーバー研究所の客員フェローで、トランプ政権時代にNSCのメンバーを務めたマシュー・ターピン氏。
調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの調査責任者アンドリュー・バトソン氏は、「習は優れた判断力を有していないようだ。判断力が劣る人物が中国の軍隊や核兵器の管理を統括することが米国の利益にかなうのだろうか」と。
独裁力を強めた 3期目に突入する習近平。鄧小平が改革開放経済政策でもたらした、日本を遥かに凌駕し、米国に迫ろうとする経済大国となった中国を、逆行させようとしています。
親中の岸田、林コンビ政権の日本は、日本の領土や国民を護れるのでしょうか。。
# 冒頭の画像は、途中退席した、共青団派の胡錦涛前主席
胡錦濤氏、突然の会議中座 体調不良か強制退場か… - 産経ニュース
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