遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

トランプ大統領誕生 未知への遭遇

2016-11-10 23:58:58 | 米国 全般
 トランプ氏が大方の予測に反して大統領に選ばれ、世界の安全保障の枠組みや経済への影響は、はかり知ることが出来ない状況が生まれ、「未知への遭遇」状態だと、どなただったかが仰っていました。選挙戦の間の言動と、プロンプターの原稿を読みながらの勝利演説の内容の違いに、一層トランプ氏への評価や、トランプ氏の政策の真意の理解が、多様に分かれています。
 時間がたつにつれ、明らかになるのでしょうから、注目していくこととなりますが、今日の時点でクローズアップできることとして、日米比露関係の新たな関係があります。

 先ず、日米関係での注目点。
 選挙戦の最中、ヒラリー氏(クリントン氏と表現するのが通例ですが、どうしても夫の方が思い浮かぶので、あえてヒラリー氏と表現させていただいています)とだけ会って、トランプ氏とは会わなかった安倍首相。ジャパンバッシングを連発していたトランプ氏と、どのようにして関係構築するのかが、当面の最大の関心事です。
 ところが、ヒラリー氏との面談については、トランプ陣営にも仁義はきってあったのだそうで、さすがと感心しましたが、更に、電光石火の行動で、訪米・面談実現の見込みだと。
 安倍首相の行動の素早さと、トランプ氏の対応の速さにも驚きますが、トランプ氏の対応内容に、更に吃驚です。
 

【米大統領にトランプ氏】安倍首相とトランプ氏、17日に会談へ 電話会談で合意 トランプ氏「日米の特別な関係をさらに強化したい」- 産経ニュース

 安倍晋三首相は10日午前、米大統領選に勝利した共和党のドナルド・トランプ氏と電話会談を行い、17日に米ニューヨークで会談する方向で調整を進めることで一致した。早期にトランプ氏と会談し、日米関係の重要性を確認するとともに、日米が直面する課題などについて認識の共有を図る考えだ。

 電話会談の冒頭、
安倍首相は「トランプ次期大統領の類いまれなリーダーシップにより、米国がより一層偉大な国になることを確信する」と祝意を伝えた。これに対しトランプ氏は「安倍首相の今日までの業績について高く評価している。今後数年間、共に働くことを楽しみにしている。日米関係は卓越したパートナーシップであり、この特別な関係をさらに強化していきたい」と述べた


 日米同盟について
安倍首相は「世界の経済成長の中心であるアジア太平洋地域の平和と安定は米国の力の源泉だ。強固な日米同盟はこの地域の平和と安定を下支えする不可欠な存在である」と強調した。また、安倍首相がトランプ氏との直接会談を提案したところ、トランプ氏は「素晴らしい提案だ。ぜひお会いし、日米両国にとって前向きな議論をしたい」と応じた


 ニューヨークでの会談は、安倍首相が19、20両日にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向かう途中、ニューヨークに立ち寄った際に行われる見通しだ。
 一方、トランプ氏が反対している環太平洋戦略的経済連携協定
(TPP)や、在日米軍の駐留費用は話題に上らなかったという。こうした問題は直接に会談する場で協議される可能性
がある。
 電話会談は約20分、首相官邸で行われた。電話会談は日本側から申し入れ、打ち解けた雰囲気の中で行われたという。

 トランプ氏の安倍評価は高いとの説を教えていただけていましたが、電話会議で、トランプ氏が安倍首相の経済政策を高く評価していて、是非教えて欲しいと語ったと報道しているテレビもありました。
 危惧していたトランプ氏との関係構築は、水面下でいろいろ進められている様子が報じられています(水面下じゃない?)が、安倍首相が、当確後の素早い直接行動を起こしたことで、トランプ氏も実業家出身だけあって、快く応じたのでしょうね。周りのスタッフが確立していない身軽な今だから、早期会談が実現できたとの解説の声がありましたが、その通りで、行動派のトランプ氏を見抜いた、安倍首相のクリーンヒットですね。
 プロンプターの原稿を読んだトランプ氏ではなく、生電話での会話でのトランプ氏の反応。勿論、実業家としてのビジネストークですが、世界の首脳の中で、当確後、最初に面談する首脳に安倍首相がなったことは、大きい。

 次いで変化が大きいのは、フィリピンのドゥテルテ大統領。
 徹底的な米国批判で、中国に接近し、南シナ海での仲裁裁判所の裁定を無実化する中国のペースに巻き込まれることが危惧されていますが、トランプ大統領誕生を機に、米国批判を止めることにするのだそうですね。
 

フィリピン大統領、トランプ氏勝利で米国との「けんかはやめる」 - エキサイトニュース

 [クアラルンプール 9日 ロイター] - フィリピンのドゥテルテ大統領は9日、訪問先のマレーシアで、米大統領選に勝利した共和党のドナルド・トランプ氏を祝福し、米国とのけんかをやめたいとの意向を示した。
 過激な発言から「フィリピンのトランプ」と呼ばれるドゥテルテ氏は過去数カ月、
オバマ政権を毎日のように批判し、米国との防衛同盟の破棄や合同演習の中止を繰り返しほのめかしていた

 ドゥテルテ氏は「ドナルド・トランプ氏を祝福したい。万歳」と祝福。「私たちはともに暴言を吐く。ささいなことについても、暴言を吐く」とした上で、
「トランプ氏が勝った以上、私は誰ともけんかしたくない」と述べた

 既存政治への批判を展開して5月の大統領選に大差で勝利したドゥテルテ氏は、トランプ氏と比較されることが多い。

 機を見るに敏なドゥテルテ大統領。日本との接近で中国をけん制しましたが、米国との関係も押したり引いたりのタイミングを計っていたのでしょうか。
 米国との最悪な関係が修復されれば、仲裁裁判所の裁定を無効にしようとする中国の野望は阻止されることになりますね。

 大きいのは、プーチン大統領と、トランプ氏の関係。
 米露双方の対立意識が強かったのですが、トランプ氏、プーチン大統領共に、関係改善を呼びかけているのは、諸兄がご承知の通りです。
 WSJは、そうしたトランプ氏に警告を発しています。
 

【社説】トランプ氏が誤解するプーチン大統領の本質 - WSJ 2016 年 7 月 28 日

<前略>
「ハッキングの件に関しては連邦捜査局(FBI)が調査を行う」と発表文で表明したペンス氏。「仮にそれを行ったのがロシアで、我が国の大統領選に干渉しようとしているなら、共和党および民主党、そして政府も含めて確実に彼らに深刻な事態をもたらす」と続けた。
 ぜひ、そうお願いしたい。しかし過去の中国や北朝鮮によるハッキングに対してオバマ政権が毅然とした態度をとらなかったことを考えると、果たしてそれが可能なのかは疑問だ。
 トランプ氏のコメントは決して正当化できるものではない。しかし
大統領候補である同氏がプーチン大統領に関して好意的な発言を続けている事実は、より一層の不安を掻き立てる


 トランプ氏はプーチン大統領の独裁的な政治手腕についてこれまで何度か触れており、自分の思い通りに物事を動かす才能―つまり帝国主義や軍事主義と似たようなもの―を評価している。さらに
トランプ氏は自身の交渉力があればプーチン大統領を出し抜けるとも思っている模様
だ。
 
目を覚ませ、とトランプ氏に伝えたい
。ジョージ・W・ブッシュ大統領は以前プーチン氏と対面した後、「正直で信頼できる男」だと評価した。その後、ロシアはジョージアに侵攻を開始している。オバマ大統領もロシアとの関係を「リセットする」と話していたが、プーチン氏はその恩を仇で返す形でウクライナに侵攻し、その他にも北大西洋条約機構(NATO)の戦闘機に挑発行為を行うなどしている。

 
プーチン氏が思い通りにトランプ氏を操っているとの陰謀説もあるが、そんなものがなかったとしても彼は地政学に関する集中講義を受ける必要がある
だろう。まだ当選していない一候補であるとしても、トランプ氏の発言は世界中で注目されていて、敵対国はそこに付け入る隙を見い出そうとしているからだ。

 メディアはまた、クリントン氏やオバマ大統領に対しても同じような視点から厳しく追及しなければならない。有名な話だが4年前の大統領選の際、共和党候補のミット・ロムニー氏がロシアを米国の「地政学的な敵」と表現した時のこと。オバマ氏はロムニー氏の発言を茶化し、冷戦が20年も前に終結していると指摘した。ロムニー氏の考え方は1980年代の外交知識に基づいていると話したオバマ大統領だったが、結果的に正しかったのはロムニー氏の方だ。
 クリントン氏が国家機密を私的な電子メールでやりとりしていた件についても、軽視できない。当時の彼女は国務長官だったのだ。この行動はクリントン氏自身のみならず、米国全体を危険にさらし、プーチン大統領に付け入る隙を与えたことになる。トランプ氏の誤解に満ちた問題発言に勝るとも劣らないほどの愚行であったと言えるだろう。


 昨日、「アメリカ再生」で「偉大なアメリカ」を掲げるトランプ氏は、海洋国家であるアメリカの“偉大さ”を支える強力な海軍力を復活するために、国防予算の大削減で削減された「戦闘艦」を、1.5倍に増やす「350隻海軍の構築」政策を、執務初日に打ち出すとの記事を取り上げました。中国の、「AD/A2」戦略に対抗するものです。
 トランプ大統領が誕生した場合、執務初日に「350隻海軍」計画を発動する - 遊爺雑記帳

 日米同盟はもとより、フィリピンとの関係、加えてロシアとの関係が強化されることになれば、中国包囲網は盤石になります。

 「未知との遭遇」状態のトランプ大統領誕生。世界への影響、わけても日本への影響は大きく、目が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、プロンプターの原稿を読みながら勝利演説をするトランプ氏




  この花の名前は、ラジウム


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